「こっひなったさん、おはよ!……ど、どうしたの?物凄く眠そうな顔をしてるよ?」
直人さんからもらったパソコンを調べて、たどり着いたチャットルーム。
……まさかあんな会話がされてるとは、思いもしませんでした。
直人さんも、あの会話の輪の中にいたんでしょうか?そ、そんな事ありませんよね?
だって直人さん、物凄く優しいし、私達にヘンな事、したことないですから。
「うわ!目が真っ赤に充血してるじゃないの。もしかして寝てないんじゃない?ほら!目薬でも
差して、スッキリしなよ」
「あ、西原さん、おはようございます。え?目薬貸してもらってもいいんですか?あ、ありがとう
ございます!」
あのヘンなチャットでの会話の中に出ていた、いくつかのキーワード。
気になったので調べてみちゃいました。インターネットってこういうときに便利ですよね?
ツインテール……これは髪を頭の両側で縛って纏めている髪形だと分かりました。
直人さん、こういう髪型が好きなんですか。……姉さん、お金を取らずにセットしてくれるかな?
メガネ……文字のままの眼鏡のことだと思います。直人さん、眼鏡をしている女性が好きな
のでしょうか?
知的に見えるのがいいのかな?……た、大変です!両目ともに視力1,5です!
眼鏡をかけれません!どうすればいいのでしょうか?
ニーソ……ニーソックスのことみたいです。検索してみたら、一番上にオーバーニーソックス
というものが出てきました。
どうやら膝上まである靴下のことをそう呼ぶみたいですね。……直人さん、靴下にこだわりでも
あるのでしょうか?
金髪……調べなくても分かっちゃいました。髪の色の事ですよね?直人さん、派手な髪の色
が好きなのでしょうか?
足コキ……………………
「小日向さん?固まっちゃってどうしたの?ね、ねぇ、瞬きしないと、目が乾くよ?ど、どうしちゃ
ったの?」
エロ動画…………………
「こ、小日向さん?ホントにどうしちゃったの?ねぇ!ねえってば!」
そ、掃除機、オ、オナ…………
「ホントに小日向さんどうしちゃった……って、息してないじゃん!ちょっと!息しなきゃ死んじゃ
うってば!」
「……ぷはぁ!はぁはぁはぁはぁ!あ、はぁはぁ、西原さん、おはようございます」
い、今一瞬、白いお花畑が見えました。とっても綺麗なお花畑でした。
学校で夢を見ちゃうなんて……寝不足です。姉さんに知られたら叱られちゃいますね。
「よかったぁ〜。小日向さん、死んじゃうのかと思ったわよ。今日は様子がメチャクチャ変よ?
何かあったの?」
「へ、変ですか?特に何か有ったという訳じゃな……」
そうです!直人さん、きっと何かがあったんです!何か辛い事があって、直人さん、グレちゃ
ったんです!
だから金髪が好きになったりしちゃってるんです!ま、不味いです!直人さん、このままじゃ不
良です。怖い人になっちゃいます!
「だからどうしたのよ?急に握りこぶし作っちゃったりして。……もしかして愛しの直人さんと何
かあったの?」
「わ、わわわわわ!直人さんは優しいんです!不良さんなんかじゃないんです!」
西原さん、凄いです!何故私が直人さんの事を考えてるか分かっちゃったんでしょうか?
……あれ?クラスメートの皆さん、何故私を見ているのでしょうか?皆さん呆れた顔をしている
のはどうしてでしょうか?
「なるほどねぇ。もらったパソコンを調べたら、愛しの直人さんのえっちなところが見えてきちゃ
ったと」
「は、はい、そうなんです。……あの優しい直人さんが、そんなことを考えてたなんて、ビックリし
ちゃって……」
お昼休み。朝早起きして作った、手作りのお弁当を広げて、西原さんとお話をします。
うぅぅ……お弁当、我ながらあまり美味しくないです。姉さんのお弁当が、懐かしく感じちゃいま
す。
西原さんに様子が変だと問い詰められて、白状しちゃいました。
は、白状したといっても、あのチャットのことは言ってませんよ?
ただ、パソコンの中に、ちょっとえっちな物が入ってたって言っただけです。
……あのチャットは、ちょっとどころじゃない気がしますけど。
「で、小日向さんはショックを受けちゃった、と。……でもね?男だったらえっちで当たり前なん
だよ?」
「そ、そうなんでしょうか?でも直人さん、今まで私たち姉妹にはそんな様子を全く見せません
でしたよ?」
直人さん、出会ってからずっと、私たちにそんな事はしませんでした。
初めて会った時も、姉さんにイヤらしい事をするどころか、美味しい御飯を食べさせてくれて、
ホテル代まで出してくれました。
そして、ホテル代どころか、あれからずっと生活費を振り込んでくれて……とても優しい直人さ
ん、大好きです。
だから……信じられないんです。優しい直人さんが、あんなヘンな人たちと話してたなんて……
信じたくないんです!
