「……相変わらず無意味に広い屋敷ね」
年の瀬も迫る12月中旬。
クリスマスも間近というこの時期に、突然届いたお母様からの実家への呼び出しの手紙。
嫌々ながらもシーリス姉さまと2人で、愛する人の下を離れ、実家へと向かう。
あぁ……健一様ぁ!レイリアは、愛しい健一様の下を一時でも離れたくはありませんわ!
そんな愛する健一様との距離を嘆く私をよそに、迎えのリムジンの窓から外を見て、ボソっと呟
くシーリス姉さま。
門を入ってから、本邸までの長い道のり。庭手入れをしている使用人達の姿も、昔と変わりま
せんわ。
「ホントに変わりませんわね。……シーリス姉さま、お母様は何故私達2人を呼び出しました
の?」
何故お母様が私たちを呼んだのか……正確には私を呼びつけたのかは、大体分かっていま
すわ。
……さすがはお母様ですわね。この時期に、私を健一様から引き離すとは。
ですが、お母様の思い通りにはいかせませんわ。この……手土産で全てを水に流してさし上げ
ますわ!
いいえ、これがなければ生きていけない……そんな体になるといいですわ!
ふふふふふ、お母様も老いたものですわね。このようなつまらない策を弄するなんて。
自らの策が、自らを滅ぼすと思い知るがいいですわ!
「はん!そんなの知らないわよ!どうせアンタが結婚するからじゃないの?
はぁぁ〜……なんでアタシまで巻き込まれなきゃいけないのよ!
レイリア!アンタが結婚なんかするって言い出すからよ!」
シーリス姉さま、急に怒り出し、私の両頬をおもいっきり抓り、引っ張りましたわ。
痛いですわ!姉さま、理不尽な怒りですわ!理不尽なシーリス姉さま、大好きですわ!
「ひががが!い、ひゃいでふわ!いひゃいいひゃい!」
「あっはははは!レイリアのほっぺ、柔らかくて気持ちいいわね。……相川なんかにはもったい
ないわね」
私の頬を抓るのに飽きたのか、またつまらなさそうに窓の外を見るシーリス姉さま。
もう!散々引っ張っておきながら、飽きたんですの?我儘ですわ!我儘な姉さま、大好きです
わ!
「ひく、い、いひゃいですわ。シーリス姉さま、理不尽ですわ」
つまらなそうに外を見る姉さまとお話したいので、少し痛いフリをする。
優しいお姉さま、私が痛そうに摩る頬を優しく撫でてくれましたわ。優しい姉さま、大好きです
わ!
「なぁ〜に涙目になってるのよ。はぁぁ〜、クリスマスも近いって言うのに、なんでママたちと会
わなきゃいけないのよ。
何でいちいち帰ってこなきゃいけないのよ。何で俊は来ちゃいけないのよ!
せっかく俊とラブラブで過ごすつもりだったのに……レイリア!アンタのせいよ!」
「いぎゃぎゃぎゃぎゃ!頭が割れる!割れますわ!」
優しく頬を撫でてくれた姉さま。
何故か急に怒り出し私の頭を脇に抱え、腕でギリギリと締め付け始めましたわ。
い、痛いですわ!頭が!頭が割れますわ!
「はぁぁ〜、ホント、ママの思いつきも困ったものよね。ねぇ、レイリアもそう思うでしょ?」
「イダイイダイ!頭が!割れるぅ〜!」
「痛がってないで、何とか言いなさい……よっと!」
「あががががが!く、首が!首が折れるぅぅぅ〜!折れますわぁぁぁ〜!首は後ろには回りませ
んわぁ〜!」
よほどママに呼び出されたのが嫌なのか、それとも車での移動が退屈なのか。
屋敷に着くまでの間、まだ姉さまが学生の頃に、師匠という人から習った関節技を思う存分掛
けられましたの。
久しぶりの姉妹2人での水入らずの時間……いくらシーリス姉さまとの時間でも、こんな苦痛に
満ちた時間はイヤですわ。
姉さま、我儘ですわ、理不尽ですわ。でも……そんな姉さまが大好きですわ!
「ニース様、シーリスお嬢様とレイリアお嬢様が到着されました」
書斎で書類を整理していると、ナルディアが2人が到着したと伝えに来たわ。
その顔は笑みを浮かべていて、2人に会えるのがとても嬉しいみたいね。
笑顔のナルディアに悟られないように、整理した書類を封筒に入れ、あて先を書いたシールを
貼る。
よし、後はこれを日本に郵送すれば……このアタシを見くびったことを後悔するといいわ!
「やっと帰ってきたのね。じゃ、2人に会うとするわよ、ナルディア」
「はい、かしこまりました」
封筒を机の引き出しに入れて、2人に会うために立ち上がる。
……シーリスも、少しは人妻らしくなったのかしらね?
桃子ちゃんもマヤちゃんも子供を生んだというのに、シーリスはまだなのかしらね?
この年でおばあちゃんにはなりたくないけど、シーリスの子供は抱いてみたいわ。
……おばあちゃんにならずに、抱けないものかしらね?
レイリアも少しは落ち着いて、大人になったのかしら?
いつまでも我が侭を言う子供のままじゃ、相川君に嫌われるわよ?
……ま、今日のあの子の出方次第で、嫌われるどころじゃなくなるんだけどね。
フフフフ、最初の仕掛けには気づいているでしょうけど、この封筒の仕掛けには気づけるかしら
ね?
アタシの本命はこの封筒よ。これがあの子に届けば……ウフフフフ、泣き叫ぶレイリアの顔が
思い浮かぶわ。
「アンタもラインフォード一族になるんだから、あの2人に遠慮なんかする必要はないわよ?
……そういえばアンタがあの2人に遠慮してるところなんか見たことないわね」
「ふふふ、そういえばそうですね。あの2人はまるで幼い頃のニース様を見ているようでしたから
ね」
ナルディアは昔を思い出したのか、優しい笑みを浮かべ、微笑んでいる。
シーリスやレイリアを躾けたのはナルディアだったからね。
……なんでああなったのかしらね?ナルディアに教育されたくせにあんなふうに育つとは……
さすがは我が娘ね。
「……はん!アンタも年を取ったわね。昔を懐かしみ、思い出し笑いをするなんて」
「そいういニース様こそ、楽しそうな笑みがこぼれていますよ?」
懐かしく賑やかだったあの子達とナルディア、おじい様との生活を思い出し、笑みを浮かべ
る。
あの頃は思いもしなかったけど、楽しかったなぁ。
ふふふ、こんな風に感じちゃうなんて、アタシも年を取ったってことね。
「ふふふ、もうレイリアも結婚するのよ?お互い年を取るわけよね。
さ、久しぶりに愛娘の顔でも見ようかしら。シーリスは少しは主婦の顔になっているのかしら
ね?
レイリアは大人の顔になったのかしら?すっごく楽しみね!この楽しさは親の特権ね」
「フフフ、そうですね。私もとても楽しみです」
ナルディアと2人、笑みを浮かべながらシーリスとレイリアに会いに向かう。
2人と会うのは何年ぶりかしら?あれは確かシーリスの結婚式だから……4年前かな?
4年も両親に会いにこないなんて、2人とも許せないわね。
……両親?そういえばアイツに、2人が帰って来る事を教えるの、忘れてたわ。
……ま、どこかで聞きつけて、会いに来るでしょ?
