背中の傷は背徳の証
体中に散りばめられた朱は禁断の果実
体中に撒き散らした白濁の液は、愛しい罪の証・・・
今宵は、罰の前の甘美な一時・・・
「罪と罰」Act.3
柔らかい銀次の唇が自分の唇を塞ぐ。
角度を変え、何度も何度も・・・。
だんだん頭がフワフワしていくのがわかる・・・。
気持ちイイ・・・
フワフワした頭の中、それだけは明確に思った。
銀次とのキスが気持ちイイ・・・と。
「ん・・ふ・・」
「・・・蛮ちゃん・・・」
キスを繰り返しているうちに、蛮の体から力が抜けていく。
背に手を回し、もう片方の手で腰をしっかりと抱きながらゆっくりと真っ白なシーツに押し倒す。
「怖い?」
美しい黒髪をゆっくりと梳いて、可愛い耳に囁くとピクリと蛮の体が跳ねた。
「・・・ちょっと・・・な」
「俺も・・・ドキドキしている」
ほらと蛮の手を左胸に持っていくと、ドクドクと早鐘のように心音が伝わってきた。
微かに銀次の手が震えているのもわかる。
「・・・」
その時感じた事を俺は一生忘れない・・・。
嬉しい、俺に夢中になってくれるその瞳が愛しい・・・と
「ふ・・ぁ!」
シャツの中に手を入れられ、蛮の背が跳ねる。
「蛮ちゃん・・」
銀次が顔を近づけてきたのを見て、そっとその唇にキスを送ると、深く舌が入り込んできた。
「ん!・・っつ!・・ふ」
くちゅ・・と濡れた音がして銀次の唇が離れる。
蛮の顎に、銀糸の糸が伝う。
「綺麗・・・すっごい綺麗だ・・」
「あっ!」
胸の突起を撫でられ、蛮がたまらず声を上げる。
自分のものではないような声に、一気に顔が紅潮するのがわかる。
ジーッ
音がして、ジーパンの前が開かれる。
「!・・や・・やぁ!」
トランクスを引き下げられ、銀次が蛮自身を覗き込む。
「・・・蛮ちゃん?」
「・・っつ」
「自分でシタ事ある?」
「あ?な・・・何言って!」
「だから、自慰行為」
バキ!
言った瞬間殴られた。
「〜〜いった〜い・・・」
「何馬鹿な事言ってやがる!」
「だって!あまりにも綺麗なんだもん!シタ事あるか気になるじゃん!」
「んな事したことねー!・・・はっ!」
しまった…と思ったときには遅かった、そっと顔を上げると目を輝かせている銀次と目があう。
「本当に?」
「・・・」
「初めて?」
「・・・っ」
「嬉しい♪」
「あ!」
イノシシのように突進され再びシーツに落ちる。
「俺、蛮ちゃんの最初の人になれるんだね!!う〜んと気持ちよくイカせてあげるね・・・」
「ひぁ!」
くちゅり・・・・という音と同時に銀次が蛮自身を口内に迎え入れる。
「んぁ!・・・ふ・・っつ!」
ガクガクと体が震える。
尚も与えられる快感に脳が溶けそうな感じがする。
ぴちゃ・・じゅ・・
「んあ・・・ひぁ・・あ・・ああ・・」
敏感な裏筋をなぞられ先端の窪みを刺激すると、蛮自身がどんどん大きく硬くなっていく。
ピンと張り詰め始めたそれが愛しくて、手を使って擦りあげてやると、細い体が大きく揺れた。
「銀次・・離れ・・て・・た・・のむぅ・・」
銀次の頭に手をかけ、蛮が懇願する。
限界が近かった。
「いいから、このままイキなよ?」
「あ・・や・・やぁ!」
あまりの快楽に蛮の瞳から涙がこぼれる。体がピクピクと細かい痙攣を起こし始める。
初めての快楽に対応する事ができない蛮の雄が、銀次の口内ではじけた。
「ひぁ!あ・・あぁ!」
ドクンドクンと何度かに分けて銀次の中に精を吐きつける。
「う・・・ふぅ・・」
余韻に浸り、ぼーっと天井を見上げる蛮。
ごくりと銀次が蛮の欲望を飲んだ音で我に返る。
「な!」
「やっぱ初めてだから多かったね?」
そういいながら、口の端にたっぷりとついた白濁の液を舌で舐め取る。
「・・・っつ」
「気持ちよかった?」
ニッコリと問い掛けてくる銀次から目線を外す。
「可愛い・・・もっと気持ちよくなろうか?」
「え・・ひぁ!」
蛮の液にまみれた手を蛮の蕾にあてがう。
ぐりぐりと強請るように蕾の周りを銀次の指がたどる。
温度差に、蛮の体に熱がたまり始めた。
「銀次!」
「大丈夫、俺を信じて?」
そっと髪に、頬に唇に、鎖骨にキスを落とす。
その愛しい金色の頭を抱え蛮がコクリと頷いた。
つぷ・・・
と音がして蛮の内部に指が一本いれられる。
「ん!」
ピリッとした痛みに顔を歪ませる。
落ち着かせるようにと尚も降り注ぐ銀次のキスに、蛮の脳は麻痺していった。
「っふ・・・う」
入り口付近を丹念にほぐし、ゆっくりと奥に指が入っていく。
やがて指は2本に増え、蛮の内部を侵食する。
「あ・・・あ・・ん」
しきりに上がる蛮の喘ぎ声・・。
「蛮ちゃん」
「っ?んふ!」
名前を読んで振り向かせると、その可愛い唇を塞ぐ。
微かに苦いそのキスに、蛮はゆっくりと目を閉じた。
ズッ!