「そりゃ準さんと小日向さんが、そういう目で見られて無かったってことよ」
「え?そういう目で見られていなかった?それはいったいどういうことでしょうか?」
そういう目ってどんな目なんでしょうか?直人さんの目はとても優しい目をしています。
いつも優しい目で私たち姉妹を見つめてくれた直人さん、大好きです!
「つまりはね、準さんも小日向さんも、愛しの直人さんからすれば、性的対象外ってことよ」
「性的対象外、ですか?」
「ま、簡単に言えば、異性として見てもらってないってことね。自分の子供みたいに思われてる
んじゃないの?」
「な?んな!な、なななな?」
「だって小日向さんも準さんも、メチャクチャ美人でスタイル抜群でしょ?
そんな女の子が二人も自分を慕ってたのよ?普通の男なら間違いの一つや二つ、起こしちゃ
うわよ」
そ、そんな、子供と思われちゃってるなんて……直人さん、酷いです!
私、確かに子供っぽいところが少しはあると思いますけど、立派な女性です!女の子なんで
す!
……言い過ぎました、我ながらかなり子供っぽいところあると思います。
だからでしょうか?子供っぽいところがあるから、直人さんは私を子供みたいに思ってるのでし
ょうか?……ま、間違い?
「ま、間違いって何ですかぁ!」
「簡単言うと、セックス」
「か、簡単に言わないでください〜!」
「じゃあ子供を作るための性的行為」
「難しく言ってもダメですぅ〜!」
「まぁぶっちゃけ小日向さんに女としての魅力を感じてないのは確かね」
「そ、そんなぁ〜」
ガックリと肩を落とし、落ち込んじゃいます。
グスッ、直人さん、私に魅力を感じてくれないんでしょうか?どうすれば直人さんに女として認め
てもらえるのでしょうか?
「愛しの直人さんの女性の好みが分かればねぇ。ま、今の小日向さんは直人さんの好みじゃな
いのは確かだけどね」
「グスッ、酷いです。西原さん、物には言いようがあります!もう少し優しく言ってくれてもいいと
思います!」
「今は希望がなくても、きっと大丈夫だって!生きている限りは希望はあるってば!」
「うううう〜!優しく励ましてくれるのか酷いのか、よく分かりません〜!」
「あっはははは!ま、頑張んなよ?努力しなきゃ何も始まらないからね」
あははは、と笑いながらお弁当をパクつく西原さん。
西原さん、他人事です!相談に乗ってるフリをして、楽しんでるだけではないのでしょうか?
それにしても、私、直人さんに子供と思われちゃっているんでしょうか?
ま、マズイです!これはマズすぎなんです!どうにかして直人さんに女性としてみてもらわなき
ゃダメなんです!
でも、いったいどうすれば私を女性としてみてくれるのでしょうか?
西原さんは直人さんの好みが分かればと言っていましたが、そんなの恥ずかしくて聞けませ
ん!
どうすれば直人さんの女性の好みが分かるのでしょうか?
どなたか知っている人がいればいいのですが……あ、いるかもしれないです。
そうです、そうなんです!アソコに行けば、知っている人がいるかもしれません!
あの、チャットに行けば、直人さんの事、詳しく教えてもらえるかもしれないんです!
あのヘンなチャットに行けばきっと私の知らない直人さんのことが分かっちゃうはずなんです!
早速今日にでも行って、色々聞き出しちゃいます!
……あんなところで聞いちゃって、いいのかな?
19:50<anan> 失礼します、こんばんわ
19:50管理人 |> Agiさぬ絶賛オナ禁中!残り13日!ananさん、いらっしゃい。たくさん会話して
ね^^
勇気を振り絞って再び紳士同盟というチャットルームに入ってみたのですが……
この管理人さんは、危ない人なんでしょうか?昨日来た時もヘンな事を言ってました。
オ、オナき……イヤらしい事は言っちゃダメだと思います!
19:50<una>あああ〜!ananさぬ、昨日は酷いんじゃない?何も言わずに落ちちゃうなんて!み
んなananさぬが来て喜んでたのに!
た、大変です!昨日、ショックのあまりに何も言わずに出て言っちゃった事に怒っちゃってま
す!
ど、どうすればいいんでしょうか?怒っちゃってるのに直人さんの事、教えてくれるのでしょう
か?
19:50<una>せっかく喜んでたのに……放置プレイするなんて、やっぱりananさぬはHENTAIだ
ね^^
19:51<anan>放置プレイですか?すみません、意味がよく分かりません
19:51<una>(`・д・´)ウソハイクナイ
カ、カワイイです!可愛い顔で注意されちゃいました!このunaって人、こんな顔を書けるなん
て凄いんです!
19:51<una>ananさぬがすぐ帰っちゃった責任を取って、Agiさぬがオナ禁2週間に刑になっちゃ
たんだよ?ww
そ、そうだったんですか。私が何も言わずに帰っちゃったせいで、Agiという人に迷惑をかけて
……オナ禁?
ん、んな?なにを言い出しちゃうんですか!この人やっぱりヘンです〜!
