鬼畜魔王ランス伝
第33話 「魔王出陣」 RC1年11月20日。魔王軍はヘルマン西部地域の制圧を完了した。ちょうどステッセルがシーラ派のヘルマン残党を扇動して叛乱を起こしていた地域を…だ。 その日に合わせるかのように、魔王領からの援軍5万が対人間の前線基地となったローレングラードに到着した。その指揮官は…… 「がははは。出迎えご苦労。」 魔王ランスその人であった。 その他にも、新しいカードの威力を試す為に付いて来た魔人キサラ。 無理を言って同行してきた魔人サテラ。 試作した生体兵器群を実験する為にやってきた魔人シルキィ。 という面々が、この増援部隊に随従していた。実はマリアも付いて来たがったのだが、空中戦艦の建造が遅れている罰も兼ねて置いてこられていた。 それを一列になって出迎えるのは、アールコート、ミル、ナギ、メナド、メガラスの5名の魔人であった。 「俺様たちは疲れてる。だから、さっさと暖かい場所に案内しろ。」 実際には疲れているのは女性の魔人たちで、ランスは元気いっぱいという風に見えるのだが、それにツッコミを入れるような人間はここにはいなかった。当然ながら、疲れたらシーザーが運ぶハズのサテラや、リトルに乗ってきているシルキィまで妙に疲れてたりするのにも……だが。 「はい。王様、こちらです。」 素直にアールコートが案内したのは、元はヘルマン第2軍の本部だった建物にほど近い街の有力者の屋敷だったと思しい邸宅だった。その中は既にメイドさん(注:女の子モンスター)によって隅々まで整えられていた。ランスの到着に備えて。 「おっ。そこそこ良さそうな家じゃないか。うん、グッドだ。」 「ありがとうございます、王様。」 褒められて照れるアールコート。だが、彼女を……そして、他の魔人達の顔を本格的に赤く染めるのはこれからというものだ。 「メガラス。お前はあっち行ってろ。話は後だ。」 メガラスはその命令に無言で首肯すると、玄関の扉から出て行った。そして、ランスは屋敷の中が自分以外は全員女という環境になったのを確認すると、アールコートの左胸を優しく鷲掴みにした。そのまま優しく揉みしだく。 「がはははは。お前ら、よくやった御褒美に俺様がハイパー兵器をプレゼントしてやる。感謝して股を濡らしとけ。がははは。」 ……3時間後、エントランスホールのカーペットの上に満足そうな顔をして気を失っている女性たちがごろごろと転がっていた。そこに転がっているのは7名の魔人女性だけではなく、メイドさんたちも何人かつまみ食いされて横たわっていた。その真ん中に横たわっているのは、勿論ランスである。 すっきりした顔で立ち上がったランスは、手近にいたメイドさんに毛布を持って来るよう命じると、風呂に入りに行くのだった。両手に“おみやげ”を抱えて。 風呂の中で第2ラウンドが始まったのは、言うまでもない事であろう。 人類軍……ヘルマン・リーザス連合軍は、ローレングラードと帝都ラング・バウの中間あたりに陣を張っていた。その総勢は2万。ラング・バウで加療中の負傷者たちが戦列復帰するまでは、これが全戦力である。 彼らの任務は単純。 味方が復帰するまでの時間を稼ぐ事。それも、できるだけ損害を受けずに。 言うは易く、行うは難い……の典型のような任務だ。 それでも、文句を言い出す者はほとんどいない。 今の時点でここを抜かれればどうなるかを皆が理解しているからだ。 彼らの悲愴な決意を何処吹く風と、ローレングラードを占拠した魔王軍はなかなか動き出さなかった。街周辺の防御を固めるばかりで。 その頃、ローレングラード内では、遂に捕虜とランスが対面する時がやって来た。 ランスは軍本部地下の懲罰房に入れられている彼女らと一人ずつ順番に会う事にした。ランスが勝手に決めた順番で。 まずは、着衣のままエッチな縛り方をされて床に転がされているルーベランが引き出された。そのまま運ばれるのは……ベッドルームだ。そこで、ランスは吊るすように運んできたルーベランを無造作にベットの上へと下ろした。 「貴様! ……私をどうする気だ!?」 ここに運んで来る途中にも何度も言った台詞だが、ランスはようやくそれに答えた。 「頭悪いのか? 男と女がベッドの上でやる事なんてひとつしかないだろう。」 「なっ!」 直面したくなかった事実に直面させられて、ルーベランは絶句した。 「メリムに悪いから命は取らんが……俺様を満足させてもらおうか。2、3度ほどな。」 意地の悪いにやにや笑いを口元に浮かべるランス。 「貴様! 妹に…メリムに何を!」 