我が心そは汝のもの 〜映画『LADY HAWK』より




昔々、とても仲のよい恋人同士がいました。騎士とご令嬢です。
騎士の名はコード。桜色の髪が印象的な青年です。ご令嬢の名はシグナル、髪と瞳が紫色の美少女です。彼女はカトリックの司祭たちさえ惑わすほどの愛らしさでした。
ふたりはそれはそれは仲がよかったのですが、悪い司祭クオータがシグナルに横恋慕をしてしまったのです。クオータはコードとシグナルが結ばれないようにといろいろ画策をしました。そんなふたりを哀れに思った司祭のひとり、オラクルが誰にも内緒で二人の結婚式を挙げてくれました。
けれど式を執り行ってくれたオラクルはクオータに脅かされて、すべてを口外してしまったのです。怒ったクオータは二人に呪いをかけてしまいました。
――ひとりは昼の間、小さな子どもの姿に。
――ひとりは夜の間、空を舞う鳥の姿に。
太陽が昇りきらぬ暁と、沈みきらぬ黄昏だけがふたりを繋ぐ時間になってしまったのです。昼と夜がある限り、ふたりは永遠に結ばれない運命になってしまいました。
それでもふたりは諦めず、何とか呪いを解こうと旅に出たのでした。



法務庁――ここは大司祭クオータが執務を取っている建物です。そこからひとりの少年が出てきました。年の頃はまだ10歳くらい、いって11歳でしょうか。持っていた小さな鉄の鑢で窓にはめてある鉄格子を切るとそこからするりと抜け出していきました。
「いつまでもこんなかび臭いところにはいたくないよ」
そういうと少年は走って細い路地の中へ消えていきました。
彼の名前は信彦。はやくに両親を無くし、兄弟も親戚もなく、生きるためにコソ泥になったのです。けれどいつも小さな盗みでしたし、すぐに出られるんですがどうしてもここはいやで、いつも抜け出していたのです。
「さて、これからどうしようかなぁ〜」
う〜んと背伸びをし、これからのことを考えていた信彦の耳に青年の声が聞こえました。
「待て、シグナル!」
「大丈夫よ、今の私ならここには入れるもん!!」
「クオータに見つかったらどうする気だっ?!」
「な、なんだ?」
信彦は物陰に隠れて二人の様子を見守っていました。親子でしょうか、20歳くらいの青年が小さな女の子を抱きとめていました。
「でもコード、私たちの呪いを解けるのはクオータしかいないの」
「それはわかっている。だがな、シグナル。お前が捕らえられでもしたらどうする? あいつのことだ、何をするか解らんのだぞ」
女の子は顔を伏せました。コードの言うことはよくわかります。夜の間は普通の――16歳の少女の姿に戻るシグナルをクオータが凌辱しかねないのです。
「今はとにかく逃げることだ。あいつはお前を手に入れるためなら手段は選ばん」
「うん…」
信彦は聞き耳を立てながら思い出していました。オトイ家の令嬢シグナルが婚約者のコードと共に行方不明になったということを。そしてその事件のことは誰もが知っているのですが、黒幕の存在を恐れて口にしないことも。信彦はこんなところで二人に出くわしてしまったことに驚きました。
「…誰だっ!!」
「うわっ!!」
信彦の咽喉もとに冷たく冴える剣が突きつけられます。信彦が両手を上げて降参を示すと剣はさっとひきました。
「何者だ」
それでもコードは警戒を解きません。片腕にシグナルを抱いたまま信彦を睨み下げてしました。
「お、俺は信彦。泥棒やって捕まっちゃってさ、今さっき逃げ出してきたんだ」
「泥棒か…」
コードの冷たい声に信彦はめげずに話しかけました。腕の中のシグナルははらはらと成り行きを見守っています。
「あのさ…」
「なんだ?」
「さっきの話だけど…」
コードはまた剣を抜こうと柄に手をかけました。信彦は慌てて手を振ります。
「別にどうこうしようってわけじゃないよ、俺だってクオータは嫌いだし」
「それで?」
「俺も手伝ってあげるよ」
信彦の言葉にコードをシグナルは顔を見合わせました。信彦は続けて言いました。
「だってふたりは貴族様だろう? 市井の事なんて全然わかんないんじゃないの? そんな格好でいたら見つかっちゃうよ?」
「む…」
コードは二の句がありません。今着ている物も上等の絹で庶民に高嶺の花です。そんなものを着て歩いていれば自分は貴族だと口外しているようなものでした。コードが少し考えていると腕の中から小さなシグナルが口を開きました。
「ねぇ、コード」
「何だ、シグナル」
「…確かに信彦の言うとおりだけど…連れて行けないよ…」
「…そうだな」
シグナルの言葉にコードも賛同し、信彦はびっくりして声をあげました。
「どうしてさ?」
シグナルは大きな瞳を伏せがちに話します。
「…私たちはね、追われているの。私を捕らえようと…あるいは、コードを殺そうと」
その証拠に二人の屋敷の周囲にクオータの私兵が見張りに立っているのです。信彦を連れて行けば絶対に巻き添えを食うことになります。何の関係もない信彦にそんなことはさせられません。信彦はこんな小さな女の子まで狙われていると知って驚きました。けれど信彦は諦めませんでした。
「大丈夫だよ、俺だって伊達に泥棒やってないしさ。関係ないみたいに振舞うから」
信彦がそういうとコードもシグナルも溜め息をつきました。どうにも諦めそうにないとわかったからです。コードは持っていた皮の袋に手を入れると銀貨を数枚取り出して信彦に渡しました。
「これで旅支度を整えたい。何とかなるか」
「うん、大丈夫。あ、馬もいるならもう一枚あったほうがいいかな」
「いや、馬は街外れに預けてあるから」
「じゃあ、外套と当座の食料があればいいね。行ってくるよ」
そう言って走りかけた信彦をコードは慌てて止めました。
「待て、信彦」
「なに?」
「外套はな、俺様とお前のぶんだけでいい」
言われて信彦は首を傾げました。
「…その子のは?」
「ああ、こいつのはいいんだ」
信彦はコードがずっと抱いていくものだとばかり思っていました。けれどそうではなかったことを早晩知ることになるのです。走っていく信彦の後ろ姿をふたりはゆっくり見守っていました。
「ねぇ、コード」
「ん?」
「私たち、きっと元に戻れるよ。信彦見てたら、そんな気がするの…」
コードはシグナルを撫でました。彼女はにっこり笑っていました。



