I・BI・KI




 「……ちょっ、馬鹿………やめれって…………」
腕の下でしげが慌てて藻掻いた。相変わらず往生際の悪いヤツだ。
「いいべや……最近全然逢えなかったんだから、今日ぐらい。」
顔を寄せ、耳元で囁いてみる。
しげは顔をしかめて小さな声で呟いた。
「隣、そろそろハリちゃん達みんな帰ってきちまうから……やっぱ無理。ここ、壁薄いし。」

そう、俺達は大体月一で行われる『おにぎり』のロケで今回は九州まで来ていた。
おにぎりでは大抵、宿泊時の部屋は唯一の女性であるマミが一部屋。スタッフ数人が一部屋。そして俺としげで一部屋と相場が決まっていて、今回もご多分に漏れずその通り。
更に今、隣室に居るであろう筈のスタッフ達はご機嫌で俺達出演陣を置いて呑みに出掛けてしまった。
と来れば、久し振りに逢ったのだから、ちょっとくらいいちゃついたっていいだろう……と、思う。幸いマミの部屋は少し離れてる場所だし。
だけどさっきから腕の中の佐藤くん改め戸次くんが、どうにも頑強に抵抗して下さる。
せっかくいい雰囲気になったなー…と思っても、するりと逃げてしまうのが腹立たしいわけで。
大浴場から戻ってきた途端にどうにか押し倒そうと試みるも、敵も然る者…なかなか思い通りには進まない。
風呂上がりの浴衣姿で胡座なんてかかれて目の前に座られたら、湯上がりの白い肌が薄桃色に上気していて、それこそ悩殺ものだっちゅーのに……当の戸次さんってば突然立ち上がったかと思うとしれっと縁側に置いてある籐製の椅子になんか優雅に腰掛けて、冷蔵庫から出してきた地酒なんか目の前のテーブルに置いてご満悦な表情で呑んでいらっしゃる。
悔しいから目の前の椅子に腰掛けてご相伴に預かっていたわけだけれども、戸次さんは一向に呑むのを止めない。
せっかく久し振りにもてた旅先での二人っきりの時間。せめて膝に乗って甘えてくるとか足元に座ってしなだれかかってくるとか……そんなことを夢見ても、一向にそんな気配もなくただただ飲んべえは杯を重ねるだけだ。

 ってなわけでちょっと強硬手段に躍り出てみたっちゅーわけよ。
俺はしげが大事そうに抱えていた地酒の瓶と杯をもぎ取り、しげの華奢な体をやや強引に抱え上げた。
目指すは部屋のど真ん中に並べて敷いてあるふかふかのお布団。
最初仲居さんが敷いてくれたときには男二人に気を遣ってか随分間を開けて敷かれていたのだが、しげが風呂から戻る前に先に戻った俺様が抜け目無く丁寧にくっつけて敷き直してあるのだ。
しげは案の定俺の耳元にでかい声で喚いた。
「うるせえぞーしげ。でかい声出したら他の部屋に迷惑でしょうが!」
ぴしゃりと言うと、しげは素直に黙った。こういうところが素直で可愛らしいんだな。
ゆっくり丁寧に布団の上に抱え降ろすと、ばつの悪そうな顔をして目を逸らした。
酒でほんのり赤らんだ頬に潤んだ瞳がいつも以上に艶めかしく見えるのは、きっと俺も地酒が良い感じで回ってきているからだろう。
いや、しげはいつでも艶めかしいか。
でなきゃこんなに夢中にもなるわけがない、なーんて時々自問自答してみる。
とにかく俺はしげが大好きだ。それだけは何物にも譲れない。
側にいるだけで何故か安心する。くだらない話で盛り上がるのがとにかく楽しい。
性格にやや問題有りで色々と鬱陶しいヤツだけど、それでもひっくるめてやっぱり可愛いと思える。
時折そこいらのどんな綺麗な女優よりも艶めかしい表情をする。正直、それだけでもう一生離せない…と感じてしまう。
こんな事を思っている今も、しげの事を考えただけで体が火照ってくるのは……これはもうなるべくしてこうなったのだと言わざるを得ない。

