紅蓮の死神
 




どこを探しても、マグナムのGPチップは、見つからなかった。
あれは、マグナムの記憶ともいうべきものだ。
いままでの戦歴から、星馬豪という主の性格、ビクトリーズのメンバーマシンまで、さまざまなことをあれは知っていた。
当時の技術の最新技術を用いた精密機械。しかし、それ以上のことを、あのGPチップは持っている。
僕もソニックを持っていたから、GPチップがどんなものかわかる。
持ち主の心に応えて、マシンは成長を遂げる、ということを。

だけど。

豪がいなくなったとたん、マグナムはそのマシンの姿だけを残して、いなくなってしまった。
まるで、後を追いかけてしまったかのように。


act4. 暗鬱の夜天広がる戦場跡


夜の街が、黄色にきらめいている。
ざわつく音が聞こえるような感覚で、画面上に言葉が踊る。
PCキャラクターが集まる街路は、アイテムの交換や、サークルの誘い、パーティの呼びかけで溢れかえっていた。
そのなかで、僕は一人、建物と建物の間の影に隠れるようにして座っている。
赤い目、赤い髪、拘束具を思わせるようなベルトだらけの服装を、マントが覆っていた。
何かを待っているように、その目を閉じている。
途切れ途切れに流れる言葉は、自分が存在する画面範囲内の言葉を拾ったものだ。

「…なぁ、”スターゲイザー”のイベントって本当なのか?」
「さあ、な、でも…ただのサークルがそこまでできるのか?」
「そんなこと、俺にもわかんねーよ」

「”スターゲイザー”か…似合わない名前」
最近目立ってきたサークル。メンバーは高レベルプレイヤーばかり。
高レベルプレイヤー専門のサークルとして有名になった。その中には、自分と同じようにプレイヤーキルを行うものもいるという。
表向きは”難易度の高いステージを攻略するためのサークル”だが。その真の目的は、違う。
”紅蓮の死神のPK”及び”喪失の青のPK”とのこと。
高レベルであればあるほど、紅蓮の死神への妬み、恨みが大きいのだ。
今まで培ったプライドを粉砕されてしまうから。
死神とて、一介のプレイヤーである。
ゆえに、規定範囲外のことは、できない。ロストブルーとは、違う。
今の目的は、1つ。あのロストブルーの正体を、見極めること。
それこそが、今ここにいる理由だった。
もう、強くなる理由などないのかもしれない。
けれども、”retsu”としてここにいる以上は、自分は紅蓮の死神でなくてはならなかった。
そう演じることに決めた以上は、この”retsu”が砕かれてしまうまで、死神であり続ける。
死神であるためには、強くなくては、ならなかった。

ましてや、その死神の最大の危機が、間近で息を潜めているのがわかってるのに、ここで逃げたら負け犬だ。

だから、ここで待っていた。
その呼び声がかかるのを。
紅蓮の死神の名前が”retsu”をいう名前なのを、知っているのは対峙した人物だけだろう。
今度の相手が、すべて”それ”であるのなら、おそらく、来る。
ショートウィンドウが開く。

紅蓮の死神が、その真っ赤な目を開いた。
「メールが届いています」
1通のメールを開くと、中身には場所と、時間だけが記されていた。
敵意は、メールを伝って侵食される。

「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」
「メールが届いています」「メールが届いています」「メールが届いています」

はじめ、1つだったそのウィンドウは、火を噴くように、覆い尽くした。
それをすべて消して、アイテムを確認する。
「……行こう、ソニック……っつ?」
ふらりと立ち上がった瞬間、右腕に違和感を覚えた。けれどもそれを無視して、その場からゆっくりとと歩き出した。
その目には焔のように燃え上がる、純粋な闘争本能が、ゆらゆらと揺らめいていた。


