ジバクくん「distress」

distress  2

モドル | ススム

 カイはサンドタウンの路地裏を歩いていた。
 表町は夜の割りに明るく騒がしかったため暗く静かな路地裏にカイが居る事など誰も気付かなかった。

  私はこれからどうすればいいのだろう――。
  もう薬では抑えることすらできない――。
  楽になりたい――。
  死んでしまえば楽になれるだろうか――。

  そんな事を考えている時だった。

「カイッ!」

 後ろから爆の声が聞こえてきた。
 最初カイは“空耳か”と思いながら後ろへ振り向いたが確かに爆が駆け寄ってきた。

「こんな所にいたのか……。いったいどうしたんだ?急に走り出したりなんかして……」
「それは―――っ!?」

   ―――ドクンッ!

 その時だった。
 カイの体が再び大きく脈打ったのは。

「―――ッ」

 堪らずカイは自分を抱きしめ後ろへ向いた。
 今の自分が爆を見たら何をしでかすか分からなかったからだ。
 だがそれは悪足掻きでしかなかった。

「おいっ!?しっかりしろっ!!」

 爆がカイの肩を掴んだのだ。
 そのとき、カイの中では『理性』という名の防衛が崩れ落ちる音がしたような気がした。

「ゴメン…なさい……」
「え?今なん・・・」

 カイの声があまりにも小さかったため、訊き帰そうとした。

 だが

 「――――っ!?」

 だがその途端、その口を塞がれてしまったのだ。
 それがカイの唇だということに気が付くのにそう時間はかからなかった。

「んッ……ウッ!……っ」

 カイの突然の行動に戸惑いながらも爆は突き飛ばそうとする。
 だがそれは無駄でしかなかった。元々カイの方が体格が良いのだ。
 それをいいことにカイは爆の口内に舌を差し込んで絡ませてくる。

「ふ・・・んッ・・・ウ・・・はっ・・・」

 好きなだけ口内を貪るとカイは唇を放した。
 開放しても二人の唇は粘質液の糸で繋がっている。
 爆はカイの乱暴な口付けのせいで力が抜け、その場に倒れ込みそうになってしまったが寸前のところでカイに支えられた。

「……感じたんですね」
「やめッ!んッ…っ」

 カイは制止の声も聞かず爆のモノを撫で上げ、握る。

「つッ……クッ!ちょっ…カ、イッ!……っ」

 そのため爆は必死で声を抑えようとした。
 例え暗く、滅多に人が来ない路地裏でもここは外なのだ。
 人に見られてしまう可能性は高い。

「爆殿……」
「あ、んッ……っ」

 だがカイにはやめようという意思は見えず、それどころかズボンの中に素早く手を突っ込み、直に握る。

「ふあッ!んんっ……っ」

 爆の呼吸が荒くなり、先走りの蜜の滑りが感じられる。
 カイはそのぬめりを利用してピッチを上げてきた。

「やっ、アッ! ン……アアァッ!」

 爆の躯がビクンッと脈打つ。
 ズボンは白濁の蜜でぐっしょりと濡れている。
 カイは蜜塗れになった手を放すとその指を爆の秘書へ強引に侵入させた。

「ヒッ、んんっ・・・っ」

 辺りに淫猥な水音が響く。
 爆はあまりの異物感と痛みに体が硬直してしまう。
 だがカイは容赦なく指をより奥へと進めていく。

「カイッ! ふざけるのも、いい加減にっ…クッ!…っ」
「さすがにまだ痛みがあるんですね。あの人とのときは嫌がらなかったのに」

 そう言うとカイは指を止めた。

「な…にっ……?」
「これだって、あの人として出るようになったんでしょう?」

 カイの様子に黙り込んだ爆は

「あの人との情事はそんなに良かったんですか」

 その言葉を聞いて確信した。

 カイは炎とのことを知っていると。

「……知ってたのか?」
「ええ。あのとき私は単身フンベツ山へ戻ってあなたを追いかけたんです。思いもしませんでしたよ。あなた方が両思いだったなんて……」
「オマエには、関係ないだろ……」
「ありますよ」
「え……?」

 その言葉に驚いて顔を上げて見ると、カイの表情はいつにまして真剣そのものだった。

「あなたこと、愛してますから……」
「カイ……」
「この気持ちに気付いたのはあなたが命をかけてモンスターを倒してくれたときでした。私はあなたのことが心配になってあの時、船艶まで留守番していたあなたを追いかけたんですよ。ですが、まさかあんな形で失恋するだなんて……」

 カイの悲しそうな笑顔に爆は何もいえない状態だ。

「あのときはさすがに見を引こうと思ったんですよ?あの人にはかないませんからね。あなた方を見守ろうと思ったんです。ですが……」
「……?」

 爆がその先が気になり、意味を尋ねようとした時

「―――っ!? あうッ!」

 中で止まっていたカイの指が再び動き始めたのだ。

「日が経つにつれてあなたへの想いが強く増していったんです」
「ふあッ、アッ!」
「今まではなんとか抑えてきたんですが今日の夕方になって抑えきれなくなったんです」
「ひっ、くうッ!」
「しかもあなたに対する想いが変化してたんです。“嫌われてもいいからあなたを抱きたい。メチャクチャにしたい”と……」
「ああッ、アッ!」