どうせ父親の威厳とかの欠片もないんだし、ほうっておいても大丈夫ね。
「ママ、久しぶりね。……で、なんで急に会いに来いなんて言い出したの?アタシ、ヒマじゃない
んだけど」
客間でお母様が来るまでの間、歴代の当主の肖像画を眺めつつ、のんびりと紅茶をすする。
……やはり美味しいですわね。この茶葉、持って帰って健一様にも味わっていただこうかし
ら?
そんな事を考えていると、扉が開き、入ってきた人物に姉さまが口を開く。
……やっと来ましたわね。これからが勝負ですわ。例えお母様でも健一様に手を出そうとする
人間は容赦しませんわよ!
「あらシーリス、毎日桃子ちゃんやマヤちゃんのところに入り浸っているあなたが暇じゃない?
そういう生意気な台詞は、子供を生んでから言いなさいな。……不妊治療とか、してみたの?」
「うっさいわね!今年こそは仕込んでやるわよ!」
「今年って……あと20日もないわよ?」
「ますますうっさいわね!アタシと俊との愛があればそんなの関係ないわ!アタシ達の愛は無
敵なのよ!」
「はぁぁ〜……大見得を切るシーリス姉さま、カッコイイですわ!」
お母様の嫌味にも一歩も引かず、きっぱりと言い切るシーリス姉さま。
男らしいですわ!きっと私が男なら、惚れちゃいますわ!……あら?何かが違う気がしますわ
ね?
「まぁレイリアに抜かれなきゃいいけどね。……レイリアも久しぶりね。
ふ〜ん……ずいぶんと女の体になったじゃないの。たっぷりと相川君に愛されてるみたいね」
私の身体を足元から舐めるように見るお母様。
はん!お母様のお相手のように、ダメな男と健一様を一緒にしないで下さいます?
健一様に愛を注がれていれば、自然といい女になるんですわ!
「お母様、今さらなにを言っていますの?
健一様のレイリアへの燃えるような愛が、レイリアを綺麗にしているんですの。
健一様はレイリアのことを世界一愛しているんですわ。私も健一様を世界一愛していますわ。
私達の愛は世界一ですわ!この燃える様な愛に勝てる人たちなど、この世には存在しません
わ!
所詮他の人間の恋愛など、私と健一様の燃えるような愛の引き立て役にすぎませんわ!」
そう、私達の愛こそが本当の愛。他人の見かけだけの愛など、所詮はまがい物でしかありま
せんわ!
「……へぇ?それはアタシと俊への宣戦布告と考えていいのね?」
「へ?……な、なな、何を言ってるんですの、お姉さま?宣戦布告だなんて、そんな物騒なこと
……」
何故か低いトーンで語り、私を睨むシーリス姉さま。
その視線が何故か冷たく感じて……背筋が寒いですわ!
この背筋を走る寒気は……マヤお姉さまに笑顔を向けられている時に感じる、死の予感に似
ていますわ!
「問答無用!先手必勝よ!」
「誤解ですわ!シーリスねえさ……あぎゃ!ごぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
「フフフ、相変わらず仲の良い姉妹ですね」
「ナルディア……この状況がそう見えるのなら、眼科に行くことをお薦めするわ」
「おぐ!おぐぐぐぐ!おぐぅぅぅぅぅ〜!」
「へぇ?レイリアも体が柔らかくなったものね。人間あそこまで身体が反るんだ」
「本当ですね。身体が柔らかいことはいいことですからね」
「……ナルディア、アンタってそんな天然キャラだったっけ?」
そこぉ!和んでないでシーリス姉さまを止めてぇ!死ぬ!レイリアは死んでしまいますわ!
背骨を折られて死ぬのはイヤなんですわ!け、健一様ぁ〜!レイリアは、レイリアはぁぁぁ〜!
……げふ!
「こら、いつまでメソメソしてんのよ。体が柔らかくなってよかったじゃないの」
「ひ、酷すぎですわ!レイリアは死んじゃうかと思いましたわ!」
ソファーに寝転がり、腰を摩る。さすがにシーリス姉さまとはいえ、やりすぎですわ!
「あはははは、人間そう簡単には死なないって!お互いマヤのお説教で体感済みでしょ?」
「……あんなお説教、もう二度と体感したくないですわ」
シーリス姉さまの口から出た『マヤ』という言葉。その言葉を聞いただけで、体中に寒気が走
りますわ!
「……同感ね。あれはお説教という名を借りた、死刑執行だからね。あぁ〜、思い出しただけで
寒気がするわ」
「わ、私は鳥肌が出てきましたわ」
ゾクゾクと体を駆け巡る寒気に、体中に鳥肌が立つ。
あぁ、健一様!この恐怖で冷え切った体を温めてくださいませ!激しく抱きしめてくださいま
せ!
今まで味わった、マヤお姉さまからの数々のお説教。
その一つ一つが脳裏を過ぎり、細胞の一つ一つが恐怖に震える。
私と同じく震えているシーリス姉さまと抱きしめあい、お互いの体温で生の感覚を実感する。
あぁ!健一様!恐怖に震えるレイリアを暖めてくださいませ!レイリアの心をその暖かいお心
で、抱きしめてくださいませ!
「あんた達、いつまでじゃれ合ってるのよ。そろそろ本題に入るわよ」
パンパンと手を叩き、姉妹の絆を引き裂くお母様。
もう!せっかく姉さまと絆を確かめ合っているのに、邪魔しないでくださいな!
「ママ、本題って何よ?何のためにアタシ達を呼び出したの?
つまんない理由だったら、生まれてくる子供、抱かせないんだからね」
抱きしめあう事に飽きたのか、私から離れ、ママと向かい合うシーリス姉さま。
あん!姉さま少しつれないですわ。でもそんなそっけない姉さまが大好きですわ!
「そういうことは子供を生んでから言うことね。今のあなたがそれを言っても、負け惜しみにしか
聞こえないわ。
で、2人に帰ってきてもらった理由なんだけど、ラインフォード家の次期当主についてよ」
「アタシはパス〜。そもそもアタシはもうラインフォードじゃないし。今のアタシは山薙性なのよ」
「私もお断りですわ。相川レイリアとなる日が待ち遠しい私としては、当主などかたっくるしい物
にはなりたくもないですわ」
ママの言葉に即答で断る姉さまと私。私達、息もぴったりですわ!
シーリス姉さまと息がぴったりだなんて……レイリアは幸せですわ!
「あんた達、少しは悩むとかしたらどうなの?ま、最初から期待はしてないからいいんだけど
ね。
今日呼びつけたのは、あんた達2人から当主を選ぶんじゃなく、時期当主の報告と、おじい様
結婚について話そうと思ってね」
「カシューおじい様が結婚?やっとナルディアを口説き落としたの?へぇ〜、ヨボヨボのくせにや
るじゃな……ぎゃん!」
シーリス姉さまが驚きの声を上げた瞬間、一陣の風が舞いましたの。
その風に巻き込まれるかのように、宙を一回転して床に叩きつけられた姉さま。
「……ホントに馬鹿な子ね」
「シ、シシシ……シーリス姉さま?だ、大丈夫ですの?」
ナルディアの足に踏まれ、ピクピクと痙攣する姉さまは、どう見ても大丈夫には見えません
わ。
「カシュー様が……ヨボヨボ?シーリスお嬢様、いつからそんな失礼な口を利くようになったん
ですか?
