俺は今日、果歩と屋上で痺れるようなキスをした。……まだ体が火照っている。
唇には果歩の温もりが残っている。……果歩、俺はまだお前を抱きしめ足りない。
そんな事を考えながら、美里様と裕彦の後ろをついて歩く。
「秋山、今日は車で帰りますので校門まで車を回して下さいな。
やーくん、今日は久しぶりにわたしに攻めさせてね?
……最近はやーくんばかりが攻めて、ズルイですわ。
わたしもやーくんを気持ちよくしたいのです」
果歩……あぁ、果歩!お前を今すぐにでも抱きしめたい!
クソが……屋上であれだけ抱きしめたというのに、まだ足りない。全然足りないんだ!
フッ……俺は意外と女々しい男だったんだな。
「けどみーちゃん、すぐに気持ちよくなってしまうみーちゃんが可愛くて仕方がないんだよ。
泣きそうな顔で喘ぐ可愛いみーちゃん。……時間をかけてじっくりと見てみたいなぁ?」
「もう!ですから今日はわたしが攻めるのです!
意地悪なことを言うやーくんにはお仕置きですわ!……秋山、薬指やっちゃって!」
あれだけ抱きしめてキスしたというのに、まだ足りぬとは……果歩の唇、柔らかかったな。
拙い舌使いに愛おしさを感じてしまった。
「み、みーちゃん?冗談だってば!みーちゃんに攻められるのって大好きだよ!
だから指を折らせようとするのはヤメて……あれ?」
しかし、いきなり舌を入れたのは不味かったか?き、嫌われたりしてないだろうな?
最初は戸惑っていた果歩も、徐々に舌を使い出したしな。……嫌われてはいないだろう。
「秋山、さっさと指を……やーくん、秋山どうしたんでしょうね?」
「うん、秋山さんヘンだよね。なんか心ここに在らずって顔してさ。
こんなヘンな秋山さんって、初めて見るよ」
さっさと美里様たちを送って、果歩と、で、でぇとを……しまった!
果歩とのでぇと、よく考えると2人で会う時間がないな、いったいいつすればいいのだ?
「なんなんでしょうね?ニタニタ唇を触っていたかと思うと、頭を抱えてもがいてるし……
ねぇやーくん、何か思い当たる事ありません?」
「思い当たる事って言われても……あれ?池田さんどうしたんだろ?
こっちに向かって走ってきてるけど、何かあったのかな?」
裕彦が俺の後ろを見て呟いた。なんだと?果歩が俺に会いに来ただと?
慌てて裕彦が指差す方向を見てみる。
……愛する果歩が、必死の形相で俺に向かって走ってきてる。
果歩……そんなに俺と一緒にいたいのか?もちろん俺もお前と一緒にいたい!
果歩……あぁ、果歩!好きだ!愛してるぞ!
「秋山さ〜ん!助けてよぉぉ〜!
悪魔の2人が手を組んで、か弱いヒロインは絶体絶命なんだよぉぉ〜!」
「なんだと?何処のどいつだ!俺の果歩に手を出そうとする奴は!俺が排除してやる!」
許さん!果歩を傷つけようとする不届き者は、俺が排除してやる!
「……また池田さん、綾崎さんに苛められてるんだ。
悪魔の2人って……今回はラインフォード先輩も絡んでるのかな?」
「そ、それよりやーくん、秋山は今、『俺の果歩』って言いましたよね?
もしかして秋山、池田さんと……わ?わわわわ!」
「うおおおをお?あ、秋山さん?なんで池田さんを抱きしめるの?な、なんで?」
俺の元に駆けてきた果歩を強く抱きしめる。
こんなに息を切らせて走ってくるとは……誰がお前を苦しめている!
「イタタタタ!秋山さん痛いよ!抱きしめてくれるのは嬉しいけど……少し強いよ」
「ス、スマン、つい強く抱きしめてしまった。それよりお前を苦しめているバカとは誰だ?」
「ちょっと待ったぁ!秋山さん、何で委員長を抱きしめたの?
