―――未来の時間犯罪者3人の身勝手な復讐により命を落としそうになった『のび太』
―――だが、彼は『神』の気まぐれか必然か『死』を免れる。
―――そして、人を超える存在、『管理者』になる事を頼まれる。
―――そして、今までの自分の役割と鈴を「コピー」に受け継がせ、
―――人とは異なる道を歩むことを決意する。
序章第二節「準備」
『では野比のび太・・・いや、もうこの名前を君は受け継がせたのだったな・・・
何か、希望の呼び名はあるか?』
「・・・では、『蒼太(せいた)』と呼んでください。」
『ふむ・・・「蒼太」か・・・この名にした理由を教えて貰っても良いか?』
「はい。蒼太の『蒼』は親友のドラえもんの色からとりました。
『太』は僕の元の名前『のび太』より・・・せめてもの繋がりをと思いまして・・・」
のび太改め蒼太はそういうと、柔らかく微笑んだ。
『そうか、では蒼太よ・・・君にはまず「管理者」として十分な実力をつけて貰うために
ある場所に行ってもらう。その場所とは・・・「超高次元空間」だ。』
「え!?『超高次元空間』では、僕は生きられないとさっき聞きましたが?」
『ふむ、そのままでは空間の境目を越える前に死んでしまう・・・
そこで君の体に少しだけ力を与え、「超高次元空間」でも生きれるようにする。
その後、君はその空間にいるモノに修行をつけてもらう事になる。』
「修行・・・ですか・・・どれくらいかかるのでしょう?」
蒼太は修行と聞いて、どれほどの間修行すれば『管理人』としての力を得られるのかを考えた。
『それは蒼太、君の努力しだいだ。もっとも、君の体感する時間は今宇宙が進んでいる時間よりも
急激に早くさせて貰う。大体君が体感する十年間で・・・地球は一周自転するくらいだな・・・』
「そんなに違うのですか・・・またここに戻ってきた時には、
おじいさんになっているかもしれませんね」
こちらの時間で5〜6日間修行して、おじいさんになって帰ってくる自分を想像する蒼太。
『いくら私でも体感している時間分の成長を完全に止めることは出来ない。
しかし、成長を遅らせることは出来るから、体感時間10年で1歳年をとるようにしておこう。
もちろん修行を終え、正式な「管理者」となればそれ以降歳をとらなくなる。』
「わかりました。ところで僕の修行をつけてくれるのはいったい誰なんですか?」
自分の師匠となるモノがどのような存在なのか気になりだす蒼太。
『それは・・・行けばわかる。
それと、一緒に時を歩むことになる者たちは君が「管理者」となったら会わせる。』
『神』の返答にどう返していいか悩む蒼太。少しの間頭を捻っていたが、
開き直りに近い感覚で『わかりました。』と答える。
その後、蒼太は『神』に力を貰い、修行へと旅立つ。
『さて・・・次はあの四匹のところに行くか・・・』
そういうと『神』も姿を消し、亜空間には誰もいなくなった。
―――別の空間
そこには四匹の存在が身を寄せ合うように一箇所にかたまり、周りを警戒していた。
『・・・待たせてしまったな・・・』
空間全体に声が響く。より一掃警戒を強める四匹。
『・・・ああ、驚かせたようだな・・・すまない・・・
さて・・・君たちの前でも彼の姿でいたほうが良いだろう・・・』
姿無き声が響くと、四匹の前に『のび太』が現れる。
その姿を認めると、一瞬近寄ろうとするが『何か』を感じ更に警戒を強める四匹・・・
『・・・さて・・・まずは言葉を喋れる様にするのが先か・・・
このままでは君たちの意見を細かく聞くことが難しいからな・・・』
そう言って、指を一回ならす『のび太』。すると空間全体が一瞬光で満たされる。
あまりの眩しさに目を瞑り、再び目を開け『のび太』を見る四匹。
『さあ、これで喋れるようになったはずだ・・・「ペガ」、「グリ」、「ドラコ」、「フウコ」
私は「生命の創造主」・・・簡単に言うと「神」だ・・・』
四匹は自分たちの名を知っていることに驚くと、全員で一旦顔を見合わせる。
少しするとペガが他の三匹よりも一歩前に出る。
「なぜ『神』を自称する貴方がマスターの姿なのですか?」
ペガの声はやわらかくも知性を感じさせるものであった。
『この姿である理由は、君たちの警戒心をあまり煽らない為だ。
それに既にこの姿でいたため、姿を変える必要性を感じなかった為でもある。』
「何故のび太様の姿に?」
グリの声はかたく、一本気な感じのするものだった。
『この姿でいるのだから予想は出来るのではないかな?』
「予想・・・ですか・・・・・・・!?もしかしてご主人様もこちらに!?」
ドラコの声は丁寧で、ほんの僅かに艶を含んだ感じであった。
「ええ!!あにぃもここにいるの!?」
フウコの声はまだ中性的な感じを受ける幼い感じのものであった。
『そうだ。』
『神』はペガ、グリ、ドラコを見る。
『君たちを創りだし、そして・・・』
フウコに視線を移す。
『君をマフーガから切り離した『野比のび太』であった者と先ほどまで会話をしていた。
だが、今はここではない、ある場所で修行をしてもらっている。』
「修行・・・ですか?」
『君たちと直接かかわりを持っていた彼は君たちをこの空間に連れて来た少し後に
身勝手な者達の身勝手な復讐心より消滅の危機にあった。』
「!!マ、マスターは無事なのですか!?」
消滅と聞いて、のび太の無事を確認するペガ。他の3匹も気になりだす。
