10月15日。 昼休み。 突然の来訪だった。 のるか そるか。 「どうかしたのか、忍足。」 「俺、今日、誕生日なんです」 微妙に噛み合わない会話に、榊は一瞬言葉に詰まる。 が、忍足は目顔で返答を促している。 「…それは良かったな。おめでとう」 「おおきに、監督」 これで用は済んだろう。 忍足を見やるが、どうも動く気配を見せない。 「まだ何かあるのか」 「俺、欲しいものあるんです」 並んだ机の最前列、ピアノに1番近い席で、忍足は笑う。 それは、媚びるというより楽しくて仕方がないといった表情だった。 「…そういうものは親にねだりなさい」 溜息と共に告げると。 忍足はムッとした表情になった。 ガタン。 音を立てて席から離れる。 表情は変えず、無言でツカツカと歩み寄った。 数瞬の対峙。 互いの視線は交じった侭。 先に動いたのは、忍足だった。 ちゅ。 「…監督の唇、ゲット。あ、あとびっくりした顔も」 破顔する。 漸く15歳になったばかりの少年の顔で。 「監督、唇荒れてんで」 そう言うと忍足は、スラックスのポケットをまさぐった。 取り出したのは、細い筒状のもの。 はい、と手渡されるそれを受け取ると。 緑のラベルに白抜き文字、可愛らしい看護婦の絵の描かれたリップスティック。 ドラッグストアでもよく見掛ける品だ。 「あげる」 笑顔の侭、忍足は踵を返す。 「忍足」 「なんですの」 「欲しいものとやらは手に入ったか」 榊の方を振り返る形で足を止めた忍足は。 そのままふわりと笑んで見せた。 「それは監督次第。」 忍足が防音扉を閉める音と、予鈴の音が重なった。 『俺、欲しいものあるんです』 罠は仕掛けられた。 さて、どう回避する?
白系不思議ちゃん忍足を目指してみました。 続きそうな、続かなさそうな。 多分続かないと思いますが。 03.10.07

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル