Yellow rabbit WGPも中盤の日の事だった、烈は一人で家路を急いでいた。 「母さん、怒ってるかな…」 いつもよりも予定以上に遅くなってしまった、空はもう真っ暗だ。 豪は先に帰ってしまっている。だからたぶん家にいる。 「ただいまー!」 大仰にドアを開けると、甘ったるいという表現が似合う、とても甘い香りがした。 「あ、おかえり烈兄貴、遅かったな」 豪がキッチンの扉からひょいっと顔を出す。 「ちょっとな。それよりなんだこの香り、すごく甘いぞ」 「ああ、母ちゃんがアップルパイ作ってる」 「アップルパイ?」 この時間に珍しい、と思いながら靴を脱ぎ、ついでに散らかった豪の靴も揃え、キッチンに入ると。 目の前に、巨大なダンボールが二つ置かれていた。 「なに、これ」 「リンゴ、2ケース」 豪は食後のお茶を啜りながら答えた。 烈がいつも座る席には、ラップをかけたチャーハンが置かれていた。 「なんでこんなに…」 母の良江はというと、後ろで鼻歌を歌いながら鍋をかき回していた。 「あ、烈おかえり。遅かったね」 「ただいま…どうしたの、このリンゴ…」 「それがね…福引きで当たったんだよ…リンゴ1年分だって」 「リンゴ1年分?それっていくつのあるの」 「36個」 まさか当たるとはね、と良江もため息をつく。 「さ、さんじゅう…すごいね」 「しかも、みーんな今が食べごろなんだってさ、母ちゃんが言うには」 烈がダンボールを覗き込むと、リンゴは赤々として、とても甘そうに見える。 その代わり、今食べてしまわなければ数日で熟れ過ぎてしまい、腐りそうでもあった。 「で、考えたんだけど。あんたたち。外国のお友達がたくさんいたよね」 「え…」 「友達…っていえば友達か、なぁ兄貴」 「あ…うん…ライバル、かな」 「じゃ、そのライバルに」 どん、とアップルパイが烈の前に置かれた。 「明日、配ってらっしゃい」 「えー、母ちゃん。せっかくもらったのに配るのかよ」 そういう問題じゃないだろう…と豪に内心つっこみを入れつつ、烈も答える。 「アップルパイを配ればいいの?」 「そ、なんなら。こっちでもいいけど」 そういうと、良江はさっきまでかきまぜていた鍋の中身を二人に見せた。 黄色のねっとりとした甘い香りのもの。ところどころに紅いかけらが見える。 「なに、これ」 「リンゴジャムだよ」 「ジャムまで作ったんだ…」 「瓶はお父さんが用意してくれるらしいから、明日までにはできるよ。それより烈、早くご飯食べなさい」 「はーい」 チャーハンを温め、熱々になったご飯を口に運んだ。 「母ちゃん上機嫌だな」 「ん…ああ、そうだな」 今度は何を作ろうか、と本をめくりながら笑みをこぼしていた。 アップルパイ、そしてジャム。これだけあれば参加チーム全員にも配れてしまいそうなほど。 「明日はレースないし…みんなに配ろうか、豪」 「そうだな、俺たちだけじゃ食べきれねーからな。俺もう2つ食べた」 「なっ…お前、もうそんなに?」 「兄貴もチャーハン食べたらやられると思うぜ。味見に」 「味見、ね…」 烈は苦笑しながら答えた。背後で「烈、デザートあるからね」という声がした。 「しばらくリンゴ三昧なのは間違いなしだ」 「そうだな…」 キッチンに、リンゴの甘い香りが漂っていった。 翌日になり。 二人は服を着替えて外へ出た。 「はい、烈、豪、これお願いね」 「わかった」 「配ってくればいいんだよな」 二人はパイ入りのかごバッグを持って外を出た。 「いまどき男にかごバッグはないだろ…」 そういうのは豪だ。 