十字架の意味を・・・知っていますか?

横の線は『愛』を表し・・・縦の線は『神の怒り』を表します。

神の怒り・・・・『罪と罰』・・・・

滑稽で笑えるとあなた方は思いませんか?

愛を誓うための道具に、何故神は怒りを覚えるのでしょう?

人が『愛』によって『罪』を犯すからでしょうか?

神に背いた愛を抱いているあなた達なら・・・その答えがわかるかもしれない・・・

この『愛』という結末が一体どんな形を司るのか・・・私はとても楽しみです・・・しばらくは、退屈しないですみそうですよ・・・

罪と罰 Act.4

チチチ・・・チチチチチ・・・
「・・・・ん?」
蛮がその美しい紫の瞳を開けると、日差しが差し込んでいた。
昨日、あのまま銀次の部屋に移り、互いに求め合った。
いつの間にか寝てしまったらしい。
「銀次ぃ?」
隣を見ると、そこに銀次の姿はない。
「・・・仕事・・か?」
外から水を撒く音が聞こえる。
だるい体にシーツを巻きつけ、窓辺に立つと、金色の少年がホースを片手に水撒きをしていた。
「・・・楽しそうだな」
キラキラと太陽の光を浴び、水を撒く銀次を見て温かい気持ちになった。
そのまま、ベッドに歩を進めると、白い鳥と目が合う。
「・・・悪かったな?お前にやきもち焼いちまってよ?ちっち・・・」
チチチチ・・・
白い鳥が嬉しそうに鳴いた。



「?・・・蛮ちゃん?」
水撒きのホースを片手に、自らの部屋の窓を見つめる。
風に乗って美しいバイオリンの旋律が聞こえてくる。
その音は、透明感があるとても美しい音だった。
「蛮ちゃん・・・」


信じられる・・・これからどんな事があろうとも・・
あの手を・・・ぬくもりを・・・信じていける・・
もう、恐れる物など何もない・・・


銀次を愛し、その無垢な心に光を覚えた蛮の演奏は、いままで聞いたどの音よりも美しく屋敷に響き渡った。



「・・ん?」
バイオリンの音でマリーアが目を覚ました。
「お館様?」
昨日、祖母を運んだ後、彼女の部屋で精一杯の看病をし、いつの間にか眠ってしまったらしい。
「おや?起きたのかい?」
「お館様!!」
マリーアが声のする方に目を移すと、祖母は、まるで何事も無かったかのように背筋をピンッと伸ばし、窓辺に立っていた。
「体に障ります!横になっていてください!」
「・・・だいぶ、調子がいいんだ・・本当にね」
「でも・・」
「このような、素晴らしい演奏を聞かされてしまってはね・・」
「え?」
そこで初めてマリーアが耳をすます。


美しいバイオリンの音・・・


「蛮?」
「迷いがない、いい音じゃないか?そう思わないかい?」
「えぇ・・とても・・・」
今までの蛮の演奏とは思えない心に響く音・・・・素晴らしいとしか言いようが無い。
「マリーア・・・」
「はい?」
「銀次はもう働いているみたいだよ。朝食の用意はいいのかい?」
「あら!あらあらあら!!大変!!」
マリーアが慌ててドアに向かう。
「すぐにご用意しますわ!お館様、ご無理ならないように!」
小さく会釈をし、部屋から出る。
「・・・本当に・・いい音だ・・・」
蛮の演奏に再び耳を傾ける・・。
「もう・・・大丈夫だね?・・・・」


もう・・・・何も心配する事は無い・・・・・


負けては・・・・ダメだよ?・・・・お前は私のようになるな・・・・・







「長居して申し訳ありませんでした」
花月がその美しく微笑んだ。
「別に・・奴の事が聞けただけでも価値はある」
夏彦が冷たく言い放つ。
「では、計画通りに・・・」
「わかっている。俺にとっても、天野銀次は邪魔な存在だ・・・」
「僕から言わせてもらえば、美堂蛮が邪魔な存在ですよ・・・」
リン・・・
小さくしかし、冷たく鈴がなる。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
にらみ合いが続いた・・・先に微笑んだのは夏彦の方。
「お互い様だ・・」
「ですね・・・」
そっと鈴を髪に結うと、花月は軽く会釈をした。
「それでは・・・・」
「あぁ・・」


朝日の中、そっと花月が消えた。
「さて・・・と」
屋敷に振り向いた瞬間、そこに居たのは・・・。
「この日が・・ついに来てしまったね・・兄さん」
末弟、『雪彦』だった・・・・。




コンコン・・・
「お婆ちゃん・・・朝のお水を持ってきたよ」
銀次がノックをして扉を開き、毎朝恒例のミネラルウォーターを祖母の元へ持っていく。
「おや・・待っていたよ」
祖母が優しく微笑んだ。
「・・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「お婆ちゃん・・・何かおかしくない?」
「え?」
「大丈夫?」
「・・・・・・」


気付かれない自信はあった・・・
顔色一つ変えてないはずだ・・・
でも・・・お前にはわかってしまうのだね?


