あれから、お互い暇を見つけては何回か身体を重ねた……。時折、他の奴らの前ででもしげは平気で甘えてくるから、内心ヒヤヒヤもんだったけど…誰もみんな、ただのじゃれ合いだとしか見てなかったみたいで助かった。
「しげ、てめー! あれほどみんなの前ではバレるような言動すんなって、言っただろ?」
「…ええ? 俺は別にバレても構わないもんv 第一、みんな知ってるんじゃねーの? 音尾なんてそんなような事、聞いてきてたぞ!」
けらけらと笑ってしげはくっついてくる。バカてめえ…俺の理性がもたんのよ!
あんましくっつかれたりすると、なけなしの理性を全〜部かなぐり捨てて、何処でだってえっちしたくなっちゃうんよ…そこんとこ解ってんのー? バカしげ! この小悪魔!!
「れ? 今日はシゲがくっついてないねー? 大泉〜…。」
音尾がにまにましながら寄ってきた。
「なーんじゃそりゃ。俺としげはセットじゃねーぞー、お前等じゃあるまいし。」
「ほうほうほう…そーゆー事言います? 俺…知ってるんだぞ〜v」
「なにがよ? 言ってみれー!?」
内心ヒヤヒヤだよ、誰かさんのせいでー……。こんな事、ちょっとバレたらあっちゅー間なんだから、気を付けないとやばいワケさ。
「へっへっへ〜! いいのかぁ〜? 大泉〜。 俺、みんなに言っちゃうぞー!」
「るせーってバーカ!!」
冷や汗もんの会話をしてたら、リーダーが突然事務所に飛び込んできた。
「おい! シゲが倒れたらしいぞッ!!」
―――――たおれた? ……倒れたって、何よ………?
「大泉!? 大泉ってば!! こら、しっかりしろ! 病院行くぞ! 大泉ってばっ!」
音尾の声が遠くから聞こえる。
………死ぬとかじゃ、ねーよなあ………しげぇ……………俺、そんなの…許さねーぞ。
……やっと俺ら、普通の恋人みたいになれたばっかなんだぞ……………
前と同じ病院に、しげは入院してた。安田の生の番組に付き添った後、突然しげは頭痛を訴えてその場にしゃがみ込んだらしい。慌てて誰かが駆け寄った頃には、もう意識が無かった…って。
精密検査の結果、取り敢えず今のところは不穏な影は無いって言うけど…場所が頭だけに、予断は許さないってまた言われた。
社長も飛んできて、みんな病室に付き添ってたけど…一日経っても、二日経ってもしげの意識は戻らない。
みんな、仕事の合間に飛んできてはしげの様子を見てくけど……しげはずっと眠ったままだった。
このままお前、目を覚まさない気なのかよ。
みんな、めちゃめちゃ心配してんのに………起きないでシカトしてるつもりか?
こんなにこんなに俺が…張り裂けそうなくらい辛くて、仕事も手につかないってのに…元気に笑ってくれないの?
一週間経った。しげは未だ眠り続けてる。
仕事の合間、そっと病室に顔を出した。いつも付き添ってるはずのしげの母親がいない。さしずめ、一旦家にでも帰って、また来ると言ったところだろーか。
ふと気付くと病室の窓が少し開けられてて、気持ちのいい風が入ってくる。外の空気もすっかり暖かくなって、季節が移り変わっていくのを感じた。最初にしげが事故で入院したときなんて、まだ雪深い冬だったのにな……。
「あったかくなったなー………なあ、しげぇ。」
眠り姫みたいに目を覚まさないしげの唇に、そっと指先をあてて…輪郭をなぞった。柔らかい唇が、今にも動きそうなのに…ちっとも動いちゃくれない。
「なあ…起きろや。じゃねーと、王子がキスしに来るんだぞー…いばら姫みたいに、ちゅーされっちゃうんだぞぉ……」
呟いて、そっと唇を合わせた。もしかしたら目を覚ますんじゃないかなんて、半分本気で考えて。
でも、やっぱりしげは目を開けてくれない。やや暫く見つめてから、今日も諦めて仕事に戻ることにした。
「ちぇーっ…しげのバーカ!! もうお前なんて知らんもんねー。 洋ちゃん、可愛い女の子でも見つけて、結婚でもしちゃおーかなー、だ。」
心にもない戯言を口に出して、背中を向けた。
「……ぁぁ?……なに…結婚、すんの?………お前………。」
ぞくりと背中を突き抜けていく感覚と不思議な響きの、甘い声。愛しくてたまらない…待ち望んだ声に、一瞬目頭が熱くなる。
俺はゆっくり首を後ろに向けた。そーっと、そーーっと。
声の主は、眠たげに目を擦りながら身体を起こしかけたところだった。
「………佐藤………?」
「………ん…んん……?………あれ、俺………何だ………?」
しげはゆっくり辺りを見回して、それからちょっと頭を押さえて何かを考えている。
「俺……誰だか………解るかい?」
「…大泉…でしょ?」
「ああ。良かったぁ……。お前、ず〜っと寝てたんだよ、しげ。」
「寝てた? ………あれ……………………俺、タクシーに乗ってなかったっけ……………?」
ぞくっとまた何かが背筋を走る。
「お前……記憶戻ったの? ………もしかして。」
「記憶ぅうぅ? ………何それ。そんな使い古されたネタで、からかってるの? 大泉。」
――――――しげ………しげ、もしかして……やっぱり、戻ったんだぁ。しかも、今までの事一切忘れちゃってるってパターンかぁ?
