夢現
中国でそれを手にしたのは、ただの好奇心だった。それなりに値は張っていたが、効き目なんて期待していなかったし、そんなもの使わなくても彼はいつも可愛らしく僕に縋り付いてきてくれていたし―――――――。
でもそれを使ったら、ただでさえ可愛い彼がどうなっちゃうんだろうなんて考えてしまい………。
それを買ったはいいが帰国してからは忙しくて、存在自体を忘れてしまっていた。思い出したのは年明けの、琢ちゃんの誕生日のこと。二人で祝いたくて、仕事が終わり次第琢ちゃんちに行くと約束をしていた日だった。
朝、仕事に行く為に身支度を整え、クローゼットを閉めようとして―――――――ふと、隅に放っておいたままだった包みに目がいった。
………今夜が泊まりになるのは、分かり切ってる。明日はお互いオフなのだし、きっと琢ちゃんだってそういうコトに至るのは覚悟している筈で。
……恐る恐る、その包みを手に取った。もし琢ちゃんに馬鹿正直に話したら、どんな反応するだろう。モロに嫌悪されるだろうか……。
そんなことを考えつつも、鞄の中にそっと忍ばせた。
その日の締めの仕事は、いつものラジオ局での大泉との生放送。CM中、そういえばこいつにも同じものを買ってきたんだっけ…と思い出した。
大泉が佐藤と付き合っているのは知っていたから、ほんの軽い気持ちで。渡したときのリアクションは薄かったから、きっとまだ使っていないだろう。それどころか存在さえ忘れているんじゃなかろうか。
「大泉……、あのさ…」
「あー?何よ?」
「中国から買ってきたアレの効き目…どうかと思ってさ」
「?あれって?」
案の定、大泉はきょとんとした。
「ああ、いや、いいんだ。何でもない」
だいたい、ほんとに効果があるのかも分からずに渡しておいて、どんな効き目だったかを聞こうなんて虫のいい話な訳で……やっぱりまずは自分で試すべきだろう。
仕事を終えて酒やらつまみやらを買い込み、琢ちゃんのアパートへと車を走らせた。アパートに着き部屋を見上げると、まだ琢ちゃんは帰っていないらしく、明かりは点いていない。合い鍵で中へ入り、買ってきたものを冷蔵庫にしまって、煙草に火をつけ一息ついた。そういえば、例の物の使い方も確認していなかったっけ。
ごそごそと鞄を探り、包みを取り出した。
………琢ちゃんが先に帰ってなかったのは幸いだった。包みの中身は、いわゆる媚薬というもので……一つは服用するもの、そしてもう一つは直接塗布するもの。塗布する方はいつものローションと使い方は変わらないようだ。服用する方は、アルコールと併用することにより、更に効果が上がるらしい。
そうこうしているうちに、玄関のドアがガチャリと開いた音がした。丁度飯の支度も出来て、ワインも丁度いい具合に冷えてる。
「ただいま〜」
少し疲れた顔をしてはいるものの、にこにこと笑顔を浮かべた琢ちゃんが入ってきた。
「お帰りー。飯出来てるよ」
「うわ、カレーの匂いじゃんv 嬉しいな〜、すっげえ腹減ってるんだv」
ほんとに嬉しそうに笑って、肩に掛けていた鞄を下ろし、手を洗い始めた。
その後ろからきゅっと抱き締めた。
「顕ちゃん?」
「……あと二時間で誕生日が終わっちゃうじゃない。良かったよ間に合って…。おめでとう、琢ちゃん…」
琢ちゃんが僕の方に向き直った。そっと掌で頬を包み、唇を合わせた。
「…ありがと」
はにかんだように笑って、恥ずかしそうに俯いた。
―――――――――今日も最っ高に可愛い。思いっきり苛めて泣かせたい、なんて欲望が頭を擡げてくる。