「俺様の女にした。付いて来ると言ったからな。」 声にならない怒りの声がルーベランの喉の奥にわだかまる。しかし……ランスはそんなものにかまってはいなかった。ルーベランが着ている服を素手で破り捨てていく。全身を荒縄が縛めているままで。 「くっ! や、やめろっ!」 身体を捩って抵抗を試みるが、そのたびに身体のあちこちを……特に敏感な個所をいくつも刺激するだけに終わる。だが、その抵抗も 「がははは。お前と一緒に捕まえたお仲間がどうなってもいいなら、やめてやってもいいぞ。」 というランスの言葉によって封じられてしまった。後はひたすら時が過ぎるのを…暴虐が終わるのを待つだけ……そんな心境で棒のように転がるだけのルーベランに、彼女の予想を上回る行為が襲ってきた。彼女の首筋をランスが噛んだのだ。 <カプッ> 甘噛みどころではない。異様に発達した犬歯が首の皮膚を破り、血を啜っているのだ。 血を吸われる事で、ルーベランの身体に眠っている“女”の部分が無理矢理に覚醒させられてしまった。嫌悪感しか感じなかったランスの手が、肌が、極上の絹にも勝る肌触りと化す。身を捩るごとに感じる荒縄の刺激が何度も何度もルーベランを軽くイかせる。 身体を割り開いて来たハイパー兵器が発射される頃には、ルーベランの意識は与えられる快楽のあまりの強烈さに途切れてしまっていた。 数時間後、懲罰房の中で目覚めたルーベランは、荒縄の“上”から服を着せられているのに気付き激高するが……もちろんどうにもならなかった。身動きできるように手足の縛めは解かれていたが、部下達のことを思えば下手な事はできなかった。 結局、唇を噛み締めて耐える事しか、彼女に出来る事はなかった。 次に覗きこんだ房に入れられていたのは……樽詰めになって頭だけをちょこんと上に出しているラファリアであった。より正確に表現すれば、ラファリアのトリモチ漬けの樽詰めである……なんか食品か何かみたいだが。 視線を感じて憮然としていた表情を激怒に変えようとしていた彼女だったが、視線の主がランスである事に気付くとすぐに、にこやかな笑顔に表情を変えた……所々が破綻した作り笑顔に。 「陛下。お久しぶりでございます。」 「おう、久しぶりだなラファリアちゃん。元気そうだな。」 ラファリアは、どこから出て来るその軽口は……という素直な感想を心の中に完璧に仕舞い込んで、これまた完璧な演技力を発揮して作り出した甘い声で答えた。 「ええ、陛下。今日はお願いがありますの。」 本来なら、ここでしなのひとつも作ってしなだれかかるべき場面であるが、あいにくダルマも同然の格好だ。頭がかろうじて無事だったのが幸いだが、このような境遇に追い込んだアールコートに対して更なる敵愾心が湧き上がった。 「何だ。言ってみろ。」 「私も魔人にしていただけないかしら。魔人になれば、あのアールコートよりも役に立って見せますわよ。」 目が爛々と輝いている。何か魂胆があるらしいが、当然ランスは気にしない。 「そうだな……まずはベッドの中で役に立つか見てやろう。」 樽を破壊し、ラファリアには傷一つつけずに、とりもちを凍らせて砕いていく。そんなランスの魔力に、ラファリアはもう一つだけ懐に残してあったとりもちのカプセルを使うのを諦めた。 そんなラファリアが連れて行かれた先は……大きな浴室だった。 とりもちの残滓を洗い落としながら行なった、初めての浴室での性行為は…… 「ん〜、51点。」 ……惨憺たる評価だった。 「くっ、次は……次こそはもっと評価させてみせますわ!」 「がははは。そうか、頑張れ。」 なお、油断なく脱出の機会をうかがってたラファリアは、懲罰房の今までと別の部屋へと入れられた。ご丁寧に着替え……囚人服なんぞを着せられて。 そして、ランスは元の部屋の残骸の中からアールコートに与えたスーパーソードとバイロードを回収した。……思惑通りに。 なお、その後、何度か行なわれた追試の結果、ラファリアは不合格となった。 次の相手……志津香は捕獲した功労者に連れてこさせる事にして、自分はベッドルームで待機する事にした。 ほどなくナギがやって来る。両手に異父姉を抱えて。 「魔王。命令通り連れて来た。」 頭に魔法を封じる魔封輪をはめられ、厳重に手足を縛られた志津香は、そのままドサッと床に放られた。たまたま毛先の長いカーペットだったからそれほどでもなかったが、そうでなければ、かなり堪えたに違いない。 「くぅっ」 それでも思わず声が漏れるほど痛い。そんな痛みにうめいていると、次のような会話が横から聞こえてきた。 