ひっく、うっく…ぐす。なんでなのよぉ…俊、なんでキスしてくれないのよぉ〜。
もう無理にSEXしようって誘わないから…俊からもキスしてよぉ、ぐす。
俊からアタシにキスしてくれたのは…たった5回。
付き合いだして10回目のデート。アタシの誕生日。クリスマス。初詣。そしてホワイトデー。
なんでなのよぉ…アタシのこと、キライになったの?
それとも…アタシじゃなくて、やっぱり桃子のほうがよかったの?
ウソよね?だって桃子じゃなくてアタシを選んでくれたんだもんね?
でも…我が侭なアタシに嫌気が差したのかも。
もしかしたら素直な桃子に惹かれていたのかも…やだよぉ〜!やだやだやだ!
俊はアタシの物なんだからね!いくら桃子でも絶対に渡さないんだからね!
けど…俊が桃子を選んだらアタシどうしたらいいの?
アタシ、桃子みたいに身を引くなんて出来そうにないよ…
「おいシーリス!お前いつまでウジウジしてんだ?かなり鬱陶しいぞ!」
バシン!泣いてるアタシの頭を誰かが叩く。誰かがじゃない。
今、ここにはアタシの他には一人しかいない。
「…ったいわね!何すんのよ!アタシにケンカ売ってんの?
今、機嫌が悪いからボッコボコにするわよ!」
頭を叩いた江口さんを睨みつける。普通落ち込んでる女の子の頭叩かないでしょうが!
「ははは、そう怒るなって。お前が俊にあきられた理由、多分だけど分かったぞ」
ア、アタシは飽きられてなんかない!俊がアタシを飽きるなんてないわよ!
「なぁに睨んでんだよ、メンドクせー女だな。
お前のそういうとこが俊にとっては鬱陶しいんじゃねぇのか?」
「な、なんですってぇ!江口ぃ〜アンタぶっ殺すわよ!」
「はいはい、女のヒステリックはもてないぜ?
そうそう、お前がもてない理由な、色気ゼロだからだぞ?」
いきり立つアタシにハハハッと笑いながら言う江口。色気ゼロってなによ!
「なんですってぇ!このアタシが…色気ゼロ?アンタ、ふっざけてんじゃないわよ!」
「ほらほら…今のお前に色気のイの字もねぇだろ?仕方ねぇな、いい事教えてやろうか?
…女が手っ取り早く色気を出す方法を。どうだ?聞きたいか?」
ぶっ殺す!殺す殺す殺す!ころ…え?すぐに色気が出るの?色っぽくなれるの?
「お、教えなさいよ。教えてくれたら今までのは許してあげるわ!
だからさっさと教え…きゃぁぁぁ〜!」
急に飛び掛ってきてアタシを無理やり押し倒す。な、何すんのよ!
「手っ取り早く色気を出す方法…簡単だ。
てめぇのくせぇ処女を捨てたらちったぁ色気出るだろ?」
え?ウ、ウソでしょ?江口さん、いつもの冗談よね?

アタシに馬乗りになっている江口さんの目は、今まで見たことがないような冷たい目をしてい
た。



「遅いぞ!俊、何やってるんだ!早くしろ、シーリスがヤバイ!」
健一から電話を受けて、僕は全速力で健一の部屋…江口さんの部屋まで走ってきた。
バイト中にかかって来た健一からの電話、その内容は信じられない話だった。

『俊、シーリスが危ない!江口さん…江口がシーリスを自分の部屋に誘い込んで襲おうとして
る!隣からシーリスの泣き声が聞こえてるんだ!このままじゃシーリスがやばいぞ!』

