『時には天使のように…』





 会場はもの凄い人出で賑わっていると思われる。
場所は馴染みの道新ホール。今、イナダ組の公演が毎日打たれている。
久し振りに大泉達がイナダの芝居に出るということで、かなりの賑わいらしい。
俺はなるべく目立たないように身なりに気を付けながら道新ビルへと近づき、さり気なく通過しようとして何人かに呼び止められる。
思ったよりまだ下に人が残っていたのは誤算だった。
やっぱりもっと開演ギリギリに来なければ……。
 と言っても既に時間は五分前。慌ててエレベータに乗り込み、多少の好奇な視線を俯きつつどうにかかわした。
エレベータを下りるとすぐホールへの入り口が目の前だ。
係の女の子達に軽く会釈と挨拶をすると、中に見知った顔が居た。
かつて芝居でも共演したことがある女性だ。
既にロビーは人もまばらで、皆自分の座席について芝居が始まるのを今や遅しと待っているのだろう。
女の子に先導されて後ろの座席近くの扉をくぐり、静かに通路近くの席に座る。
近くの数人が自分の存在に気付いたようで、さわさわと会話している。
いつもこんな時は気恥ずかしくてたまらない。どうして良いか解らずにまた俯いてしまう。
そんな中、前説が始まった。


 芝居は昭和の匂いが懐かしい演芸場の話で、以前やった芝居の焼き直しだった。
確か以前はストリップ劇場の話だったと記憶している。
イナダさんらしい笑いと涙と寂寥感溢れる何とも良い芝居だ。
そして普段馬鹿ばかりやっている仲間達の全く別の世界を垣間見たようで、どこか胸の内が淋しい。
何だか一人で置いて行かれたようなそんな気分にされてしまうのは、被害妄想だろうか………。
はるか昔、この劇団へではなく鈴井社長の元に身を寄せたのは今でも自分の確実に正解だったと思っているが、でもやはり普段一番身近にいると思っている仲間達の生き生きとした芝居を見ていると、この雰囲気の中で役者をやってみたかったと思うの気持ちが無いわけでもない。
そんな事を徒然に考えながら遙か遠くの舞台をぼんやり眺めていたその時、芝居の流れの中で琢ちゃんとリーダーがコスプレをして出てきた。
リーダーのセーラー服はまぁどうでもいいとして、琢ちゃんのナース姿には正直なところ心を奪われた。
射抜かれたと言ってもいい。
それほど鮮烈な白い天使姿は俺の心を捉えて離さなかった。
ああ、琢ちゃん……その綺麗な筋肉の身体に白いナース服はかなりきつそうでピチピチだけど。
しかも最高のマッスルポーズを決めているけど…………それがこんなにも可愛いのはどうしてなんだ。



 「た〜くちゃあん……遊びに行こうよー。」
イナダの公演も終わって一段落した頃、俺は琢ちゃんの携帯に電話をしてこんなことを言ってみた。
『ええ? 何、安田さんってばもしかして寂しかった? 俺が忙しくて構ってあげなかったから?』
琢ちゃんは笑い混じりでそんな事を言ってくる。
「おお、寂しかったぞー! ずっと待ってたんだからちょっとくらい付き合ったってバチはあたんねえぞ。」
勢いでそんな事を言うと耳元でけらけらと笑いながら『仕方がないなあ…』と呟いた声にぞくっと来る。
やっぱり琢ちゃんの声って…妙にいやらしいよなぁ……。
耳元の琢ちゃんの声は更にとんでもないことを口走る。
『じゃあ寂しい思いをさせちゃったから、今回だけ何でも言うこと聞いてやるよ。』
「…………ほ………本当っ!?」
間髪入れずに聞き返すと琢ちゃんからは笑い混じりながら『本当!』と返ってきた。やった!!
「じゃ…じゃあさ……………アレ着てて待ってて欲しい。部屋で!」
耳元の琢ちゃんが途端に怪訝そうな声になる。
『あれって何さ? 変な格好してお出かけとか、そんな罰ゲームみたいなのだったら、俺嫌だからね!』
「ちがっ………ちが…違う! お出かけ無し! 部屋でお出迎えしてくれればいいから……」
興奮し過ぎてついどもりがちになってしまう。
「アレ着て! こないだの芝居で来てたヤツ………」
そこまで言うと電話口の琢ちゃんが笑い出した。
『うっそ……あんなの着て欲しいのー? いいけどさ。あんないかにも売れない芸人って格好させたいの?』
「え……ちょっ………それ違う…………」
予期せぬ答にがっくり力が抜ける。そうだ………琢ちゃんは最強の「じゃないか」だったんだっけ……。
『あー、わかった! でもただのジャケットとズボンだよ。薄汚れて古くさーい感じの。しかも血糊とか付いてなかったかな………なんでそんな格好させたいの? 顕ちゃん………』
琢ちゃん………きみは俺をおちょくっているのか、それとも限りなく本気なのか………………。