「しょうがないだろ…母さんが持たせたんだから」 「兄貴はいいよ、かごバッグもってたって…あれ」 ふと烈を見つめ、そして全身を見るように上から下まで視線を向けた。 「なんだよ…」 「いや、烈兄貴にかごバッグって…なんか…赤ずきんみたいじゃねぇ?」 「なっ…!」 豪はにやにやと笑う、そして烈の表情が変わるのを察知して駈け出した。 「豪ー!」 「ごめんごめん、それにそんなにかご振ると、パイ崩れるぜ?」 「うっ…」 そのとたん、ぴたりと烈の動きが止まった。 「わっかりやすいなー、兄貴は」 「うるさい!さっさと行くぞ!」 「はーい」 二人でかごバッグを揺らしながら、道を歩く。 歩いている途中、烈は突然、振り返った。 「…兄貴?」 「いま、なんか寒気が…」 「烈様―――――――!」 「うわっ!」 いきなり声が響き、二人は耳を塞いだ。 「この声は…」 「チイコちゃん、だね」 二人が頷いたとたん、リムジンが二人の横へとまった。 後ろの窓が開く。 「烈様、こんにちはですの」 「こんにちは。こんなところで会うなんて奇遇だね」 「よっ」 藤吉の妹、チイコだった。 リムジンの窓から顔をだし、二人に会釈した。 「今出かけてきた帰りですの、お気に入りのアップルティーの茶葉がなくなってしまったので、買い足しに」 少女らしい可愛らしい笑みを浮かべて微笑む。 「あ、アップルティー……いてっ!」 豪の顔がひきつっているに気づき、烈が思いっきり足を踏んだのだ。 「何するんだよ烈兄貴!」 「もう少し笑顔でいろ、わかったな」 豪の気持ちもわからなくはないが、彼女は何の関係もないのだ。 「あら、烈様、そのかごバッグは何でしょうか?」 「ああ…これはアップルパイだよ。それとリンゴジャム…みんなに配ろうと思ってね」 「まぁ素敵。私も頂いてよろしいでしょうか?」 「うん、いいよ。まだまだたくさんあってね。豪のも中身一緒なんだ」 「今から順番に回るんだ」 言うと、チイコは首を傾げた。 「なら、一同に皆様を集めてしまえばよろしいのでは?」 「集めるって…?」 「ちょうど今から帰ってお茶にしようかとも思っていたんですの、今日は天気もいいですし、お屋敷のほうでパーティを開きましょう」 烈と豪は顔を見合わせた。 「りんごパーティね…いいんじゃないのか?烈兄貴」 豪がにやっと笑う。 「そうだね、配るよりみんなで食べたほうが、楽しいからね」 「決まりですわね!では先にいって準備してますわ、アップルパイ、預からせていただけませんか?」 「いいよ、はい」 「あ、俺のまでいつのまに…」 烈がかごバッグを渡すと、チイコは窓越しぺこりとお辞儀をした。 「ごきげんようー」 そういうと、チイコは颯爽と風のように車を走らせていってしまった。 「…豪、これでよかったのかな」 ぼうぜんと烈は呟く。 「いいんじゃねーの?」 そういって、豪は笑って答えた。 ◆ ◆ ◆ ”パーティ?いいね僕も行くよ!” ”おやつ出るんだって?” ”アップルパイ、いいわね!” 「…みんな、実はレース無いと暇なのか?」 「さぁ…」 三国のお屋敷に来てみれば、見知った顔が数人、すでに来ていた。 「れ、烈くん!」 慌ててやってきたのは藤吉だった。 「おーどうした、藤吉。そんなに慌てて」 「チイコがいきなりパーティをするって烈くんの名前でみんなを呼び集めたんでゲス、いったいどうなってるんでゲスか?」 「ああ…ちょっとね」 かくかくしかじか。事情を話すと、やっと藤吉は納得したようだった。 