19:51<una>最近はAgiさぬもオナ禁に慣れちゃってるからねぇ。反応が可愛くないんだよねぇ。
皆のアイドルとしての自覚がないね、Agiさぬはww
ア、アイドル?アイドルという事は女の人、なのかな?
もしかして直人さん、そのAgiという人と話をしたいからここに来ていたのでしょうか?
だとしたら、そのAgiというような人が直人さんのタイプなんでしょうか?
19:54<anan>Agiという人は、アイドルなんですか?直人さんも好きだったんでしょうか?
どんな人なんですか?背は高いのですか?それとも低いのですか?服装とか髪型とか教えて
もらえないでしょうか?
直人さんはAgiという人のどこが好きなのでしょうか?教えてもらえませんか?
19:54<una>え?えええ?ananさぬ、なに言ってるの?
19:56<anan>Agiという人はどんな性格なのでしょうか?明るい人でしょうか?それとも大人しい
人でしょうか?
直人さんはその人とどんな会話をしていたのでしょうか?教えていただけないでしょうか?
これはチャンスですよ?大チャンスなんです!
チャットルームに来てすぐにこんなチャンスが来るなんて、ビックリです!
19:57<una>えっとね、間違ってたらゴメンね?……アンタ、誰?ananさんじゃないよね?
なんでananさんの名前、語ってるの?アンタ誰よ?
……し、失敗しちゃいました〜!
ついテンションが上がっちゃって、ananって直人さんが使ってた名前で話してた事、忘れちゃっ
てました〜!
20:05<una>なるほどねぇ、それでananさぬのこと、聞きに来ちゃったんだ?
20:06<anan>はい、そうです。昨日はすみませんでした。
……色々と聞かれちゃいました。
何故私がこのチャットルームを知ったのか。何故ananという名前を名乗っているのか。
何故ananさん……直人さんのことを知りたがっているのか、を。
20:06<una>自分は貧乏して生活費を援助するなんて、やっぱりananさぬいい人だったんだねぇ
20:07<anan>え?やっぱりとはどういう意味でしょうか?
20:07<una>んん?そのままの意味だよ?ほら、チャットって顔が見えないし、匿名だからね。
なかにはメチャクチャ口の悪い人もいるわけなんだよね。いつも悪口ばかり言ったりする人と
かね。
でもね、ananさんはそういったことを言った事もないし、チャットを盛り上げようと面白い話をし
てくれたりしたしね。
ananさん、とってもいい人だよ
色々と聞かれちゃいましたけど、直人さんに親切にしてもらってるお礼がしたくて、
情報を仕入れに来ましたって言っちゃいました。
……ウソは言ってませんよ?その、す、好きな人の好みを知りたいなんて恥ずかしくて話せま
せん!
そんな私にこのチャットルームでの直人さんの様子を教えてくれたunaさん。
直人さん、ここでもいい人だったんですね。直人さんはやっぱりいい人なんです!素敵な人な
んです!
20:08<una>とくに赤い彗星理論を提唱したのにはビックリしたね。思わず唸っちゃったもんww
20:09<anan>赤い彗星理論、ですか?どういう理論なのでしょうか?
赤い彗星理論、ですか?直人さん、理論とか難しそうな事、考えていたんですか。
……さすがです、直人さん!優しくて素敵なだけでなく、理論とか難しい事も考えちゃってたん
ですね!
これはもう、物凄くカッコいいです!
20:09<una>『ツインテールにニーソ、メガネを着用した女の子の魅力は3倍になる』
20:10<una>ananさぬが今まで生きてきて悟った事らしいよww いいHENTAIでしょ?ww
……へ?
20:10<una>他にも名言いっぱいあるよ?『パンツはモロ見えだと戦力半減。チラリズムだと戦
力10倍増!』
…………ふぇ?
20:10<una>『メガネはかける為にあるんじゃない。ブッかけるためにあるんだ!!』
20:11<una>あ、ブッかけるって言うのは、ガン射の事だからねww 顔に精子をドピュドピュか
けちゃうのww
……………ふぇぇ?
20:11<una>極めつけは、『俺は絶対にこの目で見てやるぜ……HENTAIの向こう側ってヤツを
よぉ〜!』
20:11<anan>もういいdwし1!!
なにを言っているのかよく分かりませんけど、ヘンなことを言ってると言うのは分かっちゃいま
す!
このunaさんという人、ウソばかりです!ウソツキさんです!
直人さんが、あの優しくて素敵でカッコいい直人さんが、そんなこと言うわけないんです!
20:11<una>あはははは!反応がカワイイねぇ。そんなにananさぬのことが好きなんだ?ananさ
ぬのどこが好きなの?
20:11<anan>直人さんはとせもうあさしくていいひとんさんです!
20:12<una>落ち着きなさいってww
20:12<anan>直人さんは渡したししまいをたすけてくれたとてもいいひとなんでsづ1!
ひどいです!このunaっていう人、とてもひどいんです!
何故直人さんを貶めようとするんですか!そんなことをしちゃいけないんです!
……ふぇぇぇ?んな、なんで私が直人さんが好きって分かっちゃったんですか?
