父の遺品を見ると、たまらなく悲しい　

父が病院に入院した時、父自身、すぐに帰るつもりだったと思われる。ジーパンとスニーカーシャツとセーター姿の父は、小さなバッグでステントを入れるための手術をしに行ったのだから。兄をからかって、「退院したら、お前のこと、ただじゃ置かないぞ！」って言ったぐらいだから。

それだから、身辺整理なんて、何もしていなかった。意図的に残したものは何もない。洋服は、父の病状が進むと同時に、母が泣きながら処分をしたという。もう、袖を通すことのない、父の洋服を見ているのは嫌だと。でも、まだ捨てられなかった服を親戚に分けることにした。うちの旦那は、革のコートを、私は、トレーナーをもらった。

革のコートは、見るたびに父を思い出す。父の影がだぶついて、悲しいので、そっと使わない部屋にかけてある。

カナダ旅行のお土産の「トレーナー」私が着ている。心地いいけれど、寂しくなる。でも、一緒にいられるような気持ちがしてくる。

温かいよ。とっても。

　不眠、布団の中で、苦しむ。　

　毎日、昼夜問わず、思い出していると言うことはない。でも、布団の中にはいると、怖い妄想に取り憑かれる。仰向けに寝るとき、それは起こる。上を向くと、苦しそうな息づかいの父になってしまうのだ。はあ、はあ、はあ・・・あの息づかいがよみがえり、手に汗がにじむ。耐えられなくなって、横を向いてしまうのが、癖になってしまった。母も同じだそうだ。幸い、私は仕事があるので、それでも疲れて眠ってしまうのだが、何もしていない母は、夜が辛いそうだ。それで、母は、本を読んでいると言うことだが、すっかり月に何万円も買い込んででしまうのだそうだ。

　病気恐怖症　妄想？　

　病気になりたくない・・。誰でもそう思うのだが、あの病気を看病したことのある人だけがわかる、ある恐怖感がある。「自分がなったら・・・。もしかして、自分も・・・」そんな恐怖感に苛まれている。

　＊便秘になる・・・お腹が痛くなったり、痔になったり・・・　大腸の？？？？

　＊胸が気になる。しこりがあたら、どうしよう・・・・・・・　乳？？？？？？

　　無意味に胸を検査する。痛くなるまで・・・（痛くなる）

　＊生理が不順に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・　子宮？？？？？

　＊食欲がない。胃に不快感・・・・・・・・・・・・・・・・　胃？？？？？？

　毎日、常に考える病気恐怖症。この病気で母親を亡くした友達は、実際にお腹が痛いような気になって、病院で大腸検診をしたそうだ。

　人生観の変化　

人生は、いつ、どこで、どうなるかわからない。それを強く悟れるようになったのは、今回のこの不幸であった。会社の健康診断での降って湧いたような結果から、緊急入院、手術から、３年半で再発。それから半年後には、いなくなってしまった。

今までの父との３０数年間、交通事故も、入院も、けがも病気一つしたことのない父だった。私のうちの家族は、運の良い、仲の良い家族だった。

それというのも、転勤ばかりある父の仕事で、私たち家族は、いろいろなところに転勤して生活していた。東京の父の実家に本籍をおいて、２，３年で転勤。そんなことを繰り返していくうち、お互いに長くつきあえるのは、家族だけとなった。新天地に越してきた緊張も、不安も、家族でいれば、乗り切れた。温かい家族だった。

至って健康で幸せで、こんな穏やかな日々が永遠のように思えた。

でも、不幸は突然私たちを一気に飲み込んでしまったのだ。

人生は、どうなるかわからない。

楽しいことも、元気なうちしかできない。できるときにしなければ、いつ、この世から抹殺されるかわからないのだ。

　パソコン、スキャナ、デジカメ、CDR（予定）欲しいものは、気兼ねなく買ってしまう私。けちな自分が自分に驚いてしまうくらい、好き勝手に浪費してしまうようになった。外食も好き勝手にしている。食べたいものも、高くても食べる。ダイエット？そんな、そんな・・・。あんなに痩せちゃうんだったら、太っておいた方がいい・・・・そんな風にまで考えてしまいます。ダイエットは、完全にやめました。もともと父と似てそれほど太れずにいますが、以前は、スタイルのために、食事制限やヨーグルトダイエットなどをしたときもありましたが、完璧にやめました。痩せたくない・・・。あんなにも・・・・・・。