「あ、オカン?オレ、翔馬やけど。…うん、ちゃんと食ってるよ。
…あぁ、それは大丈夫や。それよりな、やっぱり無理やったわ。
…うん、頑張ったんやけどな、もうアカンわ。
…うん、まぁそれは残務処理が終わってからやな。
…はは、大丈夫やって。そんな心配せんでええって。オレ、もう31やで?
…うん、じゃ親父にも言っといてぇな。ほな、また電話するわ」
実家の母親に携帯での報告を終え、ため息を吐く。はぁぁ〜、辛いぜ。
多分こうなるんじゃないかと思っていたが、いざ現実になると…泣きたくなるな。
会社帰りの公園で、キコキコとブランコを漕ぎながら夜空を眺める。
…まるでオレの心みたいに曇ってる。クソ、空しいぜ。
こうしてるとまるでリストラされたサラリーマンみたいだな。…ま、大差ないけどな。
「なにしてんすか?まるで会社をクビになったサラリー…ごはぁ!」
おい健一、今のオレにクビとかリストラとか無職とかは禁句だぜ?
腹を殴られて悶え苦しむ健一。生きているのがかわいそうだから止めを入れておく。
動かなくなった健一をそのままにして部屋へと帰る。
部屋に帰るといつもの様に勝手に部屋に来てる桃子が、
紅茶を飲んでくつろぎながら小説を読んでいた。
だからどうやって鍵を開けてんだよ!って珍しいな、今日はオレのジャージじゃないんだな。
今日の桃子は珍しく、ピンクの水玉模様のパジャマを着ている。
脇にはオレがプレゼントした熊のぬいぐるみが。
なかなか可愛くて似合ってるじゃないか。
「桃子、そのパジャマ似合ってるな。マヤちゃんにでも選んでもらったのか?」
「…黙って。読書中に話し掛けられるのはキライ」
…はいはい、そうでございますか。まったく…このワガママお姫様が!あとで拳でグリグリだ!
ところで今日読んでる本は…おお!富田常雄の『姿三四郎』か!
桃子って歳の割にはなかなかシブい本を読むんだな。
ま、それを持っているオレが一番シブいんだけどな。
「桃子、カリカリ君やるからちょっと本読むの止めろ。少し話そうや」
オレの言葉に本を読むのを止める桃子。カリカリ君で釣れるのはお前ぐらいだぞ?
「ほい、カリカリ君。話ってのはだな、この間したお互いの自己紹介をまたしようぜ。
まだまだお互いをよく知らないからな」
少しでもコイツの口下手を直してやらないとな。…もうあまり時間もないからな。
「…話すのは苦手。江口さん喋って」
「…それはあれか?自分が話すのは苦手だから嫌だけど、オレの事は聞きたいと?」
コクンと頷く桃子。う〜ん、カワイイねぇ。よし、お兄さんペラペラと喋っちゃうぞ?
…んな訳あるかい!
とりあえず頭を拳でグリグリと締め付ける。このワガママお姫様が!
「…痛いわ、とっても痛いの。何故苛めるの?」
桃子は涙を溜めた瞳でオレを見つめてきた。可愛くしてもダメだ!
「前に言ったよな?いつまでも話すのが苦手じゃ世間に出ても通用しないって。
話そうとして出来なかったらまだいい、お前はやろうと挑戦すらしていないんだぞ?
それって人として成長するのを拒んでるのと一緒だ。お前、今のままでいいのか?」
桃子はオレの言葉に納得したのか小さくコクンと頷き、少しずつ話し出した。

「名前は神楽桃子。趣味は…読書。好きな食べ物はカリカリ君に焼きそば。以上よ」
それだけ言って視線を本に落とす。そうかそうか、そうだったのか…って、それだけかい!
「おいおい、それは前の時に聞いただろうが、もう少し違う事を話せよ。
家族構成とかなんかあるだろ?」
「…家族はいないわ。母さんは8年前に死んで、父さんとは会った事も無いわ」
う…コイツ、結構ヘビーな家庭環境だったんだな。
父親と会った事無いって…父親も死んでるのか?
「…今は母さんが残してくれたお金で生活しているの。部屋は父さんが用意してくれたわ」
へ?会った事無いのに部屋を用意してくれたのか?ってことは父親は生きてるってことか?
「お前、確か一人暮らしだったよな?なんで父親と暮らしてないんだ?」
あれか?両親が離婚して、なにか取り決めがあるのか?
けど母親が死んでるんだから、もう大丈夫じゃないのか?