「さ、食べよっか。琢ちゃん、グラスとお皿出してくれる?」
「うん」
ワインで乾杯なんかして、カレーをしこたま食べて、琢ちゃんは満足そうにソファーに寝転がっている。僕は片付けをしつつ、媚薬をいつ使おうか考えていた。
「琢ちゃん、風呂湧いてるよ。入っちゃったら?」
使いどころはやはり風呂上がりのビールと踏んで、琢ちゃんに風呂を勧めた。
「んー……そうだね。じゃあ先に入っちゃうわ」
何にも知らない琢ちゃんは、風呂場に入っていった。片付けを済ませ、鞄の中からそっと媚薬を取り出してみる。
暫く経って、上がってきそうな気配を感じたので、冷蔵庫からビールを取り出し、缶を開けた。多少の罪悪感を感じつつもその中に数滴垂らして、匂いなんか嗅いでみる。…ビールの匂いしかしない。
「気持ち良かった〜v 顕ちゃんも入ってくれば?」
「うん。はい、これ」
何喰わぬ顔でビールを手渡した。
「あ、ありがと」
何の疑いもなく、琢ちゃんは美味そうにごくごくと喉に流し込んだ。
「美味ーいv ……どしたの?顕ちゃん」
どうやら味の変化もないらしい。でも、美味しそうに飲む琢ちゃんを見ていて、途端に自分がとんでもないことをしているんじゃないかって気になって、心臓がばくばく言い始めた。
「いや…別に。じゃあ風呂借りるね」
何だか見ていられなくなって、そそくさと風呂に入った。媚薬の効果には個人差があると、説明書には書いてあった。もしかしたら琢ちゃんには全く効かないかもしれないし、それなら罪悪感を抱くこともない。でも、それも少しは残念なような気もするし……。
風呂に浸かりながら、ぐるぐるそんなことを考えて、落ち着かなくて焦って風呂から上がった。
「琢ちゃん?」
いつもなら風呂上がりはテレビの前でゴロゴロしている筈なのに、姿がない。ベッドを置いてある部屋を覗くと、琢ちゃんは毛布を頭からすっぽり被って、丸くなっていた。
「琢ちゃん?どうした?」
やっぱりヤバい薬だったんじゃ……。そう思い、毛布の上から琢ちゃんの身体に触れた。
「や……っ……!!」
小さな悲鳴と共に、琢ちゃんの体がびくりと跳ね上がった。
「琢ちゃん?どうしたんだよ。顔見せて?」
無理矢理毛布を剥ぎ取ると、琢ちゃんは恐る恐る僕を見上げた。顔が赤くなってて、涙目になってる。両手で自分の体を抱き締め、微かに震えているのが分かる。
「どうしたの?どこか苦しい?」
「……違……、変、だよぉ……熱い………」
切れ切れに吐き出される言葉は、涙声で。琢ちゃんの両腕が僕の首に廻されて、引き寄せられた。
「………助けて…っ……顕ちゃん…………」
僕の耳元で、切なげな吐息混じりに言った。
………つまりこれは…媚薬の効果ってことなんだろうか。普段なら絶対、こんな誘い方なんてしてこないし……体も凄く熱を持ってる気がする。
そっと琢ちゃんの両腕を解いて顔を覗き込むと、泣きそうな顔で僕を見つめた。それに引き寄せられるように、そっと唇を重ねながら、琢ちゃんの体を弄くった。Tシャツの上からなのに、琢ちゃんの体はびくびくと反応し、切なげな吐息を漏らした。
「…顕……ちゃんっ………」
焦れたような声を上げる琢ちゃんに、思わず笑みが溢れる。シャツを脱がせパンツを引き下ろすと、琢ちゃん自身の先端は既に透明な蜜で濡れていた。
「…どうして欲しいの?言ってみて……?」
琢ちゃんの両手首を押さえつけ、意地悪く耳元で吐息を絡ませて囁いてみた。そんな刺激にさえ、過剰なほどの反応を見せる。好きで好きで、大切で堪らないのに――――――苛めて泣かせて、滅茶苦茶にしたい衝動に駆られる。
