警告!!
この物語はフィクションであり、現実に存在する全ての人物・団体・理念・学問等とは一切関係ありません。
この物語は 十八歳未満の読者には不適切な表現が含まれています。何かの間違いでこの警告文を読んでいる十八歳未満の方は、直ちに撤退してください。
なお、エロス描写に関して峯田はど素人です。未熟拙劣をお許しください。
作品中に 読者に不快感を与える要素が含まれておりますが、峯田作品の仕様であります。ご注意ください。
作品中に 寒いギャグが含まれておりますが、峯田作品の仕様であります。ご勘弁ください。
この物語は T.C様 【ラグナロック】様 難でも家様 のご支援ご協力を受けて完成いたしました。感謝いたします。
『ソウルブリーダー 〜無免許版〜 その1』
そいつと出会ったのは、ある暑い初夏の午後だった。
1
俺の名は与渡大輔(よわたりだいすけ)、認めたくはないが本名だ。
変な名前と自分でも分かるぐらいに偏屈な性格を持つ、ごく普通の高校二年生。
仇名はオヤジ。
どうも俺の言動はオヤジ臭いらしい。俺としてはごく普通に行動しているだけなんだがなー。
だって、羽根が生えたガン○ムなんぞガ○ダムじゃねえよ。違うか?
ま、俺はやっかまれても仕方がない立場に居るからな。仇名で済んでるだけマシってもんだ。
何故に妬まれるかとゆうと‥
「お兄ちゃん、駄目でしょ!折角母さんが作ってくれたのに。‥はい、お弁当」
「大輔、良ければ一緒に学食に行かないか?」
とまあ、教室前の廊下で俺は弁当包み片手にもった中学二年生(そこそこ可愛い)と食券片手の高校三年生(我が校随一の美女)とに挟まれてるわけで。
正直、他人から見れば妬みたくもなるだろうさ。カミソリレターぐらいなら送られても赦しちまうぜ。
母さん手作りの弁当箱ぶらさげて俺を睨みつけている女子中学生は俺の妹、与渡由香(よわたりゆか)
体育の整列で前倣えする必要がない背丈と、棒のよーに細い手足と、絶壁のよーなボディを持つ‥まぁ一言で言えばしょっちゅう小学生に間違われる、ちょっと可愛そうな奴だ。
セミロングに伸ばした髪に、キューティクルの輝きが天使の輪を作っている。
顔は童顔とゆうかガキっぽいが、結構可愛い。同じ世代の女の子を10人集めれば確実に3位以内に入れると思う。
まぁ、兄の身びいきかもしれんが、容姿の美醜なんぞ所詮は主観だ。
で、食券翳して文無しの俺を学生食堂へ誘ってくださる先輩は、与渡沙希(よわたりさき)
俺と由香の従姉だ。俺は昔から沙希ねぇと呼んでいる。
またまた俺の主観だが、沙希ねぇは同じ世代の女の子を1000人‥いや10000人集めても間違いなくトップに立てると思う。
細いけど出るべき所は出てるし、動作にも一々隙とかたるみってものが無い。
美人ってゆうか、美形だろうな。少女漫画の王子様みたいな人だ。
ショートヘアだから男物の制服が似合うんだこれが。
容姿だけでなく、文武両道に秀で所作至らぬ所無しのハイスペック高校生なんだ。
チャット仲間に沙希ねぇのこと説明したら、「何処の漫画の主人公だ」と脳内妄想扱いされたくらいだ。
あれでも大分割り引いて話したんだがなー。
まぁ、沙希ねぇも人間だから欠点もあるんだろうが‥
宝塚の男役みたいな喋り方とかは、俺には欠点と映らないから無問題だ。
はっきり言って俺は沙希ねぇに頭が上がらない。
小学生時分には、夏休みの宿題を七月中に全部片付けるように監督してくれた。
おかげで八月いっぱい宿題を気にせず遊び倒すことが出来た。九月の始めには教科書に何が書いてあるのか解らなくなるまで遊んだのは失敗だったが。
中三の春に母さんが入院したときは、二週間も泊まりこんで俺と由香の面倒を見てくれた。
おかげで俺もチャーハンぐらいは作れるようになった。
高校生になった今は、弁当を忘れた従弟に昼飯を奢ってくれる。
流石に只飯だときまりが悪いので、食った分は働いて返しているけどな。
てゆうか、俺が弁当忘れたのいつ知ったんだこの人? 忘れた本人ですら10分前まで気付かなかったんだが。
「残念だがまたの機会にしよう。食券は腐らないからな」
俺があれこれと考えているうちに沙希ねぇは退くことを決めたらしい。男前な微笑みを浮かべて去っていった。ううむ、後姿も格好良いのう。
「はい!お弁当!!」
痛っ ‥て由香、食い物を投げつけるな! おにいちゃんはお前をそんな風に育てた憶えはないぞ!?