しげが好きだ。しげが大好きだ。今すぐ抱き締めたくて気が狂いそうだ。

そんな事を思いながら押し倒したら、『壁が薄いから無理』だとさ。
そんなもんどうにでもなるべ……と溜息を吐きたくなったが、気を取り直して無理矢理唇を重ねる。しげは往生際悪く顔を背けようとするが、がっちりと上から四つん這いで跨って、両手で顔を捉えているので逃げ場はない。
いつもの温かさと柔らかい感触が唇からじんわり伝わってくると、気持ちが昂ぶってきて味わうように何度も何度も重ねた。
唇にやんわりと噛み付き、薄く開いた隙間に舌をねじ込んでやるとしげの舌先が絡み付いてきた。互いに意思を持った生き物のように舌を沿わせ、絡ませる。
荒い息遣いの中、どちらとも無く貪り続けた。
―――なんだ、しげだって欲しかったんじゃん…………
そんな事を想うと胸の奥がじんわり熱くなっていた俺の耳にけたたましい笑い声が響いてきた。

『あれっすか? じゃあ明日、俺が起こしますか?』
『うひゃひゃひゃ…いやいや、いいっすよぉ。』
などという実に幸せそうな聞き覚えのある声。間違いなく隣のスタッフ達が戻ってきたらしい。
まー酔っぱらいの喧噪というのは、古今東西実に五月蝿いものだ。
俺は貪っていた唇を離し、暫ししげを見つめた。しげも興醒めた顔で見上げている。
「ほーら…な? ここ壁薄いから、まる聞こえだべや………」
ふいっと目を逸らし、口を尖らせる様も可愛らしい。
「………じゃあ、声が漏れないように俺が口塞いでやるよ。お前の声、なまらいやらしいし。」
言った途端、しげの顔が耳まで赤く染まった。
筋の通った鼻先に自分の鼻を擦り付けてその表情を楽しんでから、もう一度唇を塞いだ。
軽くいやいやをする顔をもう一度押さえつけ、耳元でそっと囁く。
「お前の喘ぎ声……本当はみんなに聞かしてやりたいくらいエロくて可愛いんだけどなぁ……」


 朱に染まった耳たぶを口に含んで舐め回す。
ふるふると小刻みに震える様も愛しい。
ぴちゃぴちゃ水音を立てて舐りながら、やや乱れた襟元に手を伸ばした。
相変わらず信じられないくらいすべすべの肌に掌を這わせる。しっとりと吸い付くような手触りには感動すら覚える。
耳たぶから顔を離し上からしげしげと眺めると、はだけた襟元から覗いて見える肌が煌々とした部屋の灯りに照らし出されて白さを際立たせている。
ほんのり見え隠れしている胸元の薄赤い突起も艶めかしいものだ。今すぐにむしゃぶりついて甘い声を味わいたくなるのをじっと我慢し、そっと指先を這わせた。
つんと立ち上がったそれを指先で擽るように触れ、やがて指の腹で撫で回した。
「啼いてよ……しげ……」
しげはきゅっと唇を噛みしめ、やや眉をひそめて睨み付けてくる。
甘い声が聞きたいのにな……。
指の中の突起を親指と人差し指で丁寧に揉み解すように弄くると小さく呻き、慌てて唇を引き締める。そんな様もなかなかにエロいもんだね。
「おやぁ? おやおやぁ、戸次さん……辛いかい?」
想わず唇を舐め回しながらそう言ってしまう。意地が悪いのは百も承知! ガキの時から好きな子は泣かせたくなる性分だ。

 しかし佐藤さんを戸次さんと呼ぶようにして、もう半年か。
しげも色々あって―――――――――それこそ俺にはどうしようもない哀しい出来事があって、思い切ってこの芸名にするって聞いたとき……ただただ切なくってなあ。
俺には何もしてやることが出来なかった。
あの忙しい時期にしげは俺にも弱音なんて吐かずに、ずっと一人で唇噛んで頑張ってきたんだと思ったら……胸が張り裂けそうになったわ。
だから今まで思いの丈を込めて呼んでいた「佐藤さん」は俺の中で「戸次さん」に確実に切り替えていかなきゃいかんと思ったよ。
勿論二人だけの時に拘ることはないんだけど………しげの決意を丸ごと受け止めてやりたくて、自然にそう呼べるようにささやかな努力はしてみたさ。