20:13<anan>なんでわたしがなおとsじゃんをすいきだって分かったんですか
20:14<una>( ゜Д゜)⊃旦 お茶でも飲んでもちつけww
……カ、カワイイですぅ、お茶を出してくれるなんて、とっても可愛いんです!
この人はどうしてこんなカワイイ顔を書けるのでしょうか?羨ましいです。
20:15<una>少しは落ちついたかな?
20:16<anan>はい、取り乱してすみなせんでした
20:16<una>あはははは、まだ焦ってるね(^−^)
はうぅぅ、字を書くのを失敗しちゃいました。
チャットというのは読んだり書いたり、忙しいんです。だから失敗しちゃっても仕方がないはずな
んです!
……はぁぁ〜、これは練習しなきゃいけませんね。
20:16<una>そういえば自己紹介してなかったよね?アタシはここのチャットを主催してるunaで
〜す(^-^)ノ゛
このチャット唯一の女の子で〜す(*/▽\*)イヤン
で、アナタは本当はなんて名前なの?あ、本名じゃなくて、ニックネームでいいからね?
いつまでもananさぬの名前、使ってちゃダメだよ?ananさぬが来るかもしれないからね
このunaという人、女の人なんですか?
……姉さん、世の中は広いです。私たちが想像もしないような変わった人がいるんです!
……え?直人さんが来るかもしれないんですか?そ、それはマズイと思います!
直人さんのことを調べてたなんてバレちゃったら、嫌われちゃいます!
20:17<Agi> こんばんわ
20:17管理人 |> Agiさぬ絶賛オナ禁中!残り13日!ananさん、いらっしゃい。たくさん会話して
ね^^
20:17<Agi>(´・ω・`)ショボーン
20:17<una>(^o^)こ(^_^)ん(^O^)ば(^_^)ん(^〇^)わ♪
20:17<Agi>あ、ananさんが来てる!
ひ、人が来ちゃいましたよ?
しかもこの人は、昨日私が何も言わずに帰っちゃったから、お、おな……迷惑をかけちゃった
人です。
昨日はチャットの会話でショックを受けて、何も言わずにパソコンを落としちゃいました。
これは皆さんに謝らなきゃいけませんね。とても失礼な事をしちゃった気がします。
20:17<una>あははは、Agiさぬ、残念ながらこの人はananさぬじゃないの、別人だね
20:18<Agi>へ?別人ってどういうことですか?
20:18<win>こんこん〜
20:18管理人 |> Agiさぬ絶賛オナ禁中!残り13日! winさん、いらっしゃい。たくさん会話して
ね^^
ま、また来ちゃいました!このチャットルームは大盛況なんです!
20:18<una>(*^ー゚)ノ ぃょぅ
20:18<Agi>こんばんわ〜
20:18<win>あ!ananさんがいる!昨日はどしたの?急にいなくなるなんてなんかあったんです
か?
20:18<una>んん〜、人が来るごとに説明するのは面倒だから、みんな来てから話そっか?
それでいいよね?え〜っと、アナタの事はなんて呼べばいいのかな?
20:18<win>??unaさんなに言ってるんです?
20:19<Agi>なんかね、ananさんが別人なんだって。自分も来たばかりだから意味が分からない
んだけどどういうことですか?
20:19<anan>はい、それでお願いします。私のことはkohiと読んでください
20:19<una>ウンウン、kohiちゃんね(^-^) じゃあkohiちゃん、まずはananさぬの名前からkohiに
変えてきてね。
で、みんなが集まったらここに来た理由を教えてね?
20:20<anan>教えるのですか?
20:20<una>ここにいる皆は、ananさぬと何年も話してる友達だからね。きっと役に立つよ?
あ、あとね、ananさぬの本名、ここでは使わないこと!匿名で話す事が前提なんだからね、こ
れからは気をつけてね
20:21<anan>はい、わかりました。では名前を変えてきます。
た、大変です!自己紹介しなきゃいけなくなっちゃいました!
どうしたらいいのかな?皆さんに直人さんの事、相談したほうがいいのかな?
昨日の会話を聞いてたら、ここでは相談しちゃいけない気がします。
でも……unaさんの言うとおり、直人さんはここで何年もお話をしていたんですよね?
だったらここの皆さんに相談をすれば、直人さんの事、色々と教えてもらえるのかな?
……教えてもらっちゃってもいいのでしょうか?
物凄くヘンな事を教えられるような気がしちゃいます、ちょっと不安です。
「おお〜、相変わらず整理整頓されてるな。さすがは美佳ちゃんだ、偉いぞ。
いきなり押しかけてきてゴメンな?ほい、これお土産だ」
仕事帰りにコンビニでお土産のアイスを買って、美香ちゃんの部屋を訪ねる。
突然の訪問も、戸惑いながらも部屋に入れてくれた美佳ちゃん。
俺が手渡したアイスに頬を緩ませ、嬉しそうに冷蔵庫にしまっている。
いきなり押しかけてきたけど、部屋は相変わらず綺麗に掃除されていた。
散らかり放題の俺の部屋とはエライ違いだ。
前から時々は二人の生活態度を見るために何度か突然の訪問はしてたからな、突然の訪問
も怪しまれてはいないようだ。
……まさかPCを調べに来たとはも思いもしていないだろう。
「美佳ちゃん、ちょっと調べ物したいからパソコン使ってもいいかな?」
「え?パソコン、ですか?は、はい、どうぞです」
「すぐに終わるから、ちょっと借りるな」
PCを立ち上げ、お茶の用意をしてくれている美佳ちゃんにバレないようにプログラムをチェッ
クする。
……おし!怪しいソフトはなんにも入ってない!全部消去済みだ!