「それで、りんごばっかり、というわけゲスな」 「俺たちが持ってきたもの以外もあるみたいだけど、お前んちで作ったのか?」 「たぶん、マキが作ったんでゲス」 「へぇ…」 烈と豪が持ってきたのはリンゴジャムとアップルパイだけだ。 それがいつのまにか、りんごジュース、りんごとくるみのサラダ、アップルゼリー、リンゴ入りパンとりんごだらけのデザートが所狭しと並んでいた。 「レツ・セイバ」 呼びかけてきたのはジョーだった。 そばにはブレットもいる。 「君は…アストロレンジャーズのジョー…」 「今日はお招きありがとう。楽しませてもらっているわ」 おいしいわね、このアップルパイ、とパイを頬張りながら笑顔で言った。 「お礼ならチイコちゃんに言ってあげて。本当は配りに行くはずだったんだけどせっかくだからみんな集まったらって企画してくれたんだ」 「へぇ、彼女パーティ好きなのね」 「前回のような衣装は遠慮したいものだがな」 そういうのはブレットだ。 「あれ、お前も来てるんだ」 「ちょうど手が空いていたからな」 なぜか私服にインカムを付けている。デザートを楽しむジョーとは対照的に、こちらはインカムを気にしているようだった。 「どうしたんだブレット」 豪がたずねると、ブレットは口だけで複雑そうな表情をした。 「まだ、ハマーが来ていない」 「ハマー?」 「お前たちから連絡を貰ったとき、ハマーDだけは”まだやることがあるから先に行ってくれ”と言われてきたんだが…」 複雑そうな表情を崩さないブレットに、烈と豪は首を傾げる。 「いや、なんでもない…」 そう言うと、ブレットは足早にどこかへ行ってしまった。 「なんなんだ?あいつ…」 「ブレットはハマーを心配してるのよ、”ちゃんとここにたどりつけるのか”ってね」 「へ?」 「実を言うとね」 ジョーはしゃがむと、二人に耳打ちした。 「ハマーは方向音痴なの、だからブレットはわざわざインカムつけてるのよ」 「あ、あはは…」 つまり、まだこないかとブレットは心配してるわけだ。 「クールになれとか言ってるのに、自分が一番なってないことに気づいてないのよ」 「そうみたいだな…」 今のブレットを人が見たら、たぶん驚くだろう。イメージがまるで違う。 その後ろのほうで、マキがリンゴムースを持って、テーブルに並べている。 「あ、次のデザートがきたみたい、じゃ、またね」 そういうと、ジョーはぱたぱたとリンゴムースの方に向かっていった。 「まだ食べるのかよ…」 「甘いものは別腹だって、前に母さんが言ってたな…女の子はみんなああなのかもね」 「兄貴、どうする?」 「もうちょっと後でもいい…」 「俺も…」 昨日の夜、味見という名目て散々アップルパイを食べさせられた。しばらく、リンゴのデザートは遠慮したいところだった。 烈と豪が確認できるだけでも、ブーメランズ、アストロレンジャーズ、サバンナソルジャーズ、光蠍、アイゼンヴォルフと見知った顔がいた。 「来てないのは、ロッソストラーダくらいかな?」 「まぁ、あいつらはな…」 「なによ、来ちゃいけなかった?」 「ジュリオ?」 アップルパイをかじりながら不満そうな顔でこちらを見ていた。 「このパイ美味しいわね。あんたたちが作ったんだって?」 「あ、それは母さんが」 「ふ〜ん…」 烈がしどろもどろになりながら答えると、ジュリオは複雑そうな表情を作りながらも「お礼言っておいて」といい、パイを食べていた。 二人が持ってきたジャムはこんがり焼けたフランスパンに塗られて飾られている。 パイのほうがジョーとジュリオが率先して食べており、あっという間になくなりそうだった。 