鬼畜魔王ランス伝
第136話 「飼育内定告知」 「んんっ……ん……」 ゆっくりと意識が戻って行くにつれ、ぼんやりと視界に入って来たのは自分の部屋ではありえない狭い天井。 そして、呼吸を圧迫する何かゴツゴツとした蠢く感覚。 「え、あ……きゃああああ!!」 それが何かに思い当たる前に、私の口からは湧き上がってくる嫌悪感に任せて絶叫が飛び出した。 「くっ……」 思いの外近くから聞こえて来た男の声には何処か聞き覚えがあった。 「だ、誰っ!?」 記憶のドアを激しくノックするその声は…… 「がははは、俺様だ!」 胸の奥を焦がすムカつきを覚える声は…… 「ま、ま、ま…魔王っ!」 当代の魔王、女好きの侵略者、ランス。 「は、離して! 離してよっ!」 上に覆い被られて胸まで揉まれているのに気付いて反射的に抗議する。 「がはははは、気にするな。もうたっぷり俺様の素敵な皇帝液を奥の奥まで注ぎ込んだんだ。今更乳揉みぐらい何て事無いだろ?」 が、そのせいで要らない事まで思い出させられてしまった。 「大有りよ!」 魔王を道連れに自爆するどころか、貞操を奪われた挙句にイカされて失神させられてしまった屈辱の事を。 「そうか。」 が、予想に反して魔王は私の胸からあっさりと手を離した。 一回犯したから気が済んだのだろうか? そうだと良いんだけど。 「しっかしリヴまで持ち出して自爆しようって言うのは感心しないぞ、洒落にならん。」 え? 「ど、どうしてそれをっ!?」 「がはははは、それぐらい俺様にはお見通しだ!(ま、本当はマジックちゃんがあへあへ言ってる間に『リーダー』をかけただけなんだけどな)」 拙い。 こっちの思惑が明らかになっちゃったからには再度のチャンスは有りそうも無い。 それよりも 「わ、私をどうするつもりなの!?」 下手をすれば私の正体まで知られてるかも。 どうしよう。 本当に、どうしよう。 もしそうだったら、無事で帰らせて貰えるとも思えないわ。 ゼスと開戦する口実にされるか、それとも人質代わりにされちゃうか。 「ま〜、王女様が直々に俺様を暗殺しようとしたんだからな。休戦条約違反だって言ってもガンジーのおっさんも抗議できんだろうな。」 ザザッと血の気が引いたのが自分でも分かった。 「だからゼスの王女様は公式には行方不明、ここにいるのは良く似た別人って事にする。まあマジックちゃんが『自分がゼス王女』だって言いふらしたいなら止めんが。」 ふてぶてしいほど憎たらしい笑みを浮かべた魔王の目を睨み付ける。 「くっ……」 これじゃ私の選択肢なんて有って無いようなもんじゃない。 「あと、どうしても帰りたいなら止めんが、その前に……マジックちゃんはリヴの副作用が何だか知ってて使ったのか?」 魔力を増大させる薬って聞いたから使ったんだけど副作用まで気にして無かったわ。 って、こいつってリヴの事知ってるの!? 「知らないわよ、そんなの! どうせ自爆するんだからどうでも良いじゃない!」 「自分よりレベルが高い男とセックスしないと狂い死んじまうって効果でも、か?」 え? 「俺様が知ってるヤツは2ヶ月に一度は男とやらないと駄目だったとか言ってたな。まあ今は俺様のおかげで治ったんだが。」 「まさか、治療法を教えるからやらせろって言うんじゃないでしょうね?」 冗談じゃないわ! それなら死んだ方がマ……う、どうしよ。 嫌な事は嫌だけど、ここで其れを言っちゃうと其れこそ犬死……いえ、それ以下よ。 私の今の実力で魔王を殺す……いえ、重傷を負わせるだけでも触媒に新鮮な魔王の血か精液が要るんだし、それを入手するチャンスを自分で潰すなんてできないわ。 「いや、俺様は親切だから教えといてやる。ハンナの街の南東にある『解呪の迷宮』の最下層…28階にある『解呪の泉』、其処で身体を洗えばリヴの呪いは解けるぞ。」 自分で自分が親切だって言うなんて、なんて厚かましいのかしら。 「そう。礼は言わないわよ。そっちが勝手に言ったんだし。」 それに親切なのも、どうせ女の子限定でしょうし。 「がははは、素直じゃないな。ま、良い。話の続きなんだが、解呪すると魔力がリヴでパワーアップする前より弱くなるそうだ。」 へぇ〜。 って! 「嘘っ!」 今でも一人でマトモに太刀打ちできないからって奇襲狙ってるのに、もっと弱くなるですって!? じょ、冗談じゃないわ! ここで解呪しちゃったら、其れこそ魔王に私の処女あげちゃっただけ……いえ、最悪、私が先走りしたせいでゼスの滅亡を引き起こしたなんて後ろ指を指されかねないわね。 ……って、そういえば解呪しちゃったら、リヴの効果と一緒に聖魔教団の秘法で底上げしてる分の魔力も無くなっちゃうかも。 ど、どうしよう。 「がははは。で、どうする? 