 散々指でこね回して朱く色付いた突起を舌先で擽っては啄み、軽く吸い上げると固く閉じられている唇から時折切なげな声を漏らしていたが、段々堪えきれなくなったのか自分の手の甲を口に宛っている。
人差し指の付け根辺りを口に銜え、声を押し殺そうとしているらしい。
見た目はやらしくて最高だが、あまり効果はない………かも。
だって可愛らしい吐息がやっぱり漏れてんだもの。
浴衣の隙間から忍び込ませた手を内股辺りに忍ばせ、焦らすようにわざとゆっくりとまさぐってやると、効果は覿面だ。
「……ん……っ……………ぁ…………は…ぁ…………」
やーらしいねぇ、こういうときの戸次さんの声。勿論いつものハリのある涼やかで無駄に爽やかな声も好きだけど……こういう時のちょっと掠れたような切れ切れの声は抜群にエロイわけよ。
 あんまり焦らすのも可哀相だから目的の場所に彷徨わせていた手を這わせる。指先に下着と思われる布地と、下着の下で息づいているしげのモノが触れた。
下着は先走りと思われる体液でじっとり濡れている。
布の上から爪先で何度か引っ掻くようにすると、しげの体が電気にでも打たれように戦慄いた。
「戸次さん、えっちだなぁ……パンツまでびっちょり………」
しげが抵抗するかのように体を捩る。勿論上から押さえつけてお互いの体を密着させてんだから、そんな足掻きなんて無駄なのはどちらも解りきってるんだが。
意地っ張りでプライド高くて恥ずかしがりやなしげは、いつもこういった分かり易い抵抗をしてみせる。何もせずにのほほんと俺を受け入れるタイプでは、ない。
それはいつもそうだ。
だから俺もいつも目一杯意地の悪い言葉で羞恥心を煽ってやる。
これがいつもの俺達のやり方。
仲の良い仕事仲間としての仮面を剥ぎ取って、肉体も魂も全てを求め、受け入れて交わるための儀式のようなものかもしれない。

 胸の突起に舌を這わせながら濡れた下着の下に指を忍び込ませた。
ぬるりとぬめる液に塗れたシゲのモノを撫で回してから、掌の中に握り込んでゆっくりさすってやる。
ひくひくと体を震わせながら、快楽に身をしならせる姿も可愛い。
しげはどんどん荒い息遣いになっていく。最早口許に宛った手の甲も意味を為さないものと化しているようだ。
固く凝っている胸元を口許で弄びながら、手の中のモノをやさしく愛撫した。止め処もなく溢れてくる蜜に指を絡ませながら扱くと、体を戦慄かせている。
押し殺そうと努力しても、その桃色に艶っぽく色付いた唇からは絶え間なく喘ぎ声が漏れ聞こえている。
「……いいのかい? 声、聞こえちゃってるかもよ〜。」
胸元に埋めていた顔を上げ、首筋に舌を這わせながらそう囁いてみた。
案の定、慌てて指の背を口許に宛い、声を殺そうとする。
「………いやいやいや。」
俺はその手を退け自分の唇を強引に押し当てた。
ゆっくり舌を絡ませながらその声を封じてやる。ま、ちょっとした親切心だ。
絡み付かせた舌がどうにか逃れようと、まるで生き物のように蠢くのをうまくあしらって吸い上げる。
シゲが喉の奥から苦しげに呻いたのであまり深追いせずに、絡ませていた舌を離して引き抜くと混ざり合った唾液が糸を引いた。
淫靡に煌めくそれに満足しながら、ますます赤く色付いた唇に口付けた。
「こうすれば声は外には聞こえないんだけどねぇ……」
唇を舐め回しながら囁いてみるとしげは反抗的な目で睨み付けながら唇をぎゅっと噛みしめた。
「もう気にしないで声出しちゃえよ、お前。」
しげはますます唇をきゅっと固く引き締めて顔を背ける。そんな顔も可愛い。
どうにかその表情を崩したくて、手の中のモノをやや強めに扱いた途端、しげは小さく呻いて目をきつく閉じた。 

意地っ張りだよな――――――ほんと。

そんな事を思いながら指先に先走りの蜜をぬるぬるとまとわりつかせて鈴口に爪先を割り入れた。
「っ………!」
しげがびくっと体を震わせて小さく呻く。どうにか声を押し殺そうと努力しているらしい。
そんな事は無駄なのにね。