妹が投げつけた弁当箱の包みを、落ちる前に掴み取る。
由香は俺の叱責も無視して、去っていく。後頭部に十字マークが出そうな様子だ。
昔はおにいちゃんおにいちゃんとよく懐いてくれたんだがなー
これが反抗期とゆうやつか。
えー 弁当はおもいっきり中身が寄ってました。
ハンバーグが卵焼きと焼きトマトを容赦なく押しつぶしてます。
由香め‥鞄に弁当入れて振り回しやがったな。畜生。
2
あっとゆう間に放課後だ。
「暑いなー」
今年はいつになったっら梅雨が来るのだろーか。干乾びる前にとっとと帰ろう。
家の冷蔵庫には一昨日まとめ買いしたアイスがまだ残っていた筈だ。
だがしかし、さっきからちと気になることがある。
どうも尾行されている‥誰かが俺の後についてきているようなのだ。
振り返ってみると、誰かが横道に隠れるのが見えた。
ふむ‥俺もこのところは大人しくしているんだが、昔の恨みを引きずっている奴でもいるのだろーか。
確かめてみるか。
とゆうことで俺は100メートル走なみの勢いで走り出した。
うむ、間違いない。誰かか後ろから追いかけてくる気配がする。
裏道を突っ走り、曲がり角に入って急停止。電柱の陰に隠れて、足を道にひょいと突き出す。
直後、出した右足に結構な衝撃が。見事にひっかかってくれた。
「ぐひゃっ」
追いかけてきた奴は俺の足に躓いて、車に撥ねられた馬鹿犬みたいな悲鳴を上げてすっ転び、アスファルトの地面に叩きつけられた。
で、俺をつけてきた奴は‥顔見知りじゃありませんでした。
てゆうか、全身黒タイツ姿の二メートルはある筋肉質の大男なんて、俺の知り合いにはいません。
まだ六月とはいえ、この炎天下に黒タイツなんぞ狂気の沙汰だ。
係わり合いになりたくないので、とっとと逃げることにする。家の方角がばれると嫌だから遠回りして帰ろう。
そんなわけで商店街で涼んでいると、買い物中の母さんにとっ捕まりました。
電気屋の店頭で扇風機に当たっていたところを見つかって、今は特売の卵を買うのに並ばされてます。
健康地鳥の卵ねえ。
奥さん今日もきれいだねえ とかなんとか母さんが魚屋の店主にお世辞言われてる。
半分はリップサービスだろうけど、由香の母だけあって母さんは確かに若くみえる。
由香は無理だが、女子大生や社会人に間違えられることもある沙希ねぇと並べば姉妹に見えないこともない。
いやまあ、本当に若いけどな。
若さにまかせて青春を暴走したあげく、16で俺を産んだ母さんは「子供は二十歳になってから」と口癖のよーに由香に言い含めている。
それで良いのか? 我が家の性教育は。
‥て、オイ何時の間にやらさっきのタイツ男がいるよ。
変質者の分際で白昼堂々と商店街に現れるとは太い野郎だ。ここは一つ善良な市民の義務として警察に通報を‥
と思いきや、肉屋のおばちゃんも買い物中の小学生も、誰一人としてタイツ野朗に注意を払わないではないか。
さてはどこかの店のサンドイッチマン(看板なし版)かと思えば、それも違うらしい。
見慣れているから気にしないんじゃなくて、俺以外には見えてないようなのだ。
「ねえ母さん、これ何に見える?」
俺が指差した先にあるものは‥
「‥ケロ○ンでしょ?」