 さて、いよいよ今日は琢ちゃんと約束した日。
ユメチカの撮りを終えてそそくさとHTBを出た俺はタクシーに乗り込み、とある住所を運転手に告げた。
平岸からさして遠くはないその場所では琢ちゃんが俺のためにあの格好をして待っていてくれている。
そう考えただけで自然と笑みがこぼれてしまう。
懸命に笑いを堪えようとするが、どうしても顔がにやついてしまうので、いつものように俯いてニヤニヤしていた。
バックミラー越しに映る俺はさぞや不気味だったに違いない。タクシーの運転手さんはちらちらとミラー越しに様子を窺っているようだ。
見たいけど見てはいけないものを見るような雰囲気で、目が合いそうになると露骨に目をそらしてくる。
―――――俺は妖怪か、幽霊か?

見慣れた扉の前に立ち、大きく深呼吸をしてから呼び鈴に手を伸ばす。
しばらくして中から琢ちゃんのこえが聞こえ、いつもなら勢いよく開けられる扉が今日はそーっと静かに開いた。
「……早く入れよ………」
ほんの少しの隙間から琢ちゃんが顔を覗かせてそう言う。
俺は慌ててなるべく扉を開かないようにその狭い隙間から玄関の中に身体をねじ込んで入る。
目の前にはやや暗めの玄関ライトにも良く映える白いものを身に纏い、両手を腰にあててふんぞり返る琢ちゃん。
「まーったく……顕さんが変なお願いしてくるから迂闊に戸もけられないったら。あー恥ずかしい!」
恥ずかしいといいつつ何故華麗にポージングを決めているんだ、琢ちゃん………。
上から下までとっくりと眺めてみる。やっぱりナース服はピチピチのきつきつで、あちこち引きつれたようになっている。
でも何とも言えなく可愛い―――――うん、本当に可愛い……………。
「なに? そんなに似合っちゃってるかい? やっぱ俺って着こなし上手?」
琢ちゃんはやや頬を赤らめながら華麗にサイドチェストを決めてくる。
「んー………似合ってるけどそう言う感じじゃない………でも凄く可愛い…………」
途端に琢ちゃんがポーズを決めるのを止めてくるりと背を向け、部屋の中に入っていく。
「玄関で馬鹿やってるのも寒いわ。早く入ってよー。」
そう言いながらこっちを振り返る琢ちゃんも可愛いなあ……。