最初は何かの冗談だと思った。二人して僕をからかおうとしてるんだなって思ったんだ。
けど、健一は聞かせてくれた。壁伝いに聞こえてきたシーリスの声…泣いていた。
大声で泣き叫んでたんだ!僕の名前を叫んで泣いていたんだ!
僕はバイトを無視して健一の部屋に走る。幸いバイト先から10分もかからない。
健一の部屋にたどり着いたとき、江口さんの部屋の中から確かにシーリスの声が聞こえてき
た。
「…や!…めて!…ねがい…ゅん!……て!…しゅんたすけて!」
シーリスが…僕の大事なシーリスが!う…うおおおおおおおおおおおお〜〜!!
勢いよくドアを開け、部屋になだれ込む。
そこには上半身裸でシーリスを押さえつけている江口がいた。
「シーリスになにをしてる〜!」
バキッ!後ろから思い切り側頭部を蹴りつける。
不意をついての攻撃だったため、江口は避けれずに吹っ飛んだ。
「シーリス!大丈夫!もう大丈夫だから!僕が守るから!君を守るから!」
よっぽど怖かったのか、僕にも怯えた目を向けてきたシーリス。
目の前にいるのが僕だと分かった瞬間、僕の大好きな青い瞳に大粒の涙をためて抱きついて
きた。
「…俊?…シュン〜!怖かった…怖かったよぉ〜!」
あのシーリスがこんなに怯えて…江口さん、何故こんな事をしたんですかぁ!
江口さんを睨む。すでに立ち上がってケリが入った顔をなでている。
不意をついてのケリを入れたはずなのに、顔をさする程度のダメージしかないのか?
「おぉ〜いてぇ。俊、てめぇは女の扱いは下手なくせに不意打ちは上手いんだな。
とりあえずどけよ。今からオレはシーリスの処女をいただくんだ。お前は…じゃまなんだよ!」
バシン!江口の平手打ちで頭がグラつく。けど退く訳にはいかないんだ!
両手を広げて江口を阻む。
「しつこいなぁお前も。オレが一発やったらこんなクソ女いらんから返したるわ。
だからな、そこを…退けと言うとんのじゃ!」
バン!バン!左右のビンタが僕を襲う。もう僕は立っているのか倒れてるのかも分からない。
ただ、ここを退いてはならないという事だけは分かっている。
「なんじゃこのクソガキ?退け言うとるやろが!…なんでどかへんねん。
お前この女、好きでも何でも無いんやろが!」
「ふ…ざけんな…ふざけんなよお前!シーリスは俺の女だ!誰がお前なんかに触らせるか!」
「俺の女?はぁっはっはっはっ!お前笑わせよんの〜。
ならなんでその女が泣きながらオレに相談してきたんじゃ!
自分の女やったらなんで苦しんでる事分かったらんかったんじゃ!」
な…なんだと?シーリスが…苦しんでいた?
「シーリスな、お前が抱いてくれないって相当悩んでたんだぞ?
自分に魅力が無いせいかなって泣いてたんだぞ?
それにな、お前から全然キスをしてくれないって号泣してたんだぞ?
嫌われてるって号泣してたんだぞ?
お前な、それでもシーリスの男か?それでもシーリスが好きなのか?」
う、ううう…シーリス、僕のせいでそこまで悩んでたのか。
「お前なぁ、どうせ真面目なお前の事だ。
『SEXは責任を取れるようになってから』とか考えてたんだろ?
若いのに立派な考えだよ。だけどな…相手の事も、シーリスの気持ちも考えてやれよ!
女ってのはな、常に不安なんだよ!男が自分を好きでいてくれてるのかずっと心配してんだ!
シーリス、たくさんキスしてきてただろ?そのキスはな、その不安を紛らわすためだ!
そのキスの数だけ不安だったんだよ!
そしてシーリスを不安にさせてるのは…お前なんだよ!」
ぼ…僕がシーリスを不安にさせていたのか?
僕がシーリスの気持ちを考えてなかったばかりに悲しませて…
僕は自分の甘い考えでシーリスを傷つけていたと今さらながらに気づいたんだ。


