げに愛しきは真直ぐなる少年の瞳 お師匠様ぁ 僕はずーっとずーっとお師匠様のそばにいます お師匠様が嫌がったってついていきます 「お師匠様ー、ここどうですか?」 「ああ、いいっ…くぅぅ、効く〜〜」 寝台の上に体をうつ伏せにしている呂望にまたがるようにして武吉が乗っかっている。 何でこんなことになっているのかというと。 ほんの少し前、肩がこったと肩甲骨をぐるぐる回していた呂望を見かねた武吉が肩をもんであげたところ、彼女は大変に喜んでどーせなら全身やってくれ、ということになったのである。 「はぁ、極楽じゃのう…」 「ぼく、むかし整体師の準労働(アルバイト)やってたんです! 資格もちゃんと持ってます!」 「ほんに、おぬしだけじゃ。わしの言うこともちゃんと聞くしわがままも言わんし無理強いもせんし。ああ、そこ。もっと強く…ああ〜いいっ! ほんとにいいっ!!」 「まだお昼だよ、望ちゃん。そんなあられもない声上げちゃって」 窓辺に突然現れた人影に呂望も武吉も顔を上げた。空色の髪に藍色の瞳をした少女が袋を抱え、黄巾力士を足場に立っていた。 「何じゃ、普賢か」 「こんにちわ、普賢真人様」 武吉がきっちり挨拶をすると普賢はにっこり笑って返してくれた。そして窓からするりと侵入する。 「武吉君はいい子だね、いつもきちんとしてて」 「今もそういって誉めておったところじゃ。武吉、もうよいぞ」 呂望は自分をあんましてくれていた武吉をねぎらうと、物のついでだからと二人分の茶を所望した。言われなくてもそのつもりの武吉はすぐに小厨房へすっ飛んでいき、甘茶と菓子を持ってきた。 「どうぞ!」 「さすが、早いのう。休んでていいぞ」 「休んでてもすることがありません。お師匠様のそばにいたいんです」 「そうは言ってものう…」 困り顔の呂望に反して普賢はくすくす笑った。 「本当にかわいいね、武吉君は。でもね、休めるうちに休んでおいたほうがいいよ」 「そうじゃぞ、武吉。何かあったら呼ぶから」 「そうですか? じゃあ、隣の部屋にいます! お師匠様に呼ばれたらすぐ来れるように!!」 てっきりしょんぼりして出て行くかと思ったのに武吉は呆れるくらい明るく部屋を出て行った。 「隣におらんでも聞こえるだろうに」 「それだけ望ちゃんが大事なんだね、武吉君は。ちょっと妬けちゃうな」 普賢は頬杖をついてにこにこ笑った。豊かな胸が寄せられて茶机の縁にかかる。 「で、おぬしはいったい何をしに来たんじゃ?」 「ああ、そうそう、忘れてた。元始天尊様がね、望ちゃんに差し入れを持っていってあげなさいって。それに木タクの様子も見たかったし」 木タクは李精の次男でナタクの兄に当たる。そして普賢の最初にして――最後の弟子だ。 だがそれはもう少し先のこと、今はまだ誰も知らない。 「それはすまんかったのう、木タクは今東伯のところに派遣しとるんじゃ。呼び戻すわけにはいかんでのう」 「うん。わかってるよ。だから今日は西岐に泊まって明日行こうと思って」 「そうしてくれるとありがたいのう」 呂望はほっと胸をなでおろした。 元始天尊からの差し入れは太公望の大好きな仙桃と崑崙山にしか咲かない花からとった蜂蜜、修業時代から愛用していた傷薬と糖衣だ。 「望ちゃんは甘い薬しか飲まないからね。元始天尊様ったら徹夜で糖衣を作ってたよ」 「そんな暇があったらもっと応援をよこしてほしいもんじゃ」 それでも師の心遣いがありがたくて、呂望はそれを押し戴くと丁寧にしまいこんだ。 「道徳は元気か?」 「相変わらずケダモノだよ。元気すぎて参っちゃう」 「惚気おって。あ、そうじゃ。泊まっていくならおぬしの部屋を用意せんといかんのう」 はたと思いついた呂望が普賢を見つめた。視線があうと彼女はにっこり笑った。 「ボクはどこでもかまわないよ。そうだ、久しぶりに一緒に寝ようか」 「そうじゃのう、それもいいか」 部屋の外でドターと誰かが転ぶ音がした。呂望が出てみると武吉がすっころんで膝を撫でていた。 「どうしたんじゃ、武吉」 「あ、お師匠様。普賢様のお部屋がいるかと思って用意しにいこうとしてたんですけど、いらないって言うから転んじゃって」 てへへと笑う武吉に、呂望は手を差し伸べた。 