 「これさー、借りてくるの大変だったよ! 何に使うのか詮索されるしさぁ……」
琢ちゃんがどかっと音を立てて乱暴に床に座り込んで手にした缶ビールをぐいっと飲む。
「あー、もうキツイし……これ。」
片膝を立ててまたを開いて座ってるからスカートがたくし上げられて、なかなか色っぽい眺めになっているようないないような。
足が思うように開かないのに苛ついたのか、琢ちゃんは裾近辺のボタンを幾つか開け放ってしまう。
下着が見えそうで見えないくらいの微妙なチラリズム。
俺も琢ちゃんの露出した太股を摘みにビールをぐいっと煽った。既に心臓は早鐘利用に脈打ち、滾る思いは爆発しそうだ。
焦ってはいけないと思いつつも、目の前で白衣を淫らに着崩している琢ちゃんの色気に既に呑まれそうになっている。
「琢…ちゃん………あのさ…………」
頭の中に大きく自分の脈動が響き渡る。もう何も考えられなくなり、気が付いたら正面に座っていたはずの琢ちゃんは俺の身体の下にいた。
「……ちょっ……顕さん………何だよいきなり。」
突然上にのし掛かられた琢ちゃんがやや離れ気味の目をきょろきょろさせている。やや口を尖らせてはいたが、口調はそんなに怒った風でもない。
「ごめ………っ……………だって琢ちゃんがそんなやらしい格好で誘うから…………」
「誰が誘ってるよ! アンタがコレ着てくれって頼むから………」
終わりまで言わせずに唇を塞いだ。
久し振りの琢ちゃんの唇は柔らかくて気持ちが良い。舌で舐め回すと、ほんのりビールの味がして美味しい唇なので、思う存分味わってやる。
舐め回して吸い付いて、更に奥まで舌を忍び込ませた。逃げまどう琢ちゃんの舌を捉えて舌先で擽ると、観念したように自分から舌を絡ませてくる。
―――――可愛いよ、琢ちゃん。
わざと卑猥な音をたてて舌を吸ってやると、琢ちゃんは逆上せたような赤い顔で口の端から透明な液を垂らしている。うっすら半目に閉じられた瞼がやや震えていて、それもまた絶妙な色気を醸し出している。
唇を何度も何度も重ねては舌を絡ませながら、両腕は身に纏った白い布地の上を這わせてみる。やや硬質な感じのすべすべした生地からは、その身体の下の温もりがじんわり伝わってくる。
ふと身体を離して少し上から眺めてみた。
組み伏せられたしなやかな肉体にぴったりとまとわりつくように絡み付いた白い布地は、前のボタンを幾つか開けられているせいでまくれ上がり、その布の下に隠された赤みを帯びた身体を艶やかに飾り立てていた。
「…………安田サン……………涎、出てるよ。」
琢ちゃんが笑いながら手を伸ばして俺の口許を指先で拭ってくれる。
涎どころか鼻血も出てきそうだ。
「琢ちゃんがあんまり可愛いから………」
ちゅっと音を立てて唇を塞ぐと琢ちゃんもそれに応えてくれる。
「………可愛い可愛いって、アンタやっぱり変。」
そう言って照れ臭そうに琢ちゃんは笑った。


 自分の身体を割り入れて開かせた脚を撫で回し、たくし上がった白衣の裾の中に滑らせた。上半身は既に前をはだけさせてあられもない姿にしている。
はだけられた胸元に唇を押し当て、目指す突起に舌を這わせた。
小さく跳ねる身体を愛おしく思いながら、目当てのものをゆっくりと口に含んで思う存分舌先でつついたり転がしたり。
甘い甘い琢ちゃんの声が耳を擽る。此処を攻めるとすぐに色っぽい声を出しちゃうんだよね、琢ちゃん。
代わる代わる両方の胸元に顔を這わせながら、指先はスカートの下の太股を彷徨わせた。
散々撫で回してからするりと下着の下に潜り込ませると、びくっと琢ちゃんが身体を震わせる。お構いなしに今度はじわじわと焦らすように下腹部を撫で回してやる。
「顕………ちゃ…ん………………」
潤んだ目で見つめてこられると理性が直ぐさま吹っ飛びそうになるが、せっかくのこのシチュエーションを存分に楽しまないわけにはいかない。
口許に余裕の笑みを浮かべながら強く胸の赤い突起を吸い上げて、小さな悲鳴をあげさせた。
ぞくぞくっと芯まで響く心地よい声に刺激され、曖昧に触るか触らないか程度に焦らしていた指先でそっと琢ちゃんのモノに触れてみる。
それはすっかり勃ち上がって張りと熱を持ち始めていた。嬉しくてきゅっと握り込んでみると小さな声をあげて身体が跳ねた。
掌の中に握られたそれをゆっくり撫でさすると琢ちゃんが小さく息を吐いて身体を震わせる。
あっと今に掌の中のものは自らの粘液でぬるぬるになっていた。
「……………キモチ良い? 琢ちゃん………こんなに此処濡らして………」
琢ちゃんは目を閉じたまま何度か小さく頷く。耳まで真っ赤に染めて震えている姿も愛おしい。
ぬるぬると濡れそぼる琢ちゃんのモノを掴んだまま丁寧に擦っていたが、先端の蜜が溢れてくる部分に爪先をめり込ませてみる。
見事なまでに止めどなく溢れ出る琢ちゃんの蜜を指先にたっぷり絡ませてから足の付け根のもっと奥にするりと滑らせた。
「顕…………ん?…っ…………ちょっ……………」
慌てる琢ちゃんを見るのも可愛くて楽しいもんだ。今夜の俺はいつもと一味違う。何てったってここのところずーっと、目の前に美味しい餌をぶら下げられたままお預けを喰らっていたのだから。
まだ解されていないその場所にゆっくり指を差し入れて、少しばかり強引に穴の周りを押したり撫でたりしてみた。
慣れた琢ちゃんの身体がその刺激で自然に開いてくれるかと思ったが、流石にそれは無理だったようだ。
「んー……………そうかそうか。まだ足りないか………ぁ………」
一人で首を捻りながら、呟いてみる。
せっかくの白い布は通された腕の部分と腰のベルトのようなものが止まっているだけで辛うじてかつて白衣だったものということを感じさせるくらいで、殆ど何も着ていないに近い。身体中撫で回して舐め回していたらいつの間にかこうなっていた。
少し乱暴に下着を剥ぎ取るように片脚だけ脱がせてみる。
おお、こうするとますますえっちくさいねぇ………。
続いて唖然としている琢ちゃんの両脚を抱えて自分の肩の上に担ぎ上げてみる。
見事に大股開きでご開帳ってなもんだ。
俺は顔を奥まった部分に押し当て、唾液をたっぷり塗りつけるようにゆっくりと舐め回した。時折自分の指にも絡み付かせ、様子を見ながらその部分に差し入れてみる。
くちゅ…と湿った音と共に少しだけ呑み込まれていく指でゆっくり解きほぐすように奥へ差し入れると、琢ちゃんが小さくいやいやをした。
「………痛い?」
「………ん…………んん…っ…………」
琢ちゃんの目はしっかりと閉じられ、その眦に少しばかり涙が滲んでいる。
きっと口では言わないけど痛いんだろうな…と、もの凄く申し訳ない気持ちになるが、やっぱり途中で止められないのが男ってもんで。
「琢ちゃんごめん………あんまり負担かけないように俺頑張るから…………お願い、もうちょっとだけ我慢して……」
俺はそんな事しか言えなくて、琢ちゃんの辛そうな表情を見つめていた。
「ばぁか…………そんな泣きそうな顔しなくていいよ…………」
琢ちゃんが床にしがみつくようにしていた両手を伸ばして俺の頭を挟むようにしながら、涙で滲んだ目をうっすらと開けて俺を見てくれた。