「銀次・・」
「ん?」
「蛮の事を愛しているかい?」
「・・え・・・えぇぇぇっぇ!!」
言葉の意味を理解し、銀次が真っ赤になって慌てふためいた。

『好き』とは聞かなかった『愛している』と聞いた。

「ど・・どうして??」
「隠し通せるとでも思ったのかい?私は何もかもお見通しだよ?」
残念だったねと、意地悪く笑う。
「・・・ごめんなさい・・」
「何で謝るのかい?」
「だって・・・・大事なお孫さんでしょ?」
「・・・・私に遠慮する程度の想いかい?お前のあいつを愛する気持ちは・・・」
「違う!!」
大きな声を上げて銀次が祖母を睨んだ。
「俺は・・・俺は本当に蛮ちゃんの事が好きだ!!愛している!!」
そこではっと我にかえり、銀次は真っ赤になりながら微かに震えた。
「・・・は・・・はははっははは!!」
祖母が声を立てて笑い、その笑い声に銀次が固まった。
「お・・・お婆ちゃん?」
「ククク・・・それが聞きたかったんだよ・・」
「え?」
「私はひどい祖母さ・・・。銀次・・私はお前を利用したんだよ」
「え?」
「少し前の蛮は・・何にも興味を持たなかった・・・何もかもを諦めてしまっていたんだ。しかし・・・それは『生きている』と言えるのかい?」
「お婆ちゃん・・・」
「お前と初めて会った時、確信したんだ。お前なら、きっとあの子の心を開放してくれる。生きることを教えてくれるのでは?とな・・・」


そう、それがどんなに辛い日々でも・・・・


「禁断の関係になるだろう事もわかっていた・・・でも、それでも・・私はお前を蛮に会わせてしまった」


ただ・・・ただ・・一つ願ってしまう・・・・


「私は・・自分の業の為に、お前を利用したんだよ・・・」


生きてほしい・・・・・どんなにつらい毎日でも・・・生きていれば・・・・それだけで・・・・

罪深き罪人は・・私なのさ・・・

「ありがとう」
「!?」
「ありがとう・・俺を蛮ちゃんに会わせてくれて・・・」
「銀次・・」
「俺、後悔なんかしないよ。蛮ちゃんと一緒にいれば幸せなんだもん」


無垢な光・・・・私には・・・眩しすぎる


「そうか・・・銀次」
「はい?」
「蛮を・・・・頼んだよ」
「・・・・はい」
何かを決意したかのように力強く頷き、銀次が部屋を後にした。



「素直で・・いい子ですね?銀次君は」
「・・・雪彦か?一体何時からいたんだい?」
まるで空気のような存在。
「結構前です。お館様・・・」
「そうか・・・お前には・・わかるんだったな?」
「えぇ・・代々、美堂家を支える『護りの一族』ですから」
雪彦が悲しそうにメガネをかけ直した。
「・・・・・お勤め・・・ご苦労様でした」
「まだ、最後の務めが残っているだろ?」
「・・・?」
「蛮を・・呼んでくれるかい?雪彦」
「・・・・・・・・・はい」
小さく頷き、そっとドアに手をかける。
「一つだけ・・・お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんだい?」
「あなたは・・幸せでしたか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
パタン・・・・
短い沈黙の後、雪彦が後ろでにドアを閉めた。


「・・・・・・っく」
蛮の部屋に向かう途中、雪彦は壁にもたれかかった。
その細い肩が微かに震えている。
「・・・こ・・んな・・の・・・」
顔を覆っている手の間から涙が溢れ出た。
「誰も・・・誰も幸せになんか・・・なれやしないじゃないか!!」
大きな瞳から涙が溢れる。
『それでも・・・・』
「夏彦兄さん・・」
『それでも・・・・俺は・・・』
雪彦の中で夏彦が小さく答えた。





