気持ちよさのあまり、抜くことが出来ずにレイリアの中に出してしまったおれ。
レイリアはそんな焦るおれを無視するようにウットリとした顔をしている。
「はぁぁ〜、レイリアは幸せですわぁ…健一さまぁ、愛していますわぁ」
ど、どうする?レイリアを妊娠させてしまったかもしれん。
12歳の子を妊娠なんて…ヤバイよぉぉ!
「健一さまぁ、もう少しこのままで…レイリアの中にいてくださいませ。…幸せですわぁ」
ウットリとした表情でおれを抱きしめるレイリア。それどころじゃないって!
「な、なぁレイリア。今日は大丈夫な日なのかな?危ない日なんてことはないよな?」
「…もう!いったい何ですの?レイリアは幸せ感に浸っているというのに…
避妊なら薬を飲んでますから大丈夫ですわ。
子供も欲しいですけど、二人でもっとラブラブしたいんですの」
「そ、そうなのか、よかったぁ〜。おれ、もしかしたら妊娠させてしまったかと焦ったぞ」
「うふふふ…どうせあと何年もすればそうなるんですから、焦る事はありませんわ。
そうだ!一度健一様のお父様とお母様に御挨拶したいのですが、いつ行けばよろしいんです
の?」
………はぁ?コイツ、いったい何を言ってるんだ?
「せっかく健一様がレイリアをお嫁さんにしてくれると仰ってくださったのですから、
正式な婚約をしたいんですの。…これで邪魔な虫を追い払う、合法的な理由ができましたわ」
「はああ?お嫁さん?婚約?お前、いったい何を言っているんだ?」
訳が分からん!なんでいきなりそこまで話が飛ぶんだ?
ついさっき恋人同士になったところだろ?
「何をって…責任を取ってくれると言って下さりましたわ。証拠も録画させてますわ」
責任取るって確かに言ったけど、それはお前の処女を貰うって意味で…
録画って何だ?何なんだよ!
驚くおれを尻目に電話を掛け出したレイリア。何処に掛けてるんだ?
「榊、上手く撮れましたの?…そう、マスターは上手く編集させなさいな。
ダビングしたほうを持ってこちらに来なさい。健一様に見せてあげなさいな」
なんだ?なんなんだ?レイリアはいったい何を言っているんだ?
混乱するおれ。その時玄関のドアの鍵が開けられた。なんだ?なんなんだ!
突然ドアが開けられてことに驚き、レイリアからおれの息子を引き抜く。
「お待たせ致しました。
こちらのDVDが『レイリア×相川健一 愛のメモリー第一弾』でございます。
マスターのほうは長尾がすでに業者へと回していますので、夕方にでも編集は終えるはずで
す」
な、なんだ?なんなんだ!なんで勝手に部屋に入ってきて勝手な事を言っているんだ!
あんた誰だよ!…って、あなたは榊原さん?なんでここにいるの?
「さ、榊原さん、なんでこんなところに?なんでレイリアと話してるんですか?
…うわぁ!い、一度部屋を出てってください!おれ達裸のままですから!」
「ああ、別にそのままで結構です。君の裸は先ほどのSEXで見たから気にしないで。
レイリア様、江口殿の車はいかがなさいましょう?交換用の新しい車の手配は終えています。
後は名義変更をするだけで、いつでも持って帰れるように手筈は整えています」
「まぁ、さすがは榊ですわね、素晴らしく仕事が速いですわ。その手筈でやってちょうだい。
断るようであれば何台でも買い与えなさいな。
ただし!桃子お姉さまを絶対に怒らせないこと!
あの車は私達の初めてのキスをした思い出の車…必ず持って帰りますわ!」
「は、ではそのように動きます。それと相川様のご両親の御予定ですが…」
なんだ?なんなんだ?これはいったいなんなんだよぉぉぉ〜!
「榊、少し待ちなさい。…健一様、いったいどうしたんですの?顔色が悪いですわよ?」
「…説明しろ。いったいこれはどういうことか、一から説明しろぉぉ〜!」
怒鳴り散らすおれに、やれやれといった顔の榊原さんが口を開いた。
「まぁ、みなまで言わなくても分かっているとは思うけど、私はレイリア様の部下。
本当の名前は榊響子、榊原は偽名よ。
君にヘンな女が寄ってこないように工作をしていたの。
で、先ほどのSEXは隣の部屋で盗撮させてもらっていたわ。
君のことは盗聴がバレた次の日から盗撮させてもらっていたの。
ちなみに隣の部屋は江口殿が出て行ってからはレイリア様が借りているわ。
来年からここにお住まいになる予定よ」
……いろいろ問題のある発言が飛び出したな。
なんとなく榊原さんがレイリアと係わり合いがあるんじゃないかなと思ってはいたけど、ここまで
とは!