俺の果歩ってなんなんです?もしかして秋山さん、委員長のこと……ごばぁ!」
「煩い黙れ!」
せっかくの果歩との会話を邪魔する裕彦の腹を殴る。
腹を殴られ前のめりになった裕彦の首に腕を回し、頚動脈を締め上げる。
「はが、ごが!が、ががが……がぁ……ごは」
「きゃああああ〜!あ、秋山!やーくんになにをするのです!
あなた、今自分がなにをしたか……ゴクリ。ヘンな事を言ったやーくんが悪いと思いますわ」
煩い美里様を目で威嚇して黙らせる。
あまり煩くすると、あなたも黙らせますよ?
「さっすが秋山さん!流れるような動きでカッコよかったよ!
……こんなカッコイイ人が彼氏だなんて、とっても嬉しいよ」
「そ、そうか?カッコイイか?ではこんな技はどうだ?」
動かない裕彦の足を取り、足首を極める。いわゆるアンクルロックと言うプロレス技だ。
こういう見栄えのいい技のほうがカッコよく見えるだろう。
……裕彦の体が痙攣しているが、気にしない。
「いやぁぁぁぁ〜!やーくんがビクンビクンと痙攣して止まりませんわ!
秋山!もう止めなさい!でないとあなた……か、体を鍛えるにはいい機会ですわ。
どんどん鍛えてあげてくださいな」
煩い美里様を睨みつけ、黙らせる。
少し黙っててください!いいところを果歩に見せるチャンスなんです!
邪魔したら……あなたも潰しますよ?
「おおおお!アンクルロックだね?
往年のWWEスーパースターズのカート・アングルの得意技!
知り合いのお姉さんから見せてもらってるよ!……ってこんな事してる場合じゃないっての!
秋山さん、必殺技を教えてよ!明日までに覚えなきゃ、かなちゃんが……コ、コワイよ!」
俺の技に感心していた果歩は、何かを思い出したように必殺技を教えてくれと騒ぎだした。
かなちゃん?綾崎さんのことだな。ではなにか?悪魔というのは綾崎さんのことか?
ということは、いつものじゃれ合いだな。
「綾崎さんがまた何かしてくるのか?……話してみろ、力になるぞ」
「……カッコイイ顔で見つめるのはナシだよ!そんなの反則だよ……照れちゃうよ」
「グスン、やーくん……やーくんの体がビクビクして止まりませんわ。
ひっく、やーくん……あぁ、やーくぅん」
抱き合う俺達の横で、意識を失ったまま痙攣している裕彦。空気を読めない奴め!
それに寄り添い泣きじゃくる美里様。
う〜む、少しやりすぎたか?仕方がない、一度屋敷に帰らせるとするか。
「美里様、裕彦を屋敷に連れ帰り、看病されてはどうですか?
……あなたのしたい放題ですよ?」
「秋山、やーくんにこんな事してどうなるか分かってますね?
わたしはやーくんを傷つける者を決してゆるし……したい放題、ですの?」
「えぇ、そうです。裕彦は意識を失ってますが、どこも壊してはいません。
今のうちに屋敷に連れ帰り、縛り付けて動けなくすれば……後は美里様の思うがままに」
「……ゴクリ。こ、今回は許しますが、次はわたしの指示でしなさいな!分かりましたね?」
「分かりました。少しやり過ぎたようで申し訳ありませんでした。
ではさっそく車の手配をします。自分は果歩と話があるので、代わりの運転手を手配します」
「早くして下さいな。あぁ、やーくん……今夜はわたしが精一杯お世話をします。
動けないやーくんの体の隅々までわたしが……考えるだけでゾクゾクしますわ」
両肩を抱き抱え、恍惚の表情で軽くブルブルと震える美里様。
いったい何をするつもりなんだ?……まぁいい。今は美里様より果歩だ。
迎えに来たリムジンに2人を押し込め、果歩の話を聞く。
……なるほど。あの時観覧車が止まったのはあの外人のせいか。
まぁそのおかげで果歩とこうしていられるようになったんだがな。
目の前で必死の形相でことの顛末を話す果歩を見る。
……いかんな、可愛いにも程があるぞ?