なに?この三文芝居は?アタシは今の状況がおかしいとやっと気づいたわ。
冷静になって江口さんの取った行動を考えてみる。
まず最初に、アタシを押し倒して関西弁で犯してやると脅してきたわ。
アタシは豹変した江口さんが怖くなってパニックになってしまった。
けど、脅すだけ。馬乗りになっている以外触ってもこなかったし、服を脱がそうともしなかった。
間が持たなくなったのか途中で自分の上着を脱いだだけだったわ。
それに玄関の鍵も開いたままだったし…
蹴ってきた俊には平手打ちしかしていない。普通は殴るわ。
平手なのは怪我をさせたくないからね。
決定的なのが俊に話しかけている言葉が関西弁から標準語に戻ってる。
きっと関西弁のままじゃ、俊に分かりづらいと判断したんでしょうね。
くぅぅぅ〜〜…まんまと騙されたって訳ね!よくもこのアタシを騙したわねぇ〜!
ダメリーマンのくせにぃ〜!…江口さん、アリガト。絶対にお礼はするわ、覚悟なさいよ?
そんなアタシの目の前では江口さんの意図を読めていない俊が騙され続けている。
「それにな、俊。お前な、気持ちは何も言わなくても伝わるって思ってないか?
そりゃ伝わる事もあるが、それは稀な事だ。
現にお前はシーリスの気持ちが分かっていなかった。
…思いを吐き出せ。恥ずかしいかもしれんが、シーリスに自分の気持ちを自分の口で伝えてみ
ろ!」
そう言ってから部屋を出て行こうとする江口さん。
「はん!こんなガキ共の相手、やってられんわ!処女の相手なんざめんどくさくてやってられっ
か!」
関西弁での捨て台詞。…今さら関西弁話してもバレバレよ。
江口さんが出て行きドアが閉まると俊が鍵をかけた。
え?ドアチェーンまでかけるの?
そうよね、今からお互いの気持ちを伝えるのに誰かが合鍵で…むぐ!
え?ええ?ちょっと俊?前にいつでもOKとは言ったけどいきなり…やん!
俊に押し倒されたアタシ。今は強引に唇を奪われている。胸はきつく揉まれている。
うそ…夢見たい。あの俊がこんな強引に…って床はイヤァ〜〜!
「ちょ、ちょっと俊!床ではイヤ!…アタシ初めてなんだからベットがいい」
「…はっ!わ、わわわ!ゴ、ゴメン!シーリスそのこれは…あの…あれなんだよ!」
…はぁぁぁ〜、いつもの俊に戻っちゃったわ。…アタシが大好きな俊にね。
「ううん、いいの。ずっと待ってたんだから何されてもいいよ。ただ…少し話そ?ね?」
アタシの言葉に頷き、隣の部屋に置かれてるベットに二人で腰をかける。
こ、ここがアタシの…アタシ達の初体験の場所になるのね。…ゴクリ。
アタシは期待のあまりに生唾を飲み込んだ。