薬局の店頭に置いてあるカエルの置物と、それにめり込んで存在する黒タイツの大男。
そうだよねケ○ヨンだよね。
‥なんてこったい。
聴覚や触覚付きの幻覚見るとは‥疲れてるんだな。早く帰って寝よう。
えー 黒タイツ君ですが、家までついてきやがりました。こん畜生。
母さんはまだ買い物続けるとゆうことなので、俺は荷物を持って一人で先に帰ってきた。
帰ってからはとりあえず水で精神安定剤代わりにカルシュウム剤を飲んで、生ものの類を冷蔵庫に入れておく。
あ、由香のやつ俺が楽しみにしといたチョコ最中を‥ まぁいい、イチゴミルクにしとくか。
「で、お前は何者なんだ?」
二階の俺の部屋に上がり、アイス食って落ち着いたところで、部屋まで勝手について来た黒タイツ野郎に訊いてみる。
帰り道で観察してみた結果、どうやらこいつは俺にしか見えず俺にしか触れないらしいことが分かっている。
黒タイツ野郎は徐に口を開いた。やっぱり喋れるらしい。
「俺の名は悪魔サタナエル。貴様に良い話を持って来たのだ、与渡一族の雄よ」
帰れこの野郎。
3
なにが悪魔だ。
確信した。こいつは俺の妄想や幻覚じゃねえ。
俺の脳内からなら、もう少しマシなものが出てくる筈だ。
第一だ、サタナエルってのは悪魔としてもかなりの大物だろ?
オカルトにあまり詳しくない俺でも、それぐらいは知っている。人間の足払いですっ転ぶ間抜け野郎なわけがねえ。
「じゃあなにか、お前のクラスの九条さんは摂関家につらなる貴族か? 担任の斎藤教諭は油売りの子孫か?」
む? まさかサタナエルってのは悪魔としてはポピュラーな名前だと言うのか。
しかし意外と渋い声してやがる。声優で言えば若本系だな。
「強くて有名な悪魔ほど名前は短くて済むんだ。人間界でも一般庶民は個人を特定するのに一々細かいデータを言わなきゃならんが、有名人なら名前だけで誰のことか分かるだろ?」
なるほど。
たとえば俺が教室でクラスメイトに「昨日イチローがさぁ‥」とか言われても、○○市××の△番地大山ビル501号室に住んでる山田一郎さん(62歳)‥のことだとは普通思わないよな。
てことは タイツ君の名前はさぞかし長いんだろうな。
「俺の正式な名はサタナエル・アブソリュート・ビグザォン・デラ・クーゲルハイト。大悪魔サタナエルの眷属に当たる。年齢は四百とんで七歳だ」
ふーん‥ で、サタナエル・アブソリュート・ビグザォン・デラ・クーゲルハイトよ、その名前って本当に君の名前なのか?
「いかにも。 あ‥」
流石に自分が何をしたのか気付いたようだが、もう遅い。
サタナエル・アブソリュート・ビグザォン・デラ・クーゲルハイト! 汝は過去現在未来に渡り与渡大輔とその血族及び友人知己に如何なる危害も加えることはできず、また危険を見過ごすことで間接的に危害を加えることもできない!
「し、しまったー!!」
頭抱えて床に突っ伏すタイツ君。悪魔とか妖精とか、オカルト的存在は名前が知られるとそいつの言いなりになってしまうそうだが、本当らしいな。
人生でオカルト知識が役にたった初めての瞬間だ。
馬鹿だ、こいつは正真正銘の馬鹿だ。
普通、悪魔が神父でも魔術師でもない素人にやられるか?