フィールド名 : 暗鬱の夜天広がる戦場跡

朝に行っても、雨の日に行っても、そこは呪いにより、夜の帳が覆い尽くしていた。
それは、ここで死んだ兵士たちが、朝が来るのを認めたくなくて、そうしているのだという。
戦うという信念に取り付かれた亡霊が住まう戦場跡。
そういう、設定の世界。

こういう時が来ることは、わかっていた。
敵は、何人だろうか。ざっと15人くらいだろうか。みんな、その姿に覚えがある。一度倒したことがあるから。
銃使い、槍使い、戦士、魔法使い、いろいろいる。
僕と同じジョブの人も。
関係ない。全員倒してみせる。たとえ、相手が回復能力を持っていても。
「…どうするよ、紅蓮の死神さんよ。この数相手に、お前一人でどうなるっていうんだ?」
「土下座して謝るなら、許してやってもいいぜ」
冗談。
そんなかっこ悪いこと、できるわけないじゃないか。
豪がどこかで見ているかもしれないものに。空を見上げ、あのロストブルーを思った。
いつだって無表情で、それでも、豪によく似た雰囲気の剣使い。
あいつが正義の味方を演じるなら、僕は、絶対悪を演じきるだけ。
目的なんてない。意味だってない。だけど、紅蓮の死神の価値はある。
敵はすべて倒す。紅蓮の死神に対峙すれば、与えるものは1つだけ。

なぁ、豪。こんな僕を、目覚めたら笑ってくれるか?

「バスターソニック展開!」
ふわりと、2色のターバンが髪を覆う。
銀の三日月を思わせる、死神の鎌。それに纏う、長い飾り布。
重さを感じさせる。ぐっと構えて、目を閉じた。
「来い!」
いっせいに、僕に向かって悪意の嵐が吹き荒れた。

「デス・クリティカルチャージ!」
ソニックに一撃必殺のスキルを装備。後ろからの敵を一閃でなぎ倒す。
制限時間、15秒。それで十分。
そして、もう1つのスキルを発動させる。
ソニックの刃から、ばりばりと黄色のスパークがほとぼしりはじめる。
「…そう、いい調子だ。ソニック」
答えることもない鎌に言葉をかける。こいつらは、いつ気づくだろうか。
僕が、魔法を使わないことに。

「食らえ!」
銃使いの3点バーストで断続的な攻撃が続く。
それを避けていけば、相手に当たるだけ。残念だけど、スピードもそれなりに鍛えてある。
ないのは、防御力だけ。
槍の突きを交わし、鎌を振る。スキルのおかげで、相手は声も出せずに倒れた。
周りを敵に囲まれていく。倒した奴が、またやってくる。
「リヴァイアサンマインド!」
水属性攻撃。やっっぱりきた。僕の属性は、全員知っているって訳か。

水で構成された竜が、巨大な口をあける。飲み込むように、津波のように、襲い掛かる。
「それも、わかってるよ」
体力が切れかってる相手を掴み、僕の前面に配置。
そこから、すぐに横に飛び込んだ。
「うわあああ!!!」
絶叫とともに、魔法使いは息絶えた。
「っあ…」
また、だ。どうして。
右腕に、違和感が。なんで、こんなときに、それにどうして、この違和感は、”リアルの僕”まで影響を与えてくる?
何がしたい?この違和感は。
「そろそろへばってきたんじゃないのか!?」
「っつ!!」
後ろに鎌を振り、倒す。
倒しても倒しても、増えていく。だけど、弱くなっていく。なぜなら、蘇生は体力の半分までしか回復しない。
回復役がいればいいかもしれないが、僕を倒すという目的で集まったこのメンバーにそんな奴は、おそらくいないだろう。
ばりばりと、黄色の雷が鳴っていく。