「…わたしは愛人の子だから一緒には暮らせないの。母さんは父さんの愛人だったの」
あ、愛人?男が一度は手に入れてみたい、伝説のあれか?
「…母さんが死んだ時、父さんの代理人の人が来ていろいろ世話をしてくれたの。
その人が私の未成年後見人になってくれたわ。母さんが父さんに頼んでくれてたの。
その時に、父さんはわたしを自分の子供と認めていないって言われたの。
父さんが用意した部屋は手切れ金代わりだって。…だからわたしは一人で暮らしてるの」
こ、こいつ…かなりヘビーなことをサラッと言いやがったな。
桃子って今、19だろ?8年前ってことは…11の時から一人で暮らしてたのか?
父親に見捨てられ…たった一人で暮らしてきたのか?
「一人でって…8年間もか?お前、寂しくなかったのか?」
オレの言葉に俯き、ポツリポツリと呟くように話す桃子。
「……今は寂しくない。マヤにシーリス、山薙君達もいるし…江口さんがいるから」
「今はって…やっぱり前までは寂しかったんだな?」
桃子はオレの問いかけにポロポロと涙を流した。
「桃子すまん!つらい事こと聞いちまったな。嫌な事思い出させてゴメンな」
肩を震わせポロポロと涙を零す桃子。オレは思わず抱きしめてしまい、頭を撫でる。
こんな小さな体で…ずっと一人だったんだな。
桃子は小さく震えながら今まで溜めていた思いを吐き出すように話し出した。
「…母さんが死んでから、一人で何をしたらいいのか分からなくて…どう過ごしたらいいのか分
からなくて…母さんが残してくれた本ばかり読んでいたの。
ただ時間をつぶす為に読んでいたの。
マヤやシーリスに出会ってからは本を読む時間は減ったわ。
けど、一人の時はずっと読んでいた。同じ本を…何度も何度も読んでいたの。
本を読むのはあまり楽しくなかったわ。けど他にすることがなかったの。
でも…江口さんが本を読むことの楽しさを教えてくれた。江口さんがわたしに教えてくれたの。
江口さん、ありがとう。……大好き」
と、桃子…お前はなんてけなげなヤツなんだ!
思わず抱きしめる力を強くする。こんな折れそうなほど細い体で…チクショウ!
「江口さん…痛いわ。何故苛めるの?」
オレは桃子の抗議を無視して抱きしめ続けた。
なぜ抱きしめたのか分からない。体が動いてしまったんだ。

…この日、オレの中で桃子に対する何かが変わった。


「さ、アンタ達、さっそく報告してちょうだい」
佐伯と相川をいつもの喫茶店に呼び出して報告をさせる。
はん!感謝しなさいよ?アンタ等のようなザコがこのシーリス様と相席できるんだからね!
「おいおい、40分も遅刻しといていきなり報告しろってなんだよ?
だいたい何の呼び出しなんだ?」
空気の読めない佐伯が文句を言う。
この無能が!なんでマヤはこんな能無しがいいのかしらね?
「ま、シーリスのことだ、どうせ俊についてだろ?」
さすがは相川、佐伯よりは空気が読めるみたいね。
「分かってるならさっさと言いなさいよ!…で、もちろんいないでしょうね、
俊に手を出すメス犬は!」
アタシの言葉にブルブルと首を振る二人。…ふぅ〜、よかった。この様子だと大丈夫のようね。
「…いないみたいね、ならいいわ。ただし、もしメス犬が出てきたらすぐに報告する事!
名前と顔写真だけでいいわ。あとはこっちで処理するから」
「処理ってなんなんだ?」
「正吾、変なことは聞かない方がいい!世の中には知らないほうがいい事ってのがたくさんあ
るんだ。きっとこれはその内の一つだ」
さっすがは相川!アンタ中学時代からなかなかやるわねって思ってたのよ。
「あ、そうだ。一ついい情報があるんだよ。俊についてじゃなくて、江口さんの事なんだけど」
何かを思い出したのかポンと手を叩く相川。
江口さん?いい情報?やるわね!アンタなかなか使えるじゃないの!
「どんな情報なの?使えるようだったら高く買うわよ。
そうねぇ…美人の女の子を一人紹介するわ。さ、アタシが満足する情報を教えなさい!」
「…マジか?ホントだな?ホントにホントなんだな?」
「アタシはウソはつかないわ。アタシが言った事は全部本当のことになるの。
…分かってるでしょ?」
青い顔して頷く相川。分かったんならさっさと言いなさい!