他の女の子が近くにいる時に自爆しようなんて気を起こさないって約束できるんなら時々相手してやるぞ。」 ぐっ、ひ、人の弱みに付け込んでっ! これだから魔物は信用ならないんだわっ! 「ま、自爆なんてしないでくれるのが一番なんだがな。マジックちゃんぐらい可愛くて俺様が思いっきり中出ししても壊れない女の子は滅多に見つからないからな。」 プチ。 私の中でナニかが切れた音がした。 「あんたなんかに……あんたなんかに何が分かるって言うのよっ! あんたは彼氏を男に寝取られた事なんか無いでしょ!?」 効かないって分かっていても雷撃でふっ飛ばしてしまいたい気分だわ! こいつなんかに、 こいつなんかに私の気持ちが分かってたまるもんですかっ! 「ああ。確かに『男に男を寝取られた』ことは無いな。良い感じの仲になった女の子を女に取られた事なら何度かあるが。」 って…… 「へっ?」 嘘っ、大陸最大の権力者でしょ、あんた。 権力尽くで強奪するとかやらないの……って、ああ、そうか。冒険者時代の話ね。 魔王ってリーザス王になる前は一介の冒険者だったって聞いた事があるわ。 「俺様のハーレムに入れた女の子が他の男に取られた事だってあるぞ。惜しいとは思ったんだが縛り付けて強姦するのも何だしな(前はそれでも良かったんだが、今やると魔王の封印が緩みかねんからな。ま、しょうがない。)。」 え、今でもそうなの!? そういうことなら……って、駄目よ。 私がアレックスを喪った時と同じ気持ちの訳無いわ。 「そう。でも一人ぐらいいなくなったって、どうって事無いんじゃない?」 こいつにとっては沢山いるうちの一人、私にとっては唯一無二の人だったんだから。 「そう思うか。……ま、良い。がはははは、じゃあ最初の質問に戻るぞ。マジックちゃんが俺様のそばに残るかどうかだ。今なら他の子に迷惑がかからない2人っきりの時に俺様を殺そうとしても、ちょっとした“おしおき”で済ましてやるサービス付きだ! さあ、どうする!?」 う、どうしよう。 今の状態のままで魔王の命を狙っても返り討ちに遭うに決まってるわ。 せめて多少なりとも慣れて真っ最中でもキチンと強力な呪文を構築できるようにならないと無駄死にするだけ。 リヴを解呪して魔薬の効果で翻弄されないようにしたところで、魔力自体が落ちてしまうんじゃあ、お話にもならない。 私が魔王の命を狙う限り選択肢は無いも同然……か。 「分かったわ。」 第1ラウンドの負けは認めてやるわ。 でも、この先も負けっぱなしでなんていてやるもんですか! 壮絶なまでの自滅をやらかした偽名のゼス王女に慰み者として飼われる屈辱的状況をひとまずは承知させたランスは、次なる“お楽しみ”の為に寒風すり抜ける廊下をテクテクと歩いていた。 「マジックちゃんは可愛くて思い切りぶちまけられるんだが、添い寝でゆっくりするには向いて無さそうだからな。さて、ご休憩向きの子は何処にいやがるかな。がははは。」 ガチャリと音を立て、山勘でそこらの適当なドアを開ける。 「がははは。俺様だ、入るぞ。」 マジックの時と同様に部屋の住人が入室を許可するかどうか答えるヒマすら与えず、さっさと部屋に踏み込むランス。 その彼が見たのは…… 「くー。すー。」 ベッドの上で布団に包まって爆睡中の少女だった。 「誰だ? 何となく見覚えはあるんだが……」 端麗な細面ではないが愛嬌のある容貌、普段は結ってるのか癖がついた長めの茶髪。 「う〜む。別のにしようか……いや、待て。起きたら俺様のがズッポシはまってると、どういう顔するのか見物かもな。がははは、是非やろう。」 普段はムカつく観客…クソクジラことルドラサウム…を喜ばせるのがシャクで余りやらない強姦紛いの強引な性行為だが、このオーディションでやる分にはランスはそれっぽい風情は楽しめるのにクソクジラを楽しませるには今数歩は足りないだろうと判断してるので普段の自主規制も何もあったものではない。 ……まあ、ランスの気が向いたらあっさり破られる類の自主規制ではあったが。 掛け布団を剥ぎ、オードソックスな花柄のパジャマは半脱ぎで留め、緑のリボンがワンポイントになってる下着はズラして乳房と大事な所を露出させる。 「がははは、まずは下拵えだ!」 ランスが股間に顔を埋め、顔立ちの割りには濃い目な茂みに隠された割れ目に舌を這わせると、意外にもねっとりとした液体が染み出してきた。 「……感じ易いのか、結構遊んでやがるのか、それとも丁度そういう夢を見てやがるのか分からんが、好都合だ。」 顔を上げて口元を舌で拭い、念の為ハイパー兵器を唾で濡らして準備完了。 「がははは、いくぞっ!」 ハイパー兵器は、寝ていて緊張していないからか、それとも充分濡れていたせいか、思いの外すんなりと奥まで納まった。 「やんっ。」 