「蛮・・・」
「雪彦?」
「お館様が呼んでいるよ・・・」



時が・・・・動き出した・・・・・




コンコン・・・
「はい・・」
「俺・・」
蛮が祖母の部屋に入る。
「何だよ?いきなり人を呼び出して」
「呼んじゃいけなかったかい?」
「別に・・・」
蛮が祖母の近くの椅子に向かい合うように座った。




「よし!水撒き完了!お庭の手入れ完了!?」
銀次が今朝こなした仕事を指差し確認していく。
「え・・と・・あとは???」
「銀次君」
「んあ?」
呼ばれて振り返ると、そこには雪彦が立っていた。
「雪彦君?」
「お客さんだよ・・・」
「え?」
「銀次さん・・」
「か・・かづっちゃん!!」
「お久しぶりです・・・・」
「あ・・・うん・・」
銀次がバツが悪そうに笑った。
「花月さん・・ずうっと君を探していたんだって」
「え?」
「銀次さん、無限城に戻ってください。あなたがいないと・・・あそこは・・」
花月がその美しい顔を伏せた。
「かづっちゃん・・・・」
「あそこは・・・もう、ダメになってしまいます」
「銀次君、僕も戻った方がいいと思う」
「雪彦君・・・」
「言ったろ?この屋敷は呪われていると・・・ここは、君のような人が来るところじゃないんだ!」
「銀次さん!」
「銀次君!」
二人の男が銀次に詰め寄る。
銀次はちょっと困った顔をしたが、真っ直ぐに二人を見据えると静かに首を横に振った。
「銀次さん・・」
「ごめん・・ごめんね、かづっちゃん。でも、俺はここを離れられない・・・」
「銀次君!」
「雪彦君もありがとう・・心配してくれて。でも、戻れないよ・・・」
「何で?」
「約束したから・・彼と・・・だから・・・」
”ごめんね”と一言残し、銀次は屋敷内に入っていってしまった。
「・・・・・・・」
その背をいつまでも花月は見つめていた。
「最後の忠告をしてやったのにな・・・」
「夏彦さん?」
雪彦の中から『夏彦』が現れる。
「馬鹿な男だ・・・・」
「無限城の雷帝ですか・・あれが?」
冷たい声がふってわいた。
「えぇ・・あれが我らが帝王・・そして、今回の依頼のターゲットです」
花月がゆっくりと声の主に答えた。
漆黒のコートに身を包んだ死神がクスリと笑った。
「イメージと違うわね・・・ずいぶんと優男じゃない?」
バイオレットの髪をなびかせ、魔女が微笑む。
「凄腕の運び屋・・・『赤屍蔵人』と『工藤 卑弥呼』・・・俺の知っている中では一番の運び屋だ」
「宜しくお願い致します・・・我らが王を・・・あの城まで運んでください」
リン・・・・
軽やかに鈴が鳴り、花月がその場を後にした。
「やれやれ・・・退屈な仕事になりそうだと思っていましたが・・少しは楽しめそうです」
黒い帽子を深くかぶり直し、死神が空を仰いだ。





「蛮・・・お前は今・・幸せかい?」
向かい合ってすぐに祖母からの質問。
「何だよ・・・急に?」
「銀次が来てからは、随分と楽しそうじゃないか?」
「・・・・・」
祖母のからかうような言い様に、蛮がムッとした顔を返す。
小さな細い手が、蛮のサングラスを外した。
「ババア?」
「・・・・私と同じ禍々しき瞳を持つ魔性の者よ・・・」
「・・・」
「蛮・・・・お前は強くならなければならない・・・お前はこれから、多くの不幸を背負って生きていくだろう・・それが邪悪な『蛇使い座』をその身に宿せし者の宿命・・・」
その黒髪をそっと撫でると、蛮が擽ったそうに目を細めた。
「人よりも多くを学び、人よりも多くの傷を受け、生きる術を学ぶがいい。そうすれば、わかるはずだ・・お前がこの世に生を受けた本当の意味が」「ババア・・・」
「宿命に飲まれてはいけないよ・・・忘れるな、どんな絶望に陥ろうとも『光』はお前の傍に常にある事を・・・・」
そっと蛮から手を放し、祖母がゆっくりと目を閉じる・・・・。
「おい・・・ちょと待て・・・・」
「・・・・・・・」
「おい!コラ!?クソババア!!!」
蛮がその細い肩を掴む。
「・・・・・うるさいねぇ」
「!!」
「何を慌ててるんだい?」
意地悪くその瞳をあけた祖母に蛮の顔が怒りで紅潮した。
「紛らわしい事してんじゃねぇ!!」
「フン!まだまだ、未熟の孫を残して逝けるわけないだろう?」
フルフルと蛮の身が怒りで震える。
「喉が渇いたねぇ・・・・」
「あぁ?」
「水を買ってきておくれ」
テーブルの上にあった小銭を蛮に渡す。
「っち!!」
蛮がイライラしながら腰を上げた。
「蛮!」
「あんだよ!!」
「・・・気をつけておいき・・」
「あぁ?そこまでガキじゃね-っての!!」

バタン!!