「がははははは。偉いぞナギ。」 目を細め、頬を僅かに染めて気持ち良さそうに頭を撫でられているナギを見て、志津香は世界の不条理さと不公平さを垣間見た。 「で、魔力の方は上だって事は判ったが……アッチの方の修行はどうかな?」 「アッチの方も上だ、魔王。魔想の娘よりもな。」 にやにや笑うランスにムキになって反論するナギ。それを見て志津香は溜息をつきつつ答えた。 「アッチって……どうせ、またろくでもない事でも考えてるんでしょ。やらせろとか、やらせろとか、やらせろとか。」 「おう。良く分ったな。」 「そりゃ、分かるわよ。」 「という訳で勝負だ。ナギと志津香のどっちが早く俺様のハイパー兵器を発射させられるかって勝負だが……。」 「お断りよ。」 「お前が勝てばちゃんと釈放するって言ってもか? その封印も外して。」 「う……。」 ゼス魔法使いの中でも最強級の実力を持っていたナギ。そのナギが魔人になって更に高まった魔力……以上の魔力がないと外せない封印。そんなものを外せる人間に心当たりがない以上、ここでこの申し出を受けなければ一生魔法が使えないかもしれない。 「ぐ……ぐぐっ」 そんなやりとりの中に口を挟んできたのはナギだ。 「魔王。」 「ん? 何だナギ。」 「私が魔想の娘に勝ったらどうする?」 「うーん。そうだ。志津香をお前の使徒にするってのはどうだ?」 しばらく首を捻った後に答えたランスの言葉を聞いた姉妹は、鼓膜が破れんばかりの絶叫を放った。 「何ですってぇぇぇぇぇぇぇ!!」「何だとっ!!」 「まあ聞け。使徒は魔人に絶対服従の下僕だ。つまり、使徒にしてしまえば、お前は魔想の娘……志津香より偉いという図式が成り立つって訳だ。」 「なるほど。では、さっさと使徒にしてしまえば簡単ではないか。」 「がはははは。それじゃ、“今”の時点で志津香がアッチの方でお前より上かどうか分からんだろうが。魔人とその使徒じゃ公平な競争なんかできないからな。」 「わかった。やろう。」 ランスの屁理屈ですっかり丸め込まれたナギはやる気マンマンで志津香に向き直った。 しかし、当然ながら、そんな条件に納得できない人もいる。 「そんな条件飲める訳ないでしょ!」 当の魔想志津香本人である。 「なんだ。お前そんなに女としての魅力に自信がないのか。」 「な、何ですってぇぇぇぇ!!」 だが、挑発に乗ってペースを乱し、 「まあ、確かにそこまで気が強けりゃ、大抵の野郎どもの腰は引けるハズだがな。がはははは。」 「やるわよ! やってやるわよ!!」 また、馬鹿な約束をしてしまうのだった。合掌。 この勝負は、3日にも渡る引き分け再試合の結果、志津香の勝利に終わった。引き分けが続いていた理由は……ランスがハイパー兵器を発射する前に両人の体力が尽きて気絶してしまったという事が続いた事による。 最後のミリはある意味では簡単に終わった。 特に何をされる訳でもなく(まあ、流石に武装解除だけはされてるが)懲罰房の寝台に腰掛けて神妙にしているミリに対して、ランスは簡潔明快に通告した。 「出ろ。」 「おう。で、どうするつもりだい?」 「釈放する。まあ、大人しくしてたからな。お前は。」 「そりゃあ、ミルのとこだったからな……って、俺の部下は?」 「街の外で解放してやる。武装は返さんけどな。」 「そりゃ……仕方ないけど。」 そこでミリの目がキランと光った。獲物を見つけた猫の如く。 「お礼と言っちゃなんだが……久しぶりにやるか?」 言った時点で既に押し倒している。懲罰房の簡素な寝台に。 「おう! 俺様のハイパー兵器のハイパーさ加減を見せてやる!」 死闘はかれこれ7時間に及んだ。 「腕上げたね。まさか俺が引き分けに持ち込まれるなんて思わなかったよ。」 「ちぃっ。まだ勝てんか。」 ほぼ同時に果てた二人は、将来の再戦を約束するのだった。己のプライドと……快楽のために。 ルーベラン、ラファリア、志津香、ミリの4人がルーベラン直属の部下400人とミリの直属の部下1000人と共に解放されたのは11月も末の事であった。 そして、その間、魔王軍は不気味な沈黙を続けていた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今回は捕虜の処遇についての話ですね。まあ、魔王と言ってもランス本来の気質が強く残ってるうちのSSじゃ、あんまり深刻な話にはなりませんね(笑)。 |
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