振り返りもせずに去っていく広い背中を、朔羅は射るような瞳で見送った。 悔しいが、今の時点ではあの男をどうこうすることはできない。 その朔羅の手に、何かが触れた。 見下ろすと、MAKUBEXにかけてあげた布から、躊躇いがちに手が伸びている。 「朔羅…」 「あら。起こしてしまったのね」 布を跳ね飛ばす勢いで、MAKUBEXが起き上がり、朔羅に訴えた。 「僕が言うのも何だけど…。あんなのを仲間に引き入れた僕が言うのも何だけどっ。彼はとっっっても危険な男だから、二人っきりになっちゃダメだからねっ」 MAKUBEXの必死の言葉に、同調の声が上がった。 「MAKUBEXの言う通りだ、姉者。あの男は危険すぎるっ!!」 「何かあってからでは遅いでっせ。絶対近づいたらアカン!!」 「いつの間に…」 突然現れた十兵衛や笑師に、MAKUBEXと朔羅が目を丸くする。 そこに鏡も現れた。 「全くだね。最悪な場合○○○されたり…彼なら★★みたいな×××がお好みっぽいよね。しかも△△なんてことになったら、無理矢理@@されちゃうことになるかもね。いやいや、女性は大変だ。同情するよ」 「鏡くん…君も朔羅の半径3メートル以内に近づかないでよね」 「嬉しいな、妬いてるのかい?」 笑顔で応える鏡の首に、密かに近寄っていた白い布が、蛇のように巻きつく。 声もなく鏡が仰け反った。 布の先は、朔羅の繊細な手に握られている。 温かい微笑みを浮かべて、朔羅が言った。 「心配してくれてありがとう」 「姉者」 「でも大丈夫よ」 「姉者」 「あんな男に、好きにさせておくものですか…っ!!」 「姉者。それ以上締めたら本当に死ぬぞ」 |