それからどのくらいの時間が経ったのだろうか?
気がつくと闇は晴れ、俺とマスターの意識はSE.RA.PHにあるマスターのマイルームの前に戻っていた。

「二人とも、無事に戻ってこれたようね。心配したんだから…」
凛の安心した声が響く。
「凛、助けてくれてありがとう。………っ!きゃっ!何これ!」
自分の胸が俺の赤原礼装一枚しか覆われていないことに気づいたマスターが両手でその胸を隠す。
そのマスターの無事な声に俺も安堵した。
「あなたにはプロテクトの術式でコートしてあげるつもりだから、大丈夫よ。でも、ムーンセルを敵にまわすなんて…あなた達、一体何をしでかした訳?」
薄々、わかった上でにやにやとこちらを見る凛の視線を避けながら、俺はマスターに謝った。
「マスター、…すまない」
「アーチャー!それは言わないでって約束したでしょ? 私もムーンセルに立ち向かってみせる。だから…」
「ああ、わかっている。君は……必ず俺が守り抜いてみせる!」

我々のようなイレギュラーな事態が発生したとはいえ、それは聖杯戦争全体から見れば中断するに至らない程度の要因なのだろう。
現に、聖杯戦争は未だ続行されたままだ。
マスターも聖杯戦争を勝ち残った魔術師として、このまま最後まで残りの対戦者と戦うことになるのだろう。
その上で、負担は増えるが…さらに加わるムーンセルの攻撃からマスターを守り抜けるように……。

己の不手際によって危機にさらされたマスターが、再び無事に戻り…共に戦ってくれることを決意した…その姿を目の前にし、俺は…『彼女と共に在り続けられるように』…その自分の心をありのままにとおせるよう、あらためて自分自身に誓った。



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