はぁぁ〜、安心した。心配しすぎたな。やはりあのチャットソフトは消してたんだな。
「直人さん、冷たいお茶です、どうぞ」
「お、ありがとう。さすがは美佳ちゃんだな、気が利くな」
ガラスのコップに注がれた冷たい麦茶を一気に飲み干し、美佳ちゃんの頭をワシャワシャと
撫でてあげる。
頭を撫でられるのが恥ずかしいのか、頬を少し赤く染める美佳ちゃん。
うんうん、もう完璧に大丈夫だな。出会った頃のように身構えたりしないもんな。
あの頃は俺が自分の頭を掻いただけで、ビクッと身体を硬直させていたもんな。
それが今では頭を撫でても嫌がったりしない……あれ?
「おや?美佳ちゃん髪型変えたんだ?とても似合ってるよ」
頭をワシャワシャ撫でて、初めて気がついた。美佳ちゃんの髪型、ツインテールに変わってい
るじゃないか。
美佳ちゃん位の綺麗な子になると、どんな髪形も似合うと思うけど、ツインテールはとてつもなく
似合ってるな!
「に、似合ってますか?あ、その……ありがとう、ございます」
「うんうん、似合ってる似合ってる。可愛さ倍増だよ」
あまりの可愛さにワシャワシャと頭をなでまくる。
やはりツインテールはいいな!俺の未来に出会うはずの恋人にも髪型はツインテールにしても
らおうかな?
そんなことを考えながら、美佳ちゃんの触り心地のいい小さな頭をワシャワシャと撫で続ける。
……イ、イカン、会話が続かない!前までは準ちゃんがいたから三人でワイワイ話せたけど、
今では二人だけだからな。
美佳ちゃんはまだ俺との会話に遠慮をしているのか、二人きりになるとあまりしゃべらなくなる
んだ。
喋らないからといって、俺のことを嫌ってるというわけでもないらしい。
いつも俺が帰るときには寂しそうな顔をしてくれるしな。美佳ちゃんは恥ずかしがり屋さんなん
だな。
ははは、だからかな?こんなにカワイイのに男ができないのは?
……男?もしかして急に髪形を変えたのは、男ができたからか?
「しかし急に髪形を変えるなんてどうしたんだい?……もしかして、好きな男でも出来たのか
な?」
「んな?や、その、それはその、えっとぉ……」
顔を赤く染め、俺の顔を恥ずかしそうにチラチラと見ながら俯く美佳ちゃん。
とてつもなく分かりやすいリアクションで、答えを教えてくれたな。どうやらズバリその通りのよう
だな。
ははは、まったくこの子はウソをつけない素直な子だよな。
「はははは、そうかそうか、好きな男が出来たのか。今度、俺にも紹介してくれよな」
「や、その、好きな人というか、その……」
「そうかそうか、好きな男の気を惹こうと髪形を変えたんだな?
うんうん、恋愛にはそういう努力が必要なんだよ。きっとその男も可愛くなった美佳ちゃんの魅
力にメロメロになるさ!
俺が保障してやるからさ。ははは、ま、俺の保障なんて何の役にも立たないけどな」
「あ、あの、その、髪形を変えたのは、その……」
俺に好きな人が出来たことを知られたのがよほど恥ずかしいのか、ワタワタと慌てふためくカ
ワイイ美佳ちゃん。
こんな可愛い子に好かれる男が羨ましいな……チクショー!神よ!俺にも素敵な出会いを与
えたまえ!
「さて、と。今日はそろそろ帰るわ。美佳ちゃんに好きな男が出来たって言う情報も仕入れられ
たしな」
「や、その、直人さん、あの……」
「じゃ、俺は帰るわ。そっかぁ、美佳ちゃんにも好きな男が出来たかぁ。
このままじゃ準ちゃんだけでなく、美佳ちゃんにも先を越されそうだな。俺も気合入れて相手を
探すかな?」
探そうにも俺の年で、しかも貧乏人相手に付き合ってくれるような女、いないだろうなぁ。
はぁぁ〜、知り合いの子に抜かれていくって、きっついなぁ。
……ま、準ちゃん美佳ちゃんが幸せになってくれるのならどうでもいいんだけどな。
「な、なな!あ、相手を探すとか、その……」
「今日は急に来てゴメンな?じゃ、いい恋しろよ?はっははは!また来るから、その時はどう進
展したか聞かせてくれよな?」
「や、その、直人さん、その、……」
「じゃ、準ちゃんにもよろしく言っといてくれよな?じゃ、またな!」
慌てふためく美佳ちゃんをそのままに、部屋を出る。
ふぅ〜……そうかぁ、美佳ちゃんにも好きな男が出来たのかぁ。
ちょっと寂しいような、嬉しいような。複雑な心境だな。これが親の気持ちってヤツなのかな?