「いんやー、何でもないよ…そっかそっか、目が覚めたんやなーしげ! 良かった〜……」
心の内に複雑な思いが去来した。元のしげに戻って嬉しい反面、あの奇跡みたいに可愛くて素直な、俺のしげはもう戻ってこないという確かな事実。
どっちのしげも、しげはしげなんだけど…あの時のしげは、余りに素直で虚勢を張らないしげだったから……ちょっと嬉しかったワケで――――――。
「じゃあっ、ええ〜ぇっ、シゲの全快を祝しましてえ〜! かんぷわーーーーーーーいッ!!」
俺達は、事務所でビール片手にしげを囲んで全快祝いをしてた。勿論、翌日も全員仕事アリだから軽く缶ビールとおつまみで。日を改めて、またちゃんとしたのをやるつもりだったけど…嬉しいから先に軽めのパーティーをやっちゃおーって、粋な社長の計らい。
乾杯の音頭をとったモリが、しげの肩をがっちり組んで…すっげえ嬉しげだもの。
俺はちょっと離れたところでしげを見てた。今まで10年も見てきた、なまら凛々しい綺麗な顔。華奢な身体。生意気な口聞くくせに、変に真面目で堅苦しい、子供みたいに融通の利かないアイツ。どこをとっても、事故の前と何ら変わらないしげを、じっと見てた。
「どしたの? 大泉。シゲのとこ、行かないのかい?」
「あ? なんでーわざわざ洋ちゃんがアイツの傍に張り付かにゃーならんのよ…。」
音尾がちょっと背伸びして、俺の頭を撫でてきた。
「お前なぁ…もうバレバレなんだぞお。別に無理しなくってもいいじゃん。まあ、記憶が戻っちゃったから、またいつもの手強いシゲだろうけどさ〜。」
「おーとーおぉ〜…てめぇ…………」
「よしよし。いいからいいから。」
複雑な胸の内を見透かされたみたいで、俺は慌ててビールをぐびっと一口飲んでた。そしたら突然、安顕がつかつかと寄ってきて、俺と音尾の間にぐいっと割り込んでくる。
「…あのさぁ。僕の琢ちゃんにくっつかないでくれる?」
「…バーカ! お前と一緒にすんな!」
「バカってなんだよ。お前が琢ちゃんにベタベタするから悪いんでしょ?」
「うるっせえよ、バーカ!!」
おいおいおい。どこをどう見たら、俺と音尾がべたべたしてるってよ…ったく。
「顕ちゃんうるさいよ〜。俺は大泉とマジメな話しようとしてたのにさ。」
音尾がぷいっとそっぽを向くと、安田が泣きそうな顔して慌てだした。
………いやー、お前等。ホント飽きねえやつらだなー………。
しげが復帰して、俺達の仕事もぱぁっと明るくなった。やっぱ、五人揃わんと駄目だよなー…。NACSはさー。テレビでも、ラジオでも、勿論舞台でもさ。
でも、しげが戻ってきたと同時にお互いバタバタして、二人でゆっくり話すなんて事もなかなか出来ずにいた。本当は………ちゃんと会いたくて…抱き締めたくてたまらんのだけど。まあ、気恥ずかしいのもあって、そうそう積極的じゃなかったっつーのもあるけどねー。
今日は割と仕事が早めに終わる予定だから、明日の予定の確認なんかで事務所に顔を出してから、帰る事になってた。
中に入ると、スタッフがまだ、全然バリバリに仕事こなしてるよー。
「みなさんお疲れ〜☆事務所きってのスーパータレント・大泉の洋ちゃんでーす!」
ふざけてそんなことを言いながら、予定の確認を済ませて帰ろうとしたその時。スタッフの一人が近寄ってきて何かを渡してきた。
「…何コレ? 洋ちゃんへのラブ・レターかい? ダ〜メダメ〜! 洋ちゃんねえ、アイドルだから君とは付き合えな〜い♪」
「バカなこと言ってないで、はいこれ。確かに渡しましたからね。」
「なんなの? コレは。」
「さあ……シゲさんから預かったんですよ。『あのバカ来たら渡しといて』って言って…」
「………あ、そ。」