「江口さんの関西弁って迫力ありましたね!
おれ、あんな言葉で文句言われたら財布出しちゃいそうですよ」
はっはっは!そうだとも!そうだろうとも!
「…焼きそばおかわり」
「しっかし世話が焼ける二人だな。俊のへタレも困ったもんだな」
刺身をつまみながら話す。お、このハマチ、けっこういけるじゃねぇか。
「そっすよね〜、まさかまだやってないなんて信じられませんでしたよ」
鳥のから揚げを食いながら話す健一。オレのも残しとけよ。
「ま、お前の協力があったからこそ上手くいったんだ。ジャンジャン食っていいぞ!」
「じゃ、遠慮なくいただきます!」
グラスを合わせるオレと健一。今日は飲むぞ〜!食うぞ〜!
「…焼きそばおかわり」
オレの部屋を出たオレ達は、近くの居酒屋でちょっと早い晩飯を食うことにした。
せっかくの休日にこんな騒動に巻き込まれるとは…面白いやんけ。
「しかしあれだな、二人が上手くいってくれたらいいよな」
「いくでしょ?あいつ等100%の両想いなんですからね。
なんせ俊はこの桃子をふってシーリスを選んだぐらいですから」
「…焼きそばおかわり」
マジで?桃子って俊にふられてたのか!
っていうか、恋をしたことがあったのか!新鮮な驚きだ!
…なんで桃子がここにいるんだ?なんで焼きそば4つ目頼んでんだ?
お前、さっきなんかしたか?
「けどいいんすか?ヘタしたらあいつ等、江口さんの部屋でやっちゃうんじゃないんですか?」
んん?そう言われたら心配だな。けど、俊がいるから大丈夫だろ?
「ま、俊がいるからいけるだろ?それにまさか人様の部屋でやるってのはないと思うぞ?」
「…焼きそばおかわり」
とりあえず食いすぎの桃子のこめかみに拳を当ててぐりぐりと締め付ける。
「…痛いわ。なぜ苛めるの?」
涙目でオレを見つめる桃子。食いすぎだからだよ。
ま、なんにせよ俊にシーリス、二人とも仲良くしろよ?
結婚式にはぜひ呼んでくれ、大阪から駆けつけるからな。
オレは自分の部屋で起きていることを想像だにしていなかった。


カーテンを引き、照明を消した部屋。
まさかシーリスとこんなに早くこうなるとは思っていなかった。
僕達はベットに座り、僕は想いを全て打ち明けた。
「僕がシーリスを抱かなかったのは怖かったから。
僕がシーリスにキスをしなかったのも怖かったから。
そう、僕はとっても臆病で小さい男なんだ。怖かったんだ。
大好きなシーリスと関係を結んだら歯止めが利かなくなりそうで…怖くて仕方なかったんだ!
口では君のことを大事にしたいなんてカッコいい事いいながら、
ホントは君を抱きたくて抱きたくて…
けど、抱いたら歯止めが利かなくなって、君を傷つけるかもって怖がってたんだ。
けど、それは間違いだったんだね。僕のその優柔不断な態度が君を傷つけていたんだ。
ゴメン、やっぱり僕は小さい男だよね。今までゴメン…シーリス、ゴメンね」
僕の全ての告白を真剣に聞いてくれたシーリス。
そしてこう言ってくれた。
「ふふふ…なんか今初めて俊と心が通じ合ったような気がするわ。
ま、確かに今の俊はかっこ悪いわね。ウジウジしちゃってさ。
けど安心しなさいよ?アタシはそんなかっこ悪い俊。
けど優しくて、困ってる人を助けてくれる俊。
公園で金髪だからって理由で苛められてた小さい女の子を助けてくれて
『僕、綺麗な髪大好きだよ!』って言ってくれたカッコいいアタシのヒーローの俊。
全部の俊が大好きなの!」
そう言って満面の笑みで僕を見つめてくれたんだ。
その笑顔で僕は気持ちを抑えきれなくなった。
「ゴメン、シーリス。ゴメン…僕、もう君への気持ちを抑えられないよ!」
ベットへと押し倒す。綺麗な唇を吸い付く。シーリスの舌が僕の唇を割って入ってきた。
「ちゅ…んん…チュル…んふ…んん!んあ…んん!」
舌を絡めながら夢中で胸を揉み解す。これがシーリスの胸か…こんなにやわらかいんだ。
服の上から胸に顔を埋めようとした僕をシーリスが止める。
「服、これ以上シワになったらイヤだから脱ぐね。ほ、ほらぁ!俊も脱ぐの!
アタシだけ裸なんてさせないんだからね!」
ギクシャクとした動きで服を脱ぐシーリス。
…っぷ、シーリスもガチガチに緊張してるんだ。



