『起きんか!馬鹿モン』
……誰なんですか我【WATASHI】を起こすのは。
久し振りにゆっくり寝かせてくれたって良いでし
ょうに。
『まあのんべんだらりと再生早々寝腐りよって!
それでも式神の自覚はあるのか!』
一寸お待ちなさい?再生早々?我は確かあの時、
猪八戒によって再生不可能に…つまり、殺された
のではなかったんでしょうか?
『ワシが再生したのぢゃ!!』
…あのう、気を失っても宜しいですね?
我が遣って、玄奘三蔵に壊された筈のからくり
人形が、何故我に話し掛けているんです?しかも
神仙の様な老人声(イメージとしては常田冨士男)
で!?
『…ええ加減にせえ!この駈け出し者が!』
悪夢じゃないんですねT-T…エ?駈け出し者?
「つかぬ事を伺いますが?」
『何ぢゃ?』
「貴方は何方なんです?」
『お前さんとの関係で言うと、お前さんの遣
っていた式神と言う事ぢゃな。しかし其れは此
処3年間の経歴に過ぎん。第一、お前さんとワ
シが逢うたのは街の骨董屋ぢゃったろう?』
「我以上に胡散臭い店だったので一瞬躊躇い
ましたが」
『一言余計ぢゃ!それ以前の経歴がワシには
あるのでな』
「……式神の先輩、なのでしょうか?」
『そう言う事になりそうぢゃな。550年程
呪い人形を遣って居ったでな』
……550年…ははは…はは…。
『おい?確りせんか!何故そう度々失神する?』
失神させて下さい。我よりもよっぽど性質が
悪いじゃないですか。
ふうむ…最近の若い妖怪は柔ぢゃな。受け入
れられぬ現実は失神でやり過ごせ、か。
式神人形、本名王湯麺氏は気功術を応用して
寝床を整え、清一色を寝かせてやる。
まあ、こう慌てふためくのも初めてであろう
から、確り味わうがよいわ。『生きる』と言う
事の醍醐味をの。
まあ、最初から正体明かして、三蔵一行との
接触を絶っても良かったのぢゃ。牛魔王の封印
前の悪行は直に知って居るからの。こやつの親
父なぞまだ足元にも及ばぬわ。増してやこやつ
なぞ、埃の一粒にしかならんぢゃろう。
しかし、あの一行に行き倒れて貰っても仕方
ないし、こやつの歪みも治してやらんといかん
でな。荒療治をさせて貰うたわい。
ワシの体か?何、550年も式を遣って居る
との、自然治癒力の様なモンが出てくるのよ。
これぞ正しく年の功という奴ぢゃのう、ホッホ
ッホッ。
…さて、こやつが目覚めたら、『生きる』と
言う事を教えてやらんとの。
猪八戒如きに出来た事がこやつに出来ぬとし
たら、師匠としての面目が立たんからのう。
思い込みの激しいのは…師弟同じ様である^^;
(2001.4.13)