教育係として、ナルディアは情けないです!シーリスお嬢様!私の話を聞いているのです
か!」
ビクビクと痙攣する姉さまを片手で軽々と持ち上げ、ブンブン振り回すナルディア。
……今日はいい天気ですわね〜。こんな日は窓の外を眺め、現実逃避をするに限りますわぁ
〜。
目の前の惨劇から目を逸らし、のどかな風景を楽しむ。
外で働く使用人達は、まさかこの屋敷の中で、殺人事件が進行中とは思いもしてないと思いま
すわ。
……久しぶりにキレたナルディアを見てしまいましたわ。私じゃなくてよかったですわ。
「おい、ニース!シーリスとレイリアが帰ってきてるそうじゃないか!なんでオレに教えないんだ
よ!
って、ナルディアさん?あんたシーリスに何してん……」
「うるさい!」
ビュ!……ゴシャ!
「だっがはぁぁ〜!な、んでオレ、が?……じにだぐ、ないぃぃ……ごぼぉ」
「……ナイスタイミングね、リク。はいはい、ナルディア、それ以上したら、シーリス、ホントに死
んじゃうわよ?
結婚前に殺人犯として捕まりたいの?おじい様が悲しむわよ?」
首を片手で鷲づかみにされ、顔色が青を超え、どす黒く変色したお姉さま。
そんなお姉さまを助けようとして、一瞬でその命を散らしたお父様。
……久しぶりの対面がこんな風になるなんて、さすがはお父様ですわ。
「……は!も、申し訳ありません!カシュー様を馬鹿にされて、つい……シーリスお嬢様、大丈
夫ですか?」
自らがした行為に慌てたナルディアは、ビクビクと痙攣しているシーリス姉さまを起こすため
に、ペシペシと頬を叩く。
……いいえ、ペシペシなんかじゃありませんわ。なにか金属の棒状の物で叩いているような音
がしますわ。
その証拠に姉さまは……シーリス姉さま、死なないでくださいませ!
「あ〜、ヒドイ目にあった。久しぶりに殺されるかと思ったよ」
首を手で擦りながら、頭を軽く左右に振るお父様。
……さすがはお父様ですわね。壁に叩きつけられておきながら、平然としているなんて。
長年のラインフォード家での生活で培われた、打たれ強さですわね。
「久しぶりだな、レイリア。……と、ところでその、今日はなにしに帰って来たんだ?」
アタシの顔を見て、オドオドするお父様。
あらあら、まだ怯えているんですの?相変わらず小さい男だこと。
健一様の全てを包むような人としての大きさとは、雲泥の差ですわね。
「アタシが呼びつけたのよ。この子達にも次期当主のことを教えなきゃいけないでしょ?」
「次期当主?シーリスは嫌がってただろ?じゃあレイリアがなるのか?」
「お母様、お父様には教えてませんの?……お父様、相変わらずな扱いを受けてますわね」
さすがはお母様ですわね。無能なお父様を無視して話を進めるとは。
「次期当主はオルソンよ。おじい様とナルディアを結婚させて、オルソンを当主にするの。
これであの2人も夫婦になれるし、跡継ぎも出来る。一石二鳥ね」
「へぇ〜、ナルディアさん、やっと結婚する気になったのか。で、そのナルディアさんはどこ行っ
たんだ?」
「動かなくなったシーリスの看病をしてるわ」
目を伏せて、ぼそりと呟くように話すお母様。シーリス姉さま、大丈夫かしら?
いくらマヤお姉さまのお仕置きで鍛えられているといっても、ナルディアの馬鹿力をまともに喰
らってしまっては……
シーリス姉さま!死なないでくださいませ!
「シーリス、死んでないだろうな?ところで相手のカシュー様は?」
「オルソンと一緒に社交界に出てもらったわ。オルソンが次期当主にふさわしくなるように教育
してもらってるの」
だからカシューおじい様はいませんのね。
ナルディアのような怪力化け物を妻にするような、お間抜けな顔を見てみたかったですけど、ま
ぁいいですわ。
「なるほど。お前が教育したらとんでもないことになりそうだからな」
「これからとんでもない目にお遭いになるのは、お父様ですわ」
「はぁ?オレが?それはどういう意味だ?」
私の言葉に首を傾げるお父様を無視し、日本から持って来た小瓶をお母様に渡す。
「お母様、そろそろ本題に入りませんこと?これで手を打っていただけませんか?」
「……手を打つ?レイリア、あなたいったい何を言っているの?」
「お母様、ヘタな演技はしなくてもいいですわ。
力ずくで健一様の周りに蠢いているメス豚どもを排除してもいいんですけど、
そうするとお母様のメンツが丸つぶれになっちゃいますわ。
ですからこれで、お互い恨みっこナシの和解をするということで」
私が差し出した小瓶に入った薬を一粒取り出し、お父様へ差し出す。
「リク、飲みなさい」
「え?いやいやいや!いきなり飲めと言われても訳が分からんぞ?
そもそもお前らいったい何の話をしているんだ?オレにも分かるように話してくれよ」
あらあら……自ら地雷原に飛び込んでくるとは、さすがはお父様ですわね。
間抜けなことこの上ありませんわ。
「……レイリアがこっちにいる間に健一君を襲い、妊娠するように命令をした女共を引き上げさ
せて欲しいと頼んできたのよ。
この妖しげな薬で手を打ってくれってね。……レイリア、さすがね。よく気がついたわね」
自らの愚策を見破られ、笑みを浮かべるお母様。
ふふふふ、あのような愚かな策を練るなんて、お母様も年老いましたわね。
「はぁ?ニース、お前正気か?お前は娘の結婚相手に何てことするつもりだったんだよ!」
「自らの父親に、美人局を仕掛けるような悪い娘には、お仕置きが必要なのよ。
……その美人局に引っかかるような、馬鹿な旦那にもね!」
「……レ、レイリア?お前、ニースにバラしたのか?裏切ったのか!」
「あらあら……お父様、気がついていませんでしたの?
お母様にはその日のうちに知られてましたわよ。今まで気付かれてないと思っていたなんて…
…とんだピエロですわね」
私がまだ幼い頃に仕掛けた幼稚な罠。
その当時、個人で探偵をしていた榊響子さんを雇い、お父様に睡眠薬を飲ませて昏睡させ、
ベッドの上でお父様と2人で裸の写真を撮らせましたの。
昔からよくある古典的な手に引っかかったお馬鹿なお父様。
美人局という幼稚な罠に引っかかり、たくさんのお金で写真を買い取ってくれたホントにお馬鹿
なお父様。
あれだけのお金を動かしたんですのよ?ほうっておいても耳に入ってきますわ。
今までお母様に泳がされていたことも知らずに、知られていないと思い込んでいるなんて……
ホントにお馬鹿で愚かなお父様。
「リィクゥ?……長かったわよぉ?アタシはね、ずっとこの時を待ってたの。レイリアが結婚する
時をね。
金で雇った女にレイリアの結婚相手の子供を妊娠させ、破局させる。
これがアタシをコケにした罰よ。もちろん浮気したリクにも罰は与えるけどね?」
「ということですわ。お父様、せいぜいいい声でお泣きになってくださいませね?」
ガタガタと震えだし、逃げ道を探すお父様。
ホントにお馬鹿で愚かで、救い様のないお父様ですこと。
お母様は、こんな男のどこがよかったのかしら?
「ニ、ニニニ、ニース、あれはだな、その、なんだ……もう昔のことじゃないか!」
「……で、レイリア。このビンに入った薬はいったいなんなの?
もしかしてリクが苦しまずにポックリといくような、薬なのかしら?