 指を増やされ、次第に爆の秘所がひくつき始める。
 だがカイは辞めようとはしなかった。
 まるで、何かに取り付かれたかのように爆の秘所をかき回していた。

「もしかしたら狂ってしまったのかもしれませんね。あなたに対する独占欲と、嫉妬で」
「あっ、あふッ!も…おッ……っ」

 ズボンと下着は溢れ出る血で真っ赤に染まっていく。
 カイの指も爆の血で濡れていた。
 散々秘所をかき回されもう限界にで、無意識の内にカイを求めていた。
 だが

「―――っ! ……?」

 カイは散々」弄っていた秘所から指を引き抜いたのだ。
 不思議に思って爆は瞑っていた目を恐る恐る開き、カイを見上げた。

「カイ……?」

 カイの頬には、幾筋もの涙が伝っていた。

「私はなぜ、このようなことをしてるんでしょうね……。自分でも、この衝動を抑えられないんです……」

 ただ大切にしたいだけなのに―――。
 見守りたいだけなのに―――。

 胸に顔が埋められる。

「爆殿?」

 そうしたのは……爆だった。

「すまない……」

 カイの胸が、少しずつ濡れていく。
 この水の正体は爆の涙以外に考えられなかった。

「すま、ない……」
「爆殿、泣かないでください。悪いのは私なんです。だからあなたが泣くことなんかないんです」

 泣きながら謝り続ける爆にカイは必死で慰めようとする。
 だが爆の涙は止まらない。

「すみません、すみませんでした」

 それを見てカイは必死で謝り続ける。
 それを見ながら爆は決心を固めた。

「カイ、抱いて、いいぞ……」
「え……?」
「抱いていいといってるんだ。素直に抱け」

 あなたが本当に好きなのは炎なのに―――。

 体の力を抜く爆の優しさに胸を痛めていた。
 カイには分かっていたのだ。
 これがこの人なりの優しさだということに。

 抱いてはいけない―――。
 抱くわけにはいかない―――。
 でも―――。

「爆殿、あなたの躯をください……」

 躰しか、選べなかった……。
 カイの躰はもう限界だったのだ。
 心ではいけないと分かっていても、躰の方は爆を欲していたのだ。
 そしてゆっくりと爆の上に覆い被さる。

「ああ……」

 返事をしながら爆も目を瞑った……。










「んっ、はッ…あッ!……っ」

 爆は壁に寄りかかり、足を持ち上げられ、カイに突き上げられる。
 あまりの感覚に爆はここが路地裏、つまり外だということも忘れ甲高い声をあげていた。

「んあッ!カ、イッ……ッ」
「爆殿…いいんですよ……?あの人の名をいっても…くっ……」
「―――っ!!」

 爆はその言葉に偉く反応してしまった。
 そう。爆はカイに抱かれながらも炎の事を気にしていたのだ。
 抱かれることでカイの気が済むなら好きにさせてあげたい。
 だがその反面、炎のことも気にしていたのだ。
 何だか、炎の事を裏切っている気がして恐かったのだ。
 だが

「あ、え…っ! カイッ! カイッ!」

 爆は申し出を断って会の名を呼び続けた。
 炎の名を呼んだら、何だかカイまで裏切るような、そんな気がしたから。

「爆殿、優しいんですね……。本当に……っ!」

 突き上げるたびに襲い掛かってくる圧迫感。

 限界に達していることに気付き、カイはより深く奥へと突き上げた。

「ん、う……―――っ!!」
「ふあっあっ!アアァァァッッ!!」

 中に熱いモノが吐き出されたのを感じたのと同時に爆は白濁の密を解放し、そのままカイの腕の中で意識を失った。

「爆殿……」

 肉が擦れ合う音を立てながらカイは自身を引き抜き、気を失った爆を優しく抱きしめる。

「あなたは本当に、優しい方なんですね」

 ありがとうございました―――。
 そして
 すみません―――。

 そして爆の頬に温かい口付けを送る。
 そのままカイはもう少しだけ余韻に浸ろうとした。

 ―――が

「ねぇ、今なんかすっごい色っぽい声聞こえなかった?」
「気のせいじゃねぇか?そんなことよか、たまには気分転換で。な?」
「いやん、もうエ・ッ・チv」

 表町から聞こえて来たカップルらしき若者の会話の内容にカイは慌てて爆にズボンを履かしておんぶすると大急ぎでその場を後にした……。





 


亮:これも長ェ……。どうやら管理人はシリアスとやおいが入ると確実に長くなる様子。これでも修正したんですが……。
翔:それ以前に最後のカップルの会話は消した方がいいんじゃないか・・・?


BGM:なし

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