断切




――切れよった。
実にそれはあっさりと行われた。




真田隊長がいなくなる、それを聞けば確実に彼らの張り詰めた糸は切れる。
それは嶋本には予想済みのことだったし、それを乗り越えなければ、あの男は弱すぎる。

石井にとって乗り越えなければならないこと、それは一つだけではなかった。

一つは真田の存在を乗り越えること。
一つは仲間への信頼を持つこと。

高い技術を持っても、彼はあまりにも一人でありすぎた。
その反面、他人に――真田を代表とした人間に認められたいという欲求が強すぎた。

その未熟さを教え、強さを持たせてやるのが自分の責務であったのに。
――自分は何も教えてやれなかったのか。


ただでさえ辛い100キロ行軍中に、憧れ続けている真田隊長がインドネシアに行くという事実を知らされた。
前半走ったために体力的に限界が訪れた時のそれに、精神的に石井は追いつめられ。


――あの男、簡単に切りよった。


何もかも見下したような冷たい目。

それに腹が立つほどの後悔を感じても、折れるほどの弱さは、自分も持てなかったけれど。




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感想代わりの微妙な嶋めぐ。
微妙なのは二人の間の距離感と、SSの出来(苦笑




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