今は昔、竹取の翁といふものありけり。まあ要は、竹を取ってきて色んなものを作って売ったりする爺さんがいた。竹のスペシャリストといっても過言ではない。さてそんな爺さんが見つけたのは光る竹。あきらかに怪しい。近づかなければいいのに、本当近づかなければいいのに、爺さん近づいて竹をそっと割ってみる。すると手のひらサイズの幼女が出てきた。爺さん始まった。老夫婦は子どもに恵まれなかったもんだから、何かの縁だと思って自分たちのこどもとして育てることになった。その幼女は本当腰抜かすほど美人になった。しかも本当癒し系。ちょっと我儘なのがたまにキズ。でもちゃんとツボ心得てる。名前はかぐやと名付けた。ちなみに光る竹からは黄金が出てきてまその老夫婦は小金持ちになった。 「このお爺さんが這い上がって出世していく物語だったらいいんですけどね。中小企業に活力を与える意味で結構効果的かもしれませんし」 「その要素もちょっとだけあるよなー」 そんであっちゅーまに成人式。あんまりかぐやが可愛いから自慢したくてご近所さんを呼ぶ。ちらっとだけ見せたらもっと見せろってせがまれる。そしたら5人の貴族が求婚してきた。爺さんも年だし、かぐやにはもう身を固めてほしいと思っている。しかしかぐやは自分は可愛くないし興味ないとか言う。困り果てた爺さんに、かぐやは1つ提案をした。 「みなさん、かぐや姫は超ツンデレですよ。もうその時代からツンデレという概念が存在していたとは天晴れ。作者は不明ですが」 「いや、そこは初のSF小説とか言うところだろい」 「最後がちょっと悲しいですよね」 「でもかぐや姫って面倒な奴じゃん、死んだ奴もいるし」 「ならかぐや姫は悪女ってか」 「でも帝にはデレデレですよねー」 「かぐや姫はぜひ京都さんに!」 「なるほど」 「まあいいけど、王道すぎじゃね?」 「うわぁ、性格きつそー」 必死でかぐやが注文した品物を届ける5人の男たち。無理難題すぎる。なに龍の玉って。なに火鼠の皮って。なにその厨二病的発想。その注文とやら金をかけて破産寸前になったり命をかけて落としてしまったりと、まあ本当に大変な思いをしてそれらしきものをつくった。結局駄目だった。それで最後に出てきたのは帝。評判を聞いて見てみたいと思って、メイドさんに見てもらいに行ってもらった。駄目だった。次は爺さん呼んで太っ腹すぎる提案をする。そうしたらかぐや、そんなに爺さんが出生したいというのならば宮廷いったらすぐ死ぬとかいう。やっぱり駄目だった。 「このころは結構身近な存在だったんですね、ただのお爺さんと普通にお会いしていますし」 「そうですね。では帝役は神奈川さんでよろしくおねがいします」 「おい」 「人柱か、頑張れよ」 「その天然タラシがあれば大丈夫ですよ神奈川さん」 「天然タラシってなんだよ。つーかそもそもなんで命かけなきゃいけねーんだよ」 「神奈川、物語の愛すべき馬鹿な男どもも命かけたんだ」 困り果てた末、帝がさりげなく爺さんの家の近くまで御幸ってこうという作戦を立てた。これならいけると2人はふんだ。狩りにお出かけになる帝、そしてこっそり爺さんがかぐやの部屋へと案内をした。そのまま油断しているかぐやに突撃、やっと帝はかぐやに会えた。やったね妙ちゃん!輝かんばかりのかぐやは本当に綺麗でした。興奮して腕つかんだらかぐやはふっと消えて奥に引きこもってしまった。帝はもう無理なことは言いません、連れて帰りませんと呼びかける。するとかぐやはまた出てきてくれた。可愛かった。でも約束だから挨拶をして帝は帰ることになった。このまま帰るのは本当に名残惜しいという歌を姫に送りお籠に乗った帝。そして姫からのお返事がきた。帝と自分はとてもとても釣り合いませんわ、とのこと。デレてくれました。かぐやは宮へは来てくれなかったが、文通をして親交を深める帝であった。 「帝役は東京がやれよ」 「嫌ですよ殺されますよ」 「東京が無理ならいっそ京都にやってもらえば?」 「………!?」 「どうした東京」 「どうしました?」 何故だか最近月を見るたびに、かぐやはため息をついてしくしくと泣く。どうしたのかぐやと尋ねても答えは返ってこない。そんなに悲しんでいるのに何もないわけがないと無理に聞き出す。なんと、かぐやは宇宙人だったのである。しかも近いうちに帰らなくちゃいけないとか。 「男装っ……京都さんの男装……っ、ふっ、っ……うぐぅっ………」 「東京は大丈夫か」 「ツボに入ったか。ほっとこう」 爺さんは帝にそのことをお伝えすると急いで武士団を派遣して守りを強固にする。使者御一行がやってくるが、月のミラクルパワーには敵うはずはない。敵意をむき出しにしていたものたちはへなへなと力が抜け崩れ落ちた。かぐやを必死にかくまう爺さんと婆さん、右に同じ。 「だがちょっと待ってほしい、男女平等云々と叫ぶ声が出てくるのではないだろうか」 「ということは女装か?俺は嫌だべ」 「僕も嫌です」 「俺だって嫌だよ」 「私も嫌です」 「聞いてたのかよ」 最後にお手紙を書かせてくださいと、かぐやは涙を流しながら、今まで世話になった爺さんと婆さん、そして帝に手紙を書く。そうして不死の薬を贈って羽衣を着てしまった。もうこうなれば哀れとかつらいとか、そういう感情は何もかもなくなる。全て忘れてしまった。そのままかぐやは月に帰っていった。 「わかったこうしましょう、全員女性ということにしましょう」 「うわあ無難」 「宝塚?」 「そんじゃあ兵庫戦隊に頼むか。めんどくせぇから全部委託すればいーじゃん」 「委託はよくないと思います。私が言うのもあれですけど」 老夫婦は不死の薬には一切手をつけず、かぐやをなくした悲しみにくれて寝込んでしまった。そして不老不死の薬とかぐやの手紙を持って帰っ武士たち。帝は今かぐやの気持ちを知って、思いを込めて歌を書く。月と竹にちなんだ名前の者に、天に一番近い場所である駿河の山に登りその手紙と薬を燃やしてほしいと頼んだ。もしかしたら思いが届くかもしれないという帝の願いだった。 「なー飲みにいかねぇ?」 「神奈川さん、まだ終わってませんよ」 「やーもういい時間だっぺ」 「おや本当だ」 さてさてその4人の若い男たちによる話し合いはその後もぐだぐだと続いたが結局まとまらずに終わる。 「じゃあ白紙ってことでいいですかー」 「最近は戦国ものがいいんじゃないの」 「まあ飲みながら考えましょうか」 「よし行こうぜー」 |