「おはよー、」
「おっす、!」
「おはよ〜…ふわぁ……」
軽快に響く朝の挨拶。
容姿端麗、という訳ではないが何故か人に好かれる性質のに、大勢の友人が声を掛ける。
朝錬のための早起きで眠い瞼を擦りながら、それでもは笑って返事する。
…ただし、欠伸混じりだが。
「ふわわ…ねむ〜…授業中寝たらまずいなあ…」
「おはよう、」
「ほえ?」
呟きながら下駄箱に行くと、不二が声をかけてきた。
テニス部レギュラー、学校でも1,2の人気を争う不二周助。
いつも穏やかな微笑を浮べているが、その仮面の下には悪魔が潜んでいたりもする。
は、その「悪魔」の恋人に先日なったばかりだった。
「眠そうだね。目、覚ましてあげようか?」
「へ?」
言うが早いか、不二は隙のない動きで顔を近づけてきた。
「ちょ、しゅ、周助!」
何をされるかいち早く察したは、慌ててその動きをかわして下駄箱を開けた。
「フフ……ん?」
苦笑してを見ていた不二だが、の動きが止まったのを見て、思わず顔を覗き込んだ。
は一点を凝視したままだ。
その先にあるものは―――下駄箱の中の、一通の手紙。
宛名は、どう見ても男の名前だった。
「……これって、その、あれ……かな?」
「あれって?」
「ほら……ら、らぶ、れたー……??」
「だったらどうするの?」
「へっ……」
自分で言いながら、の顔は見る間に真っ赤になった。
無理もない。生まれて初めてのラブレターなのだから。
貰うことが日常茶飯事の不二とは全く違う。
だが――そんなの反応を、彼が黙って見ている訳がない。
「貰って、嬉しいわけ?」
「そりゃ、もち……」
『勿論』と言い掛けて、は咄嗟に口を閉じた。
笑っていた不二の目が、開いている。
「勿論?」
「も、も、勿論、困るに決まってるじゃん!ね、ねえ??」
「…本当かな?」
「本当本当本当だって!」
首を傾げて、笑いながら不二が詰め寄ってきた。
―――さ、逆らえない………。
気づくと、始業のチャイムが鳴っていた。
周りに生徒はもう誰も居ない。
「ああっ、ち、遅刻だあ!周助、急がないとっ…」
「その前に」
「な、何っ!?」
いきなりぐいっと腕を捕まれ、はびっくりして振り返った。
それと同時に頭の後ろに手が回され、唇が重なる。
「………、っ……!?」
驚きで目を見張ること約三秒。
硬直したからようやく顔を離すと、不二はいつもの優しげな微笑になって、の手を引いた。
「それじゃ、教室に行こうか」
もう片方の手には、何時の間に取ったのか、宛の手紙が握りつぶされていたという……。
不二ユメ。
ゲームでは何故か彼にベタ惚れされてました。
テニプリ好きな友人に言わせるとうらやましいらしいが
何気無く恐怖も感じたのは私だけか…??
いえ、すきっすよv不二。ホント。