青い塗料のかけら (SoHさんの擬人化マグ&ソニ設定) 「ねぇ、マグナム」 「んー?」 平日の昼下がり。 豪がいない時間、豪の机の上でのんびりと仰向けになってくつろいでいたマグナムは、聞きなれた声で目が覚めた。 「なんだよ、ソニック」 「…ちょっとそこ、寝てないで起きて」 眼を細めながら言うソニックは、どうやら不機嫌らしい。 こういう時のソニックは、断ると非常に不機嫌になってしばらく融通が利かなくなる。 マグナムは不服そうにしながらも、状態を起こした。 立っていたソニックも机の上に座る。 「なんだよ」 「最近、豪はマグナムのメンテしてないの?」 じっ、とにらみを利かせつつ聞いてきた。 「そ、そんなことねーよ。毎日毎日”マグナーム”って呼んで、レースして改造してるし…」 「……」 その言葉に、ソニックは少し眉を寄せた。 やはり不機嫌は治っていないらしい。 「なんだよソニック、言いたいことがあるなら言えよ」 「…わかった」 そういうと、ソニックはマグナムの頭にに手を伸ばしてきた。 「…!」 「動かないで」 言われるがまま、動かないでいると。 ぱっぱっ、と髪を撫でられた。 「……?」 「塗装のカスかな…、結構ついてる」 ふうー、と自分の指先についていた粉を吹いた。 「あー…そういえば、豪最近カラーリング直してたっけ…」 そんなについてるか?とマグナムを頭を振った。 ぶんぶん振るたびに、ソニックに粉が飛んでくる。 「うわっ!やめてよこっちに飛んでくるから」 手でマグナムを払いのけた。 「あー、悪い」 「マシンのメンテナンスはレーサーの仕事だけど、ちょっとくらい気をつけなさい」 身だしなみの意味で。と、腕を組んで言われてしまった。 「ちぇ、いいじゃねーかよ」 「よくない。それでスピード落ちたらマグナムだって嫌でしょ?」 「う……」 はぁ、とソニックを一度ため息をつくとマグナムに背を向けた。 開かれた窓のほうへ向かう。 「どこ行くんだよ」 「くし取ってくる」 そこで待ってて、とソニックは軽々と窓を超えていった。 綺麗にメンテナンスされたソニックの髪は、太陽の光を浴びてきらきらと光ってるようだった。 「ちぇっ…」 ぱっぱっ、と払ってみると青い塗装が指についた。 「……」 しばらくしてソニックが戻ってくると、ソニックは眼を見開いた。 「おまたせーって、ええ!」 むすっとしたマグナム。その髪はぼさぼさだった。 そして、ハンカチの上に青い塗装が散らばっていた。 「悪い…ちょっとやりすぎた」 ばつが悪そうに言うと、ソニックは苦笑した。 「これ見せたら、さすがの豪もメンテナンス不足だって、気づくね」 「ソニ…」 「座ってなさい。梳いてあげるから」 「……」 黙って座ると、ソニックは丁寧にもつれた髪を梳いていく。 「なんか、くすぐったいんだけど…」 「それくらい我慢」 「う……」 くしで梳いてゆくたびに、ぱらぱらと塗装が落ちる。 絡まった部分も解いて、髪を整える。 「なぁ、ソニック」 「なに?」 「なんで、こんなことしてくれるんだ?」 「別に、マグナムの髪が汚れてると、私が気分悪いから」 「……ありがとな」 「言うならレースまでにちゃんとしておくこと」 「おう」 平日の昼下がり。 気持ちのよい雀の声と風の声が、2人を包んでいた。 夕方になり、豪は帰宅すると、マグナムの周りに塗装が散らばっていたのに驚いた。 それでメンテナンスが足りなかったことに気づいて、夜寝るまでぴかぴかに磨いた。 「…あれ?」 同じ時間、烈は首をかしげていた。 なぜか、ソニックのタイヤに、青い塗装がついていた。 SoHさん設定ツンデレソニックに萌えた!のでついつい。 お姉ちゃんというイメージが強いです。 |