「…マヤにウソがばれて2時間説教されて泣いてたのはどこの誰だよ。
そんなこと言ってたらまた怒られるぞ?」
バカな佐伯が文句を言ってきた。アタシに文句を言えるなんて出世したもんね。
……マヤ?怒られるの?い、いやぁぁぁ〜!
「ヒ、ヒィィィ!イ、イヤ…正座はもうイヤァァァ〜〜!ゴ、ゴメン。マヤ、もう打たないで!
もうしませんから許してください〜!」
「お、おい、どうしたんだ?シーリス、またなんかしたのか?」
イ、イタタタ。千切れます、耳が千切れますから引っ張らないでください〜!
「ははは、シーリスがまたマヤに大嘘ついたんだよ。で、それに怒ったマヤが2時間たっぷりと
説教したんだと」
ま、曲がりません!関節は逆に曲がらないように出来てるんです!ごめんなさいぃぃ〜!
「ふ〜ん。そりゃよかったな。これでしばらくの間は大人しくなるんじゃないか?」
「…なにがよかったのよ!アタシは2時間も説教という名の拷問を受けたのよ?
…アンタもされてみる?もちろんアンタのためにプロを雇ってあげるわよ」
「うお!もう立ち直ったのかよ!で、江口さんの話なんだけど…」
「なによ、もう少しノリをよくしてくれてもいいんじゃないの?で、どんな話なの?」
「ノリってなんだよ?ま、いいや。実は江口さん、今月誕生日なんだよ。
どうだ?これ、使えるだろ?」
誕生日?ってことは31歳か。落ち着きのない31ねぇ〜。けどこれはいけるわね!
「よくやったわ、これは使える情報よ!さっそくマヤと作戦練らなきゃね!
…相川、褒美としてとってもカワイイ女の子、紹介するわね?
この間、やっと初潮が来たって喜んでたわ。やっとアンタの子供が生めるってね。
大事にしてあげてね?」
アタシの言葉にゴクリと唾を飲み込む相川。
期待からじゃない。その証拠に青い顔してブルブルと震えだした。
「ま、まさか…レイリアがこっちに来てるのか?」
「そ、いま日本に遊びに来てるの。今頃アンタの部屋のベッドで寝てるわよ。…裸でね」
「お、お前の妹だろ?何とかしろよ!絶対に嫌だからな!」
アタシだってイヤよ!アンタみたいなヘンなのが親族に加わるなんてね。でもね…
「無理よ。アンタ等も知ってるでしょ?あの子、欲しい物は絶対に手に入れるのよ。
アタシよりえげつない手を使ってでもね。
ま、いい機会だらかその腐った童貞、あげちゃいなさいな」
頭を抱えガタガタ震えだした相川。
ご愁傷様。ま、これで厄介払いができたわ。返品しないでね。
それより江口攻略作戦を練らなきゃね!このチャンスを絶対にモノにさせるわ!
桃子、アタシ達に任せなさい!ぜっったいにくっつけてあげるからね!


アタシは会議を終えたその足で、俊の部屋へと駆けつけた。
愛する俊の部屋…愛する二人のラブラブ部屋!
でもまずは相談よね。今日の作戦会議で決まったことを俊に相談する。
「でね、江口さんの部屋に勝手に入って準備する事にしたの。俊も手伝ってね?」
今日、相川から聞いた情報を元に、マヤと相談してサプライズパーティーをすることにしたの。
で、パーティーのどさくさに紛れてこのクスリを飲ませて…SEXから始まる愛もあるわ!
もちろんクスリの事はマヤには秘密よ。…怖くて言えないわ。
「それはいいんだけど…シーリス、ちょっと重いよ」
耳元で囁く俊の甘い声。あぁ…頭まで痺れちゃいそう!って重いってなによ!
「なんですってぇ?このアタシが重い?いくら俊でも怒るわよ」
「だってずっと僕の上に座ってるんだから仕方ないだろ?ちょっと足を伸ばさせてよ」
む?アタシ専用の座椅子のくせに生意気ね?そんな生意気な椅子にはお仕置きよ!
えい!ぐりぐりぐりぐり…
「わ、ちょ、ちょっとシーリス、お尻を押し付けないでよ!」
とりゃー!ぐりぐりぐりぐりぐりぐり…
「う…シ、シーリスだめだって…」
もいっちょー!ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり…
「うぅ…だ、だからだめって言って…んぐ!…ごくり」
うるさい口をキスで塞ぐ。
「シ、シーリス、今なにを飲ませたの?…いい加減にしないと怒るよ」
キスのついでに江口さんに飲ませる予定のクスリを飲ませたわ。
だってこれがどこまでの効果があるのか確かめなきゃ桃子に悪いもんね。
さぁ、クスリの力で野獣になるのよ!…犯しなさい!貪るようにアタシを犯すがいいわ!
