何の因果で
如何も向稜高校出身のカルテット…っつーの は俺、結城翳が勝手に名付けてるだけなんだが …、薬師寺香澄・藤嶺生・俺+坂本広尾と言う のは揃わない方が確実に世間に平和を齎すらし い。 いや、厄介事自体俺は寧ろ大歓迎と言って良 いんだ。ミネオ程じゃないが結構野次馬根性旺 盛なもんで。 只、この面子で立ち向かうと…薔薇十字事務 所程じゃないけど話が拡大した上で終わっちま うんだよな。 「コスプレ、やんねぇか?」 ヒロ…あ、坂本広尾ね…が唐突に言ってきや がったのは西暦二千年春卯月の事。流石のミネ オも豆鉄砲百連発喰らったみたいな顔をしてい た。 「……ヒロ。言っとくけど」 「んー?」 「セーラー服は着ないからね、ぼく!」 ……カズミ……、反論するにしてもそう言う いきなりな反論は止めてくれ。っていうか、お 前、其の系統のゲーム遣ってる訳? 「心配すんな。少なくともそう言う方向では ない」 と、ヒロが鞄の中から取り出したのはA5版 のコミックス五冊+画集だった。 「あ、ヒロも其れ嵌ってんの?」 「ミネオも?」 「何つーか、他人に思えなくてさー」 「あの坊主?」 「ビンゴ。それに河童」 「俺はカフスの旦那に心当たり出来ちまった」 エーイ、何二人で盛り上がってやがる!とカ ズミの方を見てみれば、 「確かミハルも珍しく嵌ってた様な…」 この時点で既に包囲網が出来ている……何つ ー恐ろしい場の作用だ。 「てな訳で、先ず主役の配役決定ね」 一寸待て!俺の意見も聞けー! 「アタシが坊主っつー事で良いよね?」 「無論」 「異議無し」 意見確認が進んでいる間にせめて読んで事態 を把握しよう…として、何でこんなに惹き込ま れてるんだよ、俺?確かにこの坊主の性格って、 ミネオだよな。外見も…まあ、似てなくも無い。 今からでも良いから宝塚に方向転換させたくな った(其れも男役で)のは俺の贔屓目か? …つー事は。 「俺が河童って訳ね」 「そだね」 「まあ、髪切った直後って事で。染めるの、 OK?」 「赤なァ…丸であのバンドのような感じ?」 「『蕩ける愛』の?」 「其の発言、冒涜だから止めれ」 ミネオの発言に思わすムッカリ。どうせね、 どーせ。 さて、そうすると、多分このサルはカズミっ て事になるんだろうな、んで、残るお一人は助 っ人か……なんて思ってた所へイキナリ不意打 ち。 「サルは俺ね。で、カフスの若様はカズミ」 ど〜してそおゆうことになるのかなっ! んで、実はこの計画、思い切り周囲を巻き込 んでいたりする。と、同時に俺はカズミがミハ ルさんの事を話す度に何故あんな複雑な表情に なったのかを思い知ったのである。 「初めまして、栗山です」 「下の名前はミハル、ね」 ………カズミ。お前よ〜。 「…桜井です」 そうすっとこの人が建築史の人な訳ね。此方 は納得。でも…なんか一寸顔が綺麗っぽい様な ?気の所為か? 「鷺沼……お前も巻き込まれ?」 「いいや。嫌いじゃないから」 俺の横に座ったのは鷺沼蓉。俺に負けず劣ら ずの紅い髪。ん?…って事は。 「あの王子様か?」 「当り」 で、思わぬ顔とも再会する訳で。 「社長!あんたも関係者?」 「そっくり返すわ、御曹司。蒼!あんたこの 子の家の事情なんて……あ、聞かないか」 ジュエリーアカネ現社長・遊馬朱鷺。まあ、 手っ取り早く言えばお袋の繋がりなんだよな。 お袋、直で結構其の類買ってるんだよなー。 「有名な人なの?」 「クラシックの方じゃね。まあ、後でCD屋 で教えたげる」 一寸見えてきたかな? 主役サイドが先ず俺達のカルテットね。ミネ オ:坊主・俺:河童・ヒロ:サル・カズミ:カ フスの君。 で、敵方が、鷺沼:王子・ミハルさん(意地 でもこう呼んでやる!):元俺の(役柄上の) 兄・薬師:遊馬社長。 あれ?じゃ桜井さんは誰遣る訳? 「蒼……今からでも変更、利かないか?」 「話を聞いてなかった京介が悪いの!深春は ちゃんと髭そって置いてくれたんだから」 カズミ……其の片眼鏡の格好で可愛らしさ爆 発させるの止めてくれ!まあ、裏バージョンに なられても怖いけど。 でも、桜井さん…下の名前、京介ってのか… には確かに同情する。女装、だもんな。しかも 設定的にはカズミの恋人にして姉……ヲイ。 そして次の瞬間、不本意にも俺は納得したの である。 簾を上げれは美しき嶺。古典も満更嘘は言わ ない様だ。 (続いてしまう?)
《コメント》 というわけで、イキナリMIX物登場と 相成りました。 一話出来るか…と躊躇したですが、蓋を 開けると却って簡単だったようです。 一応二次創作の上に更にもろMIXとい うのも…と言う訳で相当に暈しましたが、 お判り戴けましょうか? 同人略号でいきますと、 ミネオ:3・カゲリ:5・ヒロ:9・ 蒼:8です。相手方&京介は推して知るべ しと言う事で。そう言えば夏に映画やって ましたっけ。 ネタ提供、山アあゆみさんです。