「全く、慌て者め。膝は大丈夫か?」 「はい、大丈夫です!」 武吉は迷わずに呂望の手をとった。ふっくらと柔らかい肌にふれて、武吉はほわんといい気分になった。 「では、せっかくだから用事を言いつけようかのう」 「はい、なんでしょう」 「夜になったらでよい、枕をひとつと、それからカミツレの香を用意してくれ。普賢が好きなんじゃ」 「はい、分かりました!」 武吉はまぶしいくらいの笑顔で会釈して、それからばびゅーんと走り去った。 「おい、夜でよいのだぞ!」 呼びかけるまもなく、武吉の姿は見えなくなっていた。 「全くもう…」 部屋に戻ると普賢は茶を飲んでいた。呂望が戻ってくると変わらぬ笑顔を向ける。 「いいなぁ、武吉君みたいなかわいい子がいてさ」 「かわいいのは武吉だけじゃぞ。あとの連中はすっかり盛りがついておってのう…」 どうしても眠りたい時は武吉をそばにおいておく。そうすれば男は先客がいるからと寄ってこない。この方法を思いついてからというもの呂望の安眠は7割の確率で保障されるようになった。 「へぇ、武吉君って便利だね」 「働きすぎで死にはせんかと心配じゃよ」 「大丈夫だよ。武吉君は望ちゃんを守って死ぬことはあっても雑用に殺されるような子じゃないって」 「それもそうじゃのう」 年端も行かぬような姿をした仙道の女の子たちは華やかに笑いあった。 やがて夜になり、普賢は呂望の部屋で彼女を待っていた。呂望は急な会議に呼び出されたのだ。 部屋の隅には武吉が緊張して立っていた。呂望から普賢の相手をするようにことづかっているのである。 ろうそくの明かりがぼんやりと部屋を染め、カミツレの香りがふわふわと漂う。 「そんなところいないでこっちに来たら? 暗いでしょ?」 「大丈夫です、暗くても平気です!」 「でもボクが退屈なんだ。こっちに来てお話しない? 望ちゃんのこととか聞きたいし」 「は、はい!」 武吉はすたすたと普賢の前に歩み寄った。 「隣、座ったら?」 「はい」 促されるまま武吉は普賢の隣に腰を下ろした。普賢は呂望とは違う類型の女性で、でも武吉にとっては呂望だけが想い人なのであまり気にならない。普賢はそっと武吉の手に自分のそれを重ねた。 「ふ、普賢様?」 「武吉君、かわいいね」 そうして普賢は武吉の手をもち上げると自分の胸に導いた。武吉は驚いて手を引こうとするが思ったよりも強い普賢の力に逆に引きずられて、勢いでその豊かな胸に飛び込んでしまった。 「うわっ!!」 普賢は間髪いれずに武吉の頭を抱きしめた。もふもふと暴れる武吉を押さえ込む。 「普賢様、離してくださいっ!」 「やだ。武吉君かわいいんだもん。食べちゃおうかな〜〜」 「だめですっ! 普賢様にはちゃんと恋人がいるんでしょう? ぼくも…好きな人がいます!」 「それって望ちゃん?」 普賢は武吉を丁寧に解放した。武吉の目にうっすら涙が浮かんでいる。少年はこっくり頷いた。 「そうなんだ…」 「…お師匠様はぼくの初めての人なんです。好きになったのも、それから…その…」 「…もういいよ、武吉君」 普賢はしゃくりあげそうな武吉の髪をよしよしと撫でた。武吉はふっと顔を上げる。目の前の少女は寂しそうに微笑んだ。 「ぼくは…お師匠様の悲しむことはできません」 「その気持ち、ずっと大事にしてね。そして望ちゃんを守ってあげてね」 普賢は再び武吉をぎゅっと抱きしめた。武吉も騒がなかった。 だってこれは『約束』なんだから。 「意地悪してごめんね、武吉君」 「いいえ。でも、あの…」 武吉が何かを気にしているのが分かって、普賢はくすっと笑みをこぼした。 「分かってる、望ちゃんには内緒だよ」 「お願いします…」 ぺこりと頭を下げた武吉はやっぱりかわいくて、普賢は呂望を羨ましく思った。 翌日の朝、普賢は西岐のみんなに別れを告げて東伯の下にいる木タクに会いに発っていった。 「じゃあボク行くね」 「ああ、気をつけてな」 黄巾力士の起動音が聞こえ始めた。黒い球体の最上部にいる彼女の姿はもう見えない。でも呂望と武吉は並んで彼女を見つめている。 「望ちゃん、武吉君と仲良くね!」 「わかっておるわー!!」 少女たちの声は澄んで明るい。