烈と豪は椅子とテーブルに座ってリンゴジュースを飲みながら、周りを見渡す。 「母ちゃんのパイ、大人気だな」 なぜか女の子ばかりが盛り上がってるパーティ会場で、豪は呟いた。 「うん…とても入り込めないよ…だけど……」 「兄貴?」 「みんな、楽しそうだし、いいじゃないか」 烈は仕方がない、といわんばかりに肩をすくめた。 「そうだな」 なんだかんだ言いながら、各チームの面々が楽しそうに話している。 それだけでも、このパーティはある程度の意味はあるのだろう。 「でもちょっと退屈だな」 「そうだ…兄貴、ちょっと待っててくれ! 「あ、ちょっとどこいくんだよ豪」 「そこにいろよー」 烈が止めるのもかまわずに烈ははどこかへ駈け出してしまった。 「まったく…」 烈がため息をついた時だった。 「トウキチ・ミクニの家はここでよかったか?!」 「うわああっ!」 茂みから突然飛び出してきた影に驚いて椅子からひっくり返った。 ぜぇ、ぜぇ、と息を切らしながら茂みから飛び出してきたのはハマーだった。 「…は、ハマーDくん…?」 「レツ・セイバか、パーティ会場はここでよかったか?」 「あ、うん…そうだよ」 「アップルパイはまだ残っているか?」 そう言いながら、ハマーは走っていく。 「たぶん…もう、残ってないよ。二人が食べてたから…」 ハマーはさっと表情を変えて、テーブルのほうへ走っていった。 「嘘だぁぁぁ!!」 数秒の後、ハマーDの絶叫が響いた。 「兄貴ただいまー、ってあれ」 周囲に暗い影を纏い、落ち込んでいるハマーに、豪は首をかしげた。 「ハマーDだよな、あいつ…なにあんなに落ち込んでるんだ?」 「お前は知らなくていいよ…」 自分も何があったかはよくわからない。 けれど、さきほどのジョーが言っていた”方向音痴”と茂みから出てきたことを考えるに道に迷っていたことは容易に想像がついた。 「ふーん…、ま、いっか…兄貴、りんご食べようぜ」 「え、だってリンゴは今日もいっぱい食べたじゃないか」 「まともなリンゴは食べてないだろ。藤吉の妹に頼んでもらってきたんだ」 そういう豪がテーブルの上に置いたのは、4個の真っ赤なリンゴと、2本の果物ナイフだった。 「そういえば…確かに普通にリンゴ食べてなかったな…」 「だろ?」 豪はリンゴを取り出すと、グローブを外して皮をむき始めた。 烈も心得たようで、もう1つの果物ナイフを取り出して、むき始めた。 「どっちが長く皮向けるか勝負しようぜ」 「お前じゃ、俺には勝てないな」 「なんだとー…あ」 ぶち、と皮がちぎれて落ちた。 「ああー」 「ほらな」 烈はするすると皮をむいていく。 「よし、俺もやってやるぜ」 そう言いながら、たどたどしい動きでナイフを動かした。 「ほら、豪…そんな持ち方だと指切るぞ」 「平気だって…いてっ」 「ほら…」 豪の指からは、赤い血が小さな玉になって膨らんでいた。 「これくらい、舐めてれば平気だ」 そう言い、豪はぺろりとそれを舌でぬぐった。 「これ」 烈が差し出したのは絆創膏だった。 「指を出せ」 「これくらい平気だって…」 「リンゴに血が付くだろ、いいから」 手首を引っ張り、傷口を上に向けると、ハンカチで傷口をぬぐった。 拭っても血が止まらない。烈は顔をしかめる。 何度も何度も拭って血がハンカチの裏側まで染みてしまっても、構わずに拭った。 「兄貴、もういいって」 豪の言葉にやっと気が付いたように、動きが止まる。 「…これでいいか」 そういって、烈は血を内側にしてハンカチを折りたたんだ。 