「…シーリスなんかヘンだよ?鼻息荒いし…それより何を飲ませたの?」
ぐっ…やはりすぐには効果が出ないのね。ま、いいわ。どうせ今日は泊まっていくしね!
「ビックリした?最近俊、元気ないみたいだからちょっとした栄養剤飲んでもらったの。
驚かせてゴメンね」
ウソはついてないわ。ある意味栄養剤だからね。ただ…股間に栄養が集中するだけよ。
凄く強力な精力剤だって聞いてたんだけど…ゴクリ。
「…本当に栄養剤?今、唾飲み込んだよね?…ま、いいか。
それよりパーティーってどんなことするの?」
俊ってばヘンなとこで鋭いのよね。さすがはアタシの俊よね!
「あの狭い部屋じゃ派手なこと出来そうにないからね。至って普通の誕生パーティーよ。
ま、アタシはコスプレパーティーにしたかったんだけどね、マヤが猛反対したの」
せっかく桃子にミニスカ小悪魔のコスプレをさせて、江口さんを悩殺させようとしたのに…
無念だわ。
「でね、江口さんにいっぱいお酒を飲ませてね、同じくお酒を飲ませた桃子と二人きりにする
の!あとはこのクスリを飲ませて…ふっふっふ、無理やりくっつけちゃうの!」
んっふっふ…桃子にはことが始まる前に『ピルを飲んでるから大丈夫』と言いなさいと教えてる
から完璧よ!
「そんなのダメだよ!…そんなの神楽が可哀想だよ。ところでクスリってなに?」
「ん?このクスリの事?あぁ、これは精力剤よ。最新のだから効き目が凄いんだって!」
アタシの言葉に息荒く、青い顔をする俊。え?ええ?どうしたの?何があったの?
「それでかぁ…体中が熱くなって…我慢が出来そうにないよ。
シーリス、その薬、さっき僕に飲ませたろ?うぅぅ…はぁはぁはぁ、君のせいだぁぁぁ!!」
きゃぁぁぁ〜!うっそ?すっごい効き目!
効果バツグン…ちょっと俊!床じゃイヤ!布団出し…んんん!
獣のような目の俊に押し倒されたアタシ。ちょっと…怖いかも?

「シーリス、こんな薬飲ませて、ハァハァ、そこまでしてほしかったのか。
ハァハァ、してあげるよ、メチャクチャにするからね…君が悪いんだぁぁ〜!」
「ちょっと俊、怖い!アタシが悪かったわ!だから無茶はヤメテ!」
俊はアタシの言う事なんて聞かずに、無理やりに胸を揉んでいる。
ただ力任せに揉み続けてる。
そして無理やりアソコを触ってる。ただ触ってるだけ。
こんなの全然気持ちよくない。こんなの俊じゃないよ…
「よし、もういいだろ!いくぞ!」
へ?いくぞって…いやぁぁ!ウソ?もう入れるつもり?
アタシまだ全然濡れてな…いったぁいぃ〜!
「い、痛いよ!俊痛い、ヤメテ!アタシまだ濡れ…んん!」
暴れるアタシを押さえつけて無理やり入ってきた俊。
アタシこんなの望んでないよ…でもアタシのせいなんだよね。俊、ゴメンね。
許してね…だからいいよ。好きなだけ抱いていいよ。そして…アタシの中に出すがいい!
さぁ、その滾る欲望を全て吐き出すが…ん、んん!や、気持ちいい…すご…ヒィ!
最初はただ痛いだけだったのに、だんだんと気持ちよくなってきた。
俊がアタシの一番奥をドンドンと叩く。いつもの俊じゃなく、凄く激しい動きで攻めてくる。
「や…すごいよぉ…しゅん、きもちいい…もっと、好きにしてぇ!」
グチュグチュとアタシを攻める俊。
服を着たままでっていうのがちょっとあれだけど…これもありね。
「しゅん、すごい、もういっちゃいそ…来て!俊、アタシに出してぇぇ〜!」
アタシに余裕があるうちに中で出させないと…
逃がさないように足でロックしてるし、いつでもオッケーよ!
「まだだ!まだまだいくぞ!」
…へ?ウソ、なんで?ここでイッてもらわないと計画が…ヒィ!
