あ〜あ、ホント飽きないんだね、ははうえ達も。
お兄ちゃんからきょーもん受け取ってからすぐ
けんきゅー室に篭っちゃってさ…がよっぽどちち
うえが大事なんだろーな。
アハッ。ちょっぴり自分に嘘。うっすらと判っ
てるんだ。
ははうえが本当に大事なのはちちうえ自身じゃ
ない。ちちうえの身体からでる力。娘のおいらに
ばれてんだから、多分皆知ってるよね。
そして、もっと言えば、あの人がおいらを育て
てきたのって、結局自分の為。捕って喰いそうな
いやな目でずっと観られたら、どうしても怯えち
ゃうって。
だから、お城の中は嫌い。居るだけで、命が吸
い取られる気がするから。
「李厘、一寸来い」
「何、お兄ちゃん」
「其処、座れ」
結構キツイめーれー口調。でも、其れが照れ隠
しだって言うの、おいら知ってる。
「座ったよ」
「…ったく、女なんだから、少しは髪に気を遣
え!後ろ、編んでやる」
「ありがと」
えへへ…久し振りだな。お兄ちゃんに髪触って
貰うの。
まだホントにちっちゃな子供の頃は、おいらの
髪、もっと長かったからしょっちゅうお兄ちゃん
に梳いて貰ってた。
お兄ちゃんの梳き方、ホント上手なんだよ。な
んかさ、おいら、梳いて貰ってから後ろの三つ編
みやって貰い終るまで、いっつも寝てたもん。
『涎垂らして寝るなよなー。…可愛いのによー』
お兄ちゃんの口調も今より少し上品だったかな?
『其れにさ、お前、ちゃんと髪洗ってんのか?』
『めんどくさいんだもん』
其の少し前まではお兄ちゃんが一緒にお風呂に
入って洗ってくれてたもん。何時から一緒に入っ
てくれなくなったんだろ?
『しょーがねーなー。風呂上りには編んでやる
からさー、洗っとくんだぞ?』
そう言いながら、其の時は綺麗な油を塗ってく
れた。後から聞いたら、お兄ちゃんの母上の形見
だったって。良かったのかな?
「幸せそうですね、お二人とも」
「全くだ…あれだけ素直なら甘やかし甲斐もあ
るよな…」
「弟さんの事ですか?」
「変にひねてたからな、お互い」
「判ってると思いますよ、あちらも」
「ありがとよ」
王子様一行、束の間の安息の一コマである。
(2001.3.28)