「んん!!んふ!」
銀次の指が3本に増え蛮の中で蠢く。
背筋を這い登る快感に蛮の背が反るが、銀次が上から押さえつけ上手く動かない。
「ん・・・んんん!」
口を塞がれた状態で蛮が銀次の背に必死に手を回した。
「ん・・・ん!」
尚も小刻みになっていく銀次の指。
快感に耐える事ができず、必死にその背にしがみつく。
銀次が着ていたシャツが脱げ、小麦色の肌がさらされる。
「んんーーんっ!」
ガリ・・・
銀次の背に爪を立て、後ろだけの刺激で蛮が果てた。
「は・・あ・・」
「イイ顔・・・トロトロになっちゃったね?ココ?」
「んん!」
蛮の白濁の液にまみれた秘部と体。
銀次が左胸にキスを落とし、軽く吸い上げると白い体に朱い跡が残る。
「銀・・・次ぃ」
体の熱が引かない・・・潤んだ瞳で助けを求めるように銀次を見上げる。
「蛮ちゃん・・・大好き」
ちゅ・・・
軽いキスは始まりの合図。
「ああ・・あ・・ああ!!」
ズッと銀次自身が蛮の中に進入してくる。指とは明らかに違うその質量に、蛮の手が銀次の背を引っかいた。
「あ・・やぁ・・あ!」
「力・・抜いて?」
「や・・だ・・できな・・い」
「蛮ちゃん」
「・・・あ」
そっと銀次の大きく温かい手が蛮の黒髪を撫でる。
「大好きだよ・・大丈夫・・」
温かい手と琥珀色の瞳に包まれ蛮の体から力が徐々に抜けていく。
「あったかい・・・蛮ちゃんの中・・」
「ん・・んん」
声すらも感じてしまうのか、銀次の背に回された手に力がこもる。
「しっかり掴まっていてね?」
「あ!・・あああ!んん・・」
律動が開始される。
緩やかに・・・時に激しく、蛮の体を貪っていく。
「ひぁ・・・・銀次・・・も・・げん・・」
「うん・・俺も」
「あ・・あ・・ひぅ・・・ああ・・あああ」
蛮の一番喜ぶ所を突いてやると、白い喉を反らした。
「も・・・イク!」
『−−−−っつ!』
二人同時に果て、蛮が意識を失った。
「ん?」
朝日がまぶしく目が覚めると、そこは自分の部屋だった。
「・・・夢?」
昨日の銀次との行為は・・・夢だったのか?