「……分かった。外人の怒りは俺が何とかしよう。お前は綾崎さん対策を考えておけ」
「でもどうやってあのラインフォード先輩をなだめるつもりなのかな?」
「弱点を突くだけさ。果歩は先に屋敷の道場へ行っててくれ。あそこならゆっくりと話せる」
「……うん。私も秋山さんと話したいって思ってたんだ。
じゃあさ、先に行って待ってるから先輩の対策を頼んでもいいかな?」
「あぁ、任せとけ。ああいう人物の行動パターンは美里様で把握している」
「あははは!じゃあ任せて安心だね?……さっすがは私の彼氏だよ!
じゃ、先に行って待ってるから!……んっ」
果歩は真っ赤な顔で俺の頬に甘い感触を残し、走っていった。
まったく……真っ赤な顔になるほど照れるのなら、キスなどしなければいいものを。
走り去った果歩の後姿を眺めながら、頬に残る果歩の温もりに手を当てる。
……恋とはいい物だったんだな。池田館長があの年で結婚したのも、今なら分かる。
「おや?秋山さん、赤い顔でボーっとして、いったどうしたんですか?」
「うお!お、脅かさないでくださいよ、相川先生。
しかしちょうどよかった、あなたを探そうとしてたところなんですよ」
「秋山さんが私を、ですか?いったい何の用件でしょうか?」
さて、と。果歩にいいところを見せるため、こいつを口車に乗せるとするか。
俺は相川先生を利用して、外人を黙らせる策略を巡らせる事にした。
(やっぱり秋山さんって頼りになるね。……秋山さん、早く来ないかなぁ)
西園寺屋敷の小さな道場。小さいといっても私の家の道場より少し小さいくらい。
キチンと掃除もされてて、綺麗に整えられている。
こんなとこでも秋山さんの性格が見えるね。……真面目でいい人ってことだね!
でも前に100人を越える女の人とえっちしたって威張ってような?
……真面目でいい人ってのはナシ!
真面目でいい人がそんな大人数とえっちはしないっての!
じゃああれかな?私もそうなのかな?
……秋山さん、私もその100人に加えるつもりなのかな?
けど秋山さん、私のこと好きって言ってくれたし……ホントなのかな?
ホントに私のこと好きなのかな?どこが好きになったんだろ?
自分で言うのもなんだけど、顔はそこそこカワイイと思うよ?
お母さんの若い頃に似てるってよく言われるしね。
胸は……あ、足なんかさ!スラッとしてて綺麗だって、かなちゃんも羨ましがってるもんね!
もしかして秋山さん、足フェチってヤツなのかな?私の足に惚れちゃった?
う〜ん……足を強調する服を着たほうがいいのかな?
ミニスカートとか穿いたら喜んでくれるのかな?……服を買わなきゃいけないねぇ。
はぁぁ……お金がかかるよ。恋をするってのはお金がかかるんだね、知らなかったよ。
でも……お金はかかるけど、恋っていい物なんだよね。
橘くんにフラれた時は『もう二度と人を好きにならないぞ!』
って心に誓ったけど……すぐ好きになっちゃったね。
人間って不思議だねぇ、あんなに辛かったのにすぐに立ち直っちゃうんだから。
そんな事を考えながら道場の真ん中でボ〜っとしてたら誰かが入ってきた。
こんな道場に来る人なんてもちろんあの人しかいない。
「待たせたな。果歩、安心しろ、外人は押さえたぞ。あとは綾崎さんをどうするかだ」
おおおお!さっすが秋山さん!
どうやったのか分かんないけどラインフォード先輩を押さえるなんて!
カッコイイねぇ、さすがは伊達に年食ってないねぇ。う〜ん、惚れ直しちゃったよ。
……ああああ!かなちゃん対策考えるの忘れてたぁ〜!
「……果歩?頭を抑えて何故もがく?お前、さては綾崎さん対策を何も考えてなかったな?」
「うぅぅぅ……その通りです、なにも考えてませんでし……あががががが!」
「お前と言うヤツは!誰のために俺が策を講じたと思っている?いい加減にせんか!」
「いががががが!ふじょぼーこーはんた〜い!イタタタタ!」
怒った秋山さんが顔をガシっと掴んでギリギリと締め付けてきた。
い、痛いよ!痛いんだよ!顔が小さくなっちゃうっての!
