女性のための風俗から男性向けの風俗ギャルまで自分の体を使って実体験してみるこれは女性の側からの男性社会に対するアンチテーゼこれまで男たちが漠然と考えていた女性観が覆されるときがやってきたのだ
唐突だが、私はイキにくい女だ。挿入行為でイッたことは一度もないし、オナニーにも時間がかかる。短くても20〜30分、長い時は2時間近くかかった事もある。クンニリングスをしてもらうと、しばしば相手の男性の顎が痛くなり途中でダウンするほどだ。相手を変えたり複数プレイをしたり、露出プレイやSM、レズ……等々、私の性生活がバラエティに富んでいるのは、このことが関係しているのかもしれない。
世の男性の中には、性感マッサージができるということで腕前を披露したがる人も少なくない。興味と期待で、何人かにやってもらったが、くすぐったいのと気色悪いのとが半々くらいのシロモノだった。感覚的には、背中を指でツツツーとやるとザワザワしますよね、アレと一緒。具体的にどうするかというと、指の腹や爪を使用するマッサージで、肌に触れるか触れないかのソフトタッチが基本。ローションやパウダーを使う人もいるし、舌技で責める人もいた。結論をいえば、“性感マッサージできます”は単なる口説き文句に過ぎない。ケッ。
ではプロはどうか?女性向け性感エステ(いわゆる逆性感)をいくつか試してみたが、技術的にシロウトに毛が生えたようなもの。とてもじゃないが、金を取れるようなシロモノではない。そんなこんなで、性感マッサージ=子供だましと、すっかり興味を失っていたのである。が──。
最近ふと、何年か前の夫婦交際誌に頻繁に広告を出していたマッサージ師のことを思い出したのだ。某レディスコミックの編集部のスタッフから「大変良い。真似をしようとしても、到底できるモノではない」という話を聞いて興味津々だったのに、なんとなく行きそびれていたのだ。最後の望みとばかりに、再度電話してみる。随分前に載っていたあの人はいま…?
「ああ、あの方、亡くなられたんですよね」「そうなんですか」電話口で落胆する私。「でも、もっとスゴイ人がいます。アソコに触らないでもイカせちゃうんですから」「えっ、そうなんですかぁ!」「ちゃんと国家資格を取った人ですからね。弟子にやらせたりしないで、先生本人が施術してくれるので、安心してお奨めできます」矢も楯もたまらず、その場で連絡先を教えてもらう。なんとその先生は、地方在住。ううむ……。でも電話くらいしてみよう。すると、訛りはきついがキビキビした話し方をする男性が出た。施術の内容を聞いてみる。
「うちはオイルマッサージ。舌なんか使わんよ。美容エステと一緒だからね。どこまでが按摩で、どこまでがエステで、どこからが性感てことじゃあないのよ」しばらく話をしてみると、返ってくる答えがいちいちマトモで、説得力に満ちている。しらじらしいお愛想や営業トークもナシ。コレはひょっとすると、ひょっとするゾ……。“ちょっと遠いけど、行っちゃえ!”というわけで、勢いで予約をしてしまったのである。