◇ epilogue ◇
「……ん…っ………………く………ッ……………」
薄桃色に染まった胸が激しく上下する。
俺の膝の上で、シゲはいやらしい声をあげて揺さぶられていた。
降り注ぐ熱いシャワーの湯が身体に当たっては、幾筋もの水滴となって伝い落ちていく。
「すげぇ………綺麗。」
耳元で囁くと、閉じていた瞼をうっすらと開けて淫靡に微笑むお前が愛しくて……更に激しく全てを貪ってやる。
狂気のような激しさで突き上げられながら、シゲは自ら唇を求めてきた。
俺の首に縋りつき、いやらしい口付けを交わす。
舌が絡み合い、唾液が絡んでお互いの口許から落ちていく。
……ときめきが、溢れて止まらない……
シゲの部屋の鍵が開いた途端、それまで必死で押さえていた俺の理性のタガが思いっきりふっ飛んだ。
入ってすぐのところでいきなり押し倒し、服を脱がせようとしていた。
「バカ……大泉………………お前、気が早過ぎ……ッ……」
シゲは慌てて身体を捩って逃げようとする。
「だってお前……俺ずっと我慢してたんだぞ……さっきからずーっと。」
「そりゃあそうだけど…こんなに汗かいちゃってるんだから、せめてシャワーくらい……」
俺の中でその言葉が別の興奮を掻き立てる。
「よっし、シゲ。シャワー浴びよう!」
思いっきり抱き上げて風呂場に向かう。狭い浴室だけどこの際そんな事はどうでも良くて、俺は浴槽の蓋の上にシゲを座らせて服を脱がした。
自分も身に付けていたものを全部脱いで、まとめて脱衣所に放り投げた。
「スーツ、皺になっちゃうだろ、バカ!」
言いながらもシゲは笑ってる。
この笑顔が………ずっと欲しかったんだよなぁ、俺。
シャワーヘッドを手に持ち、泡だらけの身体を洗い流した。
白い泡の下から覗き始めた肌は薄く上気している。
わざと胸元や下腹部を狙って、微妙な加減でお湯をかけてやると小さな吐息を漏らす。
「何してんのよ……スケベ……」
「スケベに決まってるべや。」
焦れったそうに身体を震わすのを見ながら、シャワーヘッドを壁に戻した。
胸元で凝っているものにそっと指を這わせ、その動きで甘い声があがるのをさんざん楽しんでから、そっと舌で舐ってやる。
軽く歯を立てて甘噛みすると、切なげな悲鳴を上げた。
既にその頃にはもう、シゲのモノは屹立し始めていて。
何も触っていないのに、先端の割れ目からは透明な蜜をとろとろと溢れさせている。
「……まだ………焦らす気かよ………」
シゲが切なげに漏らした。
「……どうして欲しい?」
濡れた髪を掻き上げ、瞼に唇を押し当てながら……ゆっくりと尋ねてみた。
「聞くな……バぁカ……」
髪の中に指を差し入れながら、ますます焦れったそうに呟いた。
「じゃー……いっぱいイイコトしてやるから、待ってろや…」
軽い口付けをひとつ唇に落としてから、下半身に顔を埋めた。
膝を裏から抱きかかえて両肩に乗せると、その勢いで後ろに反り返りシゲは蓋の上に仰向けになる。
「うわっ…………何、突然……………」
両脚は目の前で大きく開かれている。
もう一度下半身に顔を埋め、最も奥まった場所に舌を這わせた。
「……へ…?………嘘…………違…っ…!?………」
困惑しているようだ。まーそりゃそうか。
「いいからいいから。」
舌先を尖らせてぐちゅくちゅと水音をさせながら、入り口を舐り続けた。
「おま…え…………これじゃ……………ぁ…………は……………ぅ…………ッ………」
ヒクついてくるその部分から徐々に舌を這い上がらせてみた。門渡りを舐め上げ、その上のやわらかなモノもやんわりと口に含んで甘噛みしてやった。
「………や………ぁぁ……………は………あん……ッ…………」
甘い喘ぎ声が耳を擽る。
暫く弄んでから、漸くシゲが待ち望んでいるであろう部分に到達した。それはもう腹の上でぐっしょりと蜜を零して充血していた。
「……いやらしいねー、シゲ。いっぱい濡れちゃってる。」
蜜を垂れ流し続ける先端にそっと舌先を割り入れ、くちゅくちゅと音を立てて舐め回す。