赤く一本筋を引く人差し指に、烈は絆創膏を巻いていく。 「家帰ったら消毒しろよ」 「おう」 よし、と巻き終えると、豪はぎごちなさそうに笑った。 烈も、そんな豪に少しだけ笑った。 「よーし、じゃ皮むき再開!」 「次は切るなよ、もう絆創膏ないんだから」 「わかってるよ」 その後は黙々と、リンゴの皮が積まれていく。 テーブルの上のリンゴ4個が赤色から黄色に変わった頃、豪が椅子の上で伸びをした。 「あー、疲れた」 「お疲れ」 皿の上には、でこぼこな形になったリンゴが4等分され、全部で16個のカケラがあった。 烈がひとつつまんでかみ締めると、リンゴの味が口いっぱいに広がってゆく。 「美味しいな、このリンゴ」 「だろ、藤吉にいちばん美味しい林檎はどれだって、聞いたからな」 豪もリンゴを口に放り込む。3個ほど食べると、皿リンゴを見て目を見開いた。 「しまった!」 「ん?」 「最初に皮向いたらうさぎ型にならねーじゃねえか」 「…気づかなかったのかよ」 烈は呆れ顔で答えた。 「じゃあ、もう1個…」 「2個食べれば十分だよ」 「う…しまった…」 少しの自己嫌悪で、豪はテーブルに突っ伏した。 「ほら」 フォークの先にリンゴのカケラをさして豪の前で揺らす。 「……」 じーっと豪はそれを眺めていたが、やがてそれを、 ぱくり 「あ……」 しゃりしゃりと音を立てて、豪はリンゴを噛み砕いた。 「美味しいけど…悔しい…」 そういって、また突っ伏した。 「……まったく…」 烈はただ苦笑いするだけだった。そして、ナイフを手に持つと、かけらを1つ手に取り、彫刻でもするかのように、ナイフでリンゴを削った。 「兄貴…?」 「ほら、うさぎ型だ」 豪の前には、うさぎの耳のように傷をつけたリンゴがあった。 「それで我慢しろ」 烈は嘆息する。 黄色のうさぎは、穴の開いた目で豪を見つめている。 「じゃあ、我慢する」 けれども黄色のうさぎには手をつけず、別のリンゴを食べていた。 15個のリンゴのカケラを二人が全て食べると、あとには黄色のうさぎが残される。 「さっさと食べろよ」 「……もったいない」 「はぁ?色が変わってまずくなったほうがもったいないだろ」 「…そりゃ…そうだけど…」 豪はそれを食べることをためらっているようだった。 「さっさと食べろ、それで最後なんだから。今度はちゃんとうさぎりんごを向いてやるから」 「ホントに?」 「嘘言ってどうすんだよ」 「じゃ、食べる」 いただきます、と珍しく言って、最後の1個を食べる。 「パーティのほうも、もうお開きみたいだな」 落ち込んでいたハマーも、マキさんにアップルパイを作ってもらったようで、今は上機嫌でいた。 もう姿が見えない人もいる。 「豪、帰るぞ」 「待ってくれよ」 帰る途中にチイコにお礼をいう。それとかごバッグを受け取った。 彼女のほうは、いいジャムがもらえた、と喜んでいた。 「兄貴」 「ん?」 「…なんでもねー」 「変な奴」 日が高くなった空の下、家路を急いだ。 ◆ ◆ ◆ 「ただいまー」 ドアを開けた瞬間、なんだか甘い香りがした。 しかし、リンゴの香りとは違う、柑橘系の香り。 「…兄貴…」 「なんだか、嫌な予感がするな」 キッチンに入ると、テーブルの上に再びダンボールが置かれていた。 「嫌な予感的中だな、兄貴」 「そうだな」 上機嫌の良江が振り返った。 「あら烈、豪、おかえりー、また当たったんだよ、運がいいだろう?」 「今度は何?」 「オレンジ1箱だよ」 「はぁ…」 今度はオレンジか、と烈と豪はそろってため息をついた。 |