逃れようと手足をバタバタさせてると、『やはり可愛いな』とか呟いてるし……
そんな可愛さ堪能しないでっての!こっちは生命の危機を身近に感じるっての!
「ヒ、ヒドイよ……秋山さんは可愛い彼女を苛めて喜ぶヘンタイさんだよ」
「ははは、スマンな。お前の動きが可愛くて仕方なかったんだよ」
しばらくの間、私を苛めて楽しんでいた秋山さん。愛情を感じないよ!
床に座り膝枕をしてくれながら、頭をいい子いい子と撫でてくれてる。
なんだかすっごく気持ちいいよ、痛みが消えていくようだね。
頭を撫でられるのって気持ちいいことだったんだねぇ。
……んん?普通、膝枕って女の子がするんじゃないのかな?
なんで私がされてるんだろ?……ま、いっか。気持ちいいしね。
「秋山さん、先輩をどうやって押さえたの?」
「んん?簡単なことだ。外人が言う事を聞く人を利用したんだ」
「先輩が言う事を聞く人?……あああ!もしかして相川先生?」
秋山さんの言葉に驚いて跳ね起きる。秋山さん、自信満々な顔で頷いてる。
そっか、その手があったんだね!それは盲点だったよ!
さっすがは秋山さん、伊達に年を食ってないよ!
「相川さんから仲直りするように仕向けたんだ。
で、お前が『先輩に元気がないと心配していた』と言っておいたから、
お前は外人に感謝されるだろうな」
「おおおおお〜!凄いよ!すっごいんだよ!助かったよぉぉ〜!」
秋山さんの首根っこに抱きついて、ほっぺに軽くキスをする。
さすがにまだ唇にキスするのは恥ずかしいよ。……秋山さんからしてくれないかな?
キスしてほしくて秋山さんの顔を覗いてみる。……ユルユルだよ!全然凛々しくないよ!
ほっぺにキスするだけでここまでユルユルになっちゃうなんて、
秋山さん、意外と単純なのかな?
「か、果歩、その、なんだ……お、俺はだな」
「これで先輩は片付いたんだね。残るはかなちゃんだけだね。
う〜ん、どうしたらいいんだろうね?」
抱きついてこようとした秋山さんをかわしてスクっと立ち上がる。
あははは!ガックリした顔がとってもカワイイよ!
秋山さんってカワイイ人だったんだね。いろんな表情の秋山さんが見れて嬉しいよ。
……もっと秋山さんを知りたいよ。もっと私を秋山さんに知ってほしいよ。
秋山さんとお互いを知る時間をもっとたくさん過ごしたいよ!
「果歩?いったいどうしたんだ?真剣な顔で俺を見つめて……照れるではないか」
「……ふぇ?わ、わわわ!なんでもないっての!それよりかなちゃんだよ!
かなちゃんをどうするかなんだよ!……今のかなちゃんはブレーキの壊れたダンプカーだよ」
「どこかのプロレスラーみたいだな。まぁいい、綾崎さんの弱点はどこだ?
そろそろギャフンと言わせるいい機会だ、日ごろの恨みを晴らしてやれ!」
……弱点?う〜ん、弱点ねぇ。うぅ〜ん……ああああ!お、思い出したよ!
「思い出したよ!かなちゃん、先輩と三人でお昼ご飯食べてる時に
『正平に胸を触られると力が入らなくなっちゃうんですよ。何故なんですかね?』
って先輩に聞いてたよ!完璧超人かなちゃんの弱点は、あのおっきい胸だったんだよ!」
「ほう、それは興奮す……いや、興味深い話だな。
ではどうやって綾崎さんの胸を攻めるかだな。お前らの戦いは是非見て見たいものだ」
「今、興奮するって言わなかった?かなちゃんに興奮するのはナシ!
ぜったいダメだからね?」
秋山さんもやっぱり男だね、胸なんかで興奮しちゃってさ!
そりゃかなちゃんの胸は、おっきくて柔らかくてモミモミしたら気持ちいいよ?
でも秋山さんがイヤラシイ目で見るのはナシ!なんかムカついちゃうっての!