「ひゃ…っ……」
耳朶を甘噛みして舌を這わせると、ぞくりと首を竦めた。
「ほら、琢ちゃん……言ってみなよ……」
首筋に口付けていき、舌先でそっと鎖骨をなぞっていく。琢ちゃんの激しい鼓動が伝わってくる。
「……いつもみたいに……触って…っ………」
琢ちゃん自身を見れば、相当辛い状態なのは分かる。でももう少し焦らしたくて、そこには触れずに胸の蕾を舐め上げ、吸い上げた。
「ひゃぁぁんっ…!!顕……ちゃ……!」
「琢ちゃん……可愛い………」
口に含み、甘噛みを繰り返す。もう一方を指先で摘むように摺り合わせると、自身を嬲られたときでさえ出さないような声が、琢ちゃんの唇から溢れてくる。
「あ…あ、顕ちゃ…っ……やぁ……も…………」
ねだるように僕を見つめる目には、涙が滲んでいる。どこを触って欲しいのか充分分かっていて、尚も焦らすように唇を塞いだ。
………いつもならおずおずと絡めている舌が、今日はびっくりするくらい貪欲だった。顔を離すと、口許からすうっと糸を引いた。
「…顕…ちゃん……、もっと………」
苦しそうに息をつき、縋り付いてくる。そんな琢ちゃんの姿こそが、僕にとっての媚薬なのだと実感する。
「…もっと…どうして欲しいの?」
「………触って……ここ………」
琢ちゃんは僕の手を握って、自ら自身へと導いた。普段とはあまりに違う大胆な行動に驚きながらも、琢ちゃん自身をそっと握った。
「…っ……あ………」
待ちわびた刺激に、琢ちゃんはうっとりと目を閉じた。先端から溢れる蜜を指先に絡め、緩急をつけて扱くと、琢ちゃんの体はびくりと跳ね上がった。
「ふ……っあ………、顕ちゃ……っ………あ、あっ……!!」
「気持ち…いい?琢ちゃん……」
激しさを増す琢ちゃんの呼吸に、僕の息も気が付けば荒くなっていた。琢ちゃんは、閉じていた目をうっすらと開き、こくりと頷いた。
「…もっと良くしてあげるね……」
そっと琢ちゃん自身に舌を這わせ、頬張った。ゆっくりと頭を上下させて刺激を与えると、琢ちゃんは息を詰めて僕の髪を弱々しく掴んだ。
「あ…あっ………顕ちゃ……ぁん………や……も……う…………!」
口に含んだまま、琢ちゃんを見上げた。顔を真っ赤にして、うっすらと涙を零しながら激しく胸を上下させている。
「イっちゃいなよ……琢ちゃん………」
「や…あ、あっ……――――――――!!」
口と手で琢ちゃん自身を扱き、更に強く刺激を与えた。
―――――――――一瞬、琢ちゃんの体が反り、硬直して―――――――琢ちゃんは僕の口の中で達した。
琢ちゃんの放ったものを全て飲み込んで、苦しげな呼吸を繰り返す琢ちゃんの髪を、そっと梳いた。
「大丈夫…?」
琢ちゃんは泣きそうな顔をして僕を見た。
苛め過ぎちゃったかな、なんて反省しかけたその時、琢ちゃんが口を開いた。
「…顕ちゃん……どうしよう………変だよ俺…………」
「琢ちゃん?」
「……治まらないよ………。熱い……。変だよぉ………」
まだまだ媚薬の効果は持続しているらしい。琢ちゃんは困惑しながらも蕩けそうな目で縋り付いてきて………思わず、喉がごくりと鳴った。
「…大丈夫だよ。いくらでも鎮めてあげるから……ちょっと待ってて」
琢ちゃんに口付けてベッドを下り、僕は鞄の中からもう一つの媚薬を取り出した。ベッドに戻ると、琢ちゃんを四つん這いにさせた。
普段から僕の言うことは何だって聞いてくれるけど………ここまで従順な琢ちゃんは初めてかもしれない。