それから日没近くなって三人は出発地である法務庁から北へ進んだ町のはずれに宿をとることになりました。
あいにく宿はいっぱいでしたが馬小屋でもいいならと、そこに泊めてもらうことにしました。
「大丈夫? 馬小屋なんて」
「私は平気よ。小さいころはよく遊んだもん」
「俺様も…平気だ」
コードが少し言いよどんでしました。やはり馬小屋はまずかったでしょうか。それにシグナルがいった『小さいころ』というのも変に引っかかりました。今が『小さいころ』ではないのでしょうか。するとコードがさっと当たりを見回しました。
「そろそろだな。後は頼むぞ」
「うん」
黄昏が空を紫に染めていくころ。信彦は目を疑いました。小さなシグナルが夜の闇に咲く花のようにゆっくりと成長していったのです。踝まであるだろう紫の髪がきらきらと揺れていました。
「シグナル…」
「コード…」
ふたりは信彦の前だということを忘れて抱きしめあい、口づけを交わしました。やがて完全に日が落ちてしまうと今度はコードの姿が変わっていきました。それは黒い尾羽と桜色の翼をもつ猛禽でした。信彦は驚いて目を見開きました。
「一体…なんで…」
「…私たちはね、呪われてるの」
大きくなったシグナルはこれまで我が身に降りかかったことを話して聞かせました。ふたりが恋人同士であること、邪魔が入ったのでひっそり結婚したこと、そしてそれがばれて呪いをかけられていること、その呪いのせいで姿が変わってしまうこと――。
シグナルが話している間中、信彦は言葉も出ませんでした。そんなことは御伽話だと思っていたのに、実際にあるだなんて。
「…びっくりした?」
「…うん」
「私たちだって驚いたよ、ねぇ、コード」
「全くだ」
黙って聞いていたコードもゆるりと目を開きました。
「あ、コード喋れるんだ」
「まあな」
「じゃあさ、もしかしてそのクオータがシグナルと結婚したいからってこんなことしたの? 司祭なのに?」
カトリックの司祭は一生独身ですがそれは建前で、内緒で結婚している人は大勢います。大司祭になると愛人まで囲っていて、生まれた子どもは母親の私生児ですが暗黙の了解で実子として認められます。現にふたりの結婚式を取り仕切ってくれたオラクルもコードの妹エモーションと結婚していますが、今回の事件のことで類が及んではと早々にエモーションを実家に戻していました。
「私たちは待っているの、昼でも夜でもない時間を」
シグナルはコードを膝に抱き、ぎゅっと拳を握りました。
「それって…明け方とか夕方?」
「まあそうだ。だがその時間は短すぎる。もっと長い時間が必要なのだ」
「何のために?」
信彦が問うと、シグナルの瞳は一層真剣になりました。
「昼でも夜でもない時間に私たちの普通の姿をクオータに見せなきゃならないの」
「呪いを解くにはそれしかないんだ…」
「それって…いつなの?」
昼でも夜でもない時間というのが信彦には見当もつきません。どんなに曇っていても昼は昼だし、どんなに月が明るくても夜は夜なのです。軽い音を立ててコードが羽根を広げました。
「文献によるとな、数年に一度月が太陽を覆う『日食』というのがあるそうだ」
「日食?」
「詳しいことはわからんが、とにかくそういう日があるらしい。そしてそれは今からちょうど一月後だそうだ」
「一月後…」
一ヶ月の間、ふたりは逃げ回らねばならず、またその日失敗すれば次の日食はいつだかわからないのです。好機は一瞬、ふたりはそれを待っているのです。
話をそこで打ち切って、三人は眠ることにしました。