三流四流を飛び越えて、Z級のヘボ悪魔だ。映画ならエド・ウッド作品級だ。
俺の特技が瞬間記憶芸だってことを知らなかったんだろうが‥それにしてもお粗末過ぎる。
さーて、何が目的なのか話して貰おーかい。
あ、嘘は無理だよ。サタナエル・アブソリュート・ビグザォン・デラ・クーゲルハイトは今後一切俺に嘘つけないからね。
黙秘権も弁護士を呼ぶ権利も認めないよ。
4
さーて、きりきり話して貰おうか。
で、色々と訊いてみたが、このタイツ野郎が悪魔サタナエルの眷属‥下っ端なのは本当のことらしい。
少なくとも本人はそう信じ込んでいる。
心ゆくまで問い詰めたら白状したが、眷属ではあるが魂取り扱いの免許を持ってない、最下級の悪魔だそうだ。
まぁ無理も無いな、俺が上司なら絶対コイツには免許やらねえ。コイツにやるぐらいなら近所の野良猫に医師免許与えるほーがよっぽどマシだ。
なんでまた悪魔が俺の所に来たかとゆうと、魂の問題なんだそうだ。
悪魔は魂を欲しがる。
ただし普通の魂にはそれほど価値がない。滅多に手に入らない、希少価値の高い魂に人気があるんだそうだ。
で、俺を含め与渡一族は天使や悪魔と契約する才能を持っている。魔力とゆうか霊力とゆうか、その手の能力が高いわけだ。
「言ってみれば貴様は絶滅危惧種のクワガタムシの雄で、俺はクワガタムシ養殖で一儲けを狙っている山師さ」
マニアの間じゃ綺麗なカナブンや蝶が一匹うん十万で取引されていて、生きた宝石とか呼ばれているそうだが‥
そうか、悪魔って昆虫マニアみたいなものなのか。
でもって、与渡一族はこの最下級悪魔しか知らない希少種で、上司にも秘密の穴場みたいなものらしい。
なんで最下級のへっぽこ悪魔が希少種を知っているかとゆうと‥与渡一族は一年前に死んだ俺の爺さん、与渡源一郎(よわたりげんいちろう)の代で突然変異により悪魔と契約する能力を得たわけで‥
そして若い頃の源一郎爺さんと魂の契約結ぼうとしたは良いが、契約書類に不備があって魂の支払いを請求できなくなり‥
結局爺さんの魂は取れず、魂取り扱い免許剥奪のうえ最下級に降ろされたのが、このへっぽこ悪魔ってわけだ。
爺さんは戦災孤児から一代で財を成したと聞いていたが、悪魔と契約してたのか。
ちと詰まらん種明かしだが、踏み倒したあたりは流石だな。
苦手な爺さんが死んだから、一族ただ一人のオスであるこの俺に接近したわけだが、組し易いアホと油断したのが運の尽き。
あっさり名前バレして俺の支配下に置かれちまった。
そーいや、爺さんの孫で男は俺だけだな。
「貴様は子孫繁栄、俺は名誉挽回。悪い話じゃないだろう?」
まぁな。自慢にゃならんが俺は彼女居ない暦17年。血族以外からチョコ貰った試しがない。モテモテ君生活に憧れがないと言えば嘘になる。
しかしコイツ立ち直り早いな。悪魔らしいと言えばらしいけど。
とりあえず話だけでも聞いてみるか。
どうやって俺の子孫を増やす気なんだ? こいつは。
「これを使うのだ」
何か出してきた‥ おもちゃの拳銃っぽいものだな。モデルガン風じゃなくてプラスチックの水鉄砲みたいなヤツだ。銃口の上に丸に十字が入ったスコープが付いている。
「魔界の玩具だ。だが地上でならそれなりに使える」
ああん? 鉄砲でどうやってモテモテ君になれるんだ?
「勘違いするな、この銃には一切殺傷能力はない。なんなら試し撃ちしてみるか?」
俺は悪魔に言われるとおり、部屋の窓から外を見渡してみる。
「銃口をメ‥人間の女に向けると、ロックオンする」
おお、確かに。干した布団取り込んでいる団地の奥さんから、公園で遊んでいる赤いランドセル背負ったお子様まで、スコープ越しに覗き込むとピタリと照準が合うじゃないか。
「どれでもいいから撃ってみろ」
キューピッドの矢みたいな物なのだろーか。だとしたら相手を選びたいところだが。
くどいようだが、本当に安全なんだろうな?