「驚きました?けどこれも全ては健一様と結ばれるため。レイリアの涙ぐましい努力ですわ!」
悪びれもせず、カワイイ顔して微笑むレイリア。
ホントに今更だけど、おれ、とんでもない子を好きになっちゃったんだなぁ。
「ではレイリア様、私はこれで失礼致します。ゆっくりとお二人の時間をお楽しみください」
呆然とするおれをそのままに部屋を出て行く榊原…いや、榊さん。
「うふふふ…さ、健一様、イチャイチャしましょう!…どうなさいましたの?
怖い顔されていますわ?何かあったんですの?」
「…あぁ、何かあったよ。ていうかレイリア!お前今までおれを盗撮していたのか!
前に本条と約束したよな?二度と盗聴はしないって!お前、その約束を破ったんだな!」
「盗聴はしていませんわ。私は盗撮をしたでけですわ。ですから約束は破ってませんの」
勝ち誇ったような顔で微笑むレイリア。
チクショウ!そんな悪い顔しているお前も好きだ!
「…約束を破っていないかどうかの判断は本条に任せるよ。
レイリア、短い間だったけどお前と付き合えてよかったよ。
本条にはいたぶらない様にお願いしておくよ」
おれの言葉にガタガタと震えだし、大きな瞳に涙が溜まる。
「な、なななななんで言うんですの?レ、レイリアはわわ悪いことししししてませんわ!」
「だったら言ってもいいだろ?」
「け、けけけけ健一様!み、みみ見捨てないで!レイリアはまだ生きていたいですわ!」
「…プッ!あっはっはっは!なぁに死にそうな顔してるんだよ、冗談だよ冗談!
ビックリしたか?」
おれの言葉に安心したのか、大きなため息を吐くレイリア。
そこまで怖いのか?ならなんで怒られるようなことをするんだ?
「もう!悪い冗談は止めて下さいな!レイリアは今度こそ殺されるかと思いましたわ!」
頬を膨らませ、おれに抱き付いてくるレイリア。
おれはベッドに寝転がり、レイリアを胸に寝かせる。
「はははは、お前がしちゃいけないことするからだろ?もうするんじゃないぞ?
お前はおれの彼女なんだからな」
嬉しそうに頷くレイリア。
「でだ。婚約とかはまだ早いと思うんだ。
お互いをまだよく知らないうちに先走っちゃいけないと思うぞ?」
「む〜、ではいつになったら婚約してくれるんですの?
レイリアは早く健一様の物になりたいんですわ」
唇を尖らせ文句を言う。
「それはだな…いつになるか分からないけど、おれから結婚を申し込むよ。
それまでは恋人同士を楽しもうじゃないか!」
真っ赤な顔で嬉しそうに頷くレイリア。た、助かったのか?どうにか誤魔化せたのか?
この歳で婚約者なんて堅苦しいの嫌だからな。それに親に何を言われるか分かんないしな。
「…絶対ですわよ?絶対にプロポーズしてくださいね?
レイリアはそれまで大人しくお待ちしていますわ」
そう言って満面の笑みでキスをしてきたレイリア。…こいつとだったら婚約してもいいかもな。
「はぁぁ…嬉しいですわぁ。今日レイリアは、健一様に全てを奪われてしまいましたわぁ。
キスも、お口も、処女も、お尻まで捧げる事が出来て幸せですわぁ。
健一様ぁ、レイリアは嬉しゅうございます。…あぁ、少し疲れましたわ。
このまま寝てもよろしいです…か」
よっぽど疲れていたのか、おれの腕を枕にカワイイ寝息をたて始めたレイリア。
おれは腕にかかる重さを心地よく感じながら目を閉じる。
レイリア…大事にするよ。おれ、お前のことがホントに好きだ!
8年の歳の差がなんだ!そんなもんおれの愛で吹き飛ばしてやる!