それから2週間ほど旅を続けました。そんなある日のことです。
そろそろ町より村が多くなってきたころ、三人は集団に襲われたのです。そこはクオータの直轄領のそばでした。避けて通っていたのですがお見通しだったらしく、数人の男が三人を待ち構えていました。
「…抜かった」
コードはそうつぶやきましたがどうしようもありません。シグナルは小さくなっていたのでするするとコードの肩から背中に移動しました。こういうときにはこうしようと二人で話し合っていたことが皮肉にも役に立ったのです。信彦も騒いだりせず、冷静にコードと背中あわせになりました。
「信彦…」
「なに?」
「俺様が合図したらシグナルを連れて全力で逃げろ」
「そんな、コード…」
「お前がいると足手まといだ、大きい成りならともかく今のお前じゃ無理だ!!」
シグナルはまだごねていましたがコードはそんなことにはかまわずにシグナルを背中から下ろすと信彦に預け、そして走らせました。
「しかたねぇ、ちびは無傷で連れてこいとのことだったがお前の死体だけでもクオータ様は満足なさるだろうよ」
「死体になるのはお前たちだ。残念だな、せっかく俺様の愛刀を拝めるというのに語る口もなくなるとは」
「けっ、ほざいてろ」
「やっちまえ!!」
屈強な男達はそれぞれに剣を抜いてコードに切りかかってきました。コードはほっそりとした優面なので侮られがちですが騎士としての名声は愛刀の名と共に知れ渡っています。
「細雪…」
信彦の腕の中でシグナルはそう呟きました。ふたりはこのとき木陰ではなく木の上に登っていました。信彦が相手の武器を見たとき、飛び道具が誰もいなかったのでとっさに判断したのです。泥棒をしていたころ、こうやって追っ手から逃げた経験が役に立ちました。
「細雪?」
「コードが持っている剣の名前よ、斬るものすべてを雪のように消してしまう…だから細雪」
「へぇ…」
見る間もなく、コードは追っ手のすべてを倒していました。そのときです、コードの死角にもうひとりいたのです。敵は木に登って弓をひき、コードを射殺そうとしていたのです。射手にとって信彦とシグナルは死角にいました。が、二人にはその存在がわかりました。
「コード!」
声をかけても間に合わない! そう判断したシグナルは矢が放たれるよりも少し早く信彦の腕から飛びました。
「シグナル!!」
伸ばした手は空しく宙を舞います。
「シグナルぅ!!」
その声にコードがはっとしたとき。紫の影に一本の線が刺さり、そして消えました。信彦は慌てて木を降りました。
「コード! あそこ!!」
信彦が指さす先にコードは短剣を投げつけました。ざざざっと音がして、男が落ちてきます。短剣は深々と心の臓を貫き、男は絶命していました。
しかしそんなことよりもふたりは飛び出してきたシグナルに駆け寄りました。
「シグナル!!」
「コード…よかった、無事なのね…」
「いい、シグナル、喋るな!!」
シグナルの肩から、矢が一本生えていました。致命傷ではありませんが今の小さな体ではいつどうなってもおかしくはありません。シグナルは苦しげににっこり笑うとそのまま目を閉じました。信彦は慌てましたがまだ息があります。
「コード、医者に診せたほうが…」
「わかっている」
下手に矢を抜かず、肩口をしっかり布で縛ると、シグナルをそっと抱き上げて信彦に預けました。コードは馬をひいてきて、それに信彦を乗せると自分はその後ろに乗りました。
「シグナルをしっかり抱いていてくれ。あんまり揺らさんように」
「コード…どこに行くの?」
「…ここからなら、近くに医者がいるんだ。もう喋るな、舌を噛むぞ」
そういうとコードは手綱を取り、馬を走らせました。馬はいななきながら疾走します。信彦はシグナルをしっかりと抱き、ただ助かるように神に祈っていました。



