サモンナイト3“剣製の魔術師”第十七話



次の日

俺達は「集いの泉」へ集合集合するために向っている。

「・・・・・・。」

アティさんは浮かない顔をしている・・・。

・・・やはり昨夜の件で気になっているんだろうな・・・。

結局、彼女達とは話せずじまいだからなあ・・・。

・・・俺も、この件が終わったら、もう少し彼女達と話し合ってみよう。

で、「集いの泉」に来てみると待っていたのは、ファルゼンさんと、アルディラさんの二人。

「調査だって言うから、それなりの人数が来るかと思ったら、二人だけなんて、何か拍子抜けかも。」

野党がいるらしい場所に向う途中、ソノラちゃんがぼやく。

「コレデ、イイノダ。」

「余り人数が多いと、相手の戦意をあおる結果になりかねないわ。
最初から討伐を目的にしているなら、相応の人数を揃えるけれどね。」

そのぼやきに答える、ファルゼンさんとアルディラさん。

たしかに、そうだな・・・。

「・・・あれで、連中なりに気は使ってるみてえだな?」

カイルさんが、アティさんに小声で話をしている。


「そうですね。」

アティさんも元気は無いが、相槌を打っている。

「そろそろ、推測された奴等の拠点に着くわ。」

その言葉を聞いた俺は、念のため数本の剣を投影できるように準備しておく。

さあて、どうなるか・・・。


「おい!見ろ!?」

カイルさん、何を驚いているんですか?

カイルさんが指を指した方角には、ボロボロに壊れた船がある。

やっぱり、犯人は人間か。

「そんなの、太した問題じゃないってば!」

?ソノラちゃん?何だかとても疲れた顔をしてるけど?

「問題なのは、あそこで揺れてる旗よ・・・。」

カイルさんやソノラちゃんと同じように、疲れた声を出したスカーレルの指を指した方を、見てみると・・・。

「「「「「・・・・・・。」」」」」(俺、アティさん、ヤードさん、ファルゼンさん、アルディラさん)

何ですかね・・・・、アレ?

「・・・・ヒゲつきどくろ・・・・?」

そこにはためいていたには、ヒゲつきどくろの海賊旗だった・・・。

どういう趣味してるんだ?

ああ、表情が見えないファルゼンさんでさえ、あきれ果てているオーラ全開だ・・・。

「あんな趣味の悪い旗を飾る野郎は、この海に一人しかいねえ・・・・。」

本当に疲れ果てた声を出すカイルさん。

説明するのも嫌そうだ。

で、俺達はもう少し近づいてみる事にした。

そうすると、映画でよくでてくる、船長服(悪役風)を着て眼帯を付けた男と、その周りに数人の男達が、屯っている。

「腹ぁ、減ったのぉ?」

船長服の男がつぶやく・・・。

『へい、船長!』

それに答える取り巻き。

「酒も、飲みたいのう?」

『へい、船長!』

・・・・・・・・・

「ああ、やっぱりジャキーニー一家だよぉ。」

嫌そうな声を出すソノラちゃん・・・。

「シッテ、イルノカ?」

「アタシらと同じ海賊よ、あんま、認めたくないけど・・・・。」

頭を抱えて突っ伏すソノラちゃんに代わって、スカーレルがファルゼンさんの問いに答える。

・・・・嫌そうに・・・・。

「何だか知らんが、俺達一家の事を目の敵にしててな、いつも因縁つけて襲って来るんだよ。」

だから、嫌そうなんだカイルさん達・・・。

「はあ・・・。」

アティさんも呆れ気味だ。

しかし、何でこの人たちが、この島に来てるんだ?

そう思っていると、船長服を着た男(ジャキーニ)が、エプロンを付けた男と話をしている。

「なあ、兄弟よ、ワシらが、この島に漂着して何日じゃ?」

「へえ、あんさん、かれこれ、一月は経過しとります。」

・・・関西弁?