雷の鼓動が、自分の鼓動と重なっていくようだった。
「もういい、ソニック?」
ばり、と雷鳴が届いた。同時に、刃がぼわっと、朱色に染まった。
地面をがりがり音を立てて削り、ソニックを固定させた。
あたりに、生き残った奴らが群がる。まるで、追い詰められたねずみでも見るみたいに、僕を蔑む。
「もう降参か?」
「……」
「まだだぜ、お前はむかつくからな。謝ったってゆるさねぇ」
「お前がPKをやめたって、お前がこのゲームをやめるまで、俺たちはやめないぜ」
肩に亀裂が走った。ライフが削られる、嬲り殺しにでも、する気なんだろうな。
「別に、許さなくても、いいよ」
準備はできてるから。

ソニックを、ぐっと握り締めた。
飾り布が、一瞬にして、発火する。そして、ソニックの刃からはスパークが走る。
「な…」
「まさか、コンボ攻撃かよ!」
そのとおり、2種類の魔法の組み合わせで出せる魔法、だけど時間がかかるし、この場でやろうなんて、思う人はいなかったはずだ。
飾り布が羽ばたきのように舞い上がる。雷が轟音を轟かせて、地鳴りを聞かせてくれる。

「行くよ!」

叫んだ瞬間だった。
どす、と、胸を撃ち抜かれた。
「な…!」
雷と、炎が収束する。魔法発動が失敗した?
「…やれやれ、まさか死神がここまでやるとは思わなかった」
「り、リーダー……」
とまどったような、敵の声が聞こえた。
リーダー?ということは、あのスターゲイザーのサークルマスターか。
ダメージが大きい。水属性も添付された銃弾で撃たれたんだ。
「っつ…」
ぱきん、と傷口が凍りついた。これじゃ、回復できない。
水属性上位の氷スキルか…
「ほぼ同レベルの相手複数に、一撃必殺だけのスキルを装備、攻撃の間に、第2の魔法攻撃チャージか、頭の良さは変わってないようだな」
少し上から見下した位置にいるそのサークルマスターは、そう言った。
このサークルオーナー、一体…、まてよ。

頭の良さは変わっていない。
水属性。
ここまでやると思わなかった。
そして、”スターゲイザー”

「そういう、ことだったんだ、ね……」
「そういうことだ、最初から、それが目的だった」
肯定された、どうりで、怪しいはずだ。なんで、気がつかなかったんだろ。
「リーダー、どういうことだよ」
「紅蓮の死神と知り合いなのか?」
「ああ、リアルでもよく知っているさ」
サークルのメンバーは知らなかったようだ、全員がかわるがわるこちらと向こうを見た。
傷ついて、ようやく立ち上がって、そいつを睨み付けた。
長いライフルを構えた、金髪と緑の目の銃使い。金色の髪は、それとは違い、髪を上で束ねていた。

「2アカウント?もともと僕を消すためだったのかな…、ブレットくん」

名前を呼ぶと、相手は苦笑した。
「お前に会ったときのキャラクターは、システムから提供されたキャラクター…こっちは俺個人ものだ」
「…このサークル名で気づくべきだったよ、”スターゲイザー”意味は…”星を観測する者”、天文学者って意味もあったかな」
「そうだ、レツセイバ。レツとゴーのファーストネームには星が入っていたからな」
がちん、と銃が装填される。

「名前を、利用した皮肉ってわけだ」

もう一度撃たれる、今度は吹っ飛ばされた。
「うあっ……!」
遠距離用のライフル。こっちからじゃ、攻撃が届かない。
「痛いだろう?紅蓮の死神」
「……う…」
「これは特別製でね。本来は違う相手に使うつもりだったが…、まぁいい。”紅蓮の死神”もシステム側から目をつけられてたことだ。ここで叩き潰せば、こいつも戻ってこないだろう」
冷酷な声。ブレット・アスティアはこんな人間だっただろうか。
それとも、こんなキャラクターを演じてるだけ?
痛い。なんだろう、この痛み。
身体に響くのか?ゲームの中なのに…?