……残念だけど、苦しんで、もがいてもらわなきゃ気がすまないのよねぇ」
小瓶から出した薬を手の平の上でコロコロと遊ばせながら、お父様に残酷な笑みを向ける。
その笑みを見て尋常じゃない汗を掻くお父様。ふん、自業自得ですわ。
「そっちの薬がよかったんですの?ではそっち系の薬は次回お持ちしますわね。
今回のお薬は……超強力な精力剤ですわ」
「……精力剤?」
精力剤と聞き、ピクリと反応するお母様。
ふふふふ、調べ上げていますわよ?最近お父様に元気がなく、月に2、3回しか愛してもらえて
いないと。
「ふ、ふ〜ん……精力剤ねぇ。こんなものでアタシの怒りを納めようなんて、安易な考えね。
レイリア、あなたには失望したわ」
「……俊お兄様が獣になり、シーリス姉さまが失神するような強力な薬、とだけ言わせていただ
きますわね」
またピクリと反応し、今度は手の平で遊ばせていた薬を凝視する。
ゴクリとツバを飲み込んだのを、見逃しませんでしたわよ?
「へ、へぇぇ〜、あの俊くんがねぇ」
余裕のある口ぶりで話すお母様。でもその視線は薬とお父様とを行ったり来たりしています
わ。
あのお優しい俊お兄様が獣になると聞いて、ビックリしてるみたいですわ。ふふふふ、あと一息
で落ちますわね。
「姉さま曰く、一晩に覚えているだけで7回も出されたそうですわ。気を失ってからも何度も何度
も求められたと……」
「リク!今すぐ飲みなさい!拒否することは許さないわ!」
「ええ?そんな得体の知れない薬を飲んで大丈夫なのかよ?ホントに毒とかじゃないだろう
な?」
「いいから飲みなさい!今すぐ!早く!さっさと飲むの!」
お父様に飛び掛るように襲い掛かり、無理やり口の中に薬をねじ込むお母様。
あらあら……まるで盛りのついたメスネコですわ。……惨めですわね。
「で、どうなのよ?ムラムラしてきた?」
「げは!ごほ!お、お前なぁ、無理やり飲ませるにしても、程があるだろうが!」
「どうなのよ!えっちしたくなってきたの?どうなのよ!」
「お母様、もうしばらくしたら効き目が出てきますわ。
効き目が出てくると、それはもう餓えた野獣のように襲い掛かってくるそうなんですの。
ですから、あらかじめベッドに入っていることをお薦めしますわ」
「リク!寝室へ行くわよ!」
「おいニース、まだ昼間だぞ?っていうか、この薬、ホントに効くかどうかも妖しい……」
「いいから行くわよ!さっさとついて来なさい!」
お父様の手を握り、ドタバタと寝室へ急いで向かうお母様。
ふ、ふふふふふ……ちょろいものですわ!これでお母様もこの薬の虜ですわ!
お母様にさし上げた薬は20錠ばかり。20錠程だと、きっと3ヶ月ももちませんわ。
ふふふふ、薬がなくなればこの私に泣きついてくるに決まってますわ。
お母様が私に泣きついてくる……考えただけでも愉快ですわ!滑稽ですわ!
やはりお馬鹿なお父様を好きになるだけあって、お母様もお馬鹿ですわ!
けどそう簡単にはさしあげませんわよ?健一様に毒牙をかけようとした報いですわ!
薬がなくなり、悶々とした日々を過ごすがいいですわ!
(とんでもないことになってしまった……まさかニースに知られていたとはな)
レイリアがまだこっちに住んでいるころに仕掛けられた罠。
あんな美人に誘われたら断われないって!……有り金全て取られちゃったし。
もう時効じゃないのか?そうだよ、昔の話だし、笑って許してくれないかな?
ベッドに座り、オレを見上げるニースに問いかける。
「な、なぁニース。レイリアにやられたのは昔の話だし、時効じゃないのかな?」
「……先にお仕置きしたほうがいいのかしらね?でも先にしたら動けなくなるし……リクはどっ
ちがいい?」
「……夫婦の愛はないのかよ」
ニッコリと微笑むニースの背後に黒いオーラが見えるようだ。
……やべぇ、コイツ、怒り心頭だよ。どうやって誤魔化せばいいんだ?
「ところでリク、レイリアに巻き上げられたお金、どうやって稼いだの?
てっきりラインフォード家のお金を使ったのかと思ってたら、リクの個人資産だったじゃない。
よくあんなにも貯め込んでたわね。ちょっと見直したわよ」
レイリアに巻き上げられた金の出所を探ってるのか、珍しくオレを褒めるニース。
あの頃は確実に稼げる方法があったから、稼いでたんだよな。
……金を持ってたらまた罠を仕掛けられるかもと恐ろしくなってもうやってないんだけどな。
「簡単だよ。確実に上がる株とかを買ってたんだ。で、儲けが出たら売っただけだよ」
「確実に上がる?リク、ラインフォードの名前を使って裏で何かやったんじゃないでしょうね!
もしそんなことをしてたら、お仕置きどことじゃ済まないわよ!」
「違う違う!オレの情報の仕入先は……お前だよ、ニース」
「え?アタシ?嘘おっしゃい!リクにそんな話、したことないわよ!」
多分ニースは知らない、というか、気づいてないんだろうな。我ながら汚い手を使って聞いて
たもんなぁ。
「いや、お前が教えてくれたんだよ。……ベッドの上でさ」
「はぁ?ベッドの上?それってどういうこと?」
「答えは簡単だ、SEXの時にお前を焦らしまくってやったんだ。で、泣きそうになるくらいまで焦
らして、
『これ以上焦らされたくなければ次に投資しようとしてる企業を教えろ!』って聞いたら素直に
教えてくれたぞ」
あの頃のニースは可愛かったよなぁ。ま、今でもベッドの上ではメチャクチャ可愛いんだけど
な。
「……リク、アタシを利用して稼いでたの?よくも使用人のクセにアタシを利用して稼ごうと……
わ!
リ、リク!す、凄くおっきくなってるわよ!」
「へ?……うお!いつの間に!マジででかくなってる!」
怒りに燃えるニースの顔が、驚きの表情に変わる。
その視線の先を見てみると、いきり立っているオレの下半身が。おお……こんなに勃起したの
は何年ぶりだ?
すげぇ……まるで20代の、いや、15,6歳の頃の元気を取り戻したようだぜ!
そんなオレの勇姿にトロンとした目でオレを見つめるニース。
最近ご無沙汰してたからな、今日は昔のようにヒィヒィ言わせてやる!
……そうか、この手があったか!上手くやればお仕置きはナシにできるな!
「ねぇリクゥ、ねぇってばぁ」
いきり立つオレの下半身と、オレの顔を交互に見て、甘えるような声をあげるニース。
今すぐ押し倒し、ハメ倒したいところだが、ここはグッと我慢……はぁはぁはぁ、が、我慢なんか
出来るかぁぁぁ〜!
「ニ〜ス〜!ヤラせろや〜!」
「きゃ!ちょっとリク!久しぶりなんだからもっとムードを出して……ひゃん!」
ベッドに座るニースに飛び掛り、その身体を覆う衣服を剥ぎ取る。
ええい面倒くせぇ!もうこのまま入れてやれ!