「がははははは!」 ランスが何処までも自分本位にガシガシと腰を動かすと、身体に敷かれた肢体が反動とそうでないものでピクピクと跳ねる。 そして10分ほども経ち、 「ああんっ! やぁぁ!」 女の子の絞め付けがひときわ強くなり、ハイパー兵器を絞り上げた。 が、まだランスは発射しない。 イッた直後の絞め付けを楽しみながら、更に激しく腰を動かし続ける。 「がはははは! さて、いつ目覚めるかな!?」 そう言った直後、女の子は涙とよだれと愛液をだらしなく垂れ流しながら手足をくてりと力無くベットに投げ出して動かなくなった。 「っと、マズったかな。」 とりあえず動くのを止めて覆い被さって鼓動を確かめると、どうやら心臓は止まっていなかった。 「ふう、ヤバイヤバイ。壊したら勿体無いからな。がはははは。」 この方法で起こすのが無理な人間もいるらしいと分かっただけでも充分と割り切り、頬をピタピタと叩いて起こしにかかってみる。 さっきまでヤッてた事でも起きないのであれば、この程度の刺激で起きるかどうかは怪しいものなのだが…… 「ちっ、やっぱり起きんか。」 それでも試しにやってみた結果は、予想通りと言うより無い結果だった。 「しょうがない、別の……って探しに行くのも面倒だな。今夜はここで寝るか。」 繋がったままでゴロリと横に転がり、上下逆転して女の子を上にする。 「おやすみなさい、だ。」 そう言って目を閉じた魔王が眠りから呼び覚まされたのは、数時間後……下腹部への気持ちが良い刺激によってだった。 「ん? おうひゃま、めがひゃめたゃ?」 「お、うおっ! 何だ?」 慌てて股間の方を見ると、青いリボンで茶色の髪をまとめている娘が口一杯にランスのハイパー兵器をしゃぶって頭を上下させていた。 『何処かで見たような覚えが……そうだ! 確か……』 寝てる時に犯した穴とは段違いに気持ち良い技巧を披露されながら、ランスの思考は一点に辿り着いた。 「もこもこ?」 目の前の少女は、かつてランスがリーザス王に即位してから間もない頃、反乱軍に荷担したサウスの街から臨時徴収をした際にお持ち帰りした少女…竹中もこもこ…で恐らく間違いないだろうと。 「はひぃ……くちゅ…ちゅぱっ……」 頭を上下させ肯く動作が丁度ディープスロートとなり、ランスの背筋をゾクゾクとした刺激が駆け上る。 「お、少しはやるな。がははは、今度は下の口の方もテストしてやるから股開いて俺様の上に乗れ。」 素直に騎乗位になったパジャマ姿のもこもこを、ランスは腰を大きくグラインドさせて大きく突き上げた。 「きゃ、あんっ!」 本来なら女性側が主導権を握り易い体位ではあるがランスは豊富な体力に任せてガシガシ突き上げる事でハンデを克服し、なまじ性知識と経験がそれなりに豊富だったばかりに奇襲を受けたもこもこが割合あっさりと翻弄されてしまう。 「絞め付けは相変わらずでまあまあ、それよりも……と。」 それよりもランスにとって問題なのは、果たして今のランスが遠慮無しに果てたとしても其れを受け止められる素質を持っているかどうかである。 少し抑えなくては相手を殺してしまいかねない場合でも減点材料になるが、かなり抑えなくてはならないようではランスが楽しむ余裕が其れ相応に減ってしまうのでエッチ相手としての評価はかなり辛くならざるを得ない。 「お、大丈夫そうだ。がははは、そら一杯出すぞ!」 だが、その心配は杞憂だったようだ。 「や、すごっ……王様ぁあああ!!」 魔王の力の全解放や魔神化までしない状態でとはいえ、容赦も手加減も全く無いランス自身が楽しむだけの為の交合でも命を失わず、あまつさえタイミングを合わせてイッたのだから。 「ふぃ〜えがった。……御側役の試験に落ちたら精液便所としてなら雇ってやっても良いな。がはははは。」 御側役はランスの身の回りの世話をするという名目がある集団なので、エッチが上手くて身体の相性がそこそこ良いと言うだけでは採用してやれないのだ。 同じ給料・同じ職種で待遇や課される仕事の内容に差があると不満が出るからである。 こうしてランスのハーレムに復帰したもこもこは、家出して自発的にハーレム入りを志願した元々の理由が『学校のテストで0点を取ったのを親に知られたくないから』と言う事を口にせぬままリーザス城の地下室で飼われる性処理要員となったのだった。 オーディションが終了した時、試験監督を担当したメイドさんに溜息で見送られて。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 主根は何とか攻略終了。でも騎士養成学校も戦国も手付かず、仕事に追われて生活リズム乱れまくり……正直ボロボロです、今。 次の話は早くはならない……と言うかできないと思います。 では。 |