『先ほども言ったが、彼は現在修行中だ。消滅に至る道は私が退けた。』
「じゃあ、あにぃは生きているんだね。よかった〜」
フウコと同じように安堵のため息をもらす3匹。
『君たちは、彼の事を自分のこと以上に気にかけているようだね』
「もちろんです!ご主人様の事は自分の存在よりも大切な方、そしてもし傍に
いられるのであればお支えしたい方であると思っています。
私はもちろん、ペガ、グリ、フウコも同じ思いです。」
ドラコの言葉に肯く3匹。
『そうか・・・君たちならば彼も安心するだろうな・・・』
僅かにやわらかく慈愛満ちた感情のこもった言葉を口にする『神』、
だが、すぐに気を引き締めるようにして、また語りだす。
『君たちをここに招いた理由を言う前に、先ほどの彼との会話を教える必要がある。
まずは、私の話を聞いてくれ。』
というと『のび太のこと』『「管理者」のこと』『修行のこと』等を話す『神』。
『・・・という訳で、彼には現在「超高次元空間」で修行をして貰い、
「管理者」としての力をつけてもらっているところなのだ。』
『神』はここまで喋ると一旦口を閉ざし、4匹の反応を見た。
四匹はあまりにもスケールの大きな話に驚きながらも、自分たちの知らないのび太達の凄さに
驚きつつも感心し、また自分たちの大切な存在の偉大さにうれしさを感じていた。
『さて・・・先ほども言ったとおり「管理者」はほぼ永遠と言えるほどの永い時を流離う・・・
独りでいるには辛辣極まりない状況だ・・・そこで・・・』
四匹を見る『神』の目に悪戯っぽい光がまざる。
『彼―――蒼太と永い時を共にするもの達が必要になる。
君たちをその候補としてここに招いたのだが・・・どうするかね?』
そこまで聞いた四匹は一旦顔を見合わせるが次にその目に浮かぶものは全員一緒だった。
その目には「拒否」という答えはかけらほども浮かんではいなかった。
『その目を見る限り、全員が蒼太と共に永遠を生きる決意を持っているようだな。』
「「「「マスター(蒼太様、ご主人様、あにぃ)と一緒ならどこへでも!」」」」
四匹は申しあわせたかのように答える。『神』はその答えに顔をほころばせた。
『そうかそうか、では君たちにはこれを飲んで彼を待っていて貰いたい。』
そういって『神』は手を胸の高さまで上げ、30cmくらいの円を描くように翻す。
すると、4匹の前それぞれに金色に光る小さな球が現れる。
『それは君たちの体を創り変え、別な姿にもなれるようにするためのものだ。
今の君たちの姿では目立ってしまう可能性がある。
そのため、彼と同じ様な姿に変る必要が生まれて来るというわけだ。
もっとも、背格好はそれぞれの個性が現れたものに変わるがね・・・
それを飲み込んだら一時的に「たまご」の状態になってもらう。
その状態で彼の修行が終わるのを待つのだ。』
4匹はそこまで『神』の説明を聞くと、全員同時に光の珠を飲み込む。
次の瞬間、四匹は色とりどりの光に包まれる。
しばらくして光が収まるとペガがいた場所には白い光を放つ球が、
グリのいた場所には黄色い光を放つ珠が、ドラコがいた場所には緑色の光を放つ珠が、
フウコがいた場所にはオレンジ色の光を放つ珠がそれぞれ浮かんでいた。
それを見て、安堵のため息をつく『神』。
『これで「管理者」となった後の準備は整った。
後は彼―――蒼太が修行を終え、「管理者」となって戻ってくるのを待つばかりだな。』
そう呟いた『神』の顔にはペガ達と再会したときの蒼太の驚く顔を思い浮かべているような
悪戯の成功を企んでいる子供のような笑顔が浮かんでいた。
―――今まで自分を表す名「野比のび太」を譲り、新たな名を自分で付けた「蒼太」
―――蒼太は「管理者」に必要な力を得るために「超高次元空間」で修行する事に
―――そして『神』はペガたちに会い、蒼太についていくかどうかを問う
―――ペガたちは蒼太と共に歩む決意をし、修行の終わりを静かに待つ。
―――そうとは知らずに修行の地へと向かう蒼太
―――彼を鍛えるのはいったいどんな存在なのだろうか・・・
「後書き」兼「レス感謝場」
ここまで読んでくれた読者の方、ありがとうございます。
放浪の道化師です。
さて、今回から「のび太」の名前が変わり「蒼太」となりました。
しかも、あの四匹も名前を変える予定だったりします。
さあ、これで「ドラえもん二次SS」と呼べるのか!?(爆)
追伸:感想のメールをくれた「M・T」さん、「てぃー」さん、「kazu」さんそして、掲示板に感想をくれた「ファルケ」さん。感想ありがとうございます。
追伸の追伸:一部矛盾のあったところを改正しました。
呼べるのかではない!!呼ばせるのだぁ!!(ナニ
と、無茶言ってるようですがそうでもないかと、ようは面白ければ何も問題はない、キャラの名前が変わろうがどうなろうが面白ければ其れは問題にすらならないかと。
そしてこのSSは面白い、だから私は良いと思いますよ〜ハイ、一読者として此れからも応援して行きたいです。では第三話も期待して待っております。
其れでは最後に、読んだら感想を出来れば送ってくれるようこの場を借りてお願い致します、矢張り感想の有る無しではヤル気も段違いですからね。
mubounojyaou@hotmail.com
読んだ後は是非感想を!! 貴方の一言が作者を育て、また奮起させます