どうしてこんなに愛しいと思うのだろう。
こいつのためなら何でも出来る――――――本気でそう思う。

「顕ちゃん………どうしたのさぁ………」
琢ちゃんが笑いながら俺の髪の中に指を突っ込んでぐしゃぐしゃっと乱雑に撫でてくる。
やばい、なまら可愛い…………。
肩に乗せた両脚を改めて抱え込み、中心で半勃ち状態の琢ちゃんの息子をお口でお出迎えしてくわえてみた。
「…ぁ……………あ……っ………」
ぶるっと身震いした琢ちゃんは俺の耳に極上の甘い声を届けてくれた。この声を思い出すだけで暫くは自分で慰められそうなくらい、ぞくっと背筋にクる艶声だった。
口の中の琢ちゃんを丁寧に舐め回しながら、もう一度奥の秘所を指の腹で撫で回してみた。
琢ちゃんは指の動きに合わせてうっすらと身を固くする。
………やっぱり恐いよな…………そんな事を思うと胸の奥が締め付けられる。
このときになってようやく俺はローションの存在を思い出し、一旦琢ちゃんから離れた。我ながらそそっかしすぎる。と言うより、アホだ俺は。
白衣姿に欲情してあたま真っ白のまま、ローションの事も何も彼もすぱっと吹き飛んでいたらしい。
床に殆ど裸のまま仰向けで寝ている琢ちゃんを抱え起こし、強く強く抱き締めた。
「顕……ちゃん……?……」
琢ちゃんは俺の背中に腕を巻き付けて耳元でくすくすと笑いながら頬に口付けてくれた。
「琢ちゃん………ベッド行こう。ここじゃ背中も痛いし…………俺、連れてったげるから!」
そう言って渾身の力で琢ちゃんを抱え上げた。
筋肉質の琢ちゃんをお姫様抱っこするのは慣れとコツと体力が必要だけど、俺は結構このお姫様抱っこってヤツが嫌いじゃない。
抱え上げた瞬間『コイツの全ては俺のもの』的な感覚が身体中から込み上げてきて、どうにも嬉しい気持ちに包まれるからだ。
今日は白い布に袖を通したままの琢ちゃんを抱き上げたら、まるで花嫁でも抱き上げた気分になってしまってただでさえ昂揚しっぱなしなのに、もう誰にも止められない状態だ。
俺のなけなしの理性なんて最早どこへいってしまったのか。
大股でベッドへと急いで少し乱暴気味に琢ちゃんをその上に降ろした。やや寝乱れたタオルケットの上にぱっとしろいマントのように白衣が広がり、その中心には琢ちゃんの引き締まった肉体が鎮座している。その身体は神話に出てくる神々のように均整のとれた美しい肉体だ。
涎が滴り落ちそうになるのを堪え、俺はベッド脇の俺が取り出しやすい場所に常備してあるローション実に素早い動作で取り出した。
もう野生丸出しで上に覆い被さったらアッという間に床でしていたのとほぼ同じ格好にさせて。用意したローションをこれでもかってほど垂らしてみた。
「ひゃ…っ……冷てえ………心臓止まるかと思ったじゃん!」
少し責める口調で琢ちゃんが口を尖らせている。でも顔は見事に真っ赤だ。きっと照れ隠しに違いない。
俺は適当な口調で謝りながら指先にもたっぷりローションを垂らしては塗りつけた。もう正直それどころじゃないわけだ。
準備が出来たら琢ちゃんの唇に軽く自分の唇を押し当ててから両脚を肩の上に掛け直して例の秘所に指の腹を押し当ててみる。
くちゅ…
本当に小さな水音が響いた。
そのまま周囲を撫で回してからおもむろに一本だけ中に滑り込ませてみると、流石ローションの力は偉大だ。するりと第一関節までは難なく呑み込まれてしまった。
そのまま少しずつ動かして中を解していく。
指は湿ったいやらしい音をたてて琢ちゃんの中で蠢き続ける。
最初は途切れ途切れに苦痛の声をあげていた琢ちゃんは気が付けば極上の甘さの喘ぎ声を時折漏らしてくれる。
俺はもう一度琢ちゃんのモノに唇を寄せてみた。程良く固さを保ってきてはいたがまだ柔らかいソレを舌と唇で味わうように愛撫してやる。
唾液にまみれていくソレは自らも愛液を先端から漏らして腹筋の上をぬらぬらと光らせている。
先端まで舌を滑らせ、口の中に拭くんで溢れ出てくる蜜を音を立てて吸ってやると琢ちゃんは一際大きく身体を震わせた。
そのまま口の中に含み顔を上下させる。勿論右手の指は琢ちゃんの中をゆるゆると解したままだ。
琢ちゃんの息子は少し前とはうって変わってすっかり固く元気になっていた。
琢ちゃんの中はもう指を増やしてもやや余裕があるくらい柔らかく解れていた。此処まで素直な身体にしたのは、誰あろうこの俺だ。
日夜せっせと開拓、開発してきた成果の現れだと思う。いまではこんなに素直に俺を受け入れる準備態勢が出来てしまっている。
指先で入り口近くの腹側に指を折り曲げて柔らかくさすってやると、喘ぎ声に甘さが増す。