……酷いよね。媚薬を使ってこんな状態にしたのは僕なのに『鎮めてあげる』なんて言って、更に別の媚薬を使おうとしてる。キミが滅茶苦茶に乱れて縋り付いてくる姿が見たい。もっともっと欲しがって欲しいと思う。――――――好きだから。
「…っ、顕ちゃ………な…に………」
チューブの中身を指先に取り、琢ちゃんの秘部にあてがった。反射的に引こうとした腰を空いている方の手で押さえつけ、ゆっくりと指を埋め込んでいく。
「あ……あっ………顕…ちゃ……ダメ…っ………」
ぐちゅ…と淫猥な音を立てながら、奥の方までゆっくりと塗り込めていき、一旦指を引き抜いた後もう一度……指を増やしてそこに埋め込んだ。琢ちゃんの中をほぐすように、出来るだけ優しく掻き回す。琢ちゃんの切なげな吐息と喘ぎ声が、僕の耳をくすぐった。
琢ちゃんの声が掠れるほどそこを弄り続けた後、指を引き抜きまた琢ちゃんを仰向けにさせた。
琢ちゃんの顔には涙の跡が幾筋も残っていて、目尻にも涙が滲んでいる。愛しくて何度も口付け、抱き締めた。
「顕…ちゃん………、顕ちゃんのが欲しい………挿れて………」
しどけなく体を開き、琢ちゃんがねだる。こんなにあからさまな言葉も、普段は絶対口にしない。……正直、蕩けそうな琢ちゃんを見ているだけでイきそうなくらい、僕のモノは張り詰めていた。早く快感を貪りたいとも思うけど、焦れて震える琢ちゃんも可愛くて……このまま見ていたいなんて思ってしまう。
「顕…ちゃん……」
顔を赤くして、涙目で攻めるように僕を見上げる。琢ちゃん自身の先端からは、また蜜が溢れていた。
「……もぉ……やだぁ………お願いだから………はや…くっ………」
内壁に塗りつけた媚薬のせいで、余程辛い状態らしい。
脚を大きく開かせて抱え、琢ちゃんの秘部に自分のモノをあてがい、ゆっくりと埋め込んでいった。
「ああ……っ……………」
待ちわびた感覚に琢ちゃんは悦楽の表情を浮かべ、甘い声を漏らした。熱を持った内壁がじわりと僕を締め付け、ひくひくと奥深くまで飲み込んでいく。
「…凄いね……琢ちゃん………琢ちゃんの中……凄くいい………」
僕のモノを根本まで飲み込んだそこは、熱く潤んで絡み付いてくる。味わったことのない快感に、思わず身震いして…そのままゆっくりと琢ちゃんを突き上げ始めた。
「あ、あっ…!顕…ちゃ……!!」
琢ちゃんの中に塗り込めた媚薬が、抽挿を繰り返す度にとろりと糸を引いて流れ落ちる。
切なげに眉を寄せ、切れ切れに甘い声を上げながら、琢ちゃんは両腕を僕の背に廻した。
「……………………」
「…何…?琢ちゃん…」
確かに何か言ったのに、小さい声だったから聞き取れなかった。動きを止め、琢ちゃんの顔を覗き込んだ。
「…好き……顕ちゃん………大好き………」
蕩けそうな表情で、熱に浮かされたように繰り返される言葉。あまりに思いがけなくて、嬉しくて……胸が締め付けられる。
「琢ちゃん……僕も好きだよ………どうしようもないくらい…………」
きつく抱き締め合い、互いの唇を貪り合った。
「…っ……あ…!ああっ………顕っ…………」
耐えきれずまた動き始め、さっきよりも動きを早めると、琢ちゃんの体が跳ね上がった。
「好きだよ琢ちゃん………」
突き上げながら、蜜を零す琢ちゃん自身を握り、そっと扱いた。
「やっ………!」
緩急をつけて扱き、更に激しく突き上げる。ぐちゅぐちゅといういやらしい音と互いの激しい呼吸が、部屋に響いた。琢ちゃんの内壁がじわじわと僕を締め付け、快感を貪る以外には何も考えられなくなっていく。