「ちょっとリク!アンタ興奮しすぎよ!もっと優しく……ひゃあ!バ、バカ!アタシ、まだ準備出
来てないってば!」
「はぁはぁはぁ準備だぁ?んなもん知るか!さっさとヤラせろやぁ〜!」
「な、なによ、これ!ホントに獣じゃないの!あの薬、効果ありす……んん、あああ!」
レイリアの薬のせいか、興奮して理性の箍が外れ、ニースの下着を剥ぎ取り、そのまま一気
に突き入れる!
濡れてないそこは、オレの侵入を拒むように抵抗し、その抵抗感がオレの興奮をさらに高め
た。
「い、痛い!リク、痛いよぉ!お願い、抜いてぇ〜!痛い、痛いぃぃ〜!」
「なぁにが痛いじゃ!そのうちいつのもようにアンアン喘ぎだすんだろうが!」
痛いと涙を零しながら叫ぶニースを無視し、ひたすらに腰を振る。
ぶつけるように腰を振り続けていると、グチュグチュと音が変わりだし、その音と共に、ニース
の声が変わりだした。
「ん、ん、んん!あ、あん!リ、リク、奥に、奥に当ってるぅ!熱い!リクのが熱いよぉ!」
「はぁはぁはぁ、どうだ?気持ちいいか?いきなりハメられて、気持ちいいのかよ!」
グチュグチュと腰をぶつけ、時折ニースの胸に噛み付く。
胸を噛む度に背中を逸らし、腰をぶつけ、犯す度に泣きそうな声をあげる。
そのニースの一つ一つの反応がさらにオレを興奮させ、腰を打ちつける速度を加速させる。
「ヒィ!激し、激しすぎるよぉ!壊れるぅ!リク、アタシ壊れちゃうよぉ〜!」
「壊れろや!お前のようなエロい女はさっさと壊れちまえ!オラ!中出しいくぞ!お前の奥に出
すからな!」
「やぁ!ダメェ〜!中はダメ!出来ちゃう!子供が出来ちゃうからぁ!
や、いやぁぁぁ〜!あ、熱い!熱いよぉぉ〜!あ、んあああああ〜〜!」
身体全体をぶつけるように激しく腰を振り、そのままニースの一番奥に突き刺し、ドクドクと熱
い精液を注ぎ込む。
「う、ぐおおぉぉ……う、ぐぅぅ、ん!んん!」
一滴残さず注ぎ込むように腰を振り、ニースに全てを受け取らせる。
中はダメといいながら、オレの腰に足を絡め、一滴残さず受け止めようとするニース。
ビクビクと痙攣しながらオレの性を受けるニースを見ていたら……薬の効果、すげぇな!
「あ、あぁぁ……中で、リクがビクビクって、あふぅぅ……久しぶりに、イっちゃったぁ」
久しぶりの激しいSEXで満足したのか、ニッコリと笑みを見せる。そうか、満足したのか……
オレは全然足りねぇっての!
「はぁはぁはぁ……次はバックでするぞ!オラ、さっさと四つんばいになれや!」
「え、もう?ちょっと休憩させて。気持ちよすぎて、身体が動かないの」
「動かないだぁ?ならそのまましとけ!勝手にヤルからよ!」
「ふぇ?あ、んん!や、やだぁ!イったばかりだからぁ!無理なの!お願い、もう止めてぇ〜!
いやぁぁぁ〜!」
レイリアから貰った薬は、とんでもないものだな!
オレの歳で、抜かずに2発目にいけるんだからな!ニース、今日は体中穴だらけになるまで犯
し続けてやるぜ!
「ふぅ〜……ニース、お前も何か飲むか?」
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、乾いた喉を潤す。
ベッドでビクビクと痙攣しているニースに何か飲むかと問いかけるも、返事がない。
「おい、何か飲むかって聞いているんだ、返事くらいしろよ」
「あ、あん……ん、あぁん」
激しく責めすぎて、イキすぎたのか、時折喘ぎ声を上げ、体をビクビクと痙攣させる。
そんなニースを見ていたら……やべえ、2回も出したのに、まだやり足りねぇ!
「なぁニース。もう一回いいか?……いいよな?」
「ダ、ダメぇ、もうアタシ、限界ぃ〜。アンタ張り切りすぎよ」
ベッドに寝転がったまま、だるそうに手を振るニース。
抜かずに2回戦はさすがに張り切りすぎたか?……あと2回くらいは出来そうなんだけどな。
……おっと忘れてた、そろそろニースをヒィヒィ言わせてお仕置きをナシにしてもらわなきゃ
な!
「なぁニース、レイリアに嵌められたことなんだけど、もう昔の事だしさ、許してくれない?」
「はぁ、ん……ダメね、許すわけないでしょ?アンタはアタシというものがありながら、浮気をし
たのよ」
激しくイッたため朦朧としていたニースだが、オレが話を持っていくと、急に素面に戻り、睨み
つけるようにオレを見る。
こ、こえぇ〜、怒り心頭じゃねぇか。こりゃ恐ろしいお仕置きが待ってそうだな。
「アタシがいるのに浮気なんか考えて……絶対に許せないわ!SEXしたいのならアタシとすれ
ばよかったじゃないの!
それをあんな雇われ女としようとするなんて……何も出来ずにお金を巻き上げられていい気味
よ!」
「だ、だってさ、あの頃のお前は忙しくて、あまりSEX出来なかった……ニースとSEXすればい
い?」
……なるほど、この手があったか!ニースぅ〜……今夜は許してくれるまで寝むれねぇぜ?
頬を赤く染め、怒り心頭なニースの頬を両手でそっと包み、目をじっと見つめ、囁くように語り
掛ける。
「なぁニース。SEXしたくなったらお前としていいんだな?」
「え?そ、そりゃアタシ達、戸籍上は夫婦なんだし……その、ア、アタシも、その……イヤって訳
じゃないし……」
急に真剣な顔で語りだしたオレに驚きながらも、見つめられるのが恥ずかしいのか、視線を
逸らすニース。
ゴニョゴニョと口ごもり、呟くようにイヤじゃないと言うその仕草は、可愛くって仕方がない!
お前もいい年なのに、こういうところは変わらないな。
「そっか……したくなったらお前とすればいいのか。じゃ、やるか!」
「イヤというか、その、時々はしてほしいというか……その、週一回は抱いてほしいというか…
…え?やるかってなにを?」
「SEXに決まってんだろ?ほら、お前が無理やり飲ませた薬のせいで、まだ痛いくらいに立って
るんだぜ?
責任とってもらわなきゃな?したくなったらしてもいいとお許しも出た事だし、今日はヤリまくりだ
ぜ!」
「え?ええ?だってもう2回もしたじゃない!アタシはもう無理!ヒリヒリして痛いの!」
「痛いのか?なら尻でヤラせろや!オレは全然ヤリ足りないんだよ!」
両手をブンブンと振り回し、無駄な抵抗をするニースを押し倒す。
そして、無理やりうつぶせにし、そのままお尻に薬の効果で立ったままの股間を押し当てる。
「あ……お尻に、リクのが当たってる……凄い、2回もしたのに、まだこんなに熱く、硬いなんて
……」
尻に当てたとたんに、大人しくなり、むしろオレを受け入れるかのように、小さな尻をオレに押
し当ててくる。
はははは、ニースも餓えてたんだな。なら今日は満足させてやるよ!
「浮気を許してくれるまで、ヤリ続けるからな。お前が何度失神してもたたき起こし、犯し続け
る。
お前が許してくれないから悪いんだぜ?薬を飲ませた自分を恨むんだな」
「んな?だ、誰が許すもんですか!アンタが浮気をしようとしたおかげで、アタシがどれだけ傷
ついたか!