おれは腕に感じる重さを幸せに思いながら眠りに付いた。
あれから一週間が経った。
今日はレイリアが日本を離れ、自分の家に帰る日だ。
おれはレイリアが江口さんから引き取った車で空港まで送りに来た。
そうそう、レイリアと結ばれた次の日に、皆に報告したんだ。
俊や正吾からは祝福を。江口さんからは拳骨を貰った。
江口さんの車をレイリアが無理やり引き取ったんだ。
最初は断っていたけど、榊さんが神楽に
『あの車では子供をたくさん乗せることが出来ませんよ』と言ったんだと。
そしたら神楽が1BOXカーとの交換に了承したんだ。
江口さんは口を挟むことが出来なかったって嘆いていたよ。
江口さんの車なのに…神楽の尻に敷かれてるんだな。
シーリスからは『もしアタシの妹を泣かせるような事をしたらコロスから』とありがたいお言葉を
戴いた。
本条からは『なにかあったら私に教えてね?いい方法を思いついたの。…うふふふふ』と背筋
が凍る言葉を貰った。
…最近本条が違う方向に走り出しているような気がする。シーリスや神楽と遊んでるからか?
「…ここでいいですわ。健一様、夏には遊びに来ますからそれまで待っていてくださいね?」
空港の駐車場で車を止め、車を降りたらレイリアが話し掛けて来た。
「こんなことでいいのか?中まで送っていくぞ」
「…別れが辛くなりますの。せっかく想いが通じたのに離れなければならないなんて…
あぁ!神はなんて惨い試練を与えるんですの?」
おれの大好きな、綺麗で大きな瞳に涙をいっぱいに溜めて嘆いている。
「もうしばらくの辛抱だろ?来年の春にはこっちに来れるんだからそれまでの我慢だ。
おれも我慢するからお前を頑張れよ!」
そうなんだ、レイリアの家では13歳になったら好きに生活していいという変わった家訓がある。
昔、シーリスがこっちに来れたのもその家訓のおかげだ。
そのおかげで来年の春、日本に来ることになっている。おれの隣に住むんだ。
江口さんが出て行ってすぐに部屋を押さえたんだと。
どおりで長い事誰も引っ越してこないと思ったよ。
「分かってますわ!けど別れは辛いんですの…ん」
そう言って唇を尖らせて目を瞑るレイリア。
こ、ここでか?周りにはシーリス達がいるんだぞ?
「し、仕方ないな。…ちゅ。ほら、これでいいだろ!」
軽く唇を合わせると、皆からは拍手と冷やかしの声が。こ、これは相当恥ずかしいぞ。
「むぅ〜、もう少しブチュっとして下さってもよろしいんじゃありませんの?
ま、いいですわ。健一様、この腕時計をレイリアと思って大事にしてくださいね?」
そう言っておれとお揃いの時計を見せる。おれも同じく見せる。
この時計はいわゆるペアウオッチというヤツだ。レイリアからプレゼントされたんだ。
かなりの高級腕時計なんで身に着けることにちょっとビビッてる。
「うふふふ、嬉しいですわ!私も毎晩この時計を見て健一様との愛の営みを思い出しますわ。
…では、健一様、シーリス姉さま、マヤお姉さま、桃子お姉さま、お兄様方…
レイリアは帰りますわ!」
赤い顔して時計に頬ずりをしていたレイリアは元気よく空港へと歩き出した。
徐々に小さくなっていくレイリア。おれはそれを眺めている。
「おい健一、ホントにここでいいのか?」
そんなおれに江口さんが声をかけてきた。
「いいんすよ。おれ達、この一週間ずっとベタベタしてましたから。
アイツもそれで満足してるんでしょ?」
「ふ〜ん、そういうモンなのか?もっと感動の別れ方があるだろうに…ま、いいや。
所詮他人事だしな」
他人事って…江口さん、ちょっと冷たいっすよ!
「しかしお前にあんなカワイイ女が出来るなんて、世の中間違っているな」
「なんすかそれ?嫉妬っすか?これでおれの事を童貞ヤロウなんて言えないっすね」
これでおれも人並みの扱いをしてもらえるぞ!
酷かったもんな。江口さんが酔っ払った時に『童貞臭がする』だの『童貞がうつる』だの散々言
われたもんなぁ。
「…甘いな。お前は知らないのか?なら教えてやる。
お前はまだ完全に童貞を捨てていない!」
「はぁ?何言ってるんですか?おれ、ちゃんとヤリましたよ?」
チッチッチと指を振り、ニヤリと笑う江口さん。何だこの人、気味悪いぞ。
「お前だけじゃない。俊に正吾もオレから言わせればまだ童貞だ。
いや、半童貞と言えばいいのかな?」
な、なんだと?おれ達3人がまだ童貞?訳わかんないぞ?