荒々しく扉を閉め部屋を出た。
その扉を見つめ、祖母は微笑んだ・・・。


空高く輝く蛇使い座よ・・・・
その禍々しき瞳を見開き・・見るがいい・・・・・・
宿命に逆らう者どもの命の輝きを・・・・


ゆっくりと・・・その美しいバイオレットの瞳をを閉じた・・・。





「ったく・・・あのクソババアだきゃー手におえねぇ!!」
蛮がブツクサと文句を言いながら廊下を歩く。
「あ!蛮ちゃん!!」
はるか先から金色の少年が走ってきた。
「銀次!!」
蛮がその胸に飛び込む。
「朝ご飯の用意ができたってよ!どーしたの?そんなに慌てて?」
「あぁ・・ちょっとクソババアにお使いを頼まれたんだ」
「お婆ちゃんに?何を頼まれたの?」
一緒に行ってあげるよと銀次が蛮の手を引く。
「あ〜・・水が飲みたいんだと」
「え?」
「だから、ミネラルウォーターを買いに行ってこいってさ・・・・」
「え?だって俺、朝ミネラルウォーター持って行ったよ」
「・・・・・・え?」
「それに、この前一緒に買い物でて袋いっぱいに水を買ったじゃない?」

言われてみれば・・・確かにそうだ・・・・
数日前、マリーアに頼まれて行った買い物袋の中には確かにたくさんのミネラルウォーターが入っていた。

ぞくり・・・
蛮の背に悪寒が走る。

「あ!蛮ちゃん!!」
蛮が今来た道を駆け戻り銀次もその後を追う。



「ババア!!」
乱暴にその扉をあけるが、祖母からの返事がない・・。
先程と同様に椅子に背を預けている。
「おい!ババア!!」
蛮が祖母の前に回る。

・・・・・・・

沈黙が流れた。
「蛮ちゃん!!」
続いて、銀次が部屋に入る。

空気が凍りついた・・・・

「お・・婆ちゃん?」


まるで、慈悲深き聖母のように・・・
その寝顔は穏やかだった・・・・


「おい・・・ババア?冗談だよな?」
肩を軽く揺さぶるが、反応はない。
「目・・・開けろよ?」
「蛮ちゃん・・・・」
「開けろよ!クソババア!!!」


温かい朝日を浴び・・・美堂の現当主は静かに眠りについた・・・・・。




「呪われた運命を背負った聖母は、天に召されたみたいですね」
死神・・赤屍がその死を見送るかのように漆黒の帽子を取り、そっと胸に当てた。
「彼女は・・・幸せだったのかしら?」
魔女・・卑弥呼がその瞳を伏せる。
「さぁ?私にはどうでもいい事です。私にとっての仕事の価値とは、その過程がいかに楽しめるか・・・。さて・・・いきましょうか?卑弥呼さん?」
「・・・・」
死神と魔女がそっと腰を上げる。
「罪深き愛を背負った子羊達がどういった最後を遂げるのか・・・クス・・・しばらくは退屈しないですみそうです」




時が・・・動き出した・・・・・
深い悲しみの中、無常にも歯車は回っていく・・・・
それぞれの想いを抱き、進む道の先には何が待っているのか・・・・・
空高く光り輝く蛇使い座が、妖しく光り輝く・・・・・
まるで、あざ笑うかのように・・・・




コメント
Act.4です♪またまたエロなしです(爆死!)しかも・・・出す気のなかったキャラがでてきちゃったし・・・赤屍さん(T_T)
あ・・今みんなの「えーーーー!!」って叫び声が聞こえた気がした(笑)そう、出す気なかったのよ・・ばねさんを(笑)でもでてきちゃったよ(汗)(・・;)
だんだんと暗い方向に入ってきました(>_<)皆、ついてきてくれているかな?(・・;)ドキドキ・・・・長々と続けちゃっているからな(・・;)アセアセ・・・
Act.5も早く書き上げUPできるように頑張ります(>_<)最後までお付き合いいただけると嬉しいです(^o^)丿
最後に・・・別に私は『キリスト教』ではないですよ(・・;)アセアセ(笑)

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