何もしげの言葉をバカ正直にそのまま伝えることも無いでしょーに…。ともかく、中身はなんじゃらほい。
封筒の封をぴり、と切って中を見る。
「……………」
俺はぷっと吹き出した。……あいつ、すっげー可愛い………。今時、こんなテ使うなんて……まったくもう! これだから洋ちゃん、めろめろになっちゃうワケv
俺は自然に顔がにたつくのを必死で我慢しよーとするのだが、どうしてもついつい顔が笑ってしまう。
ダメだぁ…舞い上がってしまうわー。
とあるホテル、しかもここはちょっと高そうなヨーロピアン風だ。どう考えても俺達にゃー釣り合わん雰囲気だぞーおい……。
アンティークな雰囲気のロビーは普通のホテルっぽくなくて、カウンターの前を通り過ぎる気まずさもない。そっと顔を隠しながらエレベーターに乗り込み、指定された番号の部屋へ向かう。
…トントン…
小さくノックしてみる。――――アレ? 無反応???
もう一度ノック。今度はもう少し強く。
カチャリ。
「あー、ゴメンゴメン。」
扉を開けたしげってば、髪はべちゃべちゃで、バスローブを引っかけただけのす〜ごい格好…。
「早かったねー大泉ぃ、俺まだシャワー使ってたんだけど…悪ぃ、そこでなんか飲んで待っててくれる?」
しげは震えながらそう言って、慌ててバスルームに飛び込んだ。さては寒かったんだな? お前。
見回した部屋は、死ぬほど華美なわけではない感じ。落ち着いたアンティーク調で、ちょっと安心する。あの天蓋つきのあやしげなベッドでだと、なんか落ち着かんもんねー、色々。
どさっとソファに腰掛けてみた。座り心地はなかなかいいのに、ちょっと気持ちがそわそわなのは……やっぱ、仕方のないことで。
俺はにま…と笑って立ち上がり、つかつかとバスルームに近づいて、そっと扉を開けた。途端にもうもうと流れだす湯気。そしてシャワーの水音が、そそるねぇ。
そーっと忍び込んでから、着ているものを全部脱ぎ捨てた。
「さーとーお〜ぉ………」
そっとシャワーカーテンの間から顔を入れた。
「うわッ!!!! ………ビックリしたッ………」
顔を引きつらせて振り向いたしげ。へっへっへ〜、なーまら無防備なカッコしてーぇv
「…俺も、入るぅ……」
「えっ、ちょっと待てこら! 狭いだろーッ!!」
カーテンをシャッと開けて、強引に中に入った。まあ、普通のホテルの浴槽よりは全っ然! 広いから、余裕余裕。
「あーもう! どうしてお前はそういっつもいっつも強引かな!? ホンット、むかつく野郎だ。」
「バーカ。こんな美味しいチャンス、ものにしないテは無いってだけでしょー?」
すずいっとしげに近づくと、同じ分だけしげが後ろに下がった。当然、狭い浴室の中で逃げ切れるわけもなく、しげは壁にぶち当たる。俺は身長差を大いに生かして壁に両手をつき、しげの上から覆い被さった。
「あのねえ大泉さんさぁ……せっかく、いい部屋とってんだから、何もそう急がなくてもいいでしょう?」
「だって……我慢できねえって。」
シャワーのお湯を浴びながら、艶めかしい唇を半ば強引に奪う。しげはちょっと抵抗したが、諦めたようにそれを受け入れた。
唇を離すと、お互いの唾液が一筋、糸を引いてから消えた。
「…しげ、洗いっこしよーか。」
「んだよそれ……」
バカにしたような目でちょっと見て、呆れ顔で溜息を吐く。ああ、やっぱりいつものしげ。だってこんなとこも、すげー可愛いもん。
ボディーソープをたっくさん手に取って…わざと泡立てないでしげの身体に塗りつけた。
「おい。俺にも頂戴よ…仕方がないから、とっっっっくべつにッ! この佐藤様がアナタのでっかい図体を洗ってあげっから。」
そう言ってしげもソープを手に思いっきり取り、こいつはめちゃめちゃ泡立てだした。
「ほれ! こうすりゃじじいだ!」