絶対に許さな……ふあ!あ、や、んんん〜!あ、熱い!お尻、熱いよぉ〜!」
うつ伏せに押し倒したニースを抱きかかえ、無理やり四つんばいにする。
四つんばいにした瞬間に、ニースの尻の中心にある、小さな入り口にいきり立ったオレの股間
をねじ込む!
「どうだ?こっちには久しぶりに入れてやったぞ?にしてはずいぶんとスムーズに入ったなぁ?
お前、一人でこっちの穴を使い、オナニーしてただろ?」
「あ、あ、んん!ふぁ、ヤ、言わないで……リクが、リクがしてくれないから、んん!仕方なくして
たんだからね」
あまり抵抗を受けず、すんなりとオレを受け入れた後ろの穴。
最近はあまり相手をしてなかった為か、自分でしてたのか。……ニースよ、こっちの穴でするっ
てはどうなんだ?
素朴な疑問は置いておいて、寂しい思いをさせていたニースを満足させる為、腰を振り続け
る。
パンパンと腰をぶつけ、ニースの腸壁をえぐり、擦り付ける。
腰を打ちつけるたび、頭を振り乱し、シーツをギュッと握り締め、甘い喘ぎ声を上げる。
「ん、んんん!ヤ、ヤダ、すごいよぉ〜!お尻、熱い!リクが熱い!アタシ、アタシもう〜!」
「どうだ、ニース?気持ちいいか?」
「い、いい!リク!気持ちいい!すごい!焼けそう!お尻が、熱くてぇ!」
パンパンと打ち続け、時折、股間の小さな突起を弄ってやる。
愛液で塗れたそこは、小さく尖っており、指を愛液に塗れさせ、弄ってやると、身体全体を震わ
せて、泣きそうな声をあげた。
「リクぅ〜、リクぅ〜……キスしてぇ、顔を見せてよぉ」
アンアンと喘ぎながらキスをしてほしいという可愛いお願いに、いきり立つ下半身を一度尻か
ら引き抜き、
後ろから攻めるのを止め、ニースを正面からギュッと抱きしめる。
「ニース……オレ、やっぱりお前が好きだわ。可愛いお前を見てたら再確認できた」
「リ、リクぅ……ア、アタシも、アタシもリクが好き、愛してるの!」
オレが囁いた愛の言葉に、目を潤ませて、涙声で愛の言葉を口に出し、首筋にギュッと強く
抱きついてきたニース。
そんな涙声のニースの頭を優しく撫でて、軽く耳たぶを噛み、囁く。
「ゴメンな?愛するお前に寂しい思いをさせて。……ホントにゴメン」
ギュッと強く抱きしめ、優しく頭を撫でながら囁く。
「リク……ゴメンね。当主の仕事ばかり優先させちゃって、リクと2人の時間をあまり取れなく
て。
……嫌わないでね?アタシ、リクが側にいてくれるから頑張ってこれたんだから。ずっと、ずっ
と側にいてね?
グス、アタシから離れないで……ひっく、アタシを、嫌いにならないでぇ〜!」
「ニース……離れたりするもんか!さっきも言っただろ?オレはお前が好きだって」
「リク……」
「そして、これから何度でも言ってやるさ!お前を、ニースを愛してるってな」
「ひっ、リ、リクぅ〜!」
オレの愛の囁きに感動したのか泣きじゃくるニース。
この年になってこんな恥ずかしいことを言わされるなんて、ちょっと照れるな。……今がチャン
スだな。
「ニース……お互いに今までさ、いい事も悪いことも、色んなことをしてきたよな?
でもさ、その全てを水に流してさ……これからは2人の時間を大事にしていこうぜ」
優しく頭を撫で、額にキスを落としながら囁く。
ニースはオレの甘い囁きに、ウットリとした目でオレを見つめ、コクリと頷く。
「……うん。ゴメンね?今までいろんな酷いことをしてきて。リクぅ、好きなの、愛してるの!」
「ニース……オレも愛してる。今日のお前はいつもにも増して、メチャクチャ素直で可愛いな。
……我慢できねぇよ。さっきの続き、いいだろ?」
オレの身体の下に組み敷かれ、オレを見つめるニースの手を下半身に持っていく。
先ほどまで散々尻を突き上げていたそれは、まだいきり立ったままで、熱く、硬くなったままだ
った。
「あ、ん……リクぅ、いっぱいしてぇ。お尻、壊れちゃってもいいから、リクをたくさん刻み込ん
で。
アタシにリクを注ぎ込んで!リクぅ、リクぅ……」
潤んだ瞳でオレを見つめ、その手に持ったいきり立つ下半身を自らのお尻に持っていく。
そして、その小さな入口に当てると、ニコリと微笑み、オレに口付けをしてきた。
「ん、じゃあ入れるぞ?今日は薬のせいで、お前を犯しまくりたいんだ。無理させると思うけど、
ゴメンな?」
「あん……もう、今まで散々無理させてたじゃないの。何を今さら、よ。ねぇ、もう一度愛してるっ
て言って?」
「あぁ、何度でも言ってやるさ」
小さな穴に当てられた下半身を、ねじ込むように腰を押し進める。
「あ、ああ!」
「ニース……愛してるよ」
「リ、クぅ……イク、ア、アタシ、もう、リク、リクぅ〜!」
ニースの後ろの小さな穴が、オレの下半身を飲み込んだ瞬間、身体全体を震わせ、歓喜の
声をあげる。
ギュギュギュ!とまるでオレが入ってきたことを喜んでいるかのようにキツク締め付けるニース
の小さな穴。
オレは、今夜一晩体力の持つ限りその感触を楽しもうと腰を振り続けることにした。
……浮気がばれたことを水に流すことにも成功したしな。薬のおかげで久しぶりに元気なん
だ、ヤリまくってやるぜ!
「で、お母様。昨日はどうでしたか?お楽しみになりまして?」
うふふふふ、お尻をかばうようなヘンな歩き方をされているお母様。
聞くまでもなく、薬で野獣になったお父様に犯されまくりましたわね?
うふふふふふふ……薬の効果を身を持って知っちゃいましたわね?これでもう、この薬が手放
せないはずですわ!
あっははははははは!ついにお母様もこのレイリアの下僕となる時が来たんですわ!
薬が欲しい為に、娘の言うことを何でも聞く母親……下僕以外の何物でもありませんわ!
「……ま、あの薬に免じて、健一君からは手を引くわ」
「では和解完了ということでよろしいですわね?」
「そうね、アタシからは健一君には何も仕掛けないわ。で、この薬なんだけど……」
ほら、早速追加の催促ですわ。けどそう簡単にはさし上げませんわよ?
惨めに娘に頭を下げ、物乞いのように懇願するがいいですわ!
「なくなったらナルディアを日本に送り、取りに行かせるから」
「……へ?な、何故に?ナルディア?」
「だってアンタ達の生活態度、気になるじゃない?
ちょうどいい機会だから、ナルディアにチェックがてら貰って来て貰うことにするわ」
んな?ナ、ナルディアが来る?そ、そんな事は許しませんわ!
ナルディアに来られたら、姉さまみたいに……ひぃ!死ぬのはイヤですわ!
「ヤ、イヤですわ!姉さまみたいに死ぬのはイヤ……きゃん!」
「勝手に殺すな!」
無残にも撲殺されたシーリス姉さまの姿を思い出し、恐怖に身を震わせてたら、後頭部を叩
かれましたの。
……誰ですの?このレイリアを叩く愚かで愚鈍でどうしようもない愚図は!って、シーリス姉さ
ま?
