Soup=Spice=Soupcurry ・2
それからと言うもの、俺はロケの合間に思いつくことをひたすら書き殴った。
大抵の仕事場にはしげも一緒だから、ワケが分かんなくなりそうになるとそーっとしげを見て、栄養補給する。
で、粗方書きたいことは纏まってきたから、あとはそれをつなぎ合わせる作業。キーワードと俺の想いを上手く絡めていかんとなー…。
どこの仕事先にもメモを持ち歩いて、時間が少しでもあれば頭を捻って語呂を合わせる。
やーっと完成して、大はしゃぎした時にはやっぱり…傍にしげが居た。
「やったぞしげ!! すげえぞ俺はー!!」
なんてバカ騒ぎする俺の横でお前ってば呆れ笑いを浮かべながら、それでも一緒に喜んでくれてた。
「しげ! タイトルも決めたぞ!!」
「ホント? 何てタイトル!?」
顔を覗き込んでくるしげに俺は自信満々に言ってみた。
「本日のスープ!!」
途端にしげがきょとんとしている。
「ええ〜…?、『本日の』は要らないんじゃあないの? 大泉ぃ…」
「ばーか、この『本日の』が付くからいいんだべや! 解ってねーなー、お前は!!」
誉めまくって欲しかったのに…ケチつけてくるんだもんなー、しげってば。
「ああそうか。まあそうかも。いや、大泉さんが考えたんだからそれでオッケーでしょ。」
しげはそう言って笑った。
「じゃあさ、あとでメシ食いに行こうや…しげ。タイトル出来上がった記念になー。」
俺達はお気に入りのスープカレー屋で、メシを食っていた。
薄暗い店内。一番端っこの目立たない席で俺達、向かい合ってる。
こんな些細な出来事も、改めて考えるとやっぱりいいよなー…。
目の前で美味しそうに食ってるしげはマジで幸せそうだ。
歌の歌詞じゃないけど、スープの中にお前の笑顔が溶けてる感じ。本当に。
そんなことを思いながら、ほんのちょっとだけ悪戯心を出してみた。
かるく立ち上がって中腰になり、テーブルの上でチョイチョイと手招きしてみる。案の定しげは何事かと不思議そうな顔をして立ち上がった。
「ちょっと来て見てみれ…」
そう言って顔を突き出させておいて、俺はそっとその小さな顔を両手で挟んで唇を重ねた。
しげの唇は柔らかくて…ほんのりとカレーの香り。
舌を絡めれば、極上なスープの味わい。
「こうすると食事もより一層美味しくなるっちゅーわけよv」
顔を真っ赤にして睨んでくるのも気にせず、俺はそう囁いて笑ってみせる。だって、本当に美味しかったもの。
「今時こんな古い手で引っ掛かっちゃうなんて、まー佐藤さんったら可愛らしいこと!」
「……だーから……あんたとメシ食いに来るの嫌なのよ。」
憎々しげにそう呟いてから少し黙ったあと、愛しの佐藤君は我慢しきれなくなったのか突然くっくっ…と笑い出す。
「呆れて怒りも持続しねーわ。まったく大泉さんには適いません! ハイ!!」
屈託のない無邪気な顔して笑うから、ドキドキするわ。こっちこそお前のその笑顔にゃ適いませんっちゅーの。
お前の笑顔が、俺にとっては全てに於いて最上の味付けだな。
だから普通のスープだって極上の一品になっちゃうし、ちょっとした出来事だって最高の思い出に変わる。
こうやっていつもいつも、笑顔のスパイス振りかけてて欲しいわ。
俺の傍で……ずーっとな。
とうとうやっちゃいましたね〜。
『本日のスープ』
どうやって聞いてみてもワタクシには3姫のために歌っているとしか思えず
こんなものを書き殴りました(笑)
しかも挿し絵付きにしたかったので、短いにも関わらず
二つに分けちゃいました。
アーティスト・大泉洋に乾杯!!
いつまでも姫の傍に寄り添っていて下さいね!(笑)