……結婚もしてないのに、親の気持ちになるってのはどうなんだ?かなり空しいような気がす
る。
クソ!この心の空しさを癒してくれるのは、エロい女しかいない!
しかし俺にはお店に行く金がない!どうする!……エロ本でいいや。
コンビニでエロ本を買って、部屋でヌこう。
はぁぁ〜。美佳ちゃんに好きな男が出来た、めでたい日だってのに、エロ本で癒されたいだな
んて、俺ってヤツは……
今夜はナースさんで抜きたい気分だな。
20:17<kohi> こんばんわです
20:17管理人 |> Agiさぬ絶賛オナ禁中!残り11日!kohiさん、いらっしゃい。たくさん会話してね
^^
夕御飯を食べて、お風呂に入った後、USBメモリーをパソコンに刺し、チャットソフトを立ち上
げます。
unaさんに教えてもらいました。『念のためにチャットのソフトは外部のメモリに移してたほうがい
いよ』って。
見られたくない物は外部メモリに入れてたほうがいいよって教えてくれました。
……確かに直人さんや姉さんには知られたくないんです。チャットの皆さん、ごめんなさい!
挨拶をすると、管理人さんが自動で挨拶を返してくれます。
この管理人さん、実は人間ではなく、挨拶に反応して言葉を返すように設定されているプログラ
ムなんだそうです。
この言葉はunaさんが気分によって変えてるって言ってました。そんな事が出来るなんて、unaさ
ん凄いんです!
直人さんも毎回挨拶して、unaさんが設定した挨拶の言葉を楽しんでたのかな?
直人さん、今日部屋に来てくれました。いっぱい頭を撫でてくれて、とても嬉しかったです!
でも……はぁぁ〜、unaさん達のアドバイスで髪形を変えてみたのですが、失敗です。
可愛いと言ってもらえて、これは大成功と思っちゃったんですけど、まさかあんなふうに思われ
ちゃうなんて。
これは相談をしなきゃいけません。……みなさんちゃんと相談に乗ってくれるんでしょうか?
20:17<win>いや、だからお尻は最後の秘境なんだって!男だったら冒険したいでしょ?w
20:18<una>(*^ー゚)ノ ぃょぅ
20:18<Agi>kohiさんこんばんわ〜
20:18<gan>こんこん〜
20:18<win>こんです〜
unaさんに私は直人さんじゃないとバレちゃった後、皆さんに何故このチャットに来たかを説
明しました。
皆さん、事情を知り、協力するといってくれました。
で、皆さん、直人さんが好きな女の子のタイプを色々と教えてくれたんです!
皆さんの意見を参考にして、髪形をツインテールに変えてみたんですが、
直人さんに可愛いと褒めてもらえて大成功!……なのかな?
……winさんの言う、お尻が最後の秘境とはいったい何のことでしょうか?
意味が分かりませんけど……聞かないほうがいい気がします。うん、無視しちゃいましょう。
20:20<kohi>今日ananさんに髪型が可愛いと褒められちゃいました
このチャットでは直人さんの事をニックネームのananさんと呼ぶことにしています。
つい直人さんと呼んじゃう私は、unaさんに怒られちゃいました。
『本人が名前を名乗るのはいいけど、他人がネット上で本人の許可なく実名を挙げるのはマナ
ー違反だよ』って。
確かにその通りです。直人さん、今までずっとニックネームで話していました。
それを私が皆さんに教えるのはマナー違反なんです。
20:20<Agi>おお!よかったじゃないですか!
20:20<gan>おめ!
20:20<win>おめ! こw
20:20<una>ツインテールはananさぬの大好物だからねぇ。で、進展はあった?犯されたりし
た?
っていうか、むしろ犯したりしたのかな?ww
20:20<gan>だまれ変態!w
20:20<win>黙ってろ、HENTAI!
20:20<Agi>このカスが(´・ω・)
20:20<una>oh〜!一斉に突っ込まれたww まるで4Pww
20:20<Agi>ダメだこのHENTAI、本気で何とかしないとww
皆さん息もぴったりで凄く楽しそうに会話しています。直人さんもそうだったのかな?
よ〜し!私も早く皆さんと楽しく会話できるように頑張っちゃいます!
……みなさんごめんなさい。みなさんと楽しく会話できたらダメな気が物凄くしちゃってます。
20:22<kohi>皆さんに相談なんですが、ananさん、私が髪型を買えた理由を勘違いしているんで
す
私に好きな人が出来たって思い込んで、頑張れって言われちゃったんです。どうすればいいと
思いますか?
20:22<win>あらら、逆効果w
20:22<gan>あながち間違いじゃないけどねw
20:22<Agi>ananさん、一人が長かったからなぁ。自分に好意を寄せてるなんて思いもしないんじ
ゃないかな?