「ね、姉さま!生きていてくださったのですね?レイリアはてっきり死んだとばかり……ひっく、
姉さまぁ〜!」
「はいはい、泣かないの。そう簡単に死なないわよ。
で、なんでナルディアが日本に来ることになってるの?ねぇママ、なんでなの?」
「レイリアがね、シーリスも使ってるという強力な精力剤をくれたのよ。
で、それがなくなったらアンタ達の生活態度のチェックも兼ねて、ナルディアに日本に取りに行
かせようかなってね」
「レイリア!アンタ定期的に薬を送りなさい!分かったわね!」
「わ、わが!わがりまじだ!わがじまじだがら、ぐびをじめないでぇ〜!」
死の淵から生還したばかりの姉さまは、
その淵から姉さまを叩き落そうとした相手が日本に来るかもしれないと知り、慌てて私の首を
絞めましたの。
……あぁ、今度は私が死の淵から落とされてしまいそうですわ。
そんな私たちを見て、笑みを浮かべるお母様。
きぃぃぃぃ〜!やられましたわ!やられちゃいましたわ!
お母様、私が素直に薬をさし上げないと思い、ナルディアの名前を利用してシーリス姉さまを操
ったんですわね!
さすがはお母様ですわ……一筋縄じゃいきませんわね。
ま、そう慌てずともいいですわ。そのうち下僕にしてさし上げますわ!
「ところでレイリア。あなたも結婚したら専業主婦になるつもり?
シーリスみたいに桃子ちゃんの部屋に入り浸るつもりなの?」
姉さまとの姉妹のスキンシップが終り、涙目になりながら赤い痣のついた首を擦っていると、
お母様が結婚後のことを聞いてきましたの。
シーリス姉さま、スキンシップにも程がありますわ!
「ちょっと!入り浸ってるって言わないでよ!時々遊びに行ってるだけよ」
「でもマヤちゃんと2人で、いつも桃子ちゃんの部屋に遊びに行っているんでしょ?
それを入り浸りと言うのよ。あまり邪魔しちゃだめよ?」
「もう!分かってるわよ!……でもね、そのマヤも働き出すって言ってるのよね。
誠君を桃子のところに預けて働き出すって言ってるのよ。
江口さんも喜んで預かるぞって言ってるし……ちょっと寂しいわよね」
マヤお姉さまが働き出すと知って、少し寂しそうな顔を見せる姉さま。
……そうですわね、私も健一様との愛の結晶が生まれたら桃子お姉さまの部屋に預けて、
江口おじさまに子守をお願いしようかしら?
江口おじさま、専業主夫で子供大好きですから喜んで預かってくれそうですわね。
「ふ〜ん、マヤちゃんも働くのね。ま、あの子はアンタ達と違って常識があるからどこででも働け
るわね。
で、レイリアはどうするの?シーリスみたいに桃子ちゃんの部屋に入り浸る気かしら?」
「はぁ?私はそんな暇なことしませんわ。私は健一様と同じ職場で働きますの。
保険医として健一様の健康管理に努めますの。
誰もいない放課後の保健室。いいえ、誰もいないのではなく、そこには愛し合う私と健一様が
いるんですわ。
愛し合う2人が保健室という密室で見つめ合う。見つめ合う2人の距離は縮まっていき……そ
して、ゼロになるんですわ!
……あぁ!神聖なる職場なのに、私を激しく犯す健一様!とても逞しいですわ!勇ましいです
わ!」
「……妄想も程ほどにしときなさいね?でもレイリア、アンタ年齢的に保険医なんてなれないで
しょ?」
「それは大丈夫ですわ。響子さんの助手として働きますの。響子さんには保険医として働いても
らいますわ。
で、その助手として、私が働きますの。すでに全ての手続きは終わってますわ。
この私にぬかりはありませんの。誰も健一様との燃えるような愛を邪魔することは出来ません
のよ!」
そう、卒業後は健一様と同じ職場で働きますの。
通っていた学校というのが新鮮味がありませんけど、白衣を身に纏い、健一様を魅了してさし
上げますわ!
「……暇で悪かったわね!入り浸ってて悪かったわねぇ!」
お母様に勝ち誇っていると、鬼のような形相をしたシーリス姉さまが指をポキポキ鳴らしなが
ら睨んできましたの。
ひぃ!今日の姉さま、ちょっと短気ですわ!短気な姉さま、とてもカッコイイですわ!
「や、ちが、姉さま、言葉のアヤですわ!」
「ところでレイリア。この薬、凄い効き目なのは体で分かったけど、副作用とかはないのかし
ら?」
今にも襲い掛かろうとする姉さまを制し、さし上げた精力剤について質問をしてきたお母様。
ナイスタイミングですわ!さすがはお母様ですわね、褒めてさし上げますわ!
「副作用なんてありませんわ。既に長尾と俊お兄様で証明済みですわ。
2人とも薬を飲んだ次の日もピンピンしていましたわね。ですからこの薬を飲んでも副作用はな
く、安心ですわ」
「……ホント、バカな子ね。こんなバカな子が我が娘だとは頭が痛くなるわ」
……はぁ?この私が、バカ?
ふ、ふふふふふふ……お母様、ケンカを売っているんですの?ケンカならいつでも買いますわ
よ!
「お母様、今の言葉はこの私にケンカを売っていると捉えてよろしいんですわね?」
怒りを押さえ、ニッコリと微笑みお母様に問いかける。
お母様は何故か残念そうな顔をして頭を左右に振り、とある方向を指差した。
それはいったい何のパフォーマンスですの?
そう思い指が指し示す方向を見てみると……シーリス姉さまが悪魔のような形相で私を睨んで
ましたの。
「ね、ねねね、姉さま?そんな怖いお顔をしてはいけませんわ。せっかくの美しいお顔が……」
「レ・イ・リ・ア?……アンタ、俊を実験台にしたわね?アタシの俊を薬の実験台にして、副作用
があるか試したわね?」
ゆっくりと立ち上がる姉さま。
そのゆっくりとした動作に、恐怖を覚えた私は、逃げようとするも足がすくみ、動けませんでした
の。
「レ・イ・リ・ア?……死になさい!」
「ゴ、ゴメ、姉さま、ゆるじで……ひぃ!あぎゃぎゃぎゃぎゃ〜!」
「あらあら……首って180度近く回るのね。レイリアは身体が柔らかくていいわねぇ」
「じぬ!じんでじまうぅぅぅぅぅ〜!ごめんなざいぃぃ〜!レイリアがわるがったでずぅぅぅ〜!」
「謝って済む問題じゃないわよ!天誅〜!」
「あぉぐ!……け、けんいち、ざま……おさきに、いっで、まっでま、ず……かふ!」
意識が白い海の中に消え逝くとき、その白い雲の向こうで健一様が微笑んでいるのが見えま
したわ。
健一様、レイリアを迎えに来てくださったんですわね?
そんなお優しい健一様、大好きですわ!……げふ!
「はは、2人が帰ると、少し寂しく感じるな。やっぱ騒がしいのが一番だな」
「ふふふ、そうね。久しぶりにこの屋敷も賑やかになって楽しかったわね」
気絶したレイリアを背負ったまま、リムジンに乗り込み帰って行ったシーリス。
ま、久しぶりに会った親子の別れにしては少し変だけど、アタシ達親子にしたらこれが普通でし
ょ?