「ここだ…」
着いた先はかつては教会として使われていたものでしょうか、古ぼけた建物でした。コードは先に馬を下り、シグナルを受け取ると信彦を降ろしてやりました。
「馬はその辺に繋いでくれ」
コードは振り返りませんでした。今はシグナルを助けたい、その一心だったのです。それがわかるから信彦も何も言わずに馬を繋ぎました。
コードは戸を開けて中に入りました。そこは閑散として人の気配はありません。
「オラクル! いないのか?!」
「オラクルって…」
その名を聞いたことがあるような気がしましたが、信彦は黙ってあたりを見回しました。薄暗いけれど決して恐い場所ではありません。
「オラクル!!」
コードの呼ぶ声だけが響いていました。やがてひとりの青年が2階からばたばたと降りてきました。随分大柄な、けれど優しい印象の青年です。
「コード、どうしたんだい?」
「シグナルが怪我をした。診てやってくれ」
「なんだって?!」
オラクルは小さくなったシグナルを痛ましそうにみていました。こんな小さな体に傷を負って…オラクルは自己嫌悪に陥りそうになりましたが、それでもなんとか正気を保っていました。ここで取り乱してはいけない、シグナルを助けなきゃいけない、すべての責任は自分にあるのだから。オラクルはコードからシグナルを受け取ると治療のために奥の部屋に運びました。
「コード…」
信彦は心配そうにコードを見上げていました。
「ごめん、俺がちゃんと抱いてれば…」
信彦は信彦なりに責任を感じているらしく、しゅんとしています。視線に気がついたコードはそれでも険しい表情は崩さずに信彦の髪を撫でました。
「お前のせいではない。あれは昔から少しおてんばでな、いくら言っても聞かんのだ」
「でも…」
「大丈夫だ、あれはそう簡単には死なんし、オラクルも名医だからな」
そう言ってコードは信彦の背中を押しました。
「信彦、食事の支度でもするか」
「…そうだね。食べられるうちに食べなきゃ」
心配なことに変わりはないけれどくよくよ考えても仕方がない。ケセラセラ、なるようになると割り切ってふたりは勝手に台所に入り込みました。
やがて夜になり、コードは鳥に、シグナルは少女の姿になっていました。信彦はもう眠っています。
シグナルの傷は幸い浅いものでした。止血をしたあと傷を塞ぐために軽く膏薬を塗りました。するとみるみるうちに傷は塞がったのです。それはオラクルが作った不思議な膏薬の力でした。3日もすれば痛みも取れるということです。
目を覚ましたシグナルは軽く食事をし、ベッドの上で横になっていました。膏薬が効いたといっても今夜一晩は絶対安静です。
「コード、信彦は?」
「もう休ませた」
シグナルはちょっと安心したのか少しだけ笑ってみせましたが、すぐに顔を曇らせました。
「そう…ごめんね、迷惑かけて」
「全くだ、もう少し後先を考えろ」
コードはシグナルの髪に優しく触れたかったのです。けれど今その手はありません。そのかわりシグナルをじっと見つめていました。琥珀色の瞳に映る揺らめきにシグナルははじめて感じた恋心を思い出していました。結ばれたいと願っただけなのに、どうしてこんなことになるんだろう。それを考えるとちょっとだけ哀しい気がします。けれどこうして旅をすることで二人の絆がより深まっていくことを思えばつらいことも乗り越えられると思いました。だからあのとき、後先を考えずに飛び出してしまったのだとも。
「夫を守るのは妻の役目だもん」
その言葉を聞いて、オラクルは俯きました。
ふたりをこんなふうにしてしまったのは自分のせいなのです。自分がコードとシグナルの結婚式を執り行ったと、ばらしてしまったばかりに二人に棘の道を歩ませることになったのです。
「ふたりにはどう詫びていいかわからないよ…」
「オラクル…」
「私の…私のせいだからね」
そう言ってオラクルは頭を抱えました。けれど彼がばらしてしまったのは悪意でもなく故意でもなく、また立身出世のためでもありません。彼は秘密を暴露しなければ妻であるエモーションに危害を加えると脅かされたのです。妻を取るか、友人を取るか――悩んだオラクルは妻を選びました。
「そんな、オラクルが悪いわけじゃないわ。悪いのはクオータなんだもん」
「シグナル…」
「こいつの言うとおりだ、オラクル。お前にはエモーションを守ってもらうと結婚させるときに約束させたはずだ」
「コード…」
「俺様たちは必ず元に戻ってみせる。クオータなんぞの勝手にはさせんさ」
コードの力強い言葉に、オラクルは少し勇気付けられました。