「果歩、そう怒るな。俺は巨乳好きじゃない。
どちらかと言うと美乳……貧乳でも一向に構わんぞ?」
「ひ、貧乳って言うなぁ!秋山さん、やっぱりおっさんだよ!セクハラ親父なんだよ!」
「お、おっさん?……や、やはり俺のことをそう思っていたのか」
ガックリと肩を落とす秋山さん。
あ〜あ、なんかメンドクサイね。秋山さんって子供っぽいところが多いんだね。
なんでこんなおっさん好きになっちゃったんだろ?
お母さんの血を引いてるからかな?
一度お母さんに、お父さんをどうして好きになったのか聞いてみようかな?
「はいはい、いつまで落ち込んでるのかな?
落ち込む前に、かなちゃんの胸をどうやって攻めるかを教えてよ?」
「お、おっさん……確かに俺は36だが、まだまだ若いつもりだ。それをおっさんとは……」
「もう!いつまで落ち込んでるのかな!……ん」
子供っぽい秋山さんの唇に軽く触れるようなキスをする。
うわぁ……胸がドキドキしてるよ。なれないことはするもんじゃないね。
「か、果歩……よし!、綾崎さんをどう攻めるかだな?お前はどう攻めたいんだ?」
赤い顔して唇を押さえてた秋山さん、一気に回復して元気になっちゃった。
あははは、秋山さんってホントに可愛いんだね。ますます好きになっちゃったよ。
「どう攻めるって、そりゃあの胸をモミモミしてアンアン言わせるちゃうの!
で、力を入んなくしてさ、リョウジョクしちゃうんだっての!」
「りょ、陵辱だと?お前意味を知ってて言ってるのか?
……まぁいい。胸を揉むだけなら俺が教えなくとも出来るだろう」
秋山さん、顔が赤いよ?リョウジョクってイヤらしい言葉なのかな?
よくお兄ちゃんが『陵辱するのはもうヤメテ!』ってお義姉さんに言ってるから言ってみただけな
んだけど。
お兄ちゃん、いったい何をされてるんだろうね?ま、どうでもいいや。
そんなことよりどうやったら効果的にかなちゃんを苛めれるか、だよ!
「それなんだけど、秋山さん教えてくれないかな?
前に何回か試してみたんだけど、上手くいかなかったんだよ。
かなちゃん平気な顔してたんだよ。私、胸を揉むの下手なのかな?」
試しに自分の胸を揉んでみる。……空しいよ!かなちゃんとは雲泥の差があるんだよ!
「お、お前、今自分が何を言ったか分かってるのか?」
「え?胸を揉むのを教えてって言ったんだよ。気持ちよくなる揉み方を教えてほしいってね」
「……ゴクリ。い、いいのか?いいんだな?」
はれ?秋山さん、急にハァハァしだしたよ?
なんで急にハァハァしだしたんだろ?目つきも悪くなってるし……あああああ!
「わ、わわわわわ!ち、違うよ!違うんだっての!
あくまでも気持ちよくなる胸の揉み方を教えてほしいだけであって、
私が揉んでほしいんじゃないよ!」
「しかし、揉まれなければ気持ちいいかどうかなど分からんだろ?」
「あ、秋山さん、目が怖いよ?」
「だ、大丈夫だ。痛くしないから。揉むだけだ、それ以外は何もしない」
目が血走ってる秋山さんがハァハァしながらにじり寄って来た。
失敗だよ!これは大失敗なんだよ!
秋山さん、昔はたくさんの女の子を抱いたお猿さんだったって話だから、
実は隠れエロ親父だったんだよ!
……けど、なんでだろうね?その、ちょっと興味あるんだよ。
いっつも先輩やかなちゃんの惚気話を聞いてるからかな?
だから『いいだろ?』ってエロ親父みたいに聞いてきた秋山さんに……頷いちゃった。
む、胸だけだよね?そうだよ、これはいわゆる稽古なんだよ!
かなちゃんの巨乳を倒すための稽古。全然イヤらしい事なんかじゃないんだってば!
そんな事を考えてたら、ハァハァ秋山さんに後ろから抱きしめられちゃった。
心臓がすっごいドキドキしてる、もうバクバクだよ。
そんな私の耳元にかかる秋山さんの吐息が頭をふにゃふにゃにする。
もうなにがなんだか分からなくなってきたよ。……私、どうなっちゃうんだろ?
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