「ねぇ、リク。ちょっとお使い頼まれてくれない?」
シーリスとレイリアを見送った後に、リクに頼みごとをする。
引き出しにしまっていた例の封筒を取り出してリクに渡す。
あて先は書いているし、中身も確認した。後はこれをあの子に届けるだけ。
フフフフフ……約束通り、健一君からは手を引くわ。……『健一君からは』ね。
「お使い?別にいいけど、何をすればいいんだ?」
「この封筒を日本へ送ってほしいの。あて先は既に書いてあるわ」
「これか?どれどれ……マヤちゃんに送ればいいんだな?おっし、じゃあ早速行ってくるわ」
分厚い報告書と、マヤちゃんへ斡旋する就職先の書類の入った封筒を受け取り、部屋を出
ようとするリク。
ドアノブに手をかけたリクは、何かを思い出したかのように、またアタシの前に駆け寄ってき
た。
「ん?どうしたの?リク、何か用でもあるのかしら?」
「ニース……愛してるよ」
「んな?きゅ、急に何を言い出すのよ!アンタ、熱でもあるんじゃない……ん」
チュ……唇に触れるだけの優しいキス。不意をついての優しいキス。
そのキスがアタシの思考を停止させ、頭の中をグルグルとかき回した。
「ははは、じゃ、行ってくるよ。キスの続きは帰ってきてからな?
さすがに今日はSEX出来そうにないけど、2人でゆっくりと過ごそうや」
その優しくて、とても温かい不意をついてのキスで蕩けたアタシを見て、笑いながら出て行くリ
ク。
……やられたわ。帰ってきたらお返しをしてあげなきゃいけないわね!
そうね……久しぶりに手料理でも作ってあげようかしらね?
ママから教わった、リクの実家、藤原家の味のお味噌汁をね。
っと、忘れてたわ。味噌汁を作る前に……あの子に電話をしなきゃいけないわ。
慌てて電話を手に取り、あの子へと電話をかける。
残念だったわね、レイリア。あなたへの復讐の策の本命はこっちよ。
あなたが潰したと思い込み、喜んでいるのはダミーよ。
ふふふふ、今頃勝ち誇っているのかしら?滑稽ね、レイリア、あなたはまるでピエロだわ。
『はい、佐伯ですが?』
「もしもし?マヤちゃん?久しぶりね、ニースよ。ニースおばさんよ」
電話越しに聞く懐かしい声。結婚してからは全然遊びに来てくれなくなったシーリスの友人。
『ニースおばさんですか?お久しぶりです!お元気でしたか?』
「アタシは元気よ。マヤちゃんこそ元気?誠くんは元気なのかしら?」
『ええ、私も息子も元気ですよ』
佐伯誠くん……マヤちゃんの子供。シーリスが先を越されたと地団駄踏んでたわね。
まだ写真でしか見た事がないんだけど……いつになったら連れてきてくれるのかしらね?
「急に電話してゴメンね?帰って来てたシーリスに聞いたんだけどね、あなた、就職先を探して
るそうじゃないの」
ゴメンねマヤちゃん。あなたが就職先を探してるのはずいぶんと前に知ってたの。
採用試験に受からないように工作したおばさんを許してね?でもね……あなたの就職先、用意
してあげたわよ。
「水臭いわね、何故おばさんに相談してくれなかったの?あなたと桃子ちゃんは娘のように思っ
てるんだから」
『そんな、気を使わせるようなこと、話せないですよ』
「気なんか使わなくていいわよ。普段、アタシのバカ娘達が迷惑を掛けてるんだから、お礼をさ
せてよ」
『お礼、ですか?』
ホントにゴメンね?あなたを利用するようなことを企んで。
でもね?きっとマヤちゃんも喜んでくれると思うの。
「そ、お礼よ。マヤちゃん宛てに封筒を送るから。……あなたの就職先を探してあげたの」
『ええ?おばさんが探してくれたんですか?』
「そ、苦労したわよ〜?でもね、ちょうどいい事に、あなたにぴったりの職場が見つかったの
よ!
初めての就職で不安でしょ?だから、ね?知り合いがいるところがいいかな〜って思ってね」
『え?知り合い、ですか?』
「そ、知り合いよ。学校の事務の仕事なんだけど、5月からの勤務になるわね」
『ええ?学校、ですか?あ!それってもしかして!』
「そ、相川君のいる学校よ。春からはレイリアも働くらしいのよね。
相川君とは長い付き合いでしょ?だからちょうどいいかなって思って勝手に決めちゃったんだ
けど……大丈夫かしら?」
ちょっと苦労したわよ?事務のおばさんを1人、お金を積んで早期退職させたんだからね。
『はい!ありがとうございます!あれ?レイリアちゃんが働く?ええ?それってどういうことです
か?』
「それがね、アタシもついさっき知ったんだけどね、
レイリアったら相川君と離れたくないからか知らないけど、同じ職場で働くって言い出したのよ。
で、すでに働けるように手筈を整えたって言い出してね、きっと無理やり決めちゃったんだわ。
我が娘ながら、ホントに困った子なのよね。色々と悪さもしてるようだし……調べれば調べるほ
ど頭が痛くなっちゃうわ」
『……無理やり決めた?悪さをしてる?』
電話越しにも分かる、マヤちゃんの雰囲気。
きっとシーリスとレイリアがここにいれば、電話越しでも震えて泣き出しているはずね。
そんな空気をかもし出すマヤちゃん。……この子を利用するなんて、ちょっとやりすぎたかし
ら?
ゴメンね、レイリア。……せいぜい苦しみもがきなさいな。
「ニース、例の封筒、マヤちゃんに送るように手配してきたぞ。
ん?なんか美味そうな匂いがしてきたな。もしかして、久しぶりに何か作ってくれてるのか?」
マヤちゃんとレイリアを懲らしめる方法を打ち合わせをして、久しぶりに話した娘の友人との
電話を切る。
そして、これも久しぶりになるリクの為に作る手料理に取り掛かる。
お味噌汁をコトコトを煮込んでいる時に、そのリクが帰って来たわ。
「ご苦労様。今日は特別よ?ママ直伝の藤原家特製お味噌汁を振舞ってあげるわね?」
「おお!味噌汁か!ひっさしぶりだなぁ……オレ、お前の作る味噌汁大好きなんだよな!」
アタシをやる気にさせるようなことを嬉しそうな声で話すリク。
もう!そんな事言われたら、張り切っちゃうじゃないの!
「でもな、もっと好きなものがあるんだよなぁ〜」
「ん?好きなものってなによ?アタシに作れるものなら作ってあげるわよ?」
お味噌汁の火加減を見ているアタシの背後に立ち。そっと抱きしめてくれるリク。
あん、胸、触らないでよ。そういえばリクって、お料理作ってるアタシにイタズラするの、大好き
だったわね。
「オレが大好きなもの……それはな、料理を作ってるお前を……」
うふふふふ、やっぱりイタズラしたいんだ?まぁこういうのも久しぶりだし、ちょっと位はいいか
な?
「……食べることだ。じゃ、いっただきま〜す!」
「へ?アタシを食べる?……あん!ちょっとリク!また料理の途中……やん!」
「ニース、お前はいくら食べても飽きないな!美味しいよ、ニース!」
「や、やぁん!いきなり舐めないで!ああ!指、入れちゃヤダ!」
美味しい手料理を作ってるはずが、いつの間にか美味しく食べられちゃったわ。
まだ薬の効果が続いてたんだ……ナルディアにも分けてあげなきゃね。
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