着衣はしっかりと着ており、ゆっくりと身を起こす。
「痛っつ!」
起きた瞬間走った痛みに、愛しい気持ちが広がった。
「・・・これ・・」
今気付いた・・・自分が着ているシャツが銀次のものだと。
「・・・銀次・・」
自らの身を抱き締め愛しい人の存在を感じる。
ぷるるるるる・・・
室内電話が鳴った。
「はい・・・」
『蛮』
「夏彦?」
『朝食の用意が整ったようだ、降りて来い』
「あぁ、すぐに行くよ」
電話を切り、名残惜しそうに普段着に着替える。
途中、姿見を見た時に気付いた。
左胸に落とされた朱の跡・・・心臓のようだ。
銀次のシャツは綺麗にたたみ、ベッドの上に置いた。
「おはよう、蛮」
「おはよう、マリーア。・・・あれ?銀次は?」
リビングに入りあたりを見回すが、部屋に居るのは夏彦と祖母とマリーアの三人だけだった。
「蛮、銀次君は使用人だよ?本来なら、俺達と一緒に食事をとるような立場じゃない」
「夏彦・・・」
「食べなさい、蛮。冷めちゃうわよ」
「うん・・・」
いささか元気がないが、蛮は食事をたいらげた。
「これで終わり・・っと」
銀次が元気よく、米を台所に置き、朝の業務の確認をする。
「ごくろうさま」
朝食の食器を持ちマリーアが入ってきた。
「ここに、銀次君の朝食置いてあるから食べてね♪」
「うっわ!おいしそう!マリーアさんて、料理上手いですよね!」
「ふふふ・・嬉しいわ・・あら?」
廊下から話し声が聞こえてきたのを感じ、マリーアが外にでる。
銀次も愛しい人の気配を感じドアから外を覗いた。
「だからな・・・」
「わかってるよ、夏彦!今日の勉強時間で教えてくれよ・・・っつ!銀次!!」
「蛮ちゃん!」
夏彦と話しながら歩いている最中に、銀次の姿を見つけ満面の笑みでかけよる。
「・・・」
その背を見つめながら、夏彦は静かに拳を握り締めた。
「おはよ」
「おう、おはよう」
二人とも照れたように笑い朝の挨拶を交わす。
「じゃあ、私は行くわね」
「はい、また午後も宜しくお願いします」
銀次が会釈をしマリーアが去った。
「あ・・あのよ!銀次」
「ん?」
「あ・・いや・・」
やっと会えて嬉しいはずなのに、何を言ったらいいのかわからない。
「大丈夫?」
「え?」
「・・・体」
ポソッと蛮にだけ聞こえるように耳打ちすると一気に顔が紅潮した。
「ったりめーだろ!!」
ポスっと軽く銀次の腹を叩く。
銀次が柔らかく笑った。
「蛮!」
「夏彦?」
「勉強の時間だ!」
「あ・・あぁ!ってちょっ!!」
何かイラついたような素振りで蛮の腕を取り、引きずるようにして奥に引っ込む。
蛮が不安そうに銀次を見ると銀次は優しい笑顔で微笑んでいた。
その口が声を発する事無く動く。
”ア・イ・シ・テ・イ・ル・ヨ"
蛮の顔に笑顔が広がった。
「蛮!聞いているのか?」
「え?あぁ、聞いてるよ」
夏彦との勉学の最中でも頭に浮かぶのは銀次の笑顔。
初めてだった・・ここまで勉強が手につかないのは・・。
早く日が沈めばいいと刹那に願う。
夜になれば、銀次に会えるから・・・。
「蛮・・・」
「んだよ?」
「お館様の事だが・・」
「クソババア?」
「最近体調が優れないみたいだ」
「!!!」
「もしかすれば・・・近いかもしれない・・」
「・・・・・」
その言葉に、蛮の顔が曇った。
「心の準備は・・・できているな?」
「・・・・」
その質問に・・・・蛮は答えられなかった・・・。
ガチャガチャ・・・
銀次が自分が食した後の食器と皆の朝食分の食器を洗う。
「これで、終わりッと!」
「ご苦労様」
「!!!」
背後で声がして驚き振り向くと、そこにはメガネをかけた優しそうな青年が居た。
「・・・・???」
気配なんてしなかったぞ??
