休息

「酔狂だな、君は。剣以外は何もないこんな世界を見てマスターは楽しいか?」
「一度じっくり見てみたかったんだ。戦いの最中にアーチャーが宝具を使っていたけど、ゆっくりとはみれなかったし」

 夕日のように紅い炎が周囲を舞い、巨大な歯車が空中を回転し続け、剣だけが草原のように立ち並ぶ世界。
Unlimited Blade Works・・・無限の剣製…アーチャーの最強の武器たる宝具。
現実の世界をアーチャーの心の世界に塗り替えた固有結界というものらしい。

「これがアーチャーの心の世界・・・か・・・。」
広大な紅いパノラマに感動を覚えつつ、私はアーチャーの世界をじっくりと眺める。
「確かに、今日ぐらいは休んでも私はマスターを責めはしない・・・・・・とは言ったが・・・」
戦いの最中には宝具を見られても気にもかけなかったアーチャーが珍しく渋い表情を浮かべる。
何故こんなことになってしまったのかとため息をつくアーチャー。でも、この状況は自分が発端で始まったのだからと、私を止めるのももはや諦め顔である。
そう、いつものようにアリーナへ向かおうとした時に、珍しくアーチャーから休んでもかまわないと聞いた私は、SE.RA.PHに遊びに行けるような物珍しい場所がないことに思い当たり・・・考えた末に、妙案を思いついてしまったからだ。
マイルームに戻るやいなや、アーチャーに宝具を展開してもらうことをお願いしたのだ。
他にも行く場所はあるだろうに・・・と、最初はアーチャーから拒否されたが、何度も食い下がってお願いした末での結界展開である。
だけど、休んでもいいと言ったのはアーチャーの方である。
遊びに行く場所がアーチャーの心の中の世界だろうが、マスターが命令したのならば連れていくのが従者の役目だ。


 どこまで行けばその世界に終わりがあるのかを確かめるかのように、興味津々で私は紅い平原を散策してゆく。
その私の後ろをアーチャーが幼子を見守るかのようについていく。
「あの歯車とても大きいね。どうやって回っているの?」
重厚な歯車が噛み合う相手を持たないままゆっくりと回り続けているのが不思議だった。
「さてね、気がついたら回っていたしな。それは地球が何故回るのか?と聞いているようなものだぞ、マスター。」
「たくさんの剣が立っているわ。何本ぐらいあるのかしら?」
「私にも検討がつけられない。英霊の座に還ってくる記録は山のようにあるからね。登録される宝具は私が見ているものだけではないし・・・」
辺り一面に刺さっている剣の一つ一つが、アラジンの物語に出てくる宝物のような輝きを放っている。私はこの光景がとても美しい世界に見えた。
「・・・英霊の座って何?登録って?。意味がわからないよ、アーチャー。」
「すまない、言い方が悪かった、マスター。ここにある剣の山は全て私が作った贋作・・・とだけ覚えておけばいいさ。」
アーチャーの心の世界を散策しながら、私はアーチャーと楽しいおしゃべりを続ける。
「この剣とても綺麗ね。まるでおとぎ話に出てくるような・・・」
宝物のように美しい剣達に、私はまるでデパートで買い物を楽しむかのように目移りさせながら眺めていく。
「この剣?矢のようにも見えるけどどういう代物なの?」
「それはカラドボルグといって、ケルト神話に登場するんだが…投擲によって障害物を追い落とせるように私が改造してある。」
「あれは?」「その剣は…レニウムという金属が使われていて、タングステンの強靱さを上回わっている優れものだ」
一つとして同じものはない、美術館に飾られてもおかしくないほどの美しさを放つ剣の数々。
その数ある剣の中でひときわ輝く剣を私は指さした。
「その剣は・・・エクスカリバー。使い手の魔力を“光”に変換し究極の斬撃として放つ星の鍛えた聖剣だ。」
「アーチャーってなんだか嬉しそうに武器の解説をするのね。生き生きとして…目が輝いてる」
「私は…剣を創り出すしか能のない男さ。だが、剣をイメージすることは・・・・・・嫌いじゃない。私も、美しい・・・と思う。」
その言葉は、立ち止まったアーチャーの目が…遠くを見つめながら独白して、放たれているように感じた。

 私も脚をとめ、手近にある剣を両の手で力を込めて引き抜き、アーチャーに向かって構える。予想以上の剣の重さに、脚が少しふらつく。
「戦っている最中に他のマスターがアーチャーを攻撃していたことがあったけど、私にそういうことが出来なくて、・・・ごめんね。私もこの剣を相手のサーヴァントにぶつけたりできたら・・・」
「・・・・・・ 私の戦いぶりがマスターにとって不安というのなら心外だがね。今までもマスターの期待には十分に応えてきたつもりだが・・・。それに贋作とはいえ、その一 振りの剣の一つ一つが宝具と呼ばれる我々サーヴァントの最高の武器なんだ。マスターに扱える代物じゃないさ。もし次に戦闘となっても、賢明なマスターなら 冗談でもそういう真似はしないと信じているよ。」



                          続き

アーチャーと(女)主人公が久しぶりの休息をとっているところです。

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