翌朝になって三人はオラクルに別れを告げました。
「じゃあな、片が付いたらエレクトラを迎えに来いよ」
「ああ、そうするよ」
「じゃあね、オラクル」
「気をつけて。三人に神のご加護があらんことを」
こうして三人はまた旅人となりました。
「ねぇコード、これからどこに行く?」
「法務庁へ戻る」
「えっ、大丈夫なの?」
信彦が驚いて声を上げました。コードの腕の中にいるシグナルはさして驚いてもいません。
「もうすぐひと月だぞ、そろそろ法務庁へ忍び込む算段もせんとな」
「でも…」
それでもなお心配そうな信彦にシグナルはにっこり笑いかけました。
「心配ないよ、灯台下暗しって言うでしょ。それにオラトリオがいろいろ整えてくれてるはずだもん」
「オラトリオって?」
「こいつの兄貴だ」
シグナルは男二人女二人の末っ子です。姉はすでに他家へ嫁いでいました。二人の兄はそれぞれ継ぐべき家を持っています。現在オトイ家は長男のオラトリオが相続していました。そのオラトリオがコードの妹達を自分の屋敷に密かに引きとり、またシグナルとコードを脱出させてくれました。
それから馬を使って一週間ほどで三人は法務庁のある都市部に戻りました。そして密かに地下に潜ります。
「こんなところでどうするのさ」
「オラトリオに会うんだよ」
ここは古くに掘られた地下水道で、倉庫のような場所でもあります。カツリカツリと靴音が反響し、水音さえ幽玄の音で聴覚を刺激しました。
しばらく歩いていると、コードがある場所で立ち止まりました。コンコンと壁を叩きます。
コンコン、コンコン…トントン…コンコン
「ここか」
明らかに音が違うことがわかります。コードは抱いていたシグナルを無言で信彦に預けるとひとつのレンガに手を当て、ぐっと奥に押しやりました。どういう仕掛けなのかそこには小さな鍵が隠してありました。
「これは?」
「これで開けろってことだね」
「オラトリオめ、手抜きしおって」
それから三人は鍵が合う部屋を見つけるべく再び歩き始めました。しばらくして部屋を見つけた三人は鍵を使って中に入りました。蝋燭の明かりだけがぼうっとあたりと照らしています。その明かりを守るようにひとりの青年が座っていました。
「あれー? オラクル?」
信彦の呟きにコードたちは苦笑しました。これにはシグナルが答えます。
「そっくりだけど全然別人だよ。私の兄のオラトリオ。オラクルと私たちは従兄弟同士なの」
「へぇ、そうなんだ」
コードがすっと歩み寄りました。オラトリオはぺこりと頭を下げました。
「ご無沙汰してます、師匠」
「エレクトラたちは息災か?」
「ええ、ご無事です」
「ならいい」
そういうとコードはそっと信彦に目配せします。信彦はシグナルをオラトリオに抱かせました。
「よう、元気だったか、シグナル」
「オラトリオ…ごめんね、迷惑かけて」
シグナルはほろっと涙を零しかけました。コードの前では彼の妻として気丈に振舞ってはいますが、やはり兄弟を目前にしてはその緊張も緩むのでしょう。彼女はぎゅっとオラトリオにしがみつきました。そんな小さくなった妹をオラトリオは優しくあやしています。
「迷惑なわけないだろ。可愛い妹がこんなつらい目に遭ってるっていうのに」
「…みんな無事なの?」
「ああ、姉貴もパルスもな」
その会話を聞きながら信彦は思いました。シグナルという女性は何よりもまず周囲を思いやる人なのだと。コードをかばって怪我をしたときもそうですが今も自分が元に戻りたいと訴えず、みんなの無事を確認したのです。戻りたいという意志は強いはずなのに、なにが彼女をここまでさせるのか、信彦にはわかりませんでした。わかることはたった一つ、彼女がとてつもなく大きくて温かい優しさに満ちていることでした。夜になれば傍らで眠ってくれるその温かさに信彦は遠い母の記憶を感じていました。だからこそ――そんな彼女だからこそ助けてあげたいとも思いました。
オラトリオは二人が信彦と出会った経緯と、旅の様子を聞きました。
「そっすか、とうとう師匠を消しにきましたか」
「クオータにとって最大の障害は俺様だからな」
オラトリオの膝の上で、シグナルはむっとして言いました。
「コードが死んだら私ずっと未亡人で通すもん!」
「勝手に殺すな。死ぬときは一緒だと約束しただろう」
「はいはい、惚気ないで。これから先のことを話しますから」
そういうとオラトリオは一枚の紙を広げました。信彦には文字が読めませんがどこかの見取り図だということはわかりました。
「これ、もしかして?」
オラトリオは信彦にビンゴと片目を瞑りました。
「そ。法務庁内にある礼拝堂さ。クオータは明日の昼にここで式典を行うそうです。ですからそのときがいいでしょう」
「で、どこから侵入する? 正門から堂々と行くのか?」
コードが堂々とふんぞり返って訊ねました。するとオラトリオは暁色の瞳を信彦に向けました。
「そこで信彦に手伝ってもらいたいのさ」
「え? 俺?」
信彦は驚いて自分を指差しました。シグナルが慌ててとりなします。
「どうして、オラトリオ? 中は危ないんだよ。信彦を連れて行けないよぉ」
「侵入経路は信彦のほうが詳しいだろ? 図面をみてすぐに礼拝堂だってわかったんだからな」
オラトリオがそういうと信彦は力強く頷きました。シグナルは危険だからと止めましたが信彦は頑として聞き入れません。
「大丈夫だよ、俺、ふたりを助けたいんだ。今更引き下がらないよ」
「信彦…」
シグナルはもう何もいえませんでした。小さくなっている間は信彦に抱きかかえてもらっていましたし、大きくなっているときはまるで弟ができたかのように感じていたからです。いっしょに旅をしてきて、これまで危険なことはたくさんありました。でも一緒に乗り越えてきたもの事実です。
「信彦」
コードの声に信彦は向き直ります。
「もし俺様たちが危なくなったら振り向かずに逃げろ。いいな」
「…うん!」
「…決まりだな」
決行は明日、そういうとオラトリオは立ち上がりました。シグナルは慌てて呼び止めます。
「オラトリオはどうするの?」
「俺は他にやることがあるのさ。じゃ、今夜はちゃんと寝とけよ」
オラトリオは去っていきました。地下の部屋には三人が取り残されましたが、恐くはありませんでした。
「コード…」
「ん?」
「頑張ろうね」
「…ああ」
抱きついてきたシグナルを優しく受け止め、コードはその柔らかな頬にそっとキスをしました。
すべての運命は明日決まります。