小声で話すおれ達の会話に俊と正吾も食いついてきた。
「江口さん、それどういう意味ですか?僕達もまだ童貞って、どういうことなんです?」
俊の言葉に正吾も頷く。おれも同じく頷いた。
「ふっ…いいかお前たち。童貞には2種類の童貞があるんだよ。何か分かるか?」
はぁ?2種類の童貞?なに訳の分からないこと言ってるんだ?
頭おかしくなったんじゃ…あああ!ま、まさか?
「お、さすがは健一だな、気がついたようだな。俊と正吾は…ははは、さっぱりか。
よし、教えてやる。2種類の童貞、それはだな…」
ゴクリと唾を飲み込む俊と正吾。
おれが考えている通りだとすると…確かにおれは半人前の半童貞だ!
「…素人童貞と玄人童貞だ!お前らは素人童貞を捨てたに過ぎん半人前だ!
プロを相手にしてこそ、本当の一皮抜けた男になるんだ!」
や、やっぱりそうか!そうだったのか!
「…聞いて損したな。俊、さっさと帰ろうぜ」
「…江口さん、いい加減落ち着かないと神楽が可哀想ですよ?」
俊と正吾は聞いて損をしたとため息を吐き、シーリス達の所へと歩いていった。
「フン…お子ちゃま共が。健一、お前もそう思っているのか?」
「…そ、そのとおりっす!すげえっすね!さすがはえぐっさん!感動したっすよ!」
さすが江口さんだ!おれにその発想はなかったぞ!
「お?さすがはオレの弟分だ。よし、オレがお祝いに連れてってやろうか?高級なお風呂屋さ
んに」
ニヤリを笑う江口さん。おれもニヤリと笑い親指を立てる。
「ふふふふ、さすがは健一だな。何事も経験だ、きっとお前にとって忘れられない経験になる。
かのアリストテレスも言ってたような気がするしな。『風俗は浮気に入らない』とな」
「おおおお!さっすがえぐっさん!物知りっすね!
アニキ、おれを連れてってくだせい!ついてきますぜ!」
「おうよ!付いて来い弟よ!…あれ?あれってレイリアちゃんじゃないのか?
なんかこっちに走ってきてるぞ。忘れ物でもしたのか?」
…へ?江口さんの視線の先を見てみる。ホントだ、レイリアだ。
アイツ、まだお尻が痛いって言ってたのに、なんでダッシュなんてしてるんだ?
おいおい、女の子がそんな形相で走ったりしちゃダメでしょうが!
鬼のような形相で走ってきたレイリア。なんだ?そんな顔してどうしたんだ?
「んふぅ〜!んふぅ〜!んふぅ〜!…け・ん・い・ち・さ・ま!風俗も浮気ですわ!
浮気したらその相手を…いえ、相手の家族、友人、その他関わりのある者全てに不幸を届け
てさしあげますわ!」
鼻息荒く、おれを睨むレイリア。な、なんでおれが風俗に行こうとしてるって分かったんだ?
「ゴ、ゴメン、ちょっとした冗談だよ、そんな怒るなよ」
「ホントでしょうね!ウソだったらどうなるか…身をもって分からせてあげますわ!
おじさまもヘンの事を言わないでくださいませ!
いくら神楽お姉さまの恋人といえ、次はありませんわよ!」
ビシッと江口さんを指差して睨みつけるレイリア。
「ではレイリアはこれで行きますわ。
健一様、浮気はダメですわ、絶対にしないと誓ってくださいませ!」
そう言ってまた空港に向かい歩いて行った。まったく慌しいヤツだな。
「なんでオレ達が風俗に行こうとしてたって分かったんだ?」
レイリアをポカンとした顔で見送っている江口さんが話し掛けて来た。
「さぁね?江口さんの後ろの神楽に聞いたらどうです?」
「へ?…と、桃子?冗談だ!風俗なんてオレが行くはずないだろ?オレはお前一筋だ!
な、だからそんな目でオレを見ないでくれ!
なんでも食わせてやるからそう怒るなって!なぁ桃子…」
おれは神楽にひたすら謝る江口さんを見ながら腕時計に話しかける。
「レイリア、安心しろよ。お前という最高の女がいるのに浮気なんてしないよ」
そう囁いた瞬間、レイリアが振り向いて両手を振ってきた。
やっぱりそうか…この腕時計に盗聴器仕込んでるんだな。まったく…お前は怖い女だな!