「とどめはお前たちに譲ってやる」

「お、さすがリーダー」
「嬲り殺しができるってわけだ」
このまま、こいつらに、嬲り殺し?そんなの…嫌だ。
「っく、っ…」
嫌だ!

ソニックと突き立て、立ち上がる。
「…嫌、だ……」
負けたくない…
こいつらに、勝てるだけの力が、欲しい。
絶対に逃げない。豪を見つけるまでは。


絶対に、逃げない!
どくん、と鼓動が重なる。
雷鳴の轟く音。炎の燻っている音。あらゆる音を巻き込んで、響く。
突如、視界がすべて真っ暗になった。
「…殺された?」
違う。何かに、飲み込まれたような感覚。

暗闇の中の感覚だけがある。ずっしりと感じる。握り締める、鎌の柄。
銀の刃が、金属音を奏でる。
炎の鳥の、鳴き声が切り裂いていく。
力強い風が、全身を通り過ぎていった。

「う、あ…」
この感覚は。かつて、感じたもの。
懐かしい、風と1つになる感覚。豪と、一緒にいた頃の、走る感覚。
手を差し伸べる。
心から信頼できるから、一緒にいたから。だから、応えて。
豪を、探し出して、帰りたい。そのための力を。
大切な、自らの半身へ向けて。
そして、それは確かに、うなずいて。力を、与えた。
「うああああっ!!」
与えられた情報に、身体は軋み、悲鳴を上げ、恍惚と苦痛に魂は貫かれた。
視界が揺らめく。
星馬烈と、紅蓮の死神の境界が、なくなっていく。霞んだ果てに見えたのは、暗い星空。
情熱も、憎しみも、悲しみも、喜びも、すべて飲み込んだ空が、風が、紅く染まる。
そして、星馬烈の心を、紅蓮の死神を、烈風で覆い尽くして姿を変えた。


突如、魔方陣をが紅蓮の死神を中心に描かれた。
「こ、これは…」
ゆらりと、立ち上がる。紅蓮の死神は、氷で覆われた傷を、自らの炎で溶かしてしまっていた。
溶けて露になった傷は、一瞬にして消える。
「…ありがとう、ソニック」
呟くように、語りかけるように。その言葉は流れ。
ぐっ、と天上へ鎌を掲げた。
その鎌は、形状を変えていた。
巻きついていた飾り布は、幾千本の紐に姿を変え、鎌の形状はより繊細に。
翠の複雑な紋章と、鳥の眼を思わせる紅玉の飾り。

「ブリッツアー・フェニックス・バースト!」

獣の咆哮すら思わせる、死神の叫びだった。
その瞬間、魔方陣がすべて、真紅の炎と雷で構成された竜巻を発生させた。
逃げる暇すらなかった。
その方陣の中にいたキャラクター全員が、一瞬にして、消滅した。
「…侵蝕されたか、ウィルスに…いや、”マグナム”か…?」
ブレットは1人、範囲外でぼそりと呟く。


金の光が、幾重に舞う。
しかしそれは、ゲームオーバーになったキャラクターの残骸だった。
光の中、死神だけが鎌を持って立ち尽くしていた。
「…はぁ……はぁ…」
呼吸が荒い。一気に生命力を吸い取られてしまったかのように。
髪を巻いていた2色のターバンは燃えてしまって、マフラーのように、首周りを凪いでいた。
全身が黒の竜燐のように硬く、覆われている。いっきにレベル上げしたわけでもない、装備を変えたわけでもない。
ただ、右腕だけが異常だった。
そこだけ、銀色の装甲で覆われて、棘が歪に生え、機械のような腕で、鎌を握り締めていた。
どうしてそうなったのかは、わからない。けれどその右腕がリアルに感じる。
「……」
夜天の戦場跡に、雨が降る。雨に濡れた冷たい感覚が、指を伝う。
「僕は…」
これで、力を手に入れた。けれど…それで、どうなる?
システムに干渉されなくなって、豪に似たような立場になって、それで、どうなる?