泡を俺の両頬にべちゃっとくっつけて、遊んでる。
――――無邪気すぎだな……オマエ。
「ちゃんと洗ってくれないと、容赦しないぞぅ? 佐藤様よ!」
首筋に掌を当てて、そっと撫でさすった。くすぐったそうにしながらも、しげは身体を預けてくる。
最初はふざけてばかりだったけど、次第に身体を弄ぐり合う事に夢中になってっいった。泡の微妙な感触で、どんどん感覚が昂ぶる。
しかし今日のしげのこの態度はなんだろー? 明日、槍でも降るんじゃないの? ってくらい、気味が悪い。自分から部屋取って、俺をお誘いするなんて…………。まあ、こんな嬉しい事ナイけどねー。
しげの身体は相変わらず感度良好で、あっという間に感じまくって…息を荒くしてた。それでもしげが必死で俺の身体を弄ぐるのが嬉しくて、決定的な刺激は与えてあげない。だって、すげえ色っぽいんだもん。
第一二人で触りっこって、なんかやらしくていいよね…。泡だらけでさ。
「お…………ぃ…ずみぃ………も……いい………?」
「あら〜しげちゃんってば、そーゆー我が儘言うの?」
「だってお前……辛いって…………」
シャワーヘッドを手にとって、思いっきり良く自分たちの身体にかける。真っ白い泡の中からは、ピンク色に上気した綺麗な肌が現れた。顔を近付けて唇を重ね、舌を割り入れて貪る。
唾液が絡まって、しげの口の端から漏れる様はホントにホントにホントに! なまら綺麗。このしどけない表情だけで、俺はイけちゃうねー………。
掌の中にはずるずるに濡れたしげの分身。自分が出した先走りの蜜で濡れそぼっている。
「しげ…俺のもいっぱい触って………一緒にイきたいから…」
ホントはすぐにでもイけそうなんだけど、この際しげに愛撫して貰っちゃおう。 だってまたとない機会だもんね。
……浴室に響く俺達の荒い息づかい。深い口付けを繰り返しながら…俺達はお互いの手の中で達していた………。
快楽の余韻でくたっとしてるしげを、もう一度お湯で洗い流してから抱き上げて浴槽をまたいだ。豪華な作りの大きな洗面台がすぐ目の前にあったので、よいしょっとそこに座らせて、傍にあったバスタオルにくるむ。
「……バスローブ………」
しげがぼそっと呟いた。
「何? 着るの?」
ローブを手に取った途端、しげはそれをさっと広げて俺の肩にふわりと掛けてくれた。
「風邪ひくでしょー…あんただけ裸じゃ。目のやり場もないしさ。」
せっかくのご厚意なのでローブをちゃんと羽織ってから、タオルでしげの髪をごしごしと拭いてやった。明るい色に染め直した髪が白い肌に映えて、いい感じ。
とろりとした淫靡さを湛える目も、鼻筋の通った凛々しい顔立ちも、何もかもが愛しくて仕方がない。今、イったばかりだっつーのに…もうしげの中に挿れたくて、身体が熱く火照り出す。だけどここはもうちょっと、我慢しておこうか。
「喉、乾いたべ? しげ。」
浴室を出て冷蔵庫に手をかける。中からウーロン茶のペットボトルを取り出して、きゅっと蓋を捻り中身を一口飲んだ。よく冷えたお茶が、渇いた喉に浸み通る。
それから浴室に戻って、鏡にぼーっともたれ掛かって座ってるしげに手渡した。
「………なんで先に飲んでんのよ…」
「いいべや。間接キッスくらい。」
ぶつくさ言うしげ。でも、くっと喉に液体を煽る様は、結構幸せそうで…。口で言うほど怒ってないんだよ、コイツいっつも。
代わる代わる飲んで、あっという間に中身を半分くらいにしていた。さあ、そろそろお姫様を寝室にお連れしようか。雰囲気のあるベッドの上へ………。
「よぉっし、そろそろ移動しよーかーぁ。」
その言葉にふわりと赤く顔を染める。多分、こんな状況でしげがこんな顔するのを知ってるのって……俺だけだよな。こいつが女相手に、そんな奥手になるわけもないし。……いやぁ…有り難いねえ、こーゆーの。
