部屋の彼方此方に本の山を築いていた事がある。枕元に
始まり、机の下や箪笥の前。兎に角、自分が一息付けそう
な所には本の山を作らないと気が済まなかった。
自分の本だけでそんな山を造れる程裕福ではなかった。
図書館の梯子をして借り溜めていたのである。図書館に行
く時間だけはその頃たっぷりあったから。
多い時は一時に70冊は借りていたのかも知れない。流石
に床は抜けなかったが本の山で躓きそうになる。堪りかね
てキャスター付の小さな書棚を買った。図書館で借りた本
専用である。ただし、少々曰く付の本も借りたので、それ
はこっそり鞄に忍ばせた。
で、その本は貸借期限内に全部読み終えたのか?無論。
と言うよりも、貸借期限の半分で読みきった事もあった。
只管貪り読んだのだと思う。図書館には書店から消えて
しまった本も沢山あった。気になりながらも買いそびれて
歯痒い思いをした本に再会した時のあの喜びは忘れられな
い。図書館で借りた事がきっかけで買う様になった本もあ
った。
全く関係無い専門書(と言ってもかなり初心者向けのも
の)に手を出し始めたのもこの頃だ。そのお陰で思わぬ所
から色んなヒントを得る様にもなった。本屋で迷わなくな
ったのも収穫の一つだった。
本の山を築いたと言うのは、無意識に縄張り意識でも発
揮していたんだろうか。本一冊あればどこでも書斎、が身
上だった筈なんだが(苦笑)それか、山を崩して行く快感
があったのかも。
そして今、PCを離れてから暫らくすると無意識の内にベ
ッドに腹這いになって本を開いている自分が居るのだ。枕
元に最低2冊は本を置いて。
本を買うペースは現在泣く泣く最低ラインまで落として
いるが、ここ最近図書館通いの熱が再燃しているしなぁ。
国会図書館まで出張る決心をするのは、時間の問題かも
知れない…。 (2003.2.23記)