「ほむほむ、あんた、加減どないや?」
「…悪いね、是音さん。今一つだけど何とかなる、かな?」
「あったくよぉ、最近の若ぇやつはだらしねぇ!あれ位の酒
で二日酔ってなぁどうかしてるぜ?」
「紫鴛、あんたなぁ…。うわばみに言われたら何も返されへ
んわ!」
「まァまァ、二人とも」
もう一人のうわばみが割って入る。
ここは相も変らず騒がしい「最遊記」の収録現場。勿論冒頭
の遣り取りは天界人三人衆なのだが…相当イメージ、狂うだろ
うなぁ。
京都の料亭を実家とする是音。東京浅草の小料理屋を実家と
する紫鴛。これほど役柄とかけ離れた実態もない。
海千山千の二人に較べ、焔は今回がデヴューとなる新人。緊
張もするだろう。其の緊張感を和らげようと3人で呑みに出た、
までは良い。
誤算だったのは焔が下戸に近かった事と、紫鴛の酒癖の悪さ
だろう。下戸とうわばみが一緒に呑むほど辛い責め苦はない…。
「スタントマンさん、思いっきりいっちゃって下さいね」
にっこり微笑む八戒に凱留がおずおずと切り出す。
「寸止めで頼みますよ、八戒さん。うちの連中も大概丈夫だ
けど、あんたの本気にゃ多分太刀打できんでしょうから」
「大丈夫。人死には出しませんよ」
「…そう言う台詞を微笑みながら言わんで下さい。怖いから」
「本気じゃなきゃ視聴者に失礼でしょ?」
「愉しそうね、八戒」
「観世音。貴女も大丈夫だったみたいですね」
「金蝉と毎晩呑んでるし。彼、結構強いから」
「へェ…」
「あたしも一暴れ、したいなー」
「ストレス、溜まってるんですか?」
「役疲れ。あたしの役、ストレス溜まるもん」
「お察しします」
「三蔵、何か、背筋寒くなんなかった?」
「奇遇だな、俺もだ」
「普段大人しそうな奴が一番怖いと言う事だ。お互い、気を
つけよう」
「きゅーう」
賛同の意を込めて白竜が鳴いた。
(2001.3.5)