 しげの脚を開かせるようにしてから体で押さえ込み内股を優しく撫で回した後、蜜をたっぷり絡ませた指先を両脚の間へと忍び込ませた。
奥まったその場所に辿り着くと、ぬるぬるの液体を擦り付け入り口の襞を念入りに指の腹で弄ぐってやる。
体の下でしげが熱い吐息を漏らした。
焦らすように何度も丹念に入り口を押して少しずつその中に入り込もうと試みた。勿論負担をかけないように、慎重に…慎重に。
大切な大切なしげを傷付けて泣かせるのは趣味じゃない。
泣かせるのは言葉攻めと焦らしに限る。これが俺の信条だ。
 中指が第一関節辺りまでゆっくり中への侵入に成功していた。しげの奥底はもう少し奥まで呑み込もうとしているのか、ひくひくと蠢くが今はここまで。ゆっくりじっくり動かして入り口が柔らかく広がるのを待つ。
こうしているだけなのも何なので、俺は少し体を下にずらして体勢を整えていく。
まずは腰ひもを手早く解いて浴衣を強引に剥ぎ取り、中途半端に着けたままだった下着を引きずり降ろしてみた。
さらに大きく両脚を開いて膝を立てさせる。これで取り敢えずは準備万端といったところか。
こんなにもあられもない格好をさせられているしげは、もう諦めたのか抵抗すらしてこなかった。
綺麗な腹筋の上ではち切れそうに膨張し、先端から透明な蜜を垂らしているモノをとにかく解放したくてそれどころではないのかも知れない。
望むところだ。
開かせた内股に顔を近付け、そっと舌を這わせた。わざと音を立てて舐め回してやる。
「……ん……っ…………っく………ぅ…………」
しげは辛そうに声を漏らした。うん、やっぱいい声だわ。
時折小さく吸い上げて華のような跡を残してやるとびくびくと震えた。
あんまり焦らしてやるのも可哀相なんで、お待ちかねのしげのモノに唇を押し当てた。
「あ…!……………」
一際大きく震え、やや大きめの声を漏らしたかと思うと口をつぐんだ。
お構いなしに舌で舐り唇で啄むように愛撫した。
固くつぐんだ口から時折小さな喘ぎが漏れるだけだ。
はち切れそうなソレを口の中に呑み込みゆっくり大きく上下させると頭の上で何だかよく解らない喘ぎ声が漏れ聞こえた。
銜えたまま顔の方を見上げると、しげは必死で手の平を口に当てて内側の肉を噛みしめて耐えているようだった。
どうしてこう―――意地っ張りなんだろうねえ。
どうせ隣は酔っぱらい、聞こえたところでどうにでも誤魔化せるだろうに。

 悪戯心がむくむくともたげてくる。
じゃあじゃあじゃあ、もっと気持ち良くしてやろじゃーないの! そんな抵抗なんて無駄だって事を戸次さんに思い知らせてやりましょ。
俺はしげのモノを口で丹念に愛撫しながら奥底に穿った中指をもう少し深くまで進めてみる。
慣れたソコはあまり苦もなく受け入れてくれた。
やや深くまで穿たれた俺の長い指を入り口付近のとある場所を目指してちょいと折り曲げてみる。入り口から腹側に向かった場所に目当てのモノがある。
指先で慎重に柔らかく触ってみた。
「ぅ…あっ…………ん……やあ…ッ…………」
しげが大きく体を戦慄かせながら堪えきれずに声を上げた。
――ほれみろ。耐えられないくせに。
逃れようと跳ねるように足掻く腰を押さえつけようと左手でしげの右太股をがっちり掴んでから再び口の中のモノを丁寧に味わった。
何かもう頭の上でもの凄い喘ぎ声出してるけど、俺は知らないもんねー。
隣に聞こえようが何しようが知ったこっちゃねえや。
明日あいつらに聞かれたら、深夜までプロレス技をかけてたとでも言っときゃいーべ。