すくい取ってもまたすぐに染み出てくる蜜を、舌先で塗り広げては唇を這わせた。
シゲの吐息は甘くて切なくて……俺を更に煽り続ける。
もっともっと乱して、支配してやりたくなっちまう。
指にシゲの蜜をまとわりつかせて、シゲの中に差し挿れた。
挿れては引き抜き、また深く指し挿れる。ぐちゅぐちゅと湿った音を響かせてシゲの中を少しずつ蹂躙する。
すっかりと収めてしまったら、口の中にシゲのモノを銜えたまま、指先では狙ったポイントをやんわりと責め立てた。
前後から襲いかかってくる喜悦に、シゲは身体を仰け反らせていやらしい声で啼き続ける。
そのままあっという間に昇り詰め、白い精を放ってくれた。勿論俺の口の中に……だ。
余韻で朦朧としているシゲの身体を抱え上げる。
俺も風呂の蓋の上に腰掛け、シゲを膝の上に乗せた。
「おおいず……み…………」
艶を含んだ声だった。
シゲはしっかりと俺に抱きついて、唇を求める。
甘美な口付けを繰り返しながら、シゲの中に指を指し挿れ、再びくちゅくちゅと掻き回す。
「っ………あ……………」
シゲが更にしがみついてきた。そして自ら身体をこちらに向かせ、耳元で囁いてくる。
「なまら…気持ち………イイ」
――――そんな言葉が媚薬のように、俺の中に染み込んできて……俺の下半身で反り返っている雄が痛いくらい熱さを増す。
指先をずるりと引き抜き、いきり勃つモノの上にシゲの身体を乗せるようにして、半ば強引にねじ込んだ。
悲鳴とも善がり声ともつかぬ声が漏れる。
俺の膝の上で下から貫かれて、シゲの身体はゆっくりと上下し始めた。
薄赤く熟れた肌に汗とシャワーの水滴を纏わせ、俺のモノを呑み込んでいる姿は……とてつもなく淫らで綺麗だった。
やがて徐々に激しく揺さぶられ続けると、その口からは吐息と共に善がり声が絶え間なく溢れ出る。
「すげえ………綺麗。」
そんな言葉に恥じらいつつも、匂い立つように淫靡な色合いの笑みを浮かべて、シゲは唇を重ねてきた。
今ここでこうしていられる事が――――奇跡だから。
全身全霊で…想いを伝えたかった。
お前を見ているだけで、ドキドキが止まらない。声を聞くだけで心が沸き立って仕方がない。
……ときめきが、溢れて止まらない……
俺の上でシゲは再び絶頂を迎えようとしていた。
胸元の突起はぷちんと凝り、下腹部ではシゲのモノが今にも弾けそうな勢いになっている。
突き上げられる度に、艶めかしく濡れた唇からは吐息混じりの喘ぎが、その動きに合わせて漏れてくる。
そんな反応の全てが愛おしかった。
双丘を片手でわし掴んで上下に揺さぶり続けながら、もう片方の手を苦しげにそそり勃っているモノに這わせ、扱いてやる。
先端からぬるぬると垂らす蜜が俺の手に絡まり、更にいやらしい動きにさせていた。
「やめ…っ………触ったら…………出ちゃ………ッ………」
掠れた声で辛うじて言葉を紡ぐ。
「イけや……出しちまえ。一緒にイってやっから……」
目の前で跳ね続ける突起に舌を這わせながら呟き、狂ったようにシゲの中の楔を扱き続けた。
大きな波がうねりながら襲いかかるようにして、俺の脳髄を痺れさせ始める。
どろどろと渦巻いていた熱い体液が、今一気に出口に向かって迸った。
「………っ…おおいず………み…ぃ……」
「シゲ………愛してる………ッ………」
しなやかな身体がビクビクと硬直し、下から吐き出された白い体液が顔や胸元に降りかかってきた。
それはなんとも幻想的でエロティックな光景で、甘さに酔いしれそうだ。
自ら出した液に塗れながら、ゆっくりと脱力していくシゲは―――この上もなく綺麗で。
このままずっと誰にも渡さないと、何千回も誓ってしまうくらい…極上だった。
ずっと耐え続けて我慢していた思いの丈をシゲの中に吐き出し続けながら、俺はぼんやりとそんな事を考えていたのだった……………
あれから場所をベッドの上に移して再びシゲを求め続け、気が付けば夜中になっていた。
流石にお互い、身体がギシギシと悲鳴をあげている。