「ほーら、抱っこしてあげようねーv」
「恥ずかしい事すんじゃねえっ、バーカ!」
赤い顔してじたばたするしげを抱え上げて、浴室を後にした。目的のベッドの上にそっと抱え降ろして、唇にそっと口付ける。
「…お前……大好き………」
「………………………アリガトよ………」
ちょっと困った顔して、それでも返事してくれた。うーん、びっくり。
前髪を掻き上げて、額にも口付けてみた。…瞼の上にも。しげは上気した顔で、素直にそれを受け入れてくれる。
やがて首筋を啄むように口付けて…舌を這わせると、しげの口からホントに小さな吐息が漏れる。甘くていやらしい、微かな喘ぎ。
バスタオルを剥ぎ取りながら胸元に手をやり、優しく弄ぐり出すと、ん…と小さな声をあげるから……可愛くて仕方がない。そっと舌を這わせて、もっと甘い声を引き出してやる。
「なまら、いやらしいね…しげ。ここ、気持ちいいんだろー…」
「…ばっ……やっ……ぁ……」
最上の媚薬が俺の耳を擽るから、もっともっと苛めたくなる。唇で胸元の蕾を柔らかく啄んでは、ちょっと吸って……泣きそうな声を楽しんだ。
焦れ出す身体をスプリングの効いたベッドの上に押し倒した。白くて華奢な身体があまりに綺麗で…感動すら憶える。熟れだしたしげの分身が、その中心で透明な蜜を滴らせていた。指を絡めてやると、困ったように俺の腕に細くて長い指先がしがみついてくる。
「…また、濡れてんぞ…しげのアレ。俺の手だけで、イっちゃうつもりなのかい?」
言葉でいやらしく責めると、しげは泣きそうな顔で下から睨み付けてきた。…バカだなあ、オマエ。俺を部屋に誘ったっちゅーことは、これくらいされること覚悟してなきゃー。
くちゅくちゅと音をたてて指先に絡め、わざと顔の上に翳したその指を、ぴちゃぴちゃ舐め取ってみせた。
「…アンタ、本当やらしいよね……普段はそんな片鱗、ちっとも見せねぇくせに……」
正視できなくて顔を逸らしたしげが、唇を噛みしめながら呟いた。
「そりゃー、しげちゃん相手だからかな。お前のこういう色っぽい顔が見たくて〜…ついv」
そんなことを言いながら、また指先を絡めて緩くさすると、喉の奥で噛み殺したような切ない吐息が微かに漏れた。
頃合いを見計らって身体をずらし、しげの脚を開かせて両手で抱えてから、そっと目当てのものに舌を這わせる。しげは身体をびくっと震わせ、やがて小さく息を吐いた。
暫く口に含んで愛撫を続けていたが、ふと思い立って唇を離し、あっという間に体勢を変えて……俺はシゲの上に四つん這いになった。勿論、逆の方向を向いてだ。
「…! ……お前……ちょっ………」
掠れた声でしげが叫ぶ。
「前から、やってみたかったんだよねー……コレ。」
そう言ってぱくりと口の中にしげを含み愛撫を続けたが、しげはそれどころではないようだ。
「バカてめえ…ッ……やだ……っ………出来ねえよっ………」
悲痛な声で泣き叫んでいる。だけど容赦はしない。俺はゆっくりと腰を落とし、口許に俺のいきり勃った雄を近付ける。
「…なぁ、しげ………俺の……舐めてよ………」
「………………………………イヤダ…………………」
「しげぇ……」
「………………………」
生暖かい感触が下半身を走る。そして、拙い舌の動きが奏でる、くちゅっ…という水音。うわぁ、なんだコレ……………なまら…気持ちいい………。
ぴちゃ…ぴちゃ…と、断続的に音をたてて、しげが一生懸命俺のモノを舐ってくれる。あまりに一生懸命すぎて、いじらしいなあ。このシチュエーションだけで、ますます元気になっちゃうよ…。