「は、あ、ああっ……!も…ぉ…、おかしくなっ…ちゃ……!!」
泣き叫ぶ琢ちゃんの腰を掴み、更に奥まで抉るように突き上げた。限界を迎えた琢ちゃんの体がビクッと反り返り、僕の手の中に体液を吐き出すと同時に――――――僕も琢ちゃんの中に欲望を吐き出し、ゆっくりと琢ちゃんの上に体を預けた。
呼吸を整え体を起こして琢ちゃんを見ると、ぐったりと横たわり荒い呼吸を繰り返している。
「…っ…あ………」
琢ちゃんの中からずるりと僕のモノを引き抜くと、琢ちゃんは身を竦め、切なげな声を上げた。うっすらと目を開けて、とろんとした目で僕を見上げた。
「大丈夫…?」
「ん………」
微かに笑った琢ちゃんは、とっても艶っぽくて……いつにも増して可愛く見える。
琢ちゃんの手をきゅっと握り、口付けた。―――――――と、琢ちゃんの舌が僕の口の中に入ってきた。
いつもだったら絶対にしないであろうその行動は、まだ媚薬の効果が残っていることを表していた。
舌を絡め合い、唾液を絡ませ合いながら、そっと琢ちゃんの胸の蕾に触れた。
「あ…っ……」
びくりと体が震えた。やはりまだいつもよりも感度が増していることに驚いた。ほんの好奇心で手にした媚薬が、こんなに効くなんて思いもしなかったから。
「…まだ足りないんだ………いやらしいね……琢ちゃんは……………」
「…だってっ………」
くすっと笑って言った僕に、さっと顔を赤らめ恥ずかしそうに顔を反らす。
嗜虐的な感情が胸の奥底からじわりと湧いてくるのが分かる。
「…して欲しいんでしょ?…可愛いよ、琢ちゃん………」
さっきまで僕を受け入れていた場所に手を延ばし、そっと指先でなぞった。
「いや…ぁ……んっ………」
言葉に反して、琢ちゃんのそこは次の刺激を求めてひくひくと動いた。僕の放ったものと媚薬とでねっとりと濡れ光るそこに、ゆっくりと指を埋め込んでいく。指先で内壁を擦り、掻き廻した。
「…ふ……くっ………あ………ああ……!!」
艶っぽい喘ぎ声が漏れ始め、琢ちゃん自身がまた熱を持ち始めた。僕の指を根本まで飲み込んだそこは、貪欲に絡み付いて締め付けた。
「……顕……ちゃんっ………」
切なげに呼ぶ声に、顔を上げて琢ちゃんを見た。
「何……?琢ちゃん……」
「……指じゃ………やだ………もっと……いっぱい奥まで………」
目を潤ませ、顔を真っ赤にして琢ちゃんが言った。そんな琢ちゃんの大胆な言葉に、僕のモノもどんどん熱を持ち始めていく。指を引き抜き、脚を大きく開かせた。
「……あげるよ、琢ちゃん……いくらでも………」
「あ…あっ―――――――――!!」
一気に貫き、激しく責め立てた。琢ちゃんは頭を振りたくり、僕の背に縋り付いた。
「……?!」
悪戯心を出して、そのままぐいっと琢ちゃんを抱き起こした。僕の上に座る格好になった琢ちゃんは、戸惑った様子で僕を見た。
「ごめん…あんまり琢ちゃんが大胆で可愛いからさ……。いつもと違うことしてみたくて。………動いて見せてよ、琢ちゃん………」
言いながら、抱き寄せて胸の蕾をぺろりと舐め上げた。
「あ…!顕…ちゃ……」
「イきたいんでしょ?好きなように動いてみせて…?」
琢ちゃんは泣きそうな顔で、おずおずと動き出した。やがて夢中で律動を始め、甘い吐息と声が漏れ聞こえ始めた。
僕も琢ちゃんの体を支えながら下から突き上げ、琢ちゃん自身をそっと握り込んだ。
琢ちゃんの体が、びくりと反り返った。それと同時に、内壁が僕を締め付ける。僕の呼吸もどんどん荒くなっていく。