――――そろそろ頃合いだろう。

口の中のモノを喉の奥まで深く埋めて規則的に上下させる。かなり苦しいが、こんなのは琢ちゃんのためならどうってことはない。
指先の動きを加減しながら口と舌で琢ちゃんを絶頂に導いてやる。
途切れ途切れだった声は絶え間ない喘ぎ声に変わっていた。
程なく琢ちゃんの体液が勢いよく口一杯に放たれた。久し振りの懐かしい琢ちゃんの味と匂いに感動すら覚えながら全部飲み下して顔を上げると、瞼まで赤く染めた琢ちゃんがやや涙目でこっちを見ていた。顔に張り付いた俺の髪を指で掻き上げながら。
最後の一滴まで吸い上げて満足しながら埋めていた場所から顔を離す。
さあ琢ちゃん、待っていたよこの時を!
もう俺の不肖の息子は元気一杯すぎて手に負えない。琢ちゃんの中を恋しがり、今にも弾けそうな勢いで先端からとろとろと汁を垂らしている。ローションが必要ないかな? と思わせるくらいだ。
一応念入りに元気満々の息子にもたっぷりと振り掛けて塗り込んでから、琢ちゃんの艶めかしく色づいた秘所にも
念のためたっぷりと塗りつける。
「……ひ…っ……………」
冷たいのか小さな声を上げて慌ててその声を呑み込んだようにもみえる琢ちゃんの両脚を抱えて折り曲げ、上からよく見える格好にしてからその熟れた場所にぎちぎちに怒張した俺の分身を宛ってみる。
塗りつけるように動かすと、なんともいやらしい水音が心地よく室内に響いた。
「たぁくちゃ〜ん………ちょっと我慢してね………」
折り曲げた膝を両手で押さえつけて、ゆっくりと琢ちゃんの中に押し入る。
ねっとりと俺自身にまとわりつく琢ちゃんのそこは本当に温かくて……迂闊にも涙が込み上げてきた。
俺自身全体にねっとりと絡み付いてくる感触に感極まって、気持ち良いよりも何よりもとにかく琢ちゃんが愛しくてたまらない。
中に収めるか収めないかのうちに夢中で身体をぴったりと重ねて、首筋や肩口に口付けを繰り返した。
「………琢ちゃん…………琢……ちゃん……………」
無我夢中でその身体を引き寄せて抱き締める。温かくてすべすべの肌が全身で感じられると、また熱いものが身体中から溢れてくるような気がして肩口に顔を埋めた。
「顕ちゃん……? 今日は変だよ……」
琢ちゃんが笑いながら両手を首に回してきつく抱き締めてくれる。なんて愛しいんだろう。
「うん……ごめん…琢ちゃん………」
琢ちゃんの綺麗な形の肩を両手で抱き締めて耳元に囁いた。
「……琢ちゃん大好き……………頭がおかしくなりそうなくらい………………」
そう言ってから耳たぶをそっと舐めた。
「……………………わかってるよ、ばぁか……」
はにかんだように笑って、琢ちゃんが首に回してくれていた手で強引に顔を掴み、力強く唇を重ねてきた。
予想外の行動に驚くヒマもない俺の口の中に琢ちゃんの舌がするりと侵入してきて、いやらしい動きで這い回る。
暫くの間、深く貪り合う。
どちらともなく唇を離すと、唾液が淫靡に輝いて消えていった。
琢ちゃんの中に収めた俺の息子が挿れた時よりも大きく強く脈打っている。もうそろそろ琢ちゃんも馴染んだ頃だろうと、ゆっくり確実に腰を使い始めてみた。
耳元で琢ちゃんの喘ぎ声と荒い息遣いが心地いい。声の感じだとあまり辛くはないようで良かった。
ゆっくり琢ちゃんの中を抉るように腰を使い、収めたもの全てに吸い付くようにまとわりつく温かな柔肉の感触を存分に楽しんでから、少しずつ抽挿のスピードを速めてやる。
俺の動きに合わせて上がるとろけるように甘い喘ぎ声をもっともっと聞きたくて、動きを加速させた。
「……け…ん………っ…………ちゃ………………そこ………………駄目…っ………………」