少し慣れたところを見計らって、俺も愛撫を再開した。静かな室内で、淫らな息づかいといやらしい水音が響くのって、すげえ最高………。
必死で銜えてくれるから、俺は緩やかに腰を使って口の中で上下させる。時折苦しそうなくぐもった声が聞こえるので、加減してやりながら。そんなことをしつつ、少し顔をずらして…奥まった部分に舌を差し入れてみた。
「……ひゃっ……………」
可愛い声をあげて、しげが俺の雄から思わず口を離した。唾液をたっぷり舌で塗りつけられて、しげのそこはその度に軽く硬直する。
「おいおいおいぃ………お口がおルスになってんぞーぉ…」
「……バカ…………やろ…っ………」
それどころじゃないって感じで小さく叫んでるけど、こんなの序の口だってば。
指先にもたっぷり唾液を塗りつけて、ちょっとずつ差し入れる。しげの口からは何とも言えない悲鳴があがった。どっちかっていうと、喘ぎ声みたいな感じさ。
「すーげぇやらしいわ……今日のしげちゃん。あっという間に俺の指、飲み込んでくれちゃうもん。」
「………る…せぇっ……」
そうとしか言えないよねーしげは。恥ずかしがりやだもん。でも、指を根本まで埋め込んでゆっくり中を掻き回したら、もう言葉だって…出てこない、ホラ。可愛い善がり声で、俺を楽しませてくれちゃうんだもんねー。
「…もっかい舐めろよぉ…………じゃないと、ちゃんとイかせてやらんぞー。」
無体なリクエストに、既に臨界点ぎりぎりの状態なしげは、言葉にならない喘ぎ声で抵抗してた。……けど、最後には必死で舌を這わせてくる。強制されてるってーのに、まるで自ら進んで舐めてますって感じで、俺のモノにしゃぶりついてくれた。
俺の両脚に縋り付いている手が、時折ぎり…と、爪を立てる。マジでしげ限界が近そうなので、ゆっくりとしげの口の中で抽挿を繰り返して――――白い欲望を吐き出した。
同時期に自分の口の中に、しげのものがいっぱいに広がっていくのを感じて…ごくりと飲み下すが、初めての経験だったしげは、俺の下で思いっきり咽せだした。
慌てて体勢を変え、しげを抱き起こす。飲み下せないで咽せたしげの口の中に、指を入れて掻き出した。
「ゴメンゴメン…………ちょっと辛かったなー……………洋ちゃんが悪かった。」
全部掻き出してから、近くのテーブルに置いてあった飲みかけのペットボトルを口に含んで、口移しで与える。
「………………うぅ…ぇ〜………………死ぬかと思ったぁ…………………」
そう呟いてからも、目に涙をためて空中を見つめてる。よっぽど辛かったのか……ああ、まだ無理だよなーやっぱ。
「しげぇ……怒ってる?」
「…………………別に。怒っちゃ…いねーよ。」
「…本当?」
「あーもう…。怒ってねーって!!」
しげが、なまら綺麗な顔で俺の顔を睨み付ける。いや、そーゆー顔が怖いんだ、オマエ。
目はまだ涙目だけどな。
「じゃあ、洋ちゃんにちゅーしてv」
「…はああ?」
んーっと唇を突き出すと、しげが堰を切ったようにげらっげら…笑い出した。
「なぁに笑ってんのよー…ほれ、ちゅーはぁ?」
「やめれバカ! タコちゅー野郎!」
ヒトの腕んなかで仰け反って笑うから、がしっと顔を両手で押さえて無理矢理キッスしてさしあげた。
「もうッ!! 大泉、この野郎っ!」
笑いながら俺をぽかぽか殴りつけてくる。ああ…こんな佐藤くん――――大好き。
最初は啄むように口付けを繰り返して、次第に深くていやらしい口付け。しげの口内に舌を割り入れて、蹂躙し続けた。
息苦しそうに喘ぎだす頃、そっと唇を離す。形の良い口の端から滴り落ちた唾液を、指先ですくい取って、ぺろりと舐めた。しげはとろりとした目で、それを見ていた。
「なんてー顔してんのよ…しげ………や〜らしい顔してぇ…」