「一月、か・・・・。
すがああああああぁぁぁっ!!」

あ、切れた・・・・。

「なんで、ワシらが、こんな目にあわにゃならんのじゃあっ!?」

おお、涙を流してるよ・・・・。

眼帯からも涙を流してるって事は、その眼帯は伊達ですか・・・、そうですか・・・・。

「それもこれも、あの妙な嵐に巻き込まれた所為じゃ!」

「まさか、港につないでおいた船が、突然の嵐で流されて・・・、そのまま、漂流することになるなんて、普通は考えられへんですもんなぁ。」

「だから・・・・・っ!
陸にあがるのは、イヤなんじゃあああぁっ!!!」

それを聞いて反応したのは。ヤードさんとスカーレル?

「ねえ、ヤード?」

「ええ、どうやら私のせいみたいですね。」

すまなそうにしているヤードさん。

「「え?」」

思わず、はもってしまう俺とアティさん。

「追っ手との戦いで私は、剣の力を一度だけ使ったんですよ。
結局、制御しきれずに、その時も、似たような嵐が起きて・・・。」

「もしかして、それに巻き込まれちゃった・・・・ですか?」

アティさんが、ヤードさんの続きを言うと。

「おそらくは・・・。」

と言い返すヤードさん。

・・・あれ?

確か・・・、アティさんの話だと・・・、突然嵐が起ったって言っていたよな?

誰かが“ケン”を使ったのか?

そう考えている俺をよそに、ジャキーニとエプロンを付けた男の会話は続く。

「まあまあ、あんさん、過ぎたこと言うてもしょうがありまへん。
船がワヤになった以上、ここでやってくしかあらへんやろ?」

「む、むう・・・。」

「腹が減ってたら、ロクな考えもでまへん、まずはそこからや。」

「そうだな・・・、では、いつものように、食料調達といくか!」

『へい、船長!』

「また、化け物の村からかっぱらってくるんでっか?
魚を取れば、それですむのに・・・。」

「えーい、略奪行為は海賊の王道じゃい!
それに、ワシはお魚がキライなんじゃあ!!」

その会話中、ソノラちゃんは突っ伏し、カイルさんは海を眺め、スカーレルは眉間をほぐし、ヤードさんは何処かピントをずらしてどこかを眺め、アルディラさんは眼鏡を外し布で拭き直し、ファルゼンさんは脱力したかのように腕をプランプランとし、アティさんと俺は、無言で「アハハハハハ・・・・。」と苦笑いを続けた・・・・。(爆)

そしてその最後の叫びに、「もう、我慢できねぇ・・・。」と小声でカイルさんは言いつつ、ジャキーニ達の前に姿を現した。

「ったく、そんな事自慢してどうすんだよ、ええ、ジャキーニ?」

「うぉ!貴様は、にっくきカイル!?」

その声に驚き叫ぶジャキーニ。

「何で、あんさんらが、ここにおるんや??」

エプロンを付けた男も驚いているようだ。

「色々あったのよ・・・。
それよりアンタ達、こそ泥のような真似はおよしなさいな?」

「海賊として恥ずかしくないわけ?」

うん、俺も海賊は悪いと思うが、スカーレルやソノラちゃんと同じ意見だ。

「よ、余計なお世話じゃいっ!」

「ソウハ、イカヌ・・・。」

ジャキーニの言葉に、言い返すファルゼンさん。

確かに、こっちは迷惑だからなあ。

「そうよ、あなた達のした略奪行為で、迷惑しているのよ?」

アルディラさんも、眉をひそめながら話す。

「読めたぞ・・・・。」

は?

「さては、貴様ら、そこの化け物とグルになって、ワシらを、酷い目にあわせるつもりなんじゃろう!?
そうなんじゃろう!!?」

・・・・・おい、逆切れするなあぁ!!

