そのふっくらとして柔らかい唇を無造作に奪った。長い舌で歯をこじ開け、口の中に溜めた唾液を流し込む。福岡の口内が掻き回される度に目尻が細くなり、甘い声が唇の隙間から漏れてしまう。誰も聞いていないのだから別に気にしなくてもいいが、なんとなくいけないことをしている気分だった。それは福岡も大分も同じだった。しかし一度煽り煽られて、火がついたら止まらない。もう進むしかない。
大分はスーツの裾から指を潜り込ませ、福岡の秘所を舌で撫ぜた。福岡は舐められていることも、一日動きまわった汗のにおいも嗅がれていると思えば、の頭が熱で焼かれそうになる。腿を伝い、足首に引っかかっている下着を汚しているのは大分の唾液などではなく、紛れもなく福岡の愛液だった。今度は舌だけでなく指も加わり秘裂が広げられ、奥の奥まで舐められた。火照った頬は愛らしい。福岡は息を短く吐きながら、なんとか気を落ち着かせようとゆっくり深呼吸を繰り返していた。

「福岡、えらしーなー」
「あは、はは、大分のが、可愛いばい」

福岡はくくっとのどの奥で笑う。猫っぽいところもだるそうなところも甘えてくるところも全部可愛い。可愛いとしかいいようがない。だってそうばい。ふだんの大分なら「よだきー」と流すが、今の大分はいたく立腹していた。

「大分、あたしに任せんしゃい」
「あ、わが、よだきい………」

手探りで見つけ出した硬いものを、ズボンの上から軽く握った。やわやわと揉んで引き返せなくしてやる。大分は困り果てた末、福岡に任せることにした。ある程度で止めるつもりだったが、冷た手に当たる熱。ついつい我慢できなくなって、福岡はジッパーを下げて直接触った。大分が何か言い出す前に、素早くしごき立てた。

「ま、待っちくれ福岡」

一定のリズムで上下する福岡の手に合わせて、大分の呻きが漏れる。まるで大分を意のままに操っているようで、福岡は攻められるのとは別の興奮を覚えた。ぬらぬらとした液体が手に付着する。愛しくて可愛い男の声がもう少し近くで聞きたい。福岡は空いてた手を首に回して引き寄せ、豊満な胸を押しつける。

「っ、そう、きやーすは出さん」
「出してもええばい」

舐めるような口づけを繰り返しながらも、手の動きは止めない。変化をつけて、亀頭や雁首も刺激していく。

「大分の全部、ぜーんぶ、好いとーよ」
「あ、あぁ……ふ……くっ!」

どくりと手の中の肉塊が脈動した。白濁液はシーツに飛び散る。終わっても福岡は手を緩やかに動かし、最後の一滴まで出させる。それでもなお、大分の肉棒は硬いままだ。大分は黙ったまま自分の近くに来るように招いた。くすくす笑いながら近寄った福岡を、大分はぎゅっと抱きしめる。ここまでは男らしいかもしれない。しかしそのあとは猫のようにごろごろと甘えた。福岡は楽しそうにくしゃくしゃの頭を撫でる。そうして福岡が油断している間に、裾が捲り上げられた。亀頭がほんの少し触れられた。それだけで体がぶるっと震える。
 
「大分、ちょっと休憩しとー………」
「駄目じゃ」

制止の声を大分は無視した。ずぷりと大分の太い陰茎が一気に根元まで差し込まれた。嬌声と涙が零れ落ちた。大分は容赦せず腰を突き入れてくる。愛液の絡み合う卑猥な音がいやでも耳に入ってしまう。

「わがも好きじゃろ」
「ふっ、あっ、やけど、そやけど、………あ、んんっ」

自分で身体を揺すって、感じる部分が突かれるよう動き出す。腰だけでなく、胸もまさぐられる。動きはそこまで変わらないのに、自分でした時の数倍の快感に襲われた。猛然と子宮口が突かれる。福岡も大分を締めつける。いつもどこか素っ気ない大分が、本能を剥き出しにして福岡を貪っている。動きが少しずつ加速し始めると共に、漏れる言葉も濁り音を為さない物になっていく。意識が飛びそうになる。福岡は本能的に恐ろしいと思ったのか、もっと肌を重ねたがる。大分の背に腕を回してくる。大分は愛しさを抱く。
みんなの頼れる福岡。明るい福岡。そのイメージを壊したくないのだろうか。しかし今だけは今は違う。違うだろう。なら壊すべきだ。すべてを手放せばきっと、もっと。

「わがのことすいちょるけぇ、忘れんなよ」

刺すような視線にぞくっと背筋に何かが走り、瞳が潤む。あたしも、と福岡は答えたかった。しかしもう言葉で返さない。酸素を求めて口をぱくぱく開くことしかできない。くらくらと甘いめまいがする。福岡は精一杯、強くうなずいた。

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