なんだか嬉しくて、くすくす笑いがこみ上げてくる。俺の腕の中にいるしげ。艶めかしくて、すげえ可愛い――俺のしげ。
思わず、ぎゅっと抱き締めた。愛しくて愛しくて……切なくなる。ふと…いつか俺の傍には居なくなってしまうかもしれない、そんな不安が沸き上がってきて。
「どしたのよ…大泉……」
腕の中のお姫様は、ぽそりと尋ねた。
「どしたの?」
ちょっと不安混じりの声。ああ、心配させちゃったぁ…。
「しげ……お前もう何処にも行かないよな…? ずっと一緒に居てくれるよなぁ………?」
ふいに口を突いて出た言葉に、自分でも驚いちゃった。
「――――ごめん。なまら心配かけちゃったもんね……。ごめんね、大泉ぃ……………お前が多分一番焦ったんだよね、きっとさ…」
しげの手はするりと背中に廻されて、俺の髪を優しく撫でてくれた。
すげえ優しい声だ―――うわぁ、嘘みてえ。
「俺もう何処にも行かないよ。」
するするっとしげの手が伸びてきて、俺の身体を弄ぐる。めっちゃ気持ちがいい………。
って、あら? そこも触ってくれちゃうの……?
しげの華奢な指先が俺の雄をいやらしく触るもんだから、俺ってば息が荒くなっちゃう………。
耐えきれずにしげを押し倒した。…あ、でも今日ってローション持って無いなあ。…ま……いっか。
女みたいに細い腰を掴むと、あっという間に俯せにさせた。慌てるしげが何か言ってるけど、全然気にしないで、腰だけを浮かせさせた。
ぴちゃ…ぴちゃり……わざと音をたてて舐るのは、艶めかしさ満点。さっきまで指で弄くられていた、しげのソコがひくつく。舌先を尖らせて差し込み、唾液でたっぷり潤したら、恥ずかしさに声を噛み殺していた筈のしげが、思わず甘い喘ぎ声を漏らした。
「かーわいい声だして〜ぇ。」
「ばっ…ば……っ……かっ……この…ぉ………」
羞恥に身体を震わせてるしげ…最高に可愛いったらないねー。…だからもっともっと、乱したくなっちゃう。
親指を唾液で潤して、しげの中にそっと埋め込んだ。綺麗に背筋をしならせてしげが足掻く。既に解されてるから、ちょっと刺激しただけで簡単に奥まで飲み込んでくれちゃうし。
「……や……おま…っ……何してんのよ…ぉっ……バカ…ッ………」
えー…親指で中を弄ぐりながら、残りの指でしげの股間を弄くってます、僕。
暫く触りたおして甘〜い声を堪能してから、ずるりと引き抜いて……先走りの液を垂らして昂ぶってる俺の雄を宛ってみた。
腰を掴んでゆっくり押し入る。
「…く…っ……………………は…あ……っ……」
噛み殺した吐息を聞いてしげの様子を窺いながら、何度か出し入れして…すっかりしげの中に埋め込んだら、ぐちゅぐちゅと音をさせて抽挿を繰り返した。
しげは突き上げられる度、喘ぎ声を漏らす。押し寄せる快楽に上半身をシーツの上に沈め、腰だけを上げて俺を銜え込んでくれてる。
なまらいやらしい格好だよねぇ、これ。
一番感じちゃうところを小刻みに攻めると、泣き叫ぶ声。ああ、しげイっちゃいそうだなー……いいよ、イっちゃえ。
思った通り背筋を綺麗に反らせて、シーツの上に心ならずも体液をぶちまけた。下腹や太股にも白いものを垂らして尚、俺のモノで中を掻き回され、しげは悲鳴のような声をあげっぱなしだ。
「すげえよ…しげ………触ってないのにイってくれちゃったぁ…」
嬉しくてたまらない。受け入れてくれてること、感じてくれてること、俺を更に飲み込もうと蠢く身体の反応までが、全て愛しくて。
そろそろ俺も限界が近そう。激しく腰を打ち付けると、肌の触れ合う音と俺の荒い息づかい、それにしげの悲鳴だけが室内に響き渡る。
もう一度しげをイかせたくて、片手でしげのモノを扱きながら、突き上げる。精一杯の…これが俺の気持ちの全て。気が狂いそうなくらいの快楽を与えることが、今の俺の精一杯。
