コンビニを出たら、オシタリが女の子3人につかまっていた。
愛想良く振る舞ってはいるけどあれは困ってる時の顔だ。
女の子達にはわかんねーだろうけど。
よく見掛ける制服だ、確か女子校だったはず。
誰かが「結構レベル高い」って言ってた気がする。
それが偏差値の事なのかそれとも顔の事なのかは知らねーけど。
「…せやから俺、人待っとるんやって」
「えー、それってカノジョー?」
「や、違うし」
「じゃあいいじゃーん、ていうかぁウチらもまつし」
「ねーいっしょにあそぼーってばぁ」
…この喋り方からして偏差値の話じゃなさそーだ、レベルがどうとかっての。
「ジロー。遅いで自分、何しとったん」
オシタリが今度は隠さずに困った顔で笑うと、女の子達が振り返った。
「え、ちょっと、ヤバくない?」
「ヤバイ!チョーカワイイんだけど!」
「ちょっ、聞こえるよー」
丸聞こえだっつの。
ていうか絶対俺らより年下だ、コイツら。
ガキのくせに逆ナンしてんじゃねーよ。
「ほな、俺らもう行くわ」
「え〜いーじゃーん、あそぼーよお〜」
「オトコ2人じゃさびしくなーい?」
「そーそー!ウチらといっしょのがゼッタイ楽しいってー!」
うぜー。
ていうか、しつけぇ。
「や、ホンマ用事あるし。急いどんねん、ごめんな」
俺は機嫌悪いのが丸わかりの顔してたらしい。
こっちをちらちらうかがいながら、振り切ろうと必死になってる。
けど向こうもあっさり引き下がらなくて。
「えー!?じゃあメアドおしえてよー!」
…もーアッタマきた。
「オシタリ」
「なに、」
ちゅ。
「あのさ、俺らこれからデートなワケ。
邪魔しねーでくんない?」
そう言ってやったら、オシタリだけじゃなく女の子達も固まった。
ザマーミロ。
「ほら、行くよ」
促しても動かないオシタリ手を引っ張ってその場を後にする。
10mぐらい行った所で後ろから、初めてホンモノ見ちゃった!と叫ぶ声が聞こえたけど、無視。
「優しくなんかしちゃダメじゃん、オシタリ」
どうせ俺達は、あの子達に興味なんか持てやしないんだから。
「…自分、最悪やわ」
もしかしてあの子は泣くだろうか。
あの、意外な程真剣な目でメアドを聞いてきたあのオンナノコは。
「オシタリさ、片耳ピアスしなよ」
右だか左だか忘れたけど。
オシタリはスカート穿く子に、すっげぇモテるんだからさ。
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