…どうにも気になって仕方が無い。
「どうした?杯が進んでいないようだが?」
「確認しても言いか?その格好の理由」
「趣味だ!」
……そうあっさり言い切られても目の遣り所
に困る事は、同じだな。
そもそも三蔵と紅孩児の組み合わせが、酒を
酌み交わすという設定自体が異常なのだ。まあ、
話せば長くなりそうなので省略するが(と言う
より記録者も思い出せない)酒場で呑むよりは
宿の部屋で呑んだ方がまだましかと言う訳で部
屋にしけこんだ訳だが、いきなり紅孩児が脱ぎ
出したので流石の三蔵も度肝を抜かれた、と言
う訳である。
脱ぐといっても半端な脱ぎ方ではない。掛け
値なしの全裸である。これで興奮の証でもあれ
ば三蔵とて割に割り切ってお相手する所だが、
実に平常そのものだったので逆に戸惑ってしま
う。
だから、目の遣り所に困る。紅孩児の身体に
変に食欲を覚えてしまったから。流石に無理矢
理に関係に持って行けるほど、強引でもないし。
「普段の格好も趣味か?」
「アレはまあ、妥協だな。もう少し開放的に
したいが、泣いてまで止める奴が二人いるから」
「あの薬師か?」
「いや、妹と独角。『勿体無い』らしい」
…なるほど。確かに無意味に人目に晒すには
勿体無い良い体つきだしな。
思わず我が身を振り返る。この色白加減はど
うにかならんものか。焼きたくても赤くなるば
かりでこいつみたいな良い色合いに中々ならな
い。筋肉は…其れでもこいつと張れるかも知れ
んな。
「ふむ」
どうせその気にはならんだろうし…こんな酒
盛りをやってみるのもレアな経験かも知れん。
脱いで見るか。
「結構良い肉付いてるじゃねぇか」
「まあな」
「本当に全体的に白いが」
「一言余計だ!生臭関係は一応ご法度だから
な」
「まさか使えない訳じゃなかろう?使ってみ
るか?」
「酔ったか?」
「今酔った。第一、さっきからの目付き、気
付かないと思ったか?」
「…フッ。挑発してやがったか」
あっさり乗ってしまうのも癪だから徳利を引
き寄せる。
「長い時間だ。そう急いで使ってどうする?
目を愉しませておくのもいいとは思わんか?」
「今日が初めての御開帳と言う訳でもあるま
い?」
「さあな。それともこんな酒程度で萎えるも
のか?」
「…言うじゃねぇか。じゃあ、この徳利が空
いてから決めるか。どちらが抱くか」
…あの御曹司、かなり馴れてやがるぜ。これ
で八戒に逆襲する自信がついたってもんだ。
(2001.4.18)