そして決戦の朝がやってきました。
コードとシグナルは信彦の案内で地下通路を通っていきます。オラトリオの指示で地下から侵入しようというのです。
「大丈夫? ここちょっと狭いんだ」
「私は大丈夫〜」
「オラトリオめ、また手抜きしおって…」
この通路しかないので仕方がないのですがここがこんなに狭いのはオラトリオのせいではないことは言わずもがな。コードは匍匐全身で進むよりほかありません。不思議なことにシグナルの髪がぼんやりと光って明かりのかわりになりました。
「いつ見ても不思議だね。シグナル」
「便利でしょ」
小さなシグナルはちょこちょこと歩いていきました。
そのころ礼拝堂では何も知らないクオータがのうのうと礼拝を行っていました。彼はコードの死体か、シグナルそのものを待っているのですが手下からは良い返事が返ってこなくていらいらしています。いっそ自分が出られればいいのでしょうが大司祭である彼は多忙すぎて無理でした。
さらに同時刻、オラトリオはある人物に会っていました。
それから地下を進んでいた三人はようやく広い場所に出ました。コードは背伸びをし、ふっと息を吐いてさらに歩きつづけます。
「このへんなんだ、ここから登っていくと礼拝堂の裏の墓地に出るんだ」
「そんなところに繋がっていたのか」
「墓荒し専門の泥棒もいるんだ」
その人に教えてもらった侵入口ですが信彦は専ら脱出用に使っていました。泥棒の知識でも思いがけず役に立つものです。でもよいこの皆さんは泥棒なんかしないで下さいね。はてさてなんとか登っていき、信彦はゆっくりと柩の蓋を開けました。
「よっこいしょ」
信彦は一応外を確認してからふたりを登らせました。墓地といってもここは庶民のものではなく身分のある貴族や司祭の物のようです。
「ほえ〜」
「随分寂れているな」
「ここは古いからもう使われてないって聞いたよ」
急ごうと信彦は言いました。それから柩が収めてある建物からそっと出て礼拝堂の前にたどり着きました。太陽は高く昇り、シグナルの姿を小さくしています。けれどそれももう今日で終わりにしなければなりません。