「あ、あ、ああ!しゅんだめ!い、いい!すごいぃ!いや、ヤメて!
あ、だめもっと!ひやぁぁっぁぁ!」
こんな展開シミュレーションしてな…ああぁぁ!スゴいぃぃ!しゅん激しすぎ…ああ!
頭が真っ白になる。体の痙攣が止らない。あぁ、イカされちゃったんだ…
しゅんったらはげしすぎ…んん?なにかあったかいのがかおに?
…ふぁぁ?うそ?アタシ、イッたばかりだよ?
「まだだ…一回ぐらいじゃ収まらないぞ!満足するまでやらせてもらうよ!」
体全体をぶつけてくる様な激しい俊の動き。あまりに激しさで、もう何も分からない。
「ひゃあぁぁ!あがぁ!ひぐぅ!い、いい!すごいぃぃ!」
「シーリス、顔にかかってるのも綺麗だよ!はぁはぁ、どんどんかけるからね!」
もうアタシは何をされてるのか、何を叫んでるのかもう分からない。
俊の動き一つ一つに感じて頭がおかしくなる。
もう気が狂う!そう思った時、顔にあたたかいものが降り注ぐ。
薄れいく意識の中、目を開けると俊がビュクビュクとアタシの顔に出していた。
また中に出してもらえなかったんだ…
「はぁはぁ…シーリス、口開けて。ほら、咥えて舐めるんだ」
アタシは言われるがままに口を開け、口の中に入ってきた物を舐める。
…変なあじぃ〜。これってなぁに?
「う、うぅ…よし、次いくぞ!まだまだ満足はしてないんだからな!」
ふぇぇ?ドコいくの?アタシもつれてって…ひがぁぁ!
「あ、ああ、あ…あぁぁぁ…しゅ…ん……」
三度、アタシに入ってきた俊。その激しい動きにアタシは真っ白になり、意識を失った。

「うふふふ…しゅん〜、のど渇わいたぁ〜。じゅうすのみたいぃ〜」
アタシのワガママにすぐに冷蔵庫に走る俊。
そりゃそうよね、だってアタシの服は俊が出した精液でベトベト…もう着れないわね。
髪の毛にもたっぷりとかけられたし…なんで中には出してくれないのよ!
失神してるアタシを犯し続けて7回も出したんだからね。
おかげで足に力が入らなくて立てないのよ。アソコもヒリヒリ痛いしね。
ま、おかげでお姫様抱っこでお風呂まで運んでくれて、頭も洗ってもらえたんだけどね。
…たまにはこういうのもいいわね。このクスリはアタシ専用でキープね。
「はい、スポーツドリンクでいいよね?ゴメン、僕ばっかり気持ちよくなって…僕、最低だよね」
「ん〜?何言ってんのよ、最高じゃないの!すっごく気持ちよかったんだから!
だから、ね?そんな暗い顔しないでよ。それよりのどかわいたぁ〜、ジュース飲ませてよぉ〜」
カワイク口を尖らせ催促する。ここでポイント稼がないとね!
そんな時、俊の携帯が鳴った。そんなの無視して早く早く!…口移しで飲ませてよぉ〜。
「あ、健一からだ。シーリスちょっと待ってて。もしもし…」
はぁ?なんで相川が電話出来んのよ!レイリアに捕まってるはずでしょ?
我が妹ながら使えない子ねぇ。やっぱり11歳の子にはSEXは無理だったみたいね。
「…ウソ?それホントなの?…ええ!倒産した?それで大阪に帰るって?
…うん、分かった。僕達も急いで江口さんの部屋に向かうよ。それじゃあとで」
慌てた声で何話してんの?…倒産?大阪に帰る?江口さんの部屋?…まさか?
「俊!まさか江口さんが…帰っちゃうの?」
「まだ分からない、けど江口さんの会社が潰れちゃったらしいんだ。詳しい話は全然分からない
んだって。シーリス、早く着替えて!急いで江口さんの部屋に向かおうよ!」
「分かったわ!すぐに服を着……アタシ、着れる服がないよぉ〜。
俊がベトベトにしたから着れないよぉ」
マ、マズイわ!どうしよう?どうしたらいいの?
「シーリス、これを着て!」
クローゼットの奥から袋を取り出す俊。これって…なに?
「こんな形で渡すことになっちゃったけど…プレゼント。シーリス、受け取って」
ドキドキしながら袋を開けると…そこにはブランド物の服が!
これってそこそこの値段するわよね?
………う、うえぇぇぇ〜ん!うれしいよぉ〜!俊、愛してる!