「力を手に入れて、お前を倒せば、豪は助かるのか?」

「……」
見つめる青眼青髪の剣使いに、僕は問う。
「なぁ、答えろよ!」
攻撃態勢になった自分を、ロストブルーは僕を一瞥して、向き直った。
その眼はなぜか、悲しんでいるようにも、見える。僕へ向けて、泣いているようにも。
雨のせいなのかもしれない。それでも、泣いているように見える。
見つめたあった瞬間、右腕が疼いた。
きいんとした、猛々しい鳥の鳴き声。銀の刃は、炎で深紅の色へ変わる。
「っつ…、いったい、どうなって…」

「ようやく俺の前に現れたな、ロストブルー」
「……」
その声にロストブルーは上を見上げる、その先には、ブレットがいた。
しかし、ブレットは僕を見ることもなく、話し続ける。
「兄の変異に気づいて現れたのか?」
「…え?」
兄の、変異?ロストブルーが弟?
そんなバカな…ロストブルーは、豪じゃないはず…
それとも、嘘だったのか?

ブレットはライフルから銃剣へ姿を変えた武器で、ロストブルーを指した。
「お前には、俺を攻撃する理由がある。それを言えば、戦わざるを得ないだろう…この武器は、”フラグメントフィールド”で手に入れたものだからな」
瞬間。ロストブルーの右手から、青い風と雷が舞った。
「マグナム、モード:ビート 展開」

現れたのは金の細工が施されたクレイモアだった。
青い柄は変わらず、モード:サイクロンよりも大きな、片手持ちの大剣。
それを後ろへ構える。
「やはり、”フラグメントフィールド”は知っているようだな、それを探していた、というわけか」
フラグメントフィールドって、何だ?
ブレットの言葉に、困惑するしかない。

「レツセイバ、お前は訳がわからないだろう。今お前がどうなっているのか、このロストブルーが何なのか」
「……ああ、わからないよ。わかるのは…僕には特別な力が与えられた。それくらいだ」
そして、この力は、ソニックが与えたものだということだけ。

「ロストブルーにの正体については、ほぼ仮定どおりのようだな、そいつの本当の名前は”マグナム”だ」
「マグナム…?」
このロストブルーが、マグナム?
「ゴーセイバはな、マグナムのGPチップをシステム側に委託していたんだ」
「……!」

”NPCがPCみたいにしゃべれるようになると、おもしろいだろ?マグナムと喋ったりすることもできるかもしれないんだぜ?”

そんな豪の言葉が、よみがえる。
「ゴーセイバを知っている、しかしゴーセイバ本人ではない。居場所も知らない」
「…それは、ロストブルーが、マグナムの記憶を持っていたから?」
「詳しい経緯は、そいつしか知らないだろう。ただ、このロストブルーはシステム外である以上、排除する必要がある」
「…」
ロストブルーは無言でブレットを睨む。
「俺のこともしっていそうだな、しかし、この”バックブレーダー”はお前が考えているほどの力の比ではない」

クレイモアを握り、ロストブルーは歩んだ。
「お、おい…」
話しかけた瞬間、ロストブルーは、瞳を揺らがせ、目を閉じた。
それだけでわかる。ロストブルーは、謝りたいんだ。僕をこんな風にしたこと。
ソニックのGPチップはシステム側にはない。なら、すべてはマグナムの記憶から引っ張りだしたもの。兄であるソニックのことを、彼なら何よりも知っているから。
豪を探してたのは、僕だけじゃなかった。
こいつはこいつなりのやり方でずっと、主である豪を、探していたんだ。
「僕は大丈夫だ、思いっきり、やってこい」
お前がかっ飛びマシンというなら、その速さで、ブレットを、追い越してしまえ。

そして、夜天の戦場跡に、雷が堕ちる。
 


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