20:23<una>ユー、もう告っちゃいなよ( ̄ー ̄)ニヤリ
わ、悪そうな顔です!unaさん、とても悪そうな顔しちゃってるんです!
……え?こ、告っちゃう?こ、ここここ告白の事ですか?んな?なななななな!
20:25<kohi>告白なんて無理です。嫌われちゃうかもしれません
20:25<una>kohiちゃんはananさぬと恋人になりたいんだよね?ananさんから好きだって言って
ほしいの?
20:25<gan>ま、今の状況だと、ananさぬからの告白はありえないと思うよ?
20:26<win>そうだよねぇ。ananさぬにとってkohiさんは、自分が育ててきた子供のような存在だ
ろうからねぇ。
自分の子供に告白なんて……いや、近親相姦プレイと思えばありえるか?
20:26<una>それだ!近親相姦に興味を抱かせるために、今度ananさぬが来たら近親相姦物
を見せまくるんだ!!
20:26<gan>黙れ変態!
20:26<win>黙ってろ、HENTAI!
20:26<Agi>このカスが(´・ω・)
20:27<una>うわ〜お、winさぬのネタにのっただけなのにフルボッコww これ、なんてドMプレ
イ?ww
20:27<Agi>ww
……みなさん相談に乗ってくれているのでしょうか?
ただ楽しんでいるだけに思えちゃいます。
そ、そんなことないですよね?だってunaさんのアドバイス通りに髪形を変えたら可愛いって褒
めてもらえちゃいましたから!
20:28<Agi>ま、今までが今までだから、急に関係が代わるなんてないと思いますよ?
20:28<gan>だね。ま、一歩前進だと思えばいいんじゃないかな?
20:28<win>ツインテールだけでは落ちぬか…さすがはanan、我が認めたHENTAIじゃww
20:28<una>じゃ、次はニーソにしてみよっか。……ツインテールとニーソ。
これにあるシチュを咥えると、魅力が爆発的にアップするんだよねぇ( ̄ー ̄)ニヤリ
ニーソ、ですか?靴下のニーソックスの事ですよね?
ニーソックスを履いたらいいんでしょうか?
そんな簡単なことで、直人さん、喜んでくれるんでしょうか?
……み、魅力が爆発的にアップする?んな、なんですか!それはぁ〜!
20:30<kohi>魅力がアップするって何ですか?押してください1!
20:30<gan>……unaさぬ、まさかアンタ、伝説の『アレ』をさせるつもりか?
20:30<win>確かに『アレ』は威力は半端じゃないが、周囲にも被害が……
20:31<Agi>確かにananさぬは『アレ』の属性を持っていた。しかし、だからこそ彼にそれを見せ
るのは危険なんじゃないか?
20:31<una>ええ、確かに危険だわ。でもね……危険を冒さずに、求める物を手に入れることは
出来ないわ!
きゅ、急に皆さん真剣な会話になっちゃいましたよ?
え?ええ?unaさんの言ってる事はそんな危険な事なのでしょうか?
どんな事をしなきゃいけないのかな?でもそれで直人さんと、その、恋人になれるのなら……
20:33<kohi>私やります!ananさんと恋人になるためだったら、危険でも頑張ります!
20:33<una>そう、覚悟はいいのね?なら、教えてあげるわ。……男を惑わす究極のシチュを。
キーワードは……『ツンデレ』よ( ̄ー ̄)ニヤリ
ツンデレ、ですか?ツンデレとはいったい何のことでしょうか?
「おっはよ〜、小日向さん!髪形変えてから、可愛さにますます磨きがかかったね!
愛しの直人さんにも褒めてもらえた?」
「あ、西原さんおはようございます。い、愛しの直人さんって呼び方、その、止めてもらえません
か?その……恥ずかしいです」
「う〜ん、顔を真っ赤に染めて恥ずかしがるその仕草、たまらないねぇ。同性から見ても、ギュ
ッとしたくなっちゃうわね」
朝、登校して、席に座ってunaさんから教えてもらった作戦を頭の中で復習していると、
いつも元気な西原さんが今日も声をかけてくれました。
西原さんと友達になる前は、静かな朝を過ごしてました。それが今では毎日とても賑やかで
す!
ちょっと恥ずかしい気もしますが、毎日がとても賑やかで、学校がとっても楽しくなっちゃってま
す!
「あれ?小日向さん、ニーソックス履くようになったの?」
「は、はい、その、知り合いに似合うから履いてみたらって薦められて……その、似合ってない
でしょうか?」
姉さんが昔に履いていたお古のニーソックス。借りて履いてきちゃいましたけど、ヘンなので
しょうか?
「おおお〜!いいねぇ、いいねぇ!メチャクチャカワイイよ!
その下着が見えそうなスカートの短さと、ニーソックスとスカートの間に見える輝くような白い太
もも!
これでこそ女子高生!って感じだよね!愛しの直人さんもこれでイチコロだね!」
昨日の夜、unaさん達に色々教えてもらった後、姉さんの残していった荷物の中からニーソッ
クスを借りちゃいました。
姉さんが昔、少しの間だけ履いていたのを思い出して、勝手に借りちゃったんですけど……怒
られちゃうかな?