シーリスの耳、ほほ、首筋、、鎖骨に舌を這わす。
シャワーを浴びていないため、少しショッパイ気がする。
「ん、ん!あ、あんまり舐めちゃヤダ。汗が…ひゃ?ちょ、ちょっと俊!
いきなり触らな…はぁっ!くぁ!」
シーリスは指を動かすたびにビクン!ビクン!とまるで打ち上げられた魚のような動きをする。
す、すごい…胸の先ってそんなに気持ちいいんだ。
どんどんと大きくなってきたシーリスの乳首。綺麗なピンク色をしている。
「綺麗だ…シーリスって全部が綺麗だ」
ちゅっ…口に含んでみた。ビクン!とシーリスが跳ねる。
カリッ!軽く噛んでみる。
「あっひゃう!だ…めぇぇ〜!」
僕の顔を強く抱きしめ軽く痙攣してる。…うそ?これって…イッタの?
「はぁはぁはぁはぁ…なんでそんなに上手いのよ。…俊のばかぁ〜」
息荒く、僕の顔を掴んでキスをしてきた。
「んちゅ…ちゅば…んん…んあ!はぁはぁはぁ、いいよ。俊、もう入れていいよ」
真っ直ぐな瞳で僕を見つめるシーリス。い、いいって…ゴクリ!
僕は心臓の鼓動が早くなったのを自覚した。

(俊、ゴメンね?イッタふりなんてしちゃって)
俊とのはじめてのSEX。アタシにとって生まれて初めてのSEX!愛する俊との愛の営み!
俊には気持ちよくSEXしてほしいじゃない?雑誌にも演技する人が多いって書いてあったしね。
こんな演技で俊が自信を持ってSEXしてくれたらいくらでもしてあげるわ!
……間違ってないよね?バレてないよね?
そっと俊の様子を見てみる。…よし!自信満々って顔ね!ふふふ、ちょろいちょろい!
さ、早速アタシに入れるがいいわ!入れてアタシの中に全てを吐き出すがいい!
コンドームなんて便利なものは無いんだからそのまま中に吐き出すがいい!
子供という既成事実を作って…学生結婚よ!子沢山の幸せな家庭を作るのよ!
さあ!そのいきり立った俊自身…を……入れるが……いい………デカい。
う、うそ?ペニスの平均サイズって13センチぐらいじゃなかったの?
平均より4〜5センチ大きいんじゃないの?
アタシの視線は俊の下半身に釘付け。だって…大きいんだもん。
「シーリス、僕も君に入れたい。一つになりたい。けど君のここ、あまり濡れてないよ」
クチュ…俊の大きさに呆然としてたアタシに不意をついた衝撃!
「ひゃ!俊、なにしたの…や、やぁぁぁ〜!それダメ!馬鹿ダメ!このヘンタ…ひぃい!」
俊の指がアタシを犯す。入り口のところでクチュクチュと音を立て動いてる。
いやらしい声が勝手に出てくる。
なんでぇ、こんな展開、シミュレーションしてないよぉ…ひゃうん!
指じゃない何かほかの物が器用にアタシを攻めてきた。
その何かはアタシが何度か自分で弄ったことがある、一番敏感な突起を探り当てた。
「あっ!あぁぁ!ひゃぁぁ!うあ…やぁぁぁ〜!」
声が止まらない。体が勝手に反応してしまう。
両手で俊の頭を押さえつけ、もっと舐めてもらえるように腰も押し付ける。…舐めてもらう?
い、いやぁぁぁ〜!アタシ、俊に舐められてる!
シャワー浴びてないのに…あ、うあ、ふあぁぁ!!
演技ではない大きな白い波が理性を押し流す。アタシ…イッちゃったんだ。
俊に…舐められて…シャワー浴びてないのに。
ヒック、ひどいよ。こんなのシミュレーションしてないよ。
「…シーリスいくよ。愛してる、大好きだよ」
ふぇ?白い波にさらわれた意識が戻る前に激痛が体中を走った。
「っっきゃぁぁぁ!いったぁい…俊、痛いよぉ!」
「ゴメン!もう止めれない!シーリスこのまま最後までいくから!」
体の中に入ってきた異物。まるで熱く熱せられた鉄の棒。
俊が…アタシに…入ってきたんだ。やっと…俊とやっと…うっく、う、うえぇぇぇ〜ん!
「はぁはぁはぁ…凄いよシーリス…シ、シーリス?
だ、大丈夫?ゴメン、そんなに痛かったの?いま抜くから!」
「バカァ!痛くて泣いてるんじゃないわよ!
やっと…ぐす、俊と…やっと俊と一つに…嬉しいのよ!」
アタシだけ痛いのが悔しくて首筋に噛み付く。
「さっさと動きなさいよ!じゃないと噛み切るからね!だから…お願い。最後まで…つぅっ!」
俊がアタシの一番奥まで入り込んできて、コンコンと叩く。
叩かれるたび声が出る。どんどん激しくなる俊の動きに意識が薄れてきた。
薄れいく意識の中、なにか暖かいものが顔にかかるのを感じた。