「撃てば目標の子宮内に貴様の精子がテレポートで移動するぞ。量は柄のダイアルで調製出来る。とりあえず今は100万匹に合わせてるが」
俺は 渾身の力を込めて目の前の腐れ悪魔をぶん殴った。
5
「おにいちゃん大丈夫? なんか凄い音がしたけど」
あー 大丈夫大丈夫、ちと荷物をひっくり返しちまっただけだ気にするな妹よ。
いかんな、思い切り殴りすぎて拳が痛い。
「‥いきなり何をする」
何をする じゃねえよ。
手前、子孫繁栄ってのは俺の遺伝子を無差別にばら撒くことなのか、コラ?
「どうせ結果は同じなんだから良いじゃねえか」
何処がだ。身に憶えもない子供が出来たら‥とゆうか妊娠した時点で良くて家庭争議、悪けりゃ人死にが出るぞ。
「だからなんだったってんだ? 貴様の知ったことじゃないだろ。確かに堕胎されたり捨てられたりで効率は悪いだろうが、一万人もばら撒けば」
もう一発ぶん殴る。
「解った。もったいない精神ってやつだな。なら隣町にミッション系の女子高があるから其処で種を蒔こう。信仰篤いのを選べばOKだ。連中、戒律上堕胎できないからな。養育費の心配も要らないぜ。一人の娘が何時の間にやら孕めば不貞だが、百人の娘が一夜で孕めばそれは奇跡だ。奴隷根性を大いに発揮して神の試練だってことにしちまうさ」
こいつ、悪魔だ。
「ん? 最初っからそう言ってるだろ?」
そういやそうだったな、ヘボ悪魔。
6
「これが『奴隷首輪』と『ペット首輪』。首にはめて暮らしているうちに段々と心が奴隷やペットになっていくぞ。4〜5日もあればサッ○ャー元首相でも可愛い子猫になってくれるぜ」
却下。生憎と俺にはSMプレイに付き合ってくれる女が居ない。
「ならこの『家畜烙印』はどうだ? たっぷり焼いてから素肌に押しつけりゃ、それだけで押された奴は絶対服従だぜ」
ガスコンロと焼印持って歩き回るのか? 5分でパトカーがやってくるぞ。
「ならこの『結界鈴』はどうだ? 半径10メートル以内には人も寄ってこないし、音も光も臭いも漏れないから拉致監禁には持ってこいだ」
拉致も監禁も趣味じゃねえ。
「ならこの『失神飴』はどうだ? 口に含めば一発昏倒。吐き出さない限り目は覚めないぜ。これなら痴漢だろうがなんだろうが」
俺は黒タイツ悪魔が次々と出してくるろくでもないアイテムの山を眺めて、ため息をついた。
ちなみにあのふざけた銃は、魔界の子供が使う『ペット繁殖キット』の一部らしい。
オスメス双方の生き物を指定して、狙って撃てば最寄りのオスから精子を吸い取って目標のメスに送り届けるんだと。
昆虫採集セットに付いてる注射器みたいなものか?
「我侭なやつだな、一体何が不満なんだ」
全部だ全部。
こんな使えない悪魔、とっとと魔界なり地獄なりに追い返したいところなんだが‥野放しにすると危険だからなあ。
早い話、コイツが上司や知り合いに俺の‥与渡一族のことを話すだけで大変なことになる。
穏便に済む場合でも、レアものの魂繁殖で一儲けを企む悪魔が列を作って俺の家に押しかけてくる ‥ぐらいのことは有るかもしれない。
もしそうなったら、俺じゃ対処の仕様がない。
次の奴も、目の前の間抜けみたいに巧くあしらえるとは思えないからな。
なんとかコイツと付き合っていかなきゃならない。
それに魔界アイテムを上手く使えば、俺はモテモテ君になれるかもしれないしな!
よーし、お前は今日からサタえもんだ。一々長たらしい本名で呼ぶのも面倒だし。
「もう少し格好良い名前にして欲しいんだが」
五月蝿いお前なんかサタえもんで充分だ。
読んだ後は是非感想を!! 貴方の一言が作者を育て、また奮起させます