 「……たすけ………ぇ………っ………も……ぉ…………嫌…ッ …………」
しげが悶えながら必死に哀願してくる。
もうぎりぎりの限界まで弄くっちゃってるもんなあ。それでいて絶対にイかせないように調整しているからしげにしてみればたまったもんじゃないだろう。
蛇の生殺しのようにされて、しげは息も絶え絶えだ。
でもそんな姿もやらしくていいよね。
「――――もうイきたい?」
口からしげのモノを離して問い掛けると、しげは歯を食いしばったまま何度か頷いた。
桃色に紅潮した頬には幾筋か涙の跡が光って見える。
………うん、なまら扇情的だねぇ。
「……いいよ。」
俺は余裕を見せて笑みを浮かべてみせる。
でも本当は俺もかなり限界に近かったりするが、そこは悟られないように。
今まで唇と舌とで散々慈しみを込めて嬲ったモノに唇を押し当てて暫しの別れを惜しむと、中を思う存分掻き回していた指をゆっくりと引き抜く。
「……………う…………」
それだけでも感じてしまうのかしげがまた体を引きつらせるように震えさせた。
今度はその奥まった部分に舌を這わせ、たっぷり唾液を送り込むように舐め回してからすかさず体勢を起こして両脚を両腕で抱え込む。
今や限界間近といった風情で反り返って痛いくらいの我が息子を目当てのソコに宛い、更に先走りの液を執拗に塗りつける。
「………大……泉…………っ……」
しげはうっすらと目を開け、だらしなく涎に塗れた淫らな色の唇を僅かに開けて俺の名を呼ぶ。
「何?しげ。」
わざと素っ気なく答えてみる。本当はこういう時に名前を呼ばれるの、大好き。
背中がぞくぞくっとして、それだけで胸がいっぱいなっちまう。
そんな事を思いながら、ぬるぬるの雄の先端を擦り付けていた。
「お……いずみ………ぃ……」
しげの長い腕が俺の二の腕辺りにするりと絡み付いてきたかと思うと、両腕の同じような場所にちりっとした痛みが走る。
「ちょ……戸次さぁん………腕に爪立てんの、やめれや。こんなとこ目立ってしかたねえべや。」
しげは苦しげに大きく息を吐いてからもう一度指先に力を篭めてくる。
「…は…………やく………ッ…………」
唇を戦慄かせてそれだけいうと苦しげに目を閉じた。長い睫毛が小刻みに震える様がまた実にいやらしい。

―――うん、意地っ張りのしげちゃんにしては上出来。
まぁ、背に腹は変えられなかったんでしょうけどねー。

「……はいよ。じゃあちょっと大人しくしててな……。」
舌なめずりしながら俺はしげの中に入っていく。
温かくて柔らかくて、ねっとり……じわりとしげの中全体が俺自身にまとわりついてくる。
この瞬間はいつも呻き声を上げてしまうほどに気持ちが良い。
何回か出し挿れを繰り返して根本まで収めきったソレに、しげの中はまさに絡み付くといった感じで俺を受け入れてくれた。
あまりの気持ち良さに俺はいつものような加減が出来ず、無我夢中で突き上げだした。
我ながら盛った中学生のようにしげの中を攻め立てる。
「ん!…んん………ッ…………ん……ッ……………!」
しげは自分で自分の口を掌で覆って声を漏らさぬようにしているが、夢中でその手を剥ぎ取り両の手首を掴んでシーツの上に抑え付けた。
「や…め…っ!……この……馬鹿ぁ………ッ………」
小さく喚いた唇も口で塞ぎ、思うままに中を掻き回しては弱い部分を攻め立てた。
程なくしげは塞がれた唇から小さな声を漏らしながら体を硬直させ、ギリギリまで我慢していた精を宙にぶちまけた。
遮るものもなく中空に放たれたそれらはほぼ全て、俺達の腹や胸元に掛かったのは言うまでもない。
緩やかに腰を使いながら塞いでいた唇を離す。
勢い良く飛び散ったしげの白い精は首筋をゆっくりと滴り落ちていた。それをねっとりとした舌使いで舐め上げた。
更に鎖骨。そして胸元。
端正な体の彼方此方に点々と落ちた精液を丁寧に舌で舐め取りながら、深く浅く突き上げる。
正直、もうヤバい。額から汗が滲む。
しげの綺麗な胸筋に顔をすり寄せて薄赤く色付く突起を間近で指で弄くったり眺めたりしながら時折ぶるっと体を震わせた。
指先で弄んでいた突起にむしゃぶりつくと、歯を立てて甘噛みしたりきつく吸い上げた。
反らしがちなしげの背中に両腕を巻き付けて抱き締めながら、俺の雄を狂ったようにしげの中の粘膜に擦り付ける。
しげの両手が俺の頭を掴み、髪の中に指を差し入れてくる。指は少し乱暴に髪の中を彷徨った。
あまりの気持ちよさに頭の中が真っ白になった次の瞬間には強烈な浮遊感に襲われる。
全ての動きがゆっくりと止まり、俺は限界まで酷使した自分の体をしげの体の上に投げ出した。
耳に当てられたしげの体からは激しい鼓動の音と呼吸音が心地よく響いてきて、暫くそのまま荒い息を整える。
 ふと、地鳴りのような音が何処からともなく響いているのに気付いた。
それは地震の前触れか、はてまた地獄の釜でも開いて得体の知れないものでも這い出してきているのか? といったような地響きに近い音。
やや暫くしてそれが隣室から聞こえてくる複数のいびきだということに気が付いた。
おにぎりスタッフ達が思う存分酔いにまかせた後の盛大な最後っ屁のようなものだ。
そしてそれに気付いた俺は口許がほころぶのを抑えることが出来ないでいた。