イきそうになる直前、俺は扱いていた手を離して、シーツを握りしめていたしげの手を上からぎゅっと握る。
「…や……ああ…ッ………おおいず…みぃ…ッ!…………………」
腰の動きを止めた瞬間、勢い良くしげの欲望が下腹部に放たれ……俺はしげの中に全ての精を叩き付けていた。
浴室でシャワーを浴びて、べったりくっついてる体液を洗い流した。
しげはまだ呆然としてる。俺もまだ夢見心地でふわふわしてたけど、あのまま寝ると多分、明日の仕事には行けなくなる可能性大なワケで………。
浴室を出ると、一旦しげをソファに座らせた。
「ありゃあ…ガパガパになりかかってるわ…………」
シーツを直そうと思ったら凄いことになってた。せっかく寝心地の良さそうな、すべすべのシーツだったのに、俺達二人分の精液があちらこちらにぶちまけられてて、しかもちょっと乾き始めてる。
「……んー…タオル…敷いときゃ……いいんじゃない…?…………」
ぼんやりとしながらしげが呟いた。
俺は言われたとおり、特大のバスタオルをシーツの上にかけてから、冷蔵庫のミネラルウォーターを取り出し、しげに渡した。
「あんがと…」
「俺にも飲ませろぃ。」
代わる代わる飲んでから、しげを抱え上げてベッドに降ろした。
「こんな広いベッドで二人で寝るの…初めてじゃん。」
いっつも、しげんちのセミダブルでギュウギュウだったしなー。
「悪かったね。俺んちのベッド狭くて……。なんならもう来なくてもいいのよ。」
「あー、そゆこと言っちゃう?」
「言っちゃう。」
しげはとろんとしながらそう呟いて、目を閉じた。綺麗な顔……してら。
暫しの沈黙。しげはもう寝てしまったかもしれない。柔らかな呼吸音が、静かに規則正しく聞こえている。
しげの前髪をそっと指先で触りながら、瞼に口付けた。
「………おおいずみ…?……」
「あれ、起こしちゃったかな?」
しげは重たげな瞼を開いて、じっと見つめてきた。
「なした?」
「…………………………………」
「どしたのよ、変なヤツ。」
じっと見つめたまま、なかなか口を開かないしげ。
「あのね、大泉。」
「ん?」
またちょっと黙ってから…
「俺、『アンタになら……どんな怖い事されても平気だよ。』……なーんてね。」
にやっと笑うしげ。俺は一瞬顔が引きつったかもしれない。だってその言葉って……それってお前、あの時の………――――?
「おま…お前………ちょっと待て…………もしかして………………………記憶……うっそぉ、憶えてんの?」
意味ありげな笑みを浮かべて、小悪魔みたいなしげが俺にちゅーしてくれた。
「はて。さあね?」
「しぃげえ! 思い出したんならそうやって言えよぉ…」
「知らねーよ。何のこと?」
くくっと笑ってる。笑ってるって事は――――――やっぱりかよ。
しげはぎゅっと抱きつきながら、ぼそっと言って目を閉じた。
「…お前、アレはセカンドバージン奪われたっつー感じだわ。」
「しーーーーーげーーーーーーーぇ……………」
恥ずかしいやら、嬉しいやら。何とも言えない複雑なお気分。腕の中ではしげが幸せそ〜うに、寝息たてちゃってるし。
とりあえず、また明日から新しい日が始まるような………そんな予感がしながら、俺はしげを抱き締めてゆっくり目を閉じた…………。
え゛〜。。。げろ甘になっちゃいました(汗)
最初は簡単に、事故でも起こしちっゃったらどうなるでしょうか?
って気分で軽く書いてましたが、コレがなかなか。。。
前回の風邪編あたりから
シゲの態度がかなり、軟化しております(笑)
こんなんでいいのかヲイってくらい
べた惚れになってきてます☆
意地っ張りですから、表現は決して〜素直では御座いませんがね(笑)