何時の間に・・・いや、何時から後ろに居られたのか分からず緊張する銀次を見て青年はクスクスと笑った。
「はじめまして・・・かな?僕は弥勒 雪彦」
「雪彦君?夏彦さんのご兄弟?」
「そうだよ、天野銀次君」
「あ!はじめまして」
人懐っこい笑みを浮かべると雪彦も柔らかく笑った。
「弥勒って7人兄弟ですよね?」
「うん」
「凄いなぁ!でも、7人がそろう事、ないんですか?」
質問に、雪彦の表情が固まった。
「・・あ・・あれ?俺またなんかいけない事言ったぁ?」
泣きそうな顔で雪彦を見る。
「・・すぐにここを出た方がいい」
「え?」
「君は知らないんだ!この家は、暗く重く呪われている。このままココに居ると・・・死ぬよ?」
「はい?」
「・・・蛮の事が好きかい?」
急な問いかけに銀次が迷っていると、雪彦はため息をつき語り始めた・・・。
銀次の目が大きく見開く・・・。
部屋に戻り、ベッドの上に腰掛ける。
しかし、蛮の表情は相変わらず暗い・・・。
「・・・・」
コトン・・・
ヴァイオリンを取り出し、そっと奏でた・・・。
「はぁはぁ!」
ドタドタと銀次が廊下を慌しく駆ける。
「何だよ・・」
『いいかい、銀次君。君がどんなに蛮を愛していても、いつか別れが来る』
「何なんだよ!それ!」
『彼の血統は、誇り高いウィッチクイーンの末裔。現当主を彼の祖母が勤めている。しかし、お館様もご高齢・・いずれ、蛮がこの家を継ぐことになるでしょう』
「絶対・・おかしいよ!」
『彼は死ぬまでこの屋敷に幽閉され、その力を高貴な蛇使い座に分け与える。そう、彼は神聖な生贄なのです』
雪彦の言葉が頭を駆け巡る。
『生贄・・』
「蛮ちゃん!」
ドアを勢いよく開くとヴァイオリンの音が聞こえてきた
「ふっぐ!!」
銀次が胸を抑えてドアに寄りかかった。
悲しい・・・悲しい音・・・
初めて会った時よりも・・・胸をえぐられるような旋律
「銀次!?」
細い体を、後ろから優しく抱き締める。
「何で・・そんな悲しい音を奏でるの?」
「・・・」
「どうして、そんなにつらそうな瞳をしているの?」
「銀・・・」
「もうすぐ・・・この家の当主になるかもしれないから?」
「・・・・何で!・・・それを?」
「雪彦君に聞いた」
「・・・・・・」
確信を突かれた問いに蛮の瞳が動揺で揺れた。
「何を怖がっているの?」
「・・・・たくない・・」
「ん?」
「離れたく・・ない・・お前と・・」
「蛮ちゃん・・」
「生まれて・・18年間・・欲しいものを作らないでいた・・・。作っても、いつか失うのが分かっていたから」
銀次の腕に顔を埋め、ぽつりぽつりと話し出す蛮の肩が微かに震えていた。
「なのに・・何でだろうな?何で出会っちまったのかな?お前と・・」
「蛮ちゃん・・」
「宿命には抗えない・・俺は、当主になるのは怖くない・・・でも!」
蛮が銀次に向き直り、怖さを拭い取るように抱きつく。
「お前と・・・離れたくない・・・失いたくない!」
だんだんと震えがひどくなる蛮の冷えた肩を、優しく強く銀次が抱き締めた。
「ずっと・・傍に居るよ」
「銀・・・」
「俺にも・・言えない過去があるんだ・・」
「?」
そっと手を伸ばし、蛮の目の前にかざす。
バチバチ!
と音がし、放電し始める。
「こ・・れ・・!お前!まさか!!」
「そう、俺の生まれ育った場所は・・・『無限城』・・・」
「まさか・・・無限城の雷帝?」
「そう呼ばれていた時もあったね」
今は違うよと放電をやめ、再び蛮を抱きしめる。
「この力のせいで・・俺は一人、大事な人を死なせてしまったんだ」
「・・・・恋人・・か?」
蛮の顔が曇ったのを感じ、銀次が額にキスを送った。
「違うよ・・・でも、大事な子だった・・・後悔したよ、何故助けられなかったのかってね」
「・・・・」
「胸を抉られるようでさ・・・本当に悲しかった・・もう二度とそんな思いはしたくないって思った・・・でも、君と出会ってしまった」
「銀次・・・」
「君を好きだって気付いた日に誓ったんだ・・必ず君を守ろうって」
「・・・」
「ねぇ、もう覚悟を決めて?俺は決めたから」
「???」
頭に?マークを飛ばす蛮の顔に柔らかく優しくキスを落とす。
「君の傍から絶対に離れない・・例えどんな事があっても・・・宿命なんかに負けはしない」
「・・・この関係が罪だとしても?」
「関係ないね」
「・・・いつか、罰せられるとしても?」
「そんなもの怖くはない」
「銀次・・・」
「俺は、蛮ちゃんが居ない天国よりも、一緒に堕ちる地獄を選ぶよ・・」
深い深いキスを送る・・・。
蛮も受け入れ、キスの合間に・・・・こう答えた。
『俺も・・』
「銀次君〜?ぎーんじくーん」
「どうした?マリーア?」
「あぁ、夏彦さん!仕事を頼もうとしたら銀次君が居ないのよ」
マリーアが困ったわとあたりを見回す。
「まさか!」
夏彦が思い立ち、身を翻す。
「お待ち!」
「!お館様!!」
とっさに祖母の止めが入った。
「銀次なら、さっき私の頼みで買い物に行ったよ」
「まぁまぁ、お館様の?」
「あぁ、悪かったね?マリーア」
「いいえvvそれならそうと早く言って頂ければよかたのに」
「年なもんでね?物忘れが激しいのさ」
「ご冗談をvvじゃあしょうがない!ちょっと私も出かけてきますねvv」
ころころと笑いマリーアがその場を後にした。
「お館様!!」
「お前もお下がり」
「でも!」
「聞こえなかったのかい?・・・おさがり!!」
厳しい声に夏彦が押され、その場を後にした。
静かになったリビングで祖母はそっと窓に目を移した。
「・・・・雨が・・・きそうだね・・」
「くそ!!」
夏彦が外に出て、苛立ちながら吐きつけるように門を殴る。
「あいつが現れてから・・・なにもかもが・・・くそ!!」
ガン!!