――希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい――

「行くぞ」
「うん!」
コードは礼拝堂の扉に手をかけ、一気に開きました。姿なき月はもう間もなく太陽を覆います。
バンっ!!
大きな音がして、礼拝堂にいたすべての人が振り返りました。
「何者だ、礼拝を邪魔しおって!」
近くにいた司祭のひとりが彼らをつまみ出そうとしましたが、コードの眼力に恐れ戦いて引き下がりました。
「コード…シグナル…」
クオータはそう呟いてから笑い出しました。嘲笑ともつかぬ笑い声にみな驚いています。
「ようこそ、コード。神に罪を懺悔しにきたのかね?」
「懺悔するのはお前だろう」
コードは愛刀細雪を抜いてその剣先をまっすぐクオータに向けました。
「おお恐い、その剣で聖職者である私を殺そうというのかな?」
クオータは余裕綽々でしたがそういう態度ならコードも負けてはいません。細雪を突きつけたまま冷ややかに鼻で笑いました。
「殺しはせん。だがな、その罪は償ってもらおう」
「私の罪? はて、何のことかな」
どこまでもとぼけるクオータにコードはマントを広げました。そこから小さなシグナルが出てきてコードによじ登りました。クオータの顔が僅かに歪みます。
コードの肩に乗っているシグナルは何も言わずにクオータを睨み据えていました。
そして運命のとき。コードは高らかに細雪を天に向かって挙げました。
「見ろ、クオータ。まもなくだ」
天の理にしたがって月が太陽を覆う瞬間――日食がやってきたのです。
――ひとりは昼の間、小さな子どもの姿に。
――ひとりは夜の間、空を舞う鳥の姿に。
ならば、昼でもなく夜でもない時間は? そう、ふたりは元の姿に戻るのです。そして目の前にはクオータがいます。そのときこそ二人の呪いは解け、再び結ばれることになるのです。仮初めの夜を迎えた大地は黒く覆われます。しかしシグナルは淡く輝いていました。幼女の姿から愛らしい美少女へ。シグナルは長い髪を揺らし、コードの横に毅然と立っていました。
「見ろ! 俺様達の姿を!」
「なにをしたって、私はあなたのものにはならない!」
シグナルの声が凛と響きました。クオータはギリギリと奥歯を噛んでいます。彼らを視界に入れなければよかったのに、悔しさと怒りでそのことを忘れていました。
やがて月は太陽を離れ、大地は再び昼に戻りました。日食は終わったのです。シグナルはぎゅっと目を閉じ、小さくなるかもしれない恐怖に襲われてしました。
「…ナル、シグナル!!」
呼ばれてシグナルははっと目を開けました。目の前にコードがいて、肩をつかんで揺さぶっています。けれど抱き上げられている感触はなく、足はしっかり地面についていました。それからまじまじと自分の手を見つめ、体をなぞり、頬に触れました。
「戻ったの? 私…元に戻ったんだね!」
嬉しさにあまり、シグナルはコードに抱きつきました。自分が元に戻っているということは、コードも元に戻っているということです。
「コード…よかったぁ…」
「シグナル…」
ステンドグラスから零れる光が鮮やかにふたりを彩っていました。
けれどクオータは狂わんばかりに唸っていました。そして隠し持っていた短剣でふたりを殺そうと突進してきます。戦う術を持たぬ司祭たちは我先にと逃げ出していきます。けれどコードは冷静でした。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
「シグナル!」
コードの一声にシグナルはぱっと横に飛びのき、コードは細雪を構えます。
「お前さえ…お前さえいなければぁぁぁ!!」
「愚かなやつ」
コードはそういい捨てるとクオータの持っていた短剣を払い、そのまま左の拳で顎を殴り、さらに柄でクオータの腹部に強烈な一打を与えました。二つ折りになったクオータはそのまま崩れ落ちていきました。
「おのれ…」
そういい残し、クオータは気絶しました。
「こっちだよ、オラトリオ」
「サンキュ、信彦」
ちょうどそのころ信彦の案内でオラトリオが駆けつけてきました。
「師匠、シグナル!!」
「オラトリオ」
「シグナル…戻ったのか」
たまらずオラトリオは妹をぎゅっと抱きしめました。シグナルは苦労したぶんまた綺麗になったようです。コードは細雪を柄に収めました。すると柔かい声が聞こえてきました。
「よかった、お二人ともお怪我はありませんか?」
「カルマ」
オラトリオの影に金髪の青年がありえざる美貌をたたえて立っていました。赤い衣は聖職者の証、そう、彼は枢機卿のカルマです。法王についでえらい人です。コードもシグナルも彼を見知っていました。
「カルマ…どうして?」
カルマはにっこり笑いました。
「実はクオータには前々からよくない噂があったんですよ。商人と癒着しているとか魔術を用いているとか。今回のあなた方の事件でそれがよくわかりましたからね。それ以外の証拠を固めていて遅くなってしまいました。クオータの地位を剥奪し、彼を宗教裁判にかけます。それで身柄を引き取りに来たんですよ」
「そうだったの…」
カルマの指示でクオータは鉄製の手錠をかけられて連行されました。
「それと、あなた方の結婚式をもう一度正式にやり直してよいとの法王からのお言葉です」
特例中の特例でしたがコードはそんなことは当たり前と言わんばかりのふんぞりかえっています。
ふとシグナルは、その輪の中に信彦がいないことに気がつきました。
「あれ? 信彦は?」
「おりょ、そういえば」
シグナルは慌てて外に出ました。信彦は再び外に出ようとあの建物に入ろうとしていました。
「待って! 信彦!!」
ドアを開けようとした信彦は立ち止まりました。シグナルは息を切らして駆け寄ります。
「どこにいくの、信彦」
シグナルの言葉に信彦は微笑みながら言いました。
「…だって元に戻れたんだろう? もう旅は終わったんだ」
「それはそうだけど…」
でも、何も言わないで行っちゃうだなんて…。シグナルは信彦を見つめていました。哀しそうに揺れる紫の瞳に信彦は俯いてしまいます。自分はただの泥棒で、これまで優しくしてもらったけれどシグナルと一緒にいられるはずはないのです。だから黙って消えようとしたのに。見つかったなら仕方がない、せめてちゃんとお別れを言おう。信彦はそう思ってもう一度笑いかけました。
「幸せになんなよ、シグナル」
そういってドアを押そうとした信彦をシグナルは膝をついてしっかり抱きしめました。
「行っちゃだめ、信彦…」
「シグナル…」
信彦は驚いて声が出ませんでした。彼女は信彦の肩に顔を埋め、僅かに震えていました。
「私、信彦といて楽しかった。小さくなってたときはお兄ちゃんみたいに思ってた。今は…弟みたいに思ってる。ずっと一緒にいようよ、信彦。私たち…お友達になれた。姉弟にもなれるよ…」
シグナルがすすり泣いているのがわかりました。これまでのつらさ、寂しさ、不安――彼女は一緒に乗り越えてきた信彦がいなくなるなんて、考えてもいなかったのです。これまで耐えてきた涙が溢れて止まりません。
そんな二人のそばにコードがすっと近づきました。
「信彦」
「コード…」
コードの琥珀色の瞳も、優しさをたたえていました。
「世話になったな、礼を言う。世話になりついでにどうだ、信彦。もう少しこいつのそばにいてやったら」
コードの言葉にシグナルも顔をあげました。オラトリオも近づいてきます。
「実はな、俺んところで小間使いみたいなのが欲しかったんだよ。やってくれないか、信彦」
「オラトリオ…そうしなよ、信彦」
涙に濡れた顔のまま、シグナルは笑いかけました。オラトリオの小間使いならシグナルに会うのも簡単です。いい話だと思いますが信彦は渋っていました。
「だって俺、文字の読み書きはできないし、貴族の暮らしなんてわかんないよ」
「そんなの大丈夫さ。貴族様だって人間なんだから。文字の読み書きくらいすぐ覚えらぁな」
「ね、信彦」
それぞれに促され、信彦はようやく首を縦に振りました。それが嬉しくて、シグナルは強く信彦を抱きしめます。
「よかったね、信彦」
「ありがとう、みんな」
五人は穏やかに笑いあっていました。



