災難はいつも静かな日常に降ってくる

俺という人間はどうしてこうも災難に巻き込まれ易い
もんかと思う。いや、今回は美味しい思いもしてるぞ。
してるんだが…なんか割り切れない。
どうして俺は今この場所でキーボード弾いたり
ドラム缶叩いたりしてんだ?
しかも傍らには体をクネクネさせて踊りつつキーボードを
弾くミネオ、ド迫力の低い声で歌うヒロ。
カズミは何処にいるのかと言えば、一心不乱に
ドラムを叩いていたりする。で、何故か深春さんが
ギター弾いてたりするんだな、カズミと横並びで。
で、もう一度聞きたい。な?ミネオ?
どーして俺達が雁首揃えて京都くんだりまで来て、
お前の学校の学祭で、今は解散したバンドの
コピー演奏して舞台の上にいるんだ?

そもそも、俺達4人が揃うと言うのは…あんまり
歓迎出来ないカード配分なんだよな。ま、カズミが
居るだけマシと言えばマシだが、何かしら災難が
起こると言う…だってな、高校時代は殺人事件の名残で
大学に入ってから殺人未遂事件遭遇だぞ?
どうせ来るなら愉しい災難にしてくれ!と誰とも無く
呟いたのは絶対俺だけじゃない…と思いたいが…。
閑話休題。
それなりに平穏な大学生活も2年目に入った夏、
不意にミネオが口走った。
『キーボード、教えてくれ!』と。

「嫁入り道具にピアノ持って行く気かよ?」
「あのな…アタシの未来の住まいは
赤い屋根で白い壁の家かよ!」
「絶対そんな家に住むなよ。住んだら」
「住んだら?」
「思い切り指差して笑ってやる」
「なら心配無用。あたしが真っ先に笑う!
じゃなーくーてー」
バンとテーブルを叩いて捲し立てる。
「クネクネさんのグループ、知ってたよな?」
「クネクネ・・・お前な、ちゃんと呼べよ!
仮にもファンならよー」
「良いじゃんか。愛故になんだから。
その曲を成り行きで演奏する事になってさ」
「どんな成り行きだよ!」
「学祭で30分程ステージが空いちまうんだよ」
ハイ?
「で、誰か間を持たせろって事になってさ」
「何でお前なんだ?」
「格好で選ばれたんだよ!」
「ああ、それは納得。で、何でクネクネさんなんだ?」
「それも格好。後はお前の存在!」
「何で俺なのよ?」
「京都在住の大瀧って覚えないか?ピアノ関係で」
「大瀧…大瀧の爺様か?」
お袋の恩師。俺にとっては一応大先生に当る人だ。
「その孫が、同じクラスに居るんだよ」
「瑛壱が?ソラ又なんと」
それならば…と教え始めたは良いんだが、
どう言う成り行きか先ず俺が巻き込まれ、そして
ヴォーカルの代役が急遽必要って事でヒロが巻き込まれ、
そして、じゃあいっそ完全再現って訳で
カズミと深春さんが巻き込まれた。
でもカズミも実はドラムは初めてって事で
…何故か俺が指導した訳で…いや、
判るから良いけどな、別に。愉しいし。

「計りやがったな、ミネオ?」
「何の事?只アタシは成り行きに巻き込まれただけだよ?」
ま、惚けるつもりならそれで良しとしとくか。
お陰で人前で演奏する快感を思い出しちまったじゃねぇか。
……持つべきものは幼馴染、なのかな?やっぱ。
《コメント》
なんか同日UPの作品とは言え「囁きの様に」の
カゲリと人格が違う(汗)しかもこの舞台設定は一体…?
何でZABADAKが頭に響いた後にあの人達の曲が…?
白状します。実はSOFT BALLETの「EGO DANCE」が
頭の中にリフレインしてしまって(苦笑)
ファンの方がいらっしゃったら怒らないで下さい。
葡萄瓜も実は好きなんです。かなり。
特にあのモリケンさんの踊りっぷりが^^;

で、復活したんですね。嬉しくもありますが(苦笑)

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