ふわりと浮いた黄巾力士はそのまま高く飛び立ち、進路を東にとって進んでいった。 「じゃーねー!!」 「元気でのー!!」 遠ざかっていく普賢を見送って呂望はいつまでも手を振っていた。 すっかり見えなくなってしまうと呂望はふうとため息をついて隣にいる武吉を見つめた。 「のう、武吉よ」 「なんですか、お師匠様」 「普賢の胸は気持ちよかったか?」 「はい! …あ」 武吉はしまったと口を押さえた。でも呂望は顔色を変えずに苦笑して見せた。 「ち、違うんです、ぼくは何にもしてません!!」 「わかっとるよ。普賢に口止めされたんだろうが、やっぱりこじれたら面倒だからと普賢がこっそり教えてくれてな」 「普賢様が…」 武吉はもういない普賢の飛行跡を見つめた。 「武吉よ」 「はい?」 呂望はすっと少年の手をとった。武吉の目は明るく真直ぐに自分を見つめている。 「わしのそばを離れるでないぞ」 「はい、お師匠様」 つないだ手を、ずっとずっと離さない。 「お、お師匠さまぁ」 「泣くでない。おぬしはこういうときだけ逆らうのう。たまにはわしの言うとおりにせよ」 「でも、お師匠さまぁ。お師匠様は傷つきませんか?」 武吉の言葉に呂望は少年を見つめた。 しなやかな筋肉を体にまとい、温かい腕に抱いた女は呂望だけ。しかも他の男と違って自分から求めてくることはない。 「おぬしがわしを抱いてくれぬほうが傷つくな」 「お師匠様…」 そういうと呂望は武吉の手をとって口づけるとそのまま自分の胸に触れさせた。傷だらけの肌に武吉ははっと目を見張る。 「傷に触れるのがいやか?」 「そんなことありません、お師匠様は綺麗です。誰よりも綺麗です」 「だったら触れろ。おぬしの思うとおりにわしを抱け」 「…分かりました」 武吉はおそるおそる呂望の乳房に唇で触れた。普賢のものと違って大きくはないけれど感度はよく、そして温かい。 「んっ…」 「すみません、痛いですか?」 「声を上げたくらいでいちいち気にするな。続けろ」 「はい…」 ふわんと柔らかい乳房は武吉の手の中にすっぽりと収まった。ふにゅふにゅと揉み解すようにすると呂望はぴくんと体を震わせた。 「は…あ…」 「お師匠様…」 「んっ、いい。なかなかよいぞ」 「嬉しいです、お師匠様」 武吉はそのまますっと肌をすべり、呂望の秘所に唇を近づけた。 「…いいですか?」 「んー、かまわんが…そうじゃな、武吉、おぬしが横になれ。わしが乗っかるよ」 「え、でもそれじゃ…」 「よいのじゃ。わしもおぬしにしてやりとうてな」 呂望はうっすら微笑んだ。 「分かりました…無理しないでくださいね」 武吉は言われるままに横になった。少年の陰茎はふるんと揺れながらも天を向いている。呂望は武吉の顔の上に脚を開き、顔は彼の陰茎の前に持っていった。 「お師匠様…」 目の前に広がる呂望の秘所に武吉はそっと手を触れた。ぬるっとした液体が指に触れる。 「あんっ、武吉ぃ」 「お師匠様っ…」 武吉は意を決して呂望の花びらに唇を寄せた。ぺろっと舐めあげると呂望の体がぴくっと反応する。 呂望は目の前に屹立する武吉の男を咥えた。亀頭に舌を這わせると武吉が自分の秘所に触れるのを中断する。 「お、お師匠様、ダメですぅ…」 「泣き言を言うな、ちゃんとかわいがってやる」 じゅぼじゅぼといやらしい音を立てて武吉の男根を咥えこむ。武吉の意思に反して男根はむくむくと育ち、呂望の口の中を占領している。先走りの汁が呂望の口内にあふれ出した。 「んっ、んぶっ…」 「お師匠様、もうやめてください、出ちゃいそうですっ!!」 「ぷあっ…なら出せ、受けてやる」 そういうと呂望は陰嚢ごと武吉の陰茎を揉み込んだ。 「ふわっ、お師匠様、もうだめです!!」 びくびくっと武吉の男根が震え、弾けた。呂望の目の前に白濁した液が飛び散る。 「ふわっ…んっ、たくさん出たのう」 呂望は武吉の体から離れると放たれた精液を手の平でこすって落とし、胸元に再び塗りつけた。 どろっとした白濁液が呂望を淫らに彩った。 「す、すみません、お師匠様」 「なに、おぬしのだからな。構わんよ。さ、今度はわしを愛してくれ」 「お師匠様…」 呂望は横たわる武吉に口づける。奪い合うように互いの舌を絡めあい、唾液を移しあった。 