「うにゃ〜〜!!俺もうだめだあ〜っ!!」

ぜいぜい息を切らせて、菊丸はどへっとグラウンドに倒れこんだ。
今はランニングの真っ最中。何とか、乾特製ジュースは免れた。

〜、水ちょーだーい」
「りょーかーい」

同じようなノリで返事をして、は早速やかんを運ぶ。
「ほい、英ニ」
「さーんきゅっ」

嬉しそうにやかんを受け取って、菊丸はごくごくとそれを飲む。
他の部員たちも、次々とそれに群がる。


すると。


「先輩、すみません…ちょっと、怪我しちゃって」
一年生の一人が、膝から血を流して歩いてきた。
「あっちゃー、結構切ってるね。早く消毒しないと」
それを見るなり、は素早く彼の手を引き、グラウンドの端へと連れて行った。

「む〜………」
まだ地面に仰向けになったまま、その二人の後姿を見ていた菊丸は、複雑そうに唸った。



「はい、これでよし…と」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ。んじゃ、気をつけてね。お風呂上りには消毒すること」
「はい!」
「そいじゃ、がんばれ〜」

一通り治療が終わり、は元気よく一年生を送り出した。
そのすれ違いに、ぶーたれた顔の菊丸が近づいてきた。
「ん?英ニも怪我したの?」
「違う」
「じゃ、どうしたの?練習、まだ終わってないじゃん」
「だあってさ〜……」
「??」

何か言いたそうだが、何を言いたいのかがさっぱり分からない。
が首をかしげていると、空を裂くように手塚の声が飛んできた。
「菊丸!まだ練習は終わっていないぞ!」
「あ、あわわわ。そいじゃ、、また後でにゃ!」
「へ…?あ、う、うん……??」


すたこらとコートに戻る菊丸を見送りながら、は再び首をかしげたのだった。



「では、本日の練習はこれまで!」
「有難うございました!」
手塚部長の一声で、その日の部活がようやく終わった。
一気に緊張の糸が解け、皆散り散りに散ってゆく。

「そんじゃ、ぱぱっと片付けちゃおうかな」
!」
「ん?」

呼ばれて振り返ると、菊丸がこちらに走り寄ってきた。
「どうかした?」
ボール入りの籠を持ちながら、はきょとんとする。
一方の菊丸は、すっかりはしゃいだ顔でニコニコしている。
「俺、仕事手伝うよん。が準備できるまで、どうせ暇だし」
「あ、ありがと。でも、今日はそんなに仕事ないから大丈夫だよ」

二人が和やかに会話する隣を、着替え終えた部員たちが口々に挨拶をして通っていく。
人数の少なくなっていくグラウンドで、とうとう最後には二人になってしまった。

「ふい〜、これで終わり!よっし、かえろっか」
「だにゃ!」

鞄を持って鍵を閉めれば準備万端。
菊丸は待ちかねたように、の手を引っ張って歩き出した。

暫く歩いたときだろうか。

「……ね、
「ん?」
急に深刻な顔になって、菊丸が切り出した。
宵の空に見惚れていたは、はっとして菊丸のほうを見る。
その顔は、いつもとは全く違い、暗い影があった。

「英ニ?」
「俺さ…すんごく自分が嫌なんだあ…」
「嫌?」

思わず、は足を止めた。
すると、菊丸も立ち止まり、の言葉にこくんと頷いた。

「だってさ…の仕事はマネージャーだし、部員の世話をするのは当然じゃんか。それなのに、俺…いっつもつまんないヤキモチ妬いてんだもん」
「え?」
「ほっとくとを誰かに取られそうで…正直、怖いにゃ」
「……英ニ…」

何時になく落ち込んだ顔。
その原因がとても嬉しくて、は笑って、菊丸の頭をこつんと叩いた。

「あたっ!」
「このバカもん!」

小さくそう言うと、はそっと菊丸の頬に口付けをした。
一瞬にして、菊丸の目がまん丸になる。

「へ?……へ!?」
「さ、帰ろ帰ろ!」
「にゃっ、!?」
「二回もしないかんね!」

赤い顔を見られないように、は足早にその場から歩き出す。
その後姿を見つめて、それからようやく状況を理解すると、菊丸は嬉しそうに笑って走り出した。

「―――っ!!」
「わっ!!」


そして、手加減なしに後ろからに抱きつき、幸せそうに目を細めて、一言。



「大好きだにゃ!!」

 

 

 

 

 

 

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菊丸言葉ってうつって仕方がない。
自分でもヘンテコな言葉を編み出してるもんだから
最近は方言に標準語に現在地の言葉にヘンテコ語と
もはや国籍不明状態。

 


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