「そうじゃないですよ、私達は、話し合いで解決を・・・。」

とアティさんが必死になって言っても、聞きやしない・・・。

終いには・・・。

「そういうつもりなら、戦争じゃあぁっ!!
野郎ども!!やっちまえ!!!」

『へい、船長!!!』

「あー、もぉ!話を聞いてって言っているのにー!!

・・・それは無理そうですね・・・・。

「・・・やっぱり?」

はい、痛い目に遭わないと解らないタイプのようですから・・・。

仕方無しに戦闘開始・・・。

・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・


「くそ・・・・、何で、勝てんのじゃあああぁぁぁ!?」

よ・・・弱い・・・(汗)

ハッキリ言って、この前の帝国軍とはえらい違いだった。

「あんさん、気ィ落としなはんな、海の男は不屈やろ?」

ジャキーニは、エプロン男に(オウキーニってって言っていたよな)慰められてる。

それより・・・。

どうするんです?この人たち?

「そうよねぇ、アタシ達にとっちゃ毎度の事だけどねえ?」

スカーレルがそう言いつつ、ファルゼンさんとアルディラさんの方に視線を向ける。

「「・・・・・・。」」

あ・・・、怒ってる・・・・。

「ひ、ひいぃぃ・・・・。」

『せ、船長ぉ・・・。』

・・・・本当にどうするんだろう?

「どうするんですか?」

俺の問に

「そうね・・・」

アルディラさんも思案顔だ。

で、アルディラさんは。

「アティ、貴方が決めてちょうだい。」

アティさんに任せてしまった。

なるほど、対処を誤ると、アティさん達の反感を買う事になるからな・・・。

「それじゃあ・・・。」

アティさんが、ジャキーニ一家に対したのは・・・・。

農園での畑仕事だった。


「なんで、ワシがこんな事しなきゃ、ならんのじゃあ・・・。」

とか、ジャキーニは言っているが。

アティさん曰く

「盗んだものは、キチンと返すように育ててください。
働かざる者、食うべからず、です。」

だ、そうだ。

「だから・・・・!!!陸に上がるのはイヤなんじゃあ!!!」

・・・オチになっちゃった・・・・。


で夜。

今日は、久しぶりに外で特訓しようと思い、船の外に出た。

よし、この辺でいいかなっと思い、目を閉じた時。

「こんばんは。」

突然、上から女性の声が聞こえてきた。

・・・頭の上?

慌てて上を向くと、銀色の髪の俺と同じくらいの年齢の女の子が、ふわふわ浮んでいた・・・。

「え・・・っと?」

俺が戸惑っていると。

「あ、この姿で会うのは初めてですね。」


「一寸待って下さい。」と言いながら目を閉じる女の子。

「・・・・・。」

へ!?

次の瞬間、目の前にはファルゼンさんが・・・て・・・・え!?

「そうなんです、この鎧に入っているのは私なんです。」

何ですと!?

「私の本当の名前は、ファリエル。
輪廻の輪から外れてさまよう、一人の娘の魂です。」

ゆ、幽霊ですか?

「はい。」

「強い魔力の下でだけ、私はこの姿に戻れます。
こうした、月の光の降り注ぐ夜には・・・。」

少し寂しそうに笑いながら、喋るファリエルさん。

「何で、ファリエルさんが、ファルゼンって名乗ってるんですか?」

「そ・・・、それは・・・・。」

ああ、言いにくそうだな・・・。

俺は、トラップを踏んだらしい。

「今の質問、無しにします。」

「え!?・・・・はい・・・・、ありがとうございます。」

そして俺達は、月夜の下、俺の世界の話をしたり、この世界の話をしたりした。

「それじゃ、あ、私がファルゼンって事は秘密にしてください。」

解りました、約束です。

そうして、俺達は分かれた。

・・・こんな夜もあっても良いと、この時、俺は思った。


第三部完




読んだ後は是非感想を!! 貴方の一言が作者を育て、また奮起させます

    

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