「ぐす…しゅん、アリガト…しゅん〜〜!」
「わわ!ダメだって!今はそれどころじゃないって!
早く江口さんの部屋に言って話を聞かないと…」
…チッ、イチャつくのは後回しね。確かに急がなきゃね。
急いで俊が選んでプレゼントしてくれた服を着るアタシ。
…俊ってミニスカートが好きなのかぁ。次はこれで攻めるか。
それより大阪に帰るってなによ!そんなの絶対に許可しないわ!桃子が可哀想じゃないの!

私と正吾は相川君からの連絡を受けて、すぐに相川君の部屋に駆けつけたわ。
今日、相川君が来月分の家賃を大家さんに渡しに行った時に言われたみたいなの。
「江口さんが大阪に帰ると寂しくなるわね」ってね。
江口さんの会社が危ないかもって、大家さんはだいぶ前から聞いていたんだって。
もしかしたら倒産して実家に帰らないといけなくなるかもって。
…それが現実になったの。ネットで調べても倒産ってなっていたわ。
江口さん、帰っちゃうの?ホントにいなくなるの?…私達の前から消えてしまうの?
桃子は?桃子はどうなるの?せっかく桃子が私達以外の人と話せるようになったのに…
あんまりよ。
「マヤ、まだ本当に帰るって決まったわけじゃないんだ。そんなに落ち込むなよ」
「けど正吾…大家さんには帰るって言ったんでしょ?
だったら江口さん本当に…桃子になんて言えばいいのよ」
落ち込む私の肩をそっと抱きしめてくれる正吾。…やさしい正吾、大好きよ。
「正吾、本条…江口さんと連絡ついたぞ、詳しくは帰ってきてから話すって。
…帰るのは本当だと言ってたよ」
部屋の外で連絡を取っていた相川君が、肩を落としながら戻ってきた。…やっぱりそうなんだ。
「神楽はどこにいるんだ?まだ知らないんだろ?」
「さっき江口さんの部屋に入っていったよ…なんでこんなことになったんだ?」
頭を抱える相川君。そうよね、彼が一番長い間一緒にいたんだよね。
「おれさ、一人っ子だったから兄弟ってのに憧れてたんだ。
勝手に江口さんを兄貴だと思ってたんだ。
そりゃ理不尽なこともいっぱいされたけど、いろいろ教えてくれたり遊んでくれたりしたんだ。
こういうのが兄弟なんだろうなって思ってたのに…なんでなんだよ」
ガックリと肩を落とす相川君。その時勢いよくドアが開いてシーリスと山薙君が入ってきた。
「マヤ!江口さんとは連絡取れたの?」
慌てて走ってきたのか息が乱れてるシーリス。足元はフラフラとふら付いている。
「…あぁ、さっき連絡したよ。やっぱり実家に帰るんだってさ」
「相川、間違いないのね?…ところでレイリアは?あの子、来てたんでしょ?」
「駄々こねたから叱り飛ばして帰ってもらったよ。
…こんな時にあいつの相手なんか出来ねぇよ。シーリス、あとで謝っててくれないか?」
「アンタねぇ、ちょっとは相手してあげなさいよ。
あの子、アンタに会えるのずっと楽しみに待ってたんだからね?
ま、今回は仕方ないけど、次はしっかりと相手をする事!分かった?」
「分かったよ!相手すりゃいいんだろ?」
え?レイリアちゃん来てたんだ。あの子、お人形さんみたいで可愛いのよね、
会いたかったなぁ。
「けどよく素直に帰ったわね。アンタ、あの子に何言ったの?」
「本条が部屋に来るぞって言ったら半べそかいて逃げてったぞ。
お前等姉妹は本条に頭が上がらないみたいだな」
…なによそれ?私がいったい何をしたって言うの?
「ま、仕方ないわよねぇ。あの子、マヤに説教されたのがトラウマになってるんだものね。
恐怖でお漏らししちゃったんだもん、そりゃ怖いわよね」
人が幼児虐待したみたいに言わないでよ!