「んあ…」 そして武吉の上に跨るとまだ硬さと熱さを失っていない武吉の男根に手を添え、自分を沈めた。 ぐりゅっと淫猥な音がして武吉が呂望の最奥に侵入した。 「あんっ、あっ、武吉ぃ…」 「お師匠さまぁ、すごく柔らかいです、気持ちいいですぅ」 「そうか…そういって喜んでくれるのはおぬしだけじゃ。どれ」 そういうと呂望はくりっと腰を動かした。呂望の中の武吉が膣内の襞を擦る。 武吉の上で艶かしく踊り狂う呂望の姿に武吉も恍惚と見惚れていた。 「はあっ、はああんっ」 「お師匠様ぁ、お師匠様ぁ…」 「はんっ、ふっ、ああんっ、あっ!」 ぬちぬちと互いをつなぐ液の音が響く。呂望はなおも腰を揺らめかした。上下に、前後に、左右に。 「武吉っ、いいっ…いいぞっ。おぬしも腰を動かせ」 「動いちゃいます、お師匠様ぁ、お師匠様がっ…んっ、とってもいいからっ」 「ああっ、いきそうじゃっ、武吉っ」 「お師匠様、抜いてください、出ちゃいますっ!!」 武吉はぽろぽろと涙をこぼして懇願した。しかし呂望は武吉から離れようとはしなかった。 「お師匠様ぁ…い、いくっ」 「んふっ…!!」 武吉が弓なりに体をそらす。呂望の胎内に武吉が再び弾けた。どろどろっと中に溢れる液に呂望は内股までべっとりと濡らした。 「はあっ、お、お師匠様…」 「んっ、武吉っ…」 呂望はふっと息を吐いて自分の体を持ち上げた。ずるりと湿った音がして武吉が胎内から抜ける。とたんに注ぎ込まれていた武吉の精液があふれ出し、武吉の体にぼとりと落ちる。 「はあっ、武吉…なかなかよかったぞ」 「お師匠様…ぼく嬉しいです。お師匠様に喜んでもらえて」 武吉は涙を拭いながら起き上がってにっこり笑った。 その笑顔に、呂望はふっと武吉の胸の中にもたれかかった。 「お、お師匠様?」 「なんか…眠いんじゃ。寝かせてくれ…」 武吉は呂望の肩を抱いて、そっと顔を覗き込んだ。呂望はすーすーと寝息を立てていた。 ゆっくりと横たえて汗ばんだ肌にそっと白い木綿の夜着を着せ掛ける。そして呂望を守るように横たわるとそっと彼女を抱きしめた。 お師匠様 ぼくはずーっとずーっとそばにいます だって、お師匠様が大好きなんですから… 「武吉ー」 「はーい、お師匠様」 武吉はピカピカの笑顔で呂望の前に馳せ参じた。呂望も満足そうに微笑んでいる。 「今からスープーとともに街に出る。甘味屋のはしごじゃ。おぬしもついて来い」 「はーい。でもお仕事はいいんですか?」 「だから、内緒じゃ」 ぱちっと小さく片目を閉じた呂望は今だけ普通の女の子になっている。武吉はにっこり笑って彼女の脱走に付き合うことにした。 「師叔! どこに行くさ!?」 「いかん、天化じゃ。スープーよ、わしと武吉を乗せて全速力で逃げよ!」 「了解っス!!」 ぴるるるーと小気味いい音でスープーは呂望と武吉を乗せて空高く舞い上がった。 「うわー、師叔っ!! 師叔が脱走してるさー!!」 騒ぐ天化を尻目に二人と一匹は楽しそうに空の散歩中。 「成功しましたよ、お師匠様!」 「ご主人はいつも忙しいっスからたまには息抜きしないと駄目っスよ」 武吉もスープーも脱走には肯定的だ。呂望は嬉しくて彼らをよしよしと撫でた。 「周囲の男たちがみーんなおぬしたちのようだったらいいのにのう」 「はっくしゅん!!」 そのころ西岐や遠い空の上でくしゃみをしている男たちがいたことを呂望たちは知らない。 げに愛しきは真直ぐなる少年の瞳 それを普賢が教えてくれた 「武吉」 「なんですか、お師匠様?」 「…ずーっとずーっと、わしのそばにおるんじゃぞ」 「…はいっ!」 武吉は力いっぱい返事をした。 すべては愛しい少女のため 真直ぐな瞳をいつまでもそのままで ≪終≫ ≪武吉祭りじゃー!!≫ はーい、武吉祭りでーすww 真夜中の会議室で盛り上がっていたのでこれは乗っからないといけないと思い書きました。でも呂望まで乗っかる必要はなかったですねww 69と騎乗位、クリアできてるでしょうか \(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アテクシハダアレ? ←記憶喪失になりました。 |