「あ〜、よーさん飲んだなぁ。明日も休みやし泥のように寝るぞ!」
部屋の前で同じく酔っ払いの健一と別れて部屋に入る。
「…シーリス、何してるの?なんで山薙君は土下座してるの?」
いやいや桃子、お前が何しとんねん。さっさと家に帰りなさい!
「この馬鹿!初めてなのに顔シャよ顔シャ!わっけわかんない!信じらんないわ!」
……顔シャ?
「せっかくの初体験だったのに…なんで顔シャなのよ!わっけわかんないわ!」
………初体験?顔シャ?
酔いが一気にさめていくのが分かる。
「シーリス…お前も土下座じゃ!桃子もついでじゃ!」
オレでさえいまだこの部屋でヤッたことないのに…オドレらオニじゃ!オニの子じゃ!
「江口さん、シーリスはまだ体が痛むので正座なんてとても無理です!」
「そうそう、アンタ何考えてんの?わっけわかんないわね」
「…何故正座なの?顔シャってなに?」
こ、こいつ等、ガチでぶん殴って…ない。あれ?オレのベットが消えてる。なんで?
「江口さん、何変な顔してんのよ?…あぁ、ベットね。思い出の品だから貰ったわ。
そろそろ代わりのベットが来る頃よ。喜びなさいよ?キングサイズにしてあげたから」
……新手の嫌がらせだ。これは、いじめなのか?今ならオレ、号泣出来る自信があるぞ。
「なんでキングサイズなんだ?こんな小さい部屋にそんなの置いたら不便だろ?」
「そんなの知らないわよ。それよりこれ、ベットの下に隠してあった
『中出しファイター』シリーズ。
…くっだらないの見てるのね〜。いい年して恥ずかしくないの?」
…オレ、ここがビルの屋上なら飛び降りてるぞ?シーリスお前、人殺しになりたいのか?
「これ、笑っちゃうわね。『中出しファイターVSガンシャマン 奇跡のヒーロー競演!』
楽しいの?ねぇ、こんなの見てて楽しい?空しくないでちゅか〜?30歳男さん」
…馬鹿め、墓穴を掘ったな。
「楽しいかどうかは…そこの土下座してる顔シャ野郎に聞いてくれ。5回ほど貸したから」
さぁ修羅場だ修羅場!ざまあみ…ギャン!
浮気者〜〜〜!という叫び声と共にオレの顎を打ち抜く飛び膝蹴り。
目が覚めたとき、オレは床に毛布一枚で寝ていた。
いつの間にか運ばれてきてたキングサイズベットでは桃子が一人、すやすやと寝ている。
桃子…お前の気持ち、分かったよ。床で寝るって泣きたくなるんだな。
次からは毛布2枚に増やしてやるよ。
とりあえずオレは二度寝をするために、ベットのすみに潜り込んだ。





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