琢ちゃんの一番敏感な部分をカリで引っ掻くように責め立てると、琢ちゃんが涙目でしがみついてくる。
「もうイきそう? ………いいよ…………イっても………」
そっと右手を琢ちゃんのモノに這わせると、限界までぎちぎちに張り詰めたまま我慢しているため、先走りの蜜を溢れさせていた。
指先にまとわりつかせて塗り広げ潤滑油がわりにすると軽く扱きながら一際早く中を抉ると、琢ちゃんが細い悲鳴を上げて数回身体を震わせた。
掌の中に大量の温かい液体が放たれた感触が広がった。それを琢ちゃんの胸元にたらたらと垂らしてから舌で舐め取った。
赤く色づいた肌の上に更に赤く色づいた突起が飾りのように乗っている。そこに滴り落ちる白い琢ちゃんの精を唾液たっぷりの舌で丁寧に舐めると、琢ちゃんが身体を震わせた。
此処も琢ちゃんの弱い部分だもんな。
ちゅくちゅくと音を立てながら舌先と唇を使って舐め取って、綺麗になってもまだ執拗に突起を舐め回したら琢ちゃんが切れ切れに哀願の声を上げてくる。
「もうや…あ…っ…………………ん………は……………ぁ………んっ…………」
二カ所からの刺激に琢ちゃんがあげた切ない喘ぎ声が更に俺を煽る。
「そんな声、出されたら………たまんないよ…琢ちゃん……………」
執拗に突起を舐りながら腰を使った。琢ちゃんの奥深くまで繋がるように激しく抽挿を繰り返す。
もう限界だ。額に脂汗が滲むのがわかる。
無我夢中で打ち付けていた腰の動きを止め、そのまま琢ちゃんの中に俺の全てをぶちまけた。
頭が真っ白になる程の開放感に酔いしれながら、崩れ落ちて両手で琢ちゃんをきつくきつく抱き締めながら唇を重ねる。
荒い息を整えながらも何度も確かめるように唇を執拗に貪っていたら、大人しくなった筈の息子があっと言う間に元気を取り戻してくる。このゲンキン息子は、琢ちゃんの中が本当に大好きらしい。
「……琢ちゃん……琢ちゃあん………好きだ…………」
一旦離した唇を耳元に近付けて耳たぶを口に含みながらそう呟いてみた。
琢ちゃんは両腕でしっかり俺の背中を抱き締めてくれている。
耳の後ろにそっと口付け、そのまま小さな音を立ててうっすら赤い刻印(しるし)を刻み込む。
さり気なく自分のものだと主張するためだ。
それでなくても琢ちゃんは同性異性両方に、可愛がられやすいから――――。
ま、有り体に言えば女の子にももてるけど、その手の男性陣にも非常に人気があると言うことで……。
我ながら女々しいと思うけど仕方がない。だってやっぱり不安だもの。
毎日側にいられるわけでもないし、たとえ会えたっていつもいつもこんな風に抱き合えるわけじゃない。
そんな事を考えながら首筋にもう一つ、口付けの跡を刻んだ。
「…ッ………痛ぇって……………顕ちゃん………」
眉間を僅かに歪めて琢ちゃんが呟いた。やや口を尖らせているのがまた何とも可愛らしくて、下半身が熱くなる。
吸い上げて跡を付けた場所にやんわりと舌を這わせちろちろと舐め回すと、琢ちゃんは小さく息を吐いてから首の後ろに両手を絡み付かせてくれる。
「………いいよ、顕ちゃん。もう一回したいっしょ………」
そう言いいながら積極的に唇を押し当ててくる。
「ホント? ホントにホント?」
犬のように琢ちゃんの身体を執拗に舐め回し、喜び勇んで琢ちゃんの腰を掴むと渾身の力で持ち上げて俯せにした。
袖だけ通された状態の白衣が汗や体液でじっとり湿ったまま、琢ちゃんの身体にまとわり付いている。
そのまま四つん這いにさせるといかにも白衣のまま犯してます! って感じでいやらしい。
白衣の裾をぺろんと捲ると琢ちゃんの可愛らしいお尻とご対面した。
ぷりっと肉付きが良くて形も綺麗な琢ちゃんのお尻の奥まった部分は先程俺の息子に陵辱されまっくったせいで赤く充血して色づいていた。まるでそれが熟れた果実のように見える。