「………琢ちゃん、気持ちいいんだね……僕も最っ高にいいよ………」
「顕…ちゃん!あ…あ…!!も……ぉ……やぁ……!!い…くっ………!!」
悲鳴じみた嬌声を上げながら、琢ちゃんが僕にしがみつく。僕も限界が近付いていた。琢ちゃん自身を扱く速度を早め、更に激しく突き上げる。
「やぁ…!!も……顕っ…………いっ……くっ……――――――――――!!」
琢ちゃんの体がビクッ、と硬直した。張り詰めていた琢ちゃん自身から放たれた体液が、僕の肌をべっとりと濡らす。
――――――僕もきつく琢ちゃんを抱き締め、二度目の頂点を迎えた。
気を失って、くたりと横たわる琢ちゃんをタオルケットでくるんで抱き上げ、ベッドの脇に敷いた布団の上にそうっと寝かせた。ベッドのシーツは体液でぐしょぐしょで、そのまま寝る訳にもいかず……。
……………それにしても。普通じゃ絶対言わないような言葉や大胆な行動が、ああも次々出てくるとは思わなかった。恥じて戸惑いながら感じてる姿も可愛いけど、積極的に求められるのもなかなかいいなあ……なんて、穏やかな寝顔を見ながらにんまりしてしまう。
そっと手を延ばし、乱れた髪をそうっと撫でて額に口付けた。
「………………」
琢ちゃんが寝返りを打ち、タオルケットからもそもそと手を出した。その手は何かを探すようにシーツの上を彷徨っている。何か夢でも見ているんだろうかと、その様子をじいっと見つめてしまう。
「……顕…ちゃ…ぁん…………」
僕の名を呼び、更にシーツの上を探るように手を滑らせてる。
――――――ひょっとして、僕を捜しているんだろうか。
琢ちゃんの手の上から、そっと僕の手を重ねて、きゅっと握った。
「……ん――――………」
琢ちゃんがうっすらと目を開け、僕を見た。夢現、って感じでぼんやりしているけど、安心しきったように微笑んだ。
「僕を捜してた?」
「…………うん………。何で起きてんの?顕ちゃん……」
「…いや、その……ベッドのシーツが汚れまくったからね、布団敷いて琢ちゃんを移したとこだったの」
「…ふーん………いないのかと思っちゃったぁ………」
目をしょぼしょぼさせながら、ふわあと欠伸をひとつ。
「………僕がいないと嫌?」
「うん……嫌っていうかぁ……………いないとダメなの………。…俺、顕ちゃんいないと………」
胸が、とくんとなった。
……これも、媚薬が言わせている言葉なんだろうか……。どっちにしたって嬉しいけど。
「…ね、隣に来て、抱いて寝て………」
――――――――はっきり言って、鼻血モノだ。この上ない可愛いおねだりに、また元気になってしまいそうだ。
…でも、流石にこれ以上してしまったら、明日の君が心配だから。
おとなしく隣に横になり、タオルケットの上から抱き寄せ、布団を被った。
目が覚めたら、君は今夜のこと忘れてるのかな。
――――――それとも覚えてて赤面するんだろうか。
いずれにしろ、当分媚薬のことは黙っていよう………。
『おねだり』を書き上げた後、
翠さんにおねだりしたら書いて下さいました(笑)
媚薬モノ・顕琢編ですv
■ 追記 ■
何度か見直しはしているのですが何せあんぽんたんの凰原。
リライトの際に打ち間違いが多々あるやもしれませぬ(汗)
見つけたらどうぞご一報下さいませ。
■ 更に追記〜 ■
文月サマより校正していただきました。かな〜りスカポンタン間違い多し(激汗)
大変に申し訳ございませんでした〜。。。
あ゛あ゛。鬱じゃ(泣)