「神楽は?神楽はこのこと知ってるの?…一番仲がよかったんだからショックだろうね」
唇をかみ締め、呟く山薙君。
桃子に好きな人が出来たのを一番喜んでたのは山薙君だったからね。
「神楽は江口さんの部屋だよ。まだ知らないはずだ。どう言えばいいんだ?」
相川君が山薙君に答える。
「そうか…」そう呟き考え込む山薙君。私達もそれに倣う。
しばらくして部屋のドアがノックされ、桃子が入ってきた。
「…皆で集まって何してるの?江口さんが部屋に来いって言ってるわ」
私達が全員揃っていることに首を傾げる桃子。
「…江口さん、すごくいっぱいお寿司を買ってきているわ。皆で食べようって言ってるの」
桃子は皆とご飯を食べれるのが嬉しいのか頬を少し赤く染めている。
桃子…なんて言えばいいの?なんでこんな桃子を置いて大阪に帰るなんて言い出したの?
こっちで新しい職を探せばいいんじゃないの?
そうよ!それだわ!江口さんにお願いしてみよう!

「お、全員揃ってんのか。お前等まだ飯食ってないだろ?今夜は豪勢に特上寿司だぞ!
10人前買ってきたからじゃんっじゃん食っていいぞ!」
私達が沈んだ顔をしているので心情を察したのか、明るく振舞う江口さん。
「…皆どうしたの?何故食べないの?」
お寿司をじっと見つめたまま喋る桃子。
「…お前等、話はメシを食ったあとだ。ほら、サッサと食わないと桃子が全部食っちまうぞ?」
「…食欲なんてわかないわよ。江口さん、なんでなの?
こっちで新しい職を探せばいいじゃないの。なんで大阪に帰ろうとするの?」
シーリスが話を切り出したわ。私と同じ事考えてたんだ。
「…大阪に帰る?シーリス、何を言っているの?」
シーリスの言葉に視線をお寿司からはずす桃子。
「あぁそうか、桃子はまだ知らないのか。
実はな、オレの働いてる会社が潰れちまってな、大阪に帰ることにしたんだ」
「…そう、帰るの。いつ帰るの?」
江口さんの言葉にも冷静な桃子。え?なぜ冷静でいられるの?
「明後日かな?急な話でスマンな、なんか言いにくくてな。ま、この寿司で勘弁してくれや」
「えぇ、頂くわ。…大阪からいつ帰ってくるの?お土産はなに?」
そっか、桃子は江口さんが一時的に里帰りでもするんだって思ってるのか。
「桃子……大阪からは帰ってこない。オレ、これからは実家で生活する事になった。
だからな、お前達とは今までみたいな付き合いは出来ない。
桃子すまんな、せっかく仲良くなれたのにな」
江口さんの言葉にお寿司をつまんでいた箸を落とす桃子。その目は驚きで見開いている。
「こっちで就職先を探そうかと考えてもみたんだが、
オレ、高卒だからいい職が見つからなかったんだよ。
親に仕送りしないといけないし、家賃や生活費を考えると、ある程度の収入がないとやってい
けないんだ。…これが大阪に帰る理由だ。すまんな、桃子」
桃子の肩がフルフルと震えている。江口さんの言ってる事がやっと理解できたみたい。
江口さんはそんな桃子から視線を外し、私達を見て話し出した。

「俊、シーリス。お前等イチャつくのはいいが、ちゃんと避妊しろよ?
特にシーリス!子供なんてものは結婚してからバンバン作ればいいんだ。
ゴムに穴あけるとかは絶対にすんなよ?」
江口さんの言葉に真っ赤になるシーリス。…きっとやろうとしてたのね。
「正吾、マヤちゃん。…ま、お前等はしっかりしてるから言わなくても大丈夫か。
けどな、たまには羽目を外したほうがいいぞ?
お前等若いんだ、遊ぶ時はしっかり遊べ!分かったな?」
江口さんの言葉に顔が赤くなるのが分かるわ。正吾も赤くなってる。
こんなだから私達ってプラトニックな関係だと思われてるんでしょうね。
「健一…お前とは一番長い付き合いだったな。
ありがとうな、お前のおかげでみんなと出会えた。
ホント感謝してるよ。おかげでメチャクチャ楽しい時を過ごせたよ、本当にありがとうな」
俯きグッと唇をかみ締める相川君。
江口さんをお兄さんと思ってると言ってたから辛いんだろうな。
「…桃子。オレはお前を初めてみた時な、なんてカワイイ女の子なんだって思ったんだよ。
ま、すぐにメチャクチャ面白いヤツなんだってなったけどな。
オレな…お前といつも一緒にいてすっげぇ楽しかった。
出来ることならこれからも一緒にいたかったよ、けどな…」
「…イヤ!そんな話聞きたくない!なんでいなくなるとか言うの?
なんでそんな意地悪な事言って苛めるの?
