2B or not2B

薬師寺香澄と言う奴は、さりげなく変わりもんである。
…良い奴なんだよな。其れは衆人一致で知る所。誰も否定
しないと思う。良い奴なんだけど、その行動様式が時々、
俺達とは一枚二枚違うので時々戸惑うだけだ。

カチ。
「ん?」
カチカチ…カチカチカチ…カチ。
「ぃったなぁ…」
「どうしたの?」
「シャーペンの芯が切れた」
参ったな…昨日まで振ったらちゃんとある様な音がしてた
んだけどな。アレって芯の欠片の音だったのかよ。
「カズミ、余分持ってる?」
つるっと口に出してからハタと思い当たる。…カズミって、
普段シャーペン使ってないぞ。俺の知る限りではいつも鉛
筆だった筈。それも、日本では5本の指に入るメーカーの高
級品をいつも手にしてた、よな。
まさか鉛筆を差し出されるんじゃないか、と戸惑う俺の耳
に聞こえたのは、多分天使の囁き。
「間に合わせでいいならあるよ」
「すまね。恩に着る」
「貸して。入れるから」
そして芯のケースを開けて5本程入れてくれて…間に合わせ
ったって結構大盤振る舞いだと思うぞ?…芯出しまでやっ
て俺に返してくれる。なんか良いよなぁ。
で、早速さらりと試し書き…おお、かなり滑らか!…ん?
なんか心なし、濃くないか?
「カズミ、これHBだっけ?」
「んーん。2B」
「濃くない?」
「全然。書くとき力入れなくていいから楽だよ」
ま、確かにな。と、納得しかけて視界の隅に入った光景に
はっとなってついじっくりとカズミの筆箱(ペンケースで
はなくて、象が踏んでも、って言うまさに筆箱)を見てし
まう…す、すげぇ。
「あのさ、毎日ちゃんと手入れする訳?」
「そりゃするよ。いざと言う時使えないと駄目じゃん」
何を今更って感じでさらりと言うけど…いや…カズミはそ
う言う部分もある奴だけどさ…。
今時鉛筆がぎっしり詰った筆箱見てビビるのって、俺だけ
か?しかも同じ銘柄がびしっと金属のキャップ付で並んで
るんだぜ?消しゴムは鉛筆の並んだ上、正しく筆箱の中の
消しゴムのレギュラーポジションに鎮座ましまし、シャー
ペンの芯は実は消しゴムの下に隠れてたんだな。肝心のシ
ャーペンは、と言うとカズミの胸ポケットにしっかり。
…キャップの下って、間違いなく研がれてるんだろうな。
「鉛筆削りって今でもあるんだっけ?」
「かな?ぼく、いつも小刀で削ってるから」
絶句した俺に見せた鉛筆の先は確かに手で削った様な感じ。
「HB、使った事ねーの?」
「やだなぁ。受験の時はHB使ったよぉ」
つー事は、それ以外は使ってないのね。なんか凄い環境か
も知れない。

で、それがどうかしたのかって?
それだけの話さ。只、俺が不思議に思っただけの、他愛も
無い話。
それ以降、俺も2Bの芯使ってるけどね。
                   (2003.1.14)

《コメント》
タイトルを思いついて強引に書いてみました。
タイトルの元は、なぜかP-MODELです。
久しぶりに聞いた曲がなんか耳についちゃって。

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