「レイリア…お前はホントになんでもありだな。ちょっと…いや、かなり怖いぞ?」
おれは腕時計に囁き続けた。
すると遠目で見ても分かるほど、ガックリと肩を落としたレイリア。
ホントに丸聞こえだな。
「けどな、おれはそんなお前が大好きなんだ。
そんな怖いところも含めたお前の全てが好きなんだ。
…愛してるよ、レイリア。お前は最高の女だ」
…くっくっく、ふらついてやがる。ホントにカワイイなぁ。
「レイリア、愛してる、お前はおれの物だ。…チュッ」
時計にキスをする。…あ、倒れた。長尾さんに担がれて運ばれていったぞ。
あの人今まで何処にいたんだ?
運ばれていくレイリアに手を振って空港を後にする。
まったく…お前は退屈しない女だな。おれはお前のそんなところに惚れたのかもしれないな。
毎日お前と愛し合いたいよ。早く一年過ぎてくれないかな?
おれは一年後に始まるであろうレイリアとの生活に心を躍らせた。
レイリアが国に帰ってから一週間、おれ達は毎日電話で話している。
おれと会えないのが寂しいと嘆くレイリアはかわいくって仕方がない。
この話を江口さんにしたら「うるせぇんだよ!」と怒鳴られた。
なんだよ、ちょっとは惚気を聞いてくれよ。ケチくせぇ親父だな!
ピンポ〜ン!
そんなことを考えていたら呼び出し音が鳴った。
「相川さ〜ん、加川急便ですがお届け物で〜す。判子お願いしま〜す」
「はいは〜い、判子ですね…はい、これでいいっすか?」
「ありがとうございます!では失礼します!」
おれに荷物が来るなんて珍しいな。誰からだ?
荷物を受け取り首を傾げるおれ。…あ!レイリアからだ。
なんだよ、荷物を送ったなんて聞いてないぞ?
おれを驚かせようと考えてたんだな。まったくカワイイやつめ!
どれどれ中身はいったいなんだろうなっと…なんだ?DVDか?
え〜っと『レイリア×相川健一 愛のメモリー第一弾』だと?
どっかで聞いた事があるような名前だな。…なんだろ?何故か猛烈に嫌な予感がするな。
とりあえずは見てみるか。
『健一様?いったいどうなされたの…でぇぇぇぇ!ちょ、ちょっとお待ちになって!
こんなとこじゃイヤですわ!け、健一様!落ち着いてくださいませ!けんい…ひゃう!』
『い、いた…ヤですわ!こんなのイヤですわ!』
『ですからそこはおし…ヒィ!無、無理!絶対に無理ぃ!』
『ひ、酷いですわ。ヒック、レイリアは、6年間待ち望んでいたのに…こんなのあんまりですわ!
ひぇぇぇ〜ん!』
『ひぎゃあ!い、いったぁ…痛いですわぁ。けんいちさまぁ、レイリアは、レイリアはぁ…』
『健一さま!健一さま!健一さ、あああ!け、健一さまのが、出てるぅ…ふぁぁぁ』
『はぁぁ…嬉しいですわぁ。今日レイリアは、健一様に全てを奪われてしまいましたわぁ。
キスも、お口も、処女も、お尻まで捧げる事が出来て幸せですわぁ。
健一様ぁ、レイリアは嬉しゅうございます。…あぁ、少し疲れましたわ。このまま寝てもよろしい
です…か』
再生してみてビックリだ。これっておれ達の初体験の時の映像じゃないか!
なんでこんなの撮ってたんだよ!いくらなんでもこれはダメだろ?怖すぎんぞ!
…ん?ケースに手紙が付いてるな。どれどれ…何を書いているんだ?
愛する健一様へ
健一様…レイリアは毎日お互いを求め合ったあの日のことを思い出していますわ。
健一様が電話で『あの時は無我夢中で最初の記憶があまりない』と仰っていましたので第一
弾をを送ります。
健一様もこれを見て、レイリアのことを思い出し一人で…あぁ、私はなんてはしたない女です
の?
レイリアは冷凍保存した精液を毎日眺め、あの時の事を思い出していますわ。
この精液をお腹の中に注がれたのかと思うと…あぁ、また貫かれたいですわぁ。
健一様、レイリアは早くお会いしたいですわ。
今年の夏にはそちらへと遊びに行けますので、それまで浮気はしないで下さいね?
愛する健一様…夏にはレイリアを壊してくださいませ!
他のDVDも見て見たいのなら連絡を下さいませ。すぐに送りますわ。
では、健一様の健康と、私達の永遠の愛を願って…
あなたのレイリアより
…なんかいろんな事が書いてあったな。冷凍精液?その他のDVD?
………怖えぇよ〜、怖すぎんぞ!
とりあえずおれは、ティッシュ箱を片手にDVDを最初から再生する事にした。
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