わたしは江口さんとずっと一緒にいたい!離れたくない!」
江口さんの言葉を遮り、大声で叫ぶ桃子。この子が叫んだのって初めて聞いたわ。
「…桃子、オレの言う事をよく聞けよ?
人間ってのはな、生きてる間にいろんな出会いと別れがあるんだ。
オレと桃子が出会ったのもそうだ。そしてな、その出会いや別れで人間は成長していくんだ。
お前は今まであまり人と接してこなかった。だから別れが辛いんだろうな。
しかしな、オレとの別れでお前は人間として一歩成長できる!また一歩いい女になれるんだ!
だから、な。そんなに泣くなよ。オレ、死ぬわけじゃないんだしさ、生きていたら絶対にまた会え
るんだからさ」
ぽろぽろと涙を零す桃子の頭を撫でながら、そっと抱きしめる江口さん。
桃子は江口さんに抱きつきながら泣きじゃくっている。
「ほら、泣くな。お前にオレの本、全部預けるよ。
落ち着いたらその本取りに来るからな、汚すなよ?
汚したら頭を拳でグリグリだぞ?ほら、泣くなっての。…お前はいい子だなぁ、ホントいい女だ。
オレがお前と同じ学生だったら絶対にほっとかないのにな。つくづく残念だ」
江口さんの言葉に私も涙が溢れてきた。山薙君も相川君も泣いている。
シーリスと正吾は唇をかみ締め耐えている。
「…お前等、な〜にしみったれた顔してんだよ!
おら!せっかく大枚はたいて買ってきたんだ、寿司食うぞ!
桃子、いつまで泣いてんだ!早く食わないと全部食っちまうぞ?」
明るく振舞う江口さん。桃子は江口さんに抱きついたまま泣いている。
私達はそんな桃子にかける言葉を見つけることが出来なかった。

この日から2日後、江口さんは大阪に帰っていった。
たくさんの本と大きなベッドを桃子に託して。
江口さんは『必ず取りに来るから』と桃子に言葉を残して帰っていった。


江口さんが大阪に帰っていったあの日から、桃子は携帯を肌身離さず持ち歩くようになった。
最初の頃は桃子や相川君には毎日のように連絡があったみたい。
その度に嬉しそうに私達に教えてくれた桃子。こんなによく喋る桃子を始めてみたわ。
江口さんが言っていた通りに成長したのね。
けど、その連絡も2日おきになり、週に一度、10日に一度とだんだんと回数も減っていった。
その間も桃子は連絡を待ち続けた。
江口さんがいなくなって半年が過ぎた頃に、桃子に最後のメールが届いた。
『やりたいことが見つかった。結果が出るまで連絡をしないつもりだ。待っていてくれ』
そのメールを最後に江口さんからの連絡は途絶えた。
私達はなんとなくこうなるのは分かっていた。
江口さん、なかなか再就職先決まらなかったみたいだしね。
私達の相手をしてる場合じゃないんだろうね。
けど…酷すぎるわ!桃子、ずっと待ってるのよ?
毎日毎日携帯のディスプレイを見てため息ついてるのよ?
江口さんが預けていった本、もう全部読んじゃってるのよ?その本にね、シミが付いてるのよ。
何でだか分かる?桃子がね、泣きながら本を読んでいるの。
江口さん、あなたからの連絡がないから泣きながら本を読んで待っているのよ!
それにね、江口さんが残していったあの大きなベッドに一人で寝ているのよ?
江口さんがプレゼントしてくれた熊のえぐちさんを抱いて寝ているの。
毎日毎日枕に涙のしみを作りながら寝ているのよ?何故そんな桃子を無視できるの?
私、今までシーリスを止めていたけど、もう我慢出来ないわ。
シーリス、江口さんを大阪からさらって来るって息巻いてるのよ?
あの子、相当頭にきてるからきっと酷いことされるわよ?
だからね、メールだけでもいいから桃子に連絡をしてあげて。
お願いだから江口さん、桃子だけでいいから連絡してあげて。
…じゃないとあの子、このままだと倒れてしまうわ。
江口さん…桃子を見捨てないで、お願い!

…江口さんがいなくなってから2度目の春がやって来ようとしていた。







『…はい相川です。…おお!久しぶりっすね!結果どうでした?
…おおお!マジっすか?おめでとうございます!…ええ、もちろん言ってないっすよ。
…酷いもんですよ、女の子をあんなに泣かせるなんて男前っすね!
…ははは、で、どうします?どのタイミングでします?
…分かりました、それまで黙っときますんで。
…ははは、じゃ、待ってますんで』





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