それからしばらく後にクオータの宗教裁判が開かれ、彼は魔術を使ったということで火あぶりの刑に処せられました。
そしてコードとシグナルは枢機卿カルマの手によって再び結婚式を執り行いました。二人の家族も列席しています。そこにはオラクルの姿もありました。
以前オラクルが挙式してくれたときは親族も呼べない、ふたりだけのひっそりとしたものでした。でも今はたくさんの人たちがふたりを祝福してくれます。
神の御前でコードとシグナルは永遠の愛を誓いました。
シグナルを妻とし、コードを夫とし、永久に互いから離れぬとその唇を触れ合わせました。
その夜、ふたりは久方ぶりの我が家に戻りました。これまではクオータのせいで別居を余儀なくされていた二人でしたが、シグナルにとってコードの屋敷は新しい我が家となるのです。花婿は花嫁を抱き上げて新床へ入りました。これから結婚生活のやり直しです。
「コード、どうしたの?」
「小さいときのほうが軽かったな」
「当たり前じゃないの、それに今だって充分軽いもん」
むくれたシグナルにコードは小さく笑いました。薄い唇に触れ、彼女の夜着に手をかけます。
「コード…」
「黙ってろ」
するすると絹の肌着を落として現れた白い肌に、コードはそっと唇を寄せてふと肩に目をやりました。あのときの傷は薄くなってはいましたがよく見るとわかります。
「コード?」
胸元でじっとしているコードが気になって、シグナルは声をかけました。何をしているのか気がついた彼女はふっと表情を緩めます。
「…痕にはならんようだな」
コードは唇でそっと触れました。なんとなくくすぐったくて、シグナルも指先で触れました。
「うん、でもね、コード」
「ん?」
「コードを守って負った傷だもん。これは私の誇りだよ」
「…そうか」
そう言ってコードは少し恥らったシグナルを優しく横たえました。神の名のもとに夫婦であることを許されたふたりは幸せな夜を迎えたのです。



幸なるかな、我は君を得たり
我が愛する者は我が属となれり

故に
我が身我が心我が魂
我がすべてそは汝のもの



ふたりはこれからずっと死ぬまで幸せに暮らしましたとさ。







≪終≫





≪臨界点まですっ飛んで≫
アドレナリン、惜しみませんでした。昔見た映画にこういうのあったなぁ、と思ってやってみました。『LADY HAWK』という映画のパロディです。本当は男性が狼に、女性が鷹に変身するファンタジーものだったんですがコードはもう鳥なんで…いいかと思って(殴)。パロディなんで当然脚色してありますし端折ったところもあります。出てこなくていい人もいます(笑)。まぁ、コードとシグナルが幸せならいいや。という心の広い方に読んでほしい…。と、小心者の如月さんなのでありました。マジで小心者なので石投げたりしないで下さい。

注: 文字用の領域がありません!

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