そっと舌で襞の一つ一つをいたわるように舐めた。
気が付けば琢ちゃんの口からは熱い吐息が漏れている。
琢ちゃんの秘所はひくひくと物欲しげにひくついていて、もの凄く扇情的だ。
ひくつくたびに、中に残してきた俺の精が糸を引いて滴り落ちては内股をねっとりと汚していく。うわ、こんないやらしい景色見せられたらたまらない。もう限界だ。
俺は盛りのついた馬のように琢ちゃんの背後から腰を鷲掴み、自分の猛った雄をいやらしくひくつく場所に宛った。
ぬる…とした感覚に続き、いやらしい粘着音と共に温かかい琢ちゃんの中に呑み込まれた。
「……う……すっげ…ぇ…………琢ちゃんのココ………やらしい……………」
思わずそんな言葉が口をついて出る。
「う……っさ…いよ…………誰がこんな俺に……したのよ…………」
身体の下の琢ちゃんが切なげに言葉を吐いた。
――――そうだよね、こんな身体に開発したのは、誰有ろう俺だよね。
改めてそんな事を認識したら思わず口許に笑みが浮かんだ。
多分こんないやらしく乱れる琢ちゃんを知っているのはこの世に自分一人だけだろう。そんな事を思うと無性に嬉しくて、胸が熱くなった。
「琢ちゃん……大好き……………」
ぐいっと突き上げてから綺麗な筋肉が付いた背中に唇を押し当てると、琢ちゃんが細い悲鳴を上げた。
覆い被さって背中にも幾つか赤い刻印を焼き付けながら、両手でその身体を念入りに弄ぐる。掌に神経を集中させて、胸元の突起を撫で回した。胸の下の琢ちゃんの声がもっともっと甘さを増すまで。
掌に当たる突起が熱を帯びて堅く立ち上がっていた。それを指先でやんわり摘み上げて弄くると、琢ちゃんが切ない声を上げた。
「……っ……ぁあ…………っん……………」
親指と人差し指の腹同士で軽く捏ねるように揉むと、待望の甘い喘ぎ声を漏らしてくれる。
「……ん………やらしいなぁ、琢ちゃんの声…………もっともっと聞かせて………」
ひとしきり甘い声を堪能してから、今度は手付かずのままの琢ちゃん自身に手を這わせると、予想通り先走りの蜜を滴らせながら中途半端な状態で熱を持っていた。
掌で包み込んでやると琢ちゃんの身体がびくりと震える。
会えて積極的に擦ることはせず、今度は腰の動きに集中して琢ちゃんの中を掻き回したり抉ったりを繰り返した。
中に残してきた俺の精が盛大にいやらしい水音をたててくれる。それに肌のぶつかる乾いた音や琢ちゃんの甘い喘ぎが絡まり合って、最高に淫靡な音楽会のようだ。
「………け…………顕………ちゃ………っ………………」
がくりと琢ちゃんの四肢から力が抜け、シーツの上に糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
もうそろそろ限界のようだ。
猫のお強請りポーズのように腰を上に向けたままの琢ちゃんを、狂ったように滅茶苦茶に突き上げた。
身体の下の琢ちゃんは小刻みに身体をびくつかせながら、口からは切ないくらいに甘い吐息と喘ぎ声を漏らしている。
それでも執拗に琢ちゃんの中を抉り続けていた。
「……ん……ぅ…………あ…………っ……………」
苦しげな声すら愛しくて、更に琢ちゃんの弱い部分を責め立てるように腰を使ってみた。
「顕………ちゃん…っ………………もう……………」
シーツを両手で握り締めたまま苦しげに言葉を吐きだした。
「うん………うん、琢ちゃん……もういいよ…我慢しなくて…………」
俺もそう言いながら、激しく使っていた腰の動きを止める。
琢ちゃんの身体からさらに力が抜けていくのを感じながら、中にありったけの精を吐き出す。
シーツに突っ伏した琢ちゃんはだらだらと多量の自分の精を放っていた。