……はぁぁ〜。何故ニーソックスを履く時はスカートを短くしなきゃいけないんでしょうか?
unaさんに、『スカートを短くするのは当たり前。ニーソを履く者としての礼儀なんだよ』
って言われちゃったから、スカートを短くしちゃったんですけど……なんだか男子の視線を感じ
ちゃいます。
「で、でも、その……下着が見えちゃいそうで、その、ちょっとイヤです」
「はぁ?小日向さん、アンタなに言ってんの?下着なんて見せればいいじゃないの」
「んな?な、なななな?」
「愛しの直人さんにも下着を見せて悩殺しちゃいなよ?直人さん、意外とえっちっぽい顔してた
から、喜ぶかもよ?」
「な、なななな、んななななな?」
「でも小日向さん、あまりかわいい下着、穿いてないからねぇ。
短いスカートにするんだったら見えちゃってもいいようなカワイイのを穿かなきゃね。
あ、そうだ!今度の日曜日にさ、一緒に買い物行かない?……直人さんを誘ってさ。
奥手な小日向さんに、アタシが男の扱い方の見本、教えてあげちゃうから」
み、見せてもいいような下着を穿かなきゃいけないんですか?
そういえば西原さんが穿いている下着、とってもカワイイ物ばかりでした。
クラスの皆さんもそうだし……私もそうしなきゃいけないのかな?
……え?ええええ?直人さんと買い物に行くんですか?そ、それは……い、行きたいです!
「ぜ、是非お願いします!直人さんとお買い物、してみたいです!」
「そ、そんな力いっぱい言わなくても……じゃさ、早速連絡とってみてよ。直人さんに予定が入
ってなかったらいいけどね」
「そ、そうでした。直人さんに予定が入っていたら、一緒に行けません。ちょっとメールしてみま
すね?」
善は急げ、です!早速メールしちゃいます!っと、忘れるところでした。
unaさん達から教えてもらった『ツンデレ』をしなきゃいけないんでした。
……物凄く不安なんですけど、大丈夫なんでしょうか?
『今度の日曜日、彼女のいない直人さんにはどうせ予定は寝るくらいしかないですよね?
だったら、友達と買い物に行くので、荷物持ちで来てください。
あの古い車で部屋に迎えに来てください。お礼は夕御飯で手料理くらいは食べさせてあげます
から。
おばさんに習った料理を作るだけだから、ヘンな勘違いはしないでください』
朝、出社途中に携帯に送られてきたメール。珍しく美佳ちゃんから送信されたものだった。
珍しいな?こんな朝早くにいったい何のようだろうな?
そう思い、会社についてからメールを読んでみると……急に訪ねて行ったのが、ダメだったの
かもしれん。
あの素直な美佳ちゃんから送られてきたメール。
あの素直で丁寧な言葉遣いだった子が、こんなメールを送ってくるなんて……俺、嫌われちま
ったのかな。
『了解、車で部屋に行くよ。手料理楽しみにしているよ』
返事を送信し、デスクに突っ伏す。
はぁぁ〜……調子に乗って、頭を撫ですぎたのかな?まだ男の手に恐怖感を抱いていたの
か?
とりあえずは買い物の時に、挽回しなくては!
「なんだなんだ?おい、上杉、朝からどうした?まるで女にフラれた見たいな顔をして」
「……キャバ嬢にモテモテで、既婚者にもかかわらず、店外デートをしまくってる高橋さんには
かないませんよ」
「お、おま!い、いやだなぁ〜、上杉くぅん!今日のお昼は一緒にどうだい?美味しい鰻、奢っ
ちゃうよ?」
「お?奢ってくれるのか?いや〜わりいな」
「なんのなんの!……てめぇ、絶対喋るなよ!」
同僚から軽く昼飯をゲットして、気を紛らわす。
今度の日曜日か……失敗は出来んな!美佳ちゃんからの買い物の誘いなんて初めてだしな、
失敗は出来ん!
……あれ?友達と買い物に行く?ま、まさか、その友達というのは……彼氏か?
もう男が出来たのか?準ちゃんだけでなく、美佳ちゃんまでにも恋人が……
「お前、オレからたかるのいい加減止めろや!……おい、どうした?すげぇ汗かいてるぞ?」
「……あ?あ、ああ、なんでもない。さ、今日も頑張って働きますか!」
あぁ、神様!どうして真面目に働いてる俺に出会いを与えてくれないのですか!
おぉ、神よ!……お金もほしいが愛も欲しいです。
「……なんかすげぇ空元気ってヤツだな。また振られたのか?」
「うっせぇ高橋!あることないこと全部ばらすぞ!」
「う、上杉くぅん!鰻は特上でかまわいないよ?なんだったら、おかわりしてもいいからね!」
昼飯に特上鰻重ゲットして、仕事に励むオレ。
とりあえず買い物の時に、その男をしっかりとチェックしなきゃいけないな。
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