門が衝撃で開く。
チリン・・・
「!!」
「こんばんわ・・・」
鈴の音と共に、一人の青年が目の前に立った。
「・・・貴様・・・何者だ?」
我を忘れていたとはいえ、気配を微塵にも感じなかった。
「失礼。僕は風鳥院 花月と申します。じつは、人を探していまして・・・もしもお知りでしたらお教え願いたいのですが」
胸元からそっと写真を出す。
「!!」
その写真を見て、夏彦は驚愕した。
「天野・・・銀次・・・」
写真に写っていたのは、確かにあの銀次だった。
「知っているのですか?」
「あぁ・・嫌ってほどにな・・・」
楽しそうに顔を歪ませ、夏彦が花月を見据えた。
「どうぞ・・中で詳しくお話を聞きましょう」
遠くで雷が鳴った・・・。
「蛮ちゃん・・好きだよ・・」
「あ・・・ん・・ぎ・・」
「凄く綺麗・・」
銀次に貫かれ、蛮の体が震える。
たまらなく幸せな時間・・・。
アダムとイブが食べたという禁断の果実の味は・・・きっとひどく甘かったのだろう・・。
俺達は、お互いが禁断の果実・・・
愛という『罪』をおかし・・・やがてくるだろう『罰』に向かっていく・・・
でも・・きっと平気・・・だって・・こんなに幸せなのだから・・・
カッ!ゴロゴロ・・・・・
雨が降り始め、雷が鳴り響く
「降ってきたか・・・」
祖母が窓辺に立ち、窓の外を見る。
「・・・・ゴフッ・・」
真っ赤な血を吐き、その細い身が崩れ落ちた。
「ガッ・・・私も・・ここ・・までか?」
もう少し・・・長く生きていたかった・・・可愛い孫のためにも・・・
「お館様?雨も降ってきたし体が冷えます。お部屋におも・・ど・・り・・」
マリーアがリビングに入ると、祖母が苦しそうに口元を抑えている。
「お館様!!しっかり!!誰か!?」
「おだまり・・マリーア・・」
「でも!」
「大丈夫だ、ちょっとここの所体調が悪かったんだよ・・」
「何言っていますの!早くお医者様に!!」
「マリーア!」
「!!」
「事を荒立てたくない・・・わかっているね?お前なら・・」
「お館様・・」
「部屋に・・・連れて行ってくれるかい?」
体に負担がかからないように肩を貸し、二人がリビングを後にした。
雷鳴が鳴り響く・・・・
まるでこれからの事を予知しているかのような雷光・・・
幸せの中にいる二人には気付かなかった・・・・その幸せの足元にひびが入った事に・・・
宿命の歯車が動き出す・・・先にあるのは・・・悲劇か?・・・それとも・・・
ごめんね・・・蛮ちゃん・・・約束を守れないで・・・君を傷つけてしまった・・・
でも・・信じて・・
どんなつらい現実よりも・・あの時の俺の言葉を・・・信じて・・・
そうすれば・・・俺は君の元へ帰るから・・・必ず・・・必ず・・・・
罪と罰Act.3です!!ながっ!!(゚▽゚lll)Act.1、2よりもかなり長いです!!ひぇ〜・・・ここまで読んでくれた皆さん!ありがとう(>_<)お疲れでしょう?(笑)最近、ずうっと更新していなかったからたまっていたのかもね(爆!)
やっと物語りの半分まで行きました!!これからの物語の中でもAct.3が重要!頑張ってエロばっかで書かせて頂きました♪それでは、またAct.4でお会いしましょう(^o^)丿