「………ごめんね、無茶し過ぎた…………」
死んだようにぐったりしている琢ちゃんを抱き締めながら耳元で呟いてみる。
琢ちゃんはまだうっすらと赤い顔をして目を閉じていたが、そっと瞼を開いてだまって俺の顔を見つめてくる。
「ごめん…本当にやりすぎた…………辛かった?」
額に唇を押し当てておずおずと聞いてみると、琢ちゃんは何も言わずにやや口を尖らせた。
「――――うん、死ぬほど…………」
と言って顔中笑顔って感じの笑みで抱きついてきた。
「………気持ちよかったよー………」
そこまで言ってから顔をぱあっと赤くした。
俺はと言えば突然のことにどうして良いか解らず、ただ言葉を失ってしまって不明瞭な言葉を呟いていた。
「何だよ顕ちゃん…………………ちぇーっ………」
今度は本当に口を尖らせた琢ちゃんを両腕で思いっきり強く抱き締め、顔中に口付けの雨を降らせた。
嬉しくて言葉が出てこないので、態度で示してみた。
「ちょっ………顕ちゃん………鬱陶し…………ああ…っ…もう!」
俺の言葉の替わりの口付けの嵐は若干鬱陶しがられてしまったが、その後琢ちゃんからのお返しにとびきり甘〜い唇を貰ったので、まあいいや。




因みに琢ちゃんはこの数日後、洗っても落ちない色々なシミに悩まされた挙げ句、結局買い取りになるらしいナース服についてぼやいていた。
馬鹿だなあ……勿論喜んで買い取るよ、俺が。

そしてまた琢ちゃんに着て貰うんだからさ…………。





F I N


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えー、表のキリ(数値忘れました)を踏んでいた文月翠サマより頂きました
25ナースコスで御座います。

本当はかなり前にリクを頂いていたのですが、
のろまのワタクシがたらたら書いていたせいで
カメヤっていつの話よ、をい!?
に、なってしまいました。。。or2


お楽しみ頂ければ幸いです





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