 やや体を起こして中に収めていたモノを解き放った精液と共にずるり…と引き抜いた。
「……あ……ごめ…………俺、寝てたか………」
意識を一瞬失っていたらしいしげが呟いた。
「いや、いいよ………ちょっとじっとしてて。」
それだけ伝えると俺はまだぼんやりと微睡んでいるしげの体を両手で掴んでうつ伏せにひっくり返した。
「……いや…もう今日はよそうぜ…大泉。俺、もう限界………」
うつ伏せにされたしげが慌てて起き上がろうとするのをむざむざと見逃す俺様ではない。
すかさずマウントポジションを確保し、細腰をがっちり掴んで動きを阻止する。
「いやバーカ! たったあれだけで終われるわけないだろ! 甘いんだよお前は。」
ほーら…もう俺の息子は臨戦態勢に入った。相変わらず俺の下半身は俺の上半身以上に、しげの体が大好きだなあ。
猛った雄がさっきまで蹂躙していた場所に再び攻撃を開始しようとしている。
俺の放った液が糸を引いて滴り落ちるその場所にやや乱暴に押し入った。
「…やっ………やめ…ろっ…………」
身を起こそうとしていたところを封じられたしげは、見事な四つん這いの獣のポーズだった。
慌てて身を捩り俺の方をみようと振り返ったところで再び侵入を受け入れてしまった…てなとところだ。
「……や………馬鹿…ぁ…っ…………っく…ッ………」
しげが慌てて這って逃げようとしたところをぐいっと一突きしてみたらこんな声、出してきた。
流石。この大泉洋様が丹誠込めて可愛がってきた肉体は、俺には抗えないらしい。あっさり陥落し、上半身はシーツの海に崩れ落ちていた。
ただ必死にシーツを握り締め、突き上げられる度に堪えきれず喘ぐ。
こうやってどうにか声を殺そうと必死な姿も可愛くてそそられるけど、やっぱりちょっと可哀相だから早めに教えて上げよう。
「しーげー……あんなぁ…声、我慢しなくていいよ。隣、大いびきかいてるわ。」
そう言いながらぴたりと腰を使うのをやめてみた。
急に静かになった室内に響くのは微かな空調の音と、壁の向こうから響いてくる地鳴りのようないびき。それも複数形だ。
「………んな?」
しげは顔を埋めていたシーツの海から恐る恐る此方を見上げてきて、目で何かを訴えてくる。
恐らくは本当に信用していいのかどうか……ってとこか。
「平気だって! ……って事で続けるべ。」
もう問答無用に突き上げた。しげはまだ何かあわあわしていたけど、取り敢えず問題は解決してんだから、久し振りの逢瀬を思う存分楽しんだって罰なんか当たらんべや!
「 …あ…んん…ッ…………ぐ…ぅっ…………」
しげは相変わらずなるべく声を殺そうと頑張ってやがる。ま、それならソレでいいけどさー。
相変わらず強情な奴。

 どうにかしてもっと嬌声を上げさせてみたくなった俺は腰を掴んでいた両手でしげの綺麗な体のラインを思う存分弄ぐった。
その度に変な悲鳴をあげるのがまた可愛いべや、チクショウめ。
程良く筋肉の付いた胸元の突起を摘んで揉み解してみたりして小さな喘ぎ声を引き出すのに成功したのでお次は引き締まった腹筋をなぞり、その下へと指先を滑らせた。
突き上げられる行為の中、しげの分身が怒張して天へと反り返り中を抉られるその動きに連動して揺れていた。
一方の掌で包み込むようにソレを捉え、もう一方の手の中にはその下で揺れている柔らかい部分を捉えた。
「……ダメ…だって………触ったら…………出ちゃう…べや…っ………………」
絞り出すような声でそう言うと、辛そうにぶるっと頭を数回振る。
「―――いや、お前さっさと終わらせた方が都合良いんでないの?」
咄嗟にそう聞いた俺を下から見上げるしげの口許にほんのり淫靡な笑みが浮かんだ。
白い肌は上気し、頬は薄桃色に輝いている。黒くてバサバサの長い睫毛で覆われた色っぽい切れ長の目がじっとこっちを見つめてくる。
薔薇の色合いを帯びた唇が微かに動いた。
「………………………一緒に………………」
それだけ言うとまたシーツに顔を埋めた。

