その朝俺を起こしたのは、十等身のヨークシャ種が下着を
付けずにフレンチカンカンを踊っている夢だった。
何でそんな夢を見たのかってのは…嫌になる程心当たりが
ある。
「はよーさん」
テーブルに付いた俺に、サルが耳打ち。
「ゆーべ、何回やったんだ」
『よ』と言わない内に教育的指導。小声で言えば良いって
話題じゃねぇんだよ。第一、目の前に当事者の片方がいるの
にンな事迂闊に口に出すと思うか?
で、軽く保護者と言うか飼い主を睨む。で、目でお返事。
『今夜、余力が残らない様にしておくさ』
…問題が相当ずれてる様な気がするんだが。ま、いいか。
「おはようございます。さ、しっかり食べてくださいね」
ご託宣と共に食卓に並んだのはハムエッグにハムサラダに
ベーコンとキャベツのスープに…って、豚尽くし…。豚に祟
られて嬉しい奴がいたら呼んで来いよ!って……今の俺って
軽くマゾ入ってるかもね。
以心伝心だったのか、俺の相棒が意地悪く微笑みかけてく
る。アカンベーでも返してやりたいぜ、ったく。
「悟浄」
「しつこいねー、お前も。他人の回数がそんなに知りたい
訳?」
食後、便所横でこいつに捕まって部屋に引き込まれ…って
この話かよ。
「だって、俺とさんぞー、ここ最近やってねーもん」
「欲求不満かよ、あったく」
「それにさ、参考になるかなって」
「保障しといてやる、絶対参考にならねぇから」
「じゃ、何であんなに疲れてたんだよ」
「ベッドの中で話してた内容で疲れた」
「へ?」
「こっちはな、久しぶりだし一晩中相手するつもりだった
んだよ。ここに泊まるまで一週間禁欲だぞ?」
「悟浄にしちゃ良く我慢した方じゃん?」
「そうそう、前は一日が我慢の限界で…って、そう言う話
じゃねぇんだよ」
「ってぇなぁ!自分でボケたんだろ?」
「るせぇ。教育的指導だ!そんな訳で、俺だって戦闘準備
は整ってたんだよ」
「八戒が嫌がったの?」
「……嫌がると思うか?奴が?」
「底なしだもんねー」
で、ふと共犯者的に溜息。
「問題はやった後なんだよ…」
「まさか一晩中猿ぐつわ?」
「……お前らそんな事やってんの?」
「触られず見つめられてほったらかされるって…気持ち良
いんだよな…」
こ…こいつ…天然だったのかよ(汗)
思い出し陶酔で目を潤ませるんじゃねー!絶対俺の所為じ
ゃ無いぞ。最初の教育は確かにしたけどよ。
……いかん。俺とした事が。
「話をしただけだって」
「それでそんなに疲れてんの?」
信じられねぇだろうなぁ、確かに俺も信じたくない。
「お前、想像できるか?一晩中豚の話をベットで聞かされ
るって」
「豚って、あの豚?」
「ヨークシャやバークシャやランドレースな」
思い出すだけでも疲れるぜ。
『豚は良いですねぇ。文化の真髄です』
唐突に言い出したかと思うと春の小川がサラサラサラサラ
澱みなく流れる様に豚に就いての薀蓄を俺の耳元であの声で
囁きかける。で、手と腰はお留守かと言うと…しっかり動い
てるんだよ、これが。
でも、俺の中に残ってるのは事の気持ちよさよりも豚に就
いての薀蓄の数々…バークシャ=黒豚と知っても、嬉かねー
よバカヤロー。
「そっかぁ…じゃ、ごじょーも薀蓄で返せば良かったのに」
「おねーちゃんのか?」
「胡瓜の薀蓄。散々俺に突っ込んでたじゃん。ごじょーの
を挿れる前にさ」
ちゃーらーちゃららららー、ちゃらーちゃらららー
ちゃらららちゃちゃ、ちゃららちゃちゃ、
ちゃっちゃららーちゃっちゃららーちゃーらーらー
かっとばせー、ごー・じょー・う!
悟空の屍は、窓から一里は軽く飛んだのであった。
(2003.1.22)