「ただいま戻りましたー」 
声をかけると部屋の奥、定位置に座った竜崎の後ろ姿がビクッ!と揺れる。 
彼はゆっくり振り返り、声の主を確認するとほっとした顔を見せた…ような気がした。 
「…松田さん。驚かさないで下さい」 
「す…すみません」
竜崎はテーブルに向き直り溜め息を一つ。 
「珍しいですね、竜崎がそんなに露骨にびっくりするだなんて。 
 何か疾しい事でもしてたんですか?」 
冗談めかして言ってはみたものの、再び振り返られて松田はうろたえた。 
「あ、あの…冗談のつもりだったんですが…もしかして怒ってます?」 
「いえ、別に。 
 それより松田さんも一杯いかがです?」 
「え?」 
「気つけにいいですよ」 
「き、気つけ!?」 
そりゃあこそこそもする筈だ。 
しかし勤務中にそんな、と動揺する松田に竜崎は躊躇いもなくショットグラスを差し出した。 
中には白い液体が、こぼれそうな程なみなみと注がれている。 
「…何ですか?これ」 
そう尋ねて覗き込むと、誰もが1度は目にした事があるであろう飲み物が竜崎の手元にあった。 
無残に破られた白地に青い水玉模様の包装紙が、茶色い瓶の傍らに転がっている。 
そしてその瓶の中身は半分程にまで減っていた。 
「りゅっ…、え、これ薄めて飲むものだって知ってます?!」 
「知ってますよ、でも薄めない方が好きなんです」 
「…これまさか1人で半分空けた訳じゃないですよね?」 
「いえ、私1人で飲みましたが」 
「身体壊しますよ!!!」 


斯くしてカルピスは即座に没収されたのだった。 


「ワタリのいない隙にと思ったのに・・・」





ワタリに見つかると即没収+お説教です Lはカルピス原液をラッパ飲みできる気がしてなりません 04.09.20

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