……………殺人的だ。
何だコイツ。可愛すぎだよ!
何この殺し文句。いや〜、やっぱ戸次さんスゲエ。
俺、天下の綺羅星だけど、多分一生こんな時のしげには敵わない気ぃするわ………。

俺は興奮しちまって何も言えない。
ただただぽーっとのぼせ上がっていた。
もう何年しげを抱いてるか解らんのに、でもやっばりしげが愛しくて、最高に可愛くて仕方がなくて。
ただただ胸が熱くなる。
なんでこんなに胸の奥が切なくて苦しいんだ……?
このままずっと一つに解け合えたらどんだけ幸せなんだろうか。
そんな事を想いながら俺はまた狂ったようにしげの中に俺の分身を穿ち続ける。
俺の掌から解放されたしげの分身は狂おしいほどそそり勃ちながら穿たれる度に連動して揺れていた。
敢えて何も刺激は与えない。
お望み通り、俺のモノだけで同じ高みまで駆け昇ろうや、しげ。

「……もっと啼いて、しげ……」
頭の後がじんじんと痺れるような快楽の中で、上から覆い被さりそっと耳元に囁いてみた。
「…あ………ほ…………っ……」
しげが荒い息の下かで切れ切れに呟いた。あくまでも出来る限り声は上げないつもりらしい。
四つん這いで上から覆い被さったまま両腕で体の下の華奢な肉体をきつく抱き締める。
「しげぇ……」
体に巻き付けた両手で内股や胸の突起、首筋なんかをいやらしく撫で回してやる。
その度に耐え切れなくて上げてしまう喘ぎ声や吐息が俺の耳を擽る。
「ほら……もっと………もっと啼けや、しげ………」
焦れったそうに体を震わせて甘い悲鳴を上げたのは内股を触るか触らないか程度に撫でさすったからだ。
もうしげの分身は自ら吐き出した先走りの蜜でとろとろになっているが、あれから一切手を触れずにこうやって焦らしてぎりぎり限界まで快楽を貪っている。
耳に歯を立てて一舐めした後耳の後からうなじに唇を這わせ、更に切ない吐息を引き出す。
シーツの海を泳ぐかのように蠢く両腕を眺めながら、俺の両腕は蛇のように白い体に巻き付く。
「ん…あ…っ……………あ…ッ……………おおいず……っ………」
今、両方の胸の突起を指の腹でやや乱暴に捏ね上げたところだ。
元から汗かきのしげはもう全身にびっしょりと汗をかいていたが、またひとしずく首筋から鎖骨の辺りに滴り落ちた。
そろそろ―――頃合い、かな。
「しげ………名前、呼んで。俺の名前。」
胸元に這わせていた両手でシーツを彷徨っていたしげの手の甲を上から掴んで固く握り締めた。
「…?…お………いず…………」
額から脂汗を滲ませながらしげがやや不思議そうに俺を見上げた。半開きの唇からはしどけなく涎を滴らせ、目はとろりと熱に浮かされている。
「な、ま、え。俺の名前呼びながら……………イって……………しげ。」
流石に俺も限界な処にこんな色っぽい顔で見上げられたら、痛みが走るほど俺のモノが更に反応した。
見上げたままのしげの淫らな色の唇に自分の唇を重ね舐め回すと、そのまま獣のように楔を打ち付ける。
さっきまで緩急自在に使い分けていたが、もうそんな余裕もなくただただ狂ったように腰を使って抽挿を繰り返した。
肌の当たる音と淫靡な水音に二人分の荒い呼吸音に混じって、しげの切なげな喘ぎ声が室内に響き渡っていた。
「し…げ……………呼べ……っ……」
もう言葉なんてちゃんと出てきやしない。ただ切れ切れにそう呟いて両の手の甲をきつくきつく握り締めた。
「………………よ……………おま…っ……わが…ま……まっ………」
本当に小さな声で切れ切れにそう呟く。
「もっかい……「洋」って……しげ………」
嬉しくて、胸の奥が熱くて苦しくなる。
俺は一体いつまでしげにこんな切ない恋をしていなきゃならないんだ。
まるで思春期のガキのように。
足掻いて足掻いて、それでも切なくて恋しくて。
ほんの些細な事が嬉しくてたまらなくて。
何も彼も全てが欲しくてたまらない――――そんな想い。
「……………洋………っ…………」
その呟きと共に華奢な白い体がうっすらと桃色に染まったような気がした。
耳が真っ赤に色付いている。
「もっと…もっと……」
一際激しく奥まで穿って打ち付けながらそう囁くと、しげは苦しげな息の下で更に小さな声で俺の名前を呼んでくれた。
ふと目の前が滲んだのは快楽のせいばかりではないのかもしれない。
「しげ…っ………お前…大好き!」
狂ったようにしげの中を穿つ。求めても得られない何かを求めるように。
頭の奥の痺れがいつの間にか全身を包み込み、かつて無い大きな波が今や目の前に迫っているような―――そんな感覚に変わり一際大きく掻き回しながら突き上げると、しげが体を戦慄かせながら小さく叫んだ。
「…や…っ…あ……あ…ッ…………出る…っ…………………洋…ッ………」
シーツの上にだらだらと白いものをぶちまけていた。まるで、お漏らしでもするように。
これ以上ないくらいの解放感と幸福感がいっぺんに押し寄せてきて、また俺の目の前が霞んで見えなくなり、しげの中へと何も彼も全てを注ぎ込む。愛しくて切ない、今の俺の全ての気持ちを。