この分だと明日は二人とも筋肉痛で動けないかもしれない。よく考えたら夕方の『全力疾走追っかけっこ』からずっと、身体を動かしっぱなしだし。
――――いや、間違いなく筋肉痛で動けないなー、こりゃ。
上半身をベッドの上に起こしてタバコをふかしながら、流石に無謀過ぎた事を反省していると、隣でシゲがぐったりしながらも起き上がってきた。
「おお、無理すんなー……寝といた方がいいぞ。このままだと確実にお前、死ぬから。」
笑いながら言うと、少しだけ恨めしげな顔をしながら睨んでくるが、すぐに笑い顔になる。
「今、もう既に死にそうだわ、俺――――腹減って。」
そういやあ、飲まず食わずだったけ。
適当に漁ってめぼしい食い物を見つけ、ベッドに戻ると、シゲと二人で裸のまま食べる。
「なんだかすげえエッチだなーおい………」
「…せめて何か着るべきだな。」
二人して顔を見合わせて笑う。
この上もなく、満たされた時間。
「そうそう、知ってる? 大泉。」
食い終わって、再び俺の身体にもたれ掛かってきたシゲが何気なく言う。
「音尾のヤツ、離婚するらしいよ。」
初耳だった。つか、離婚って―――マジで!?
「あ、やっぱり知らなかったのか。どうやら本気らしいわ。」
「知らねーって、そんなの。あらぁ〜アイツ、琢子ちゃんどうする気よ……」
俺は戸惑いながら、そんな事を呟いてみた。
「それは多分奥さんが引き取るんじゃねーの? だってさぁ、離婚理由っつーのが………」
シゲは一瞬口ごもり、暫くしてから俺の手に自分の指を絡めながら呟いた。
「……安田主任、らしいのよ。」
「………は?」
呆気にとられてそれしか言葉が出てこない。シゲは絡めた指に力を篭めてくる。
「音尾がね、俺と大泉を見て………なんか勘付いたらしくってさ。突っっっ然、そんな事を言ってきた。」
って事はなんですか――――アイツにはバレバレですか、そうですか…………
で、ちょっと待て。安田主任が離婚理由って事はつまりは―――
「うん、付き合ってるらしいよ、結構前から。それで主任、自分の結婚式の当日に逃亡しちゃったみたい。」
「おい……おいおいおい、ちょっと待て。なんだぁ? それ………」
あの二人にどういう経緯が合ってそう言うことになっていたのかは全くもって謎だが、気づけなかった自分にもビックリだ。
まあ………さ。俺達だって今、こんな風になってるんだし、さ。
本当は世の中、意外とこう言うことも多いのかもしれないけどさー。
「なんかすげえな、あいつら………」
っつーのが正直な感想だった。
「だろ。俺も聞いたとき、なまらビビったもん。」
シゲが笑いながら絡ませた手を持ち上げて、そっと自分の口許に宛う。そして、そっと唇を押し当てた。
「でも…でもさぁ……当人達が幸せなら………それでいいんだよな。俺達もだけど。」
ちゅっと口付けをくれたあと、そう言ってはにかんで笑う姿にくらくらきてしまう。
「シゲ……お前、なまら可愛すぎだ!」
ガバッと抱きついて、うなじに口付けた。
「や………止めろバカ!………これ以上ヤったら俺、マジで死んじまうってえ!!」
慌てて藻掻くが、後の祭りだ。あんな可愛い顔で、あんな可愛いことされたら、疲れ切った身体にだって元気が復活しちまうってもんだぞー、シゲ。
「明日、一緒に休むか……」
「…死ねバカーッ!!」
……………最上級のときめきが、ずっと溢れて止まらない……………
え゛ー、如何でしたでしょうか?
未遊サマからのリクエストで、LOVERのパロディ小説で御座いました。
実は未遊サマからとは連絡が取れなくなってしまい
決め台詞の『シゲ、愛してる!』以外は何も決まっていなかったので、
独断で書いてしまいました。。。(汗)
そうしたら、随分と長くなってしまい、今までで一番長いお話に(笑)
いやー、ワタクシを野放しにすると延々書いてしまうらしいです(爆)
今回はパロと言うことで洋ちゃんやシゲの性格が微妙に違ってますv
随分と洋ちゃんやシゲが可愛い性格で、書いていて楽しかったですわ〜。
みんな、一途な性格なんですもんv