ゆっくりと崩れ落ちていくしげの身体を抱き締め、そのまま一緒にシーツの海へと体を横たえた。
腕の中の体は汗と精液に塗れたままぐったりとしていた。
額や頬に張り付いた髪の毛を指先で掻き上げてそっと唇を押し当てる。
まだ愛しさが、止まらなくて。
閉じられた瞼の上に口付けたところで覆い被さっていた長い睫毛がゆっくりと上がる。
とろりと潤んだ瞳が現れた。
「……しげ……好き。大好き。」
そう呟いて唇を重ねた。
「大好き、じゃねえよ………ばーか………」
唇を離した後、少し口を尖らせてしげが不満げに呟いた。
「なんでよ、だってしげちゃん大好きなのは仕方ねーべや。」
尖らせた唇に人差し指を当ててそっと撫でてそう告げると、逆に噛み付かれそうになった。
「……ひでえなあ………こんなに、好きなのに。」
噛み付かれそうになった指をぺろりと舐めたところで、突然しげの両腕が首に巻き付いてきた。
「――――洋は、我が儘だ! いい加減にしてくれないと、俺の身が保たん! バカタレ。」
おでこがぶち当たるような至近距離で俺の目を見上げながらそう言ったかと重うと、小さな顔を俺の頬にすり寄せてきて、目を閉じる。
俺は疲れきった身体に更に火がつきそう名のを懸命に堪えながら、意を決して呟いてみた。
「……も…もう一度、洋って呼んで……しげ。」
しげはがっちり目を閉じたままで呟いた。

「はいはい寝るよ、大泉! 明日のロケに差し支えるっての。」



 翌朝、車内でスタッフの泥酔ぶりや、その後に聞こえてきたもの凄いいびきの話題になった。
俺もしげも何事もなかったようにしれっとした顔で普通にその話をする。
如何にも『寝ていたらスタッフが騒いで帰ってきて、しかもいびきまで響いてきて大変迷惑だった』というように。
流石二人とも役者やなぁ…とこんな時、俺は自分達を最高に褒めたくなる。


余談だが、次のロケからしげの強い希望で部屋を別々にされてしまった。
次に一緒の部屋にして貰えるのは………………一体いつだろう。

―――――――俺の切ない恋はまだまだ終わらない。きっと永遠に。






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久し振りの普通の43。
ししかもゲロ甘砂吐き仕立てでお届けです(笑)

楽しんで頂ければ幸いかと…。


しかし現実でもやたらと仲の良い素振りの43。
しかも何故か南の楽園方面へ行くと必ず
新婚旅行のように二人で海ではしゃぐ写真を撮られたり
膝をつき合わせて仲良くメシを食べていたり

あんまりネタふりするなよ〜コノヤロウ、と
毎度ひっそりほくそ笑んでいるワタクシで御座います。




2008/12/10 UP

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