サモンナイト3“剣製の魔術師”第二十七話
帝国軍の一件から約1週間、何事も無く時間が過ぎた。
アティさんの青空教室も順調で、今アティさんはマルルゥちゃんに算数の初歩を教えている。
「・・・だから、ナウパのみが5本あるって考えて、2人でわけたらって考えてみて?」
「えっとぉ・・・、ひぃ、ふぅ、みぃ・・・、み、みぃぃぃぃぃ!?」
マルルゥちゃん、パニくってる・・・(汗)
その脇では、パナシェ君(スバル君と一緒に遊んでいたバウナスの子供だ)がリゼちゃんから、スバル君はベルちゃんから教わっている。
「そう、そう・・・、正解・・・。」
「なるほど、ありがとう。」
「ここはねえ・・・、なのよ!分かった?」
「そうか!ありがと姉ちゃん!」
年長者が教えて、アティさんが補足する・・・、良い感じじゃないか。
で・・・、どうして俺が、此処に居るかと言うと。
今朝、朝食の時にベルちゃんから「弓術を教えて。」と言われて(アティさんから了解は貰ったそうだ。)空いた時間なら良いよっと言ったところ。
「午前中は、先生との授業だし、そうね・・・午後の学校が終わってから3時くらいで良い?」
との返事。
それなら1時間くらい教えられるな・・・。
で、俺は船の修理の手伝いが少し早く終わって、アティさんの授業の様子も見たくて早めに此処に来てしまったと言うわけだ。
お・・・どうやら終わったようだ。
「さようなら、先生!」
「またな!」
挨拶をして、スバル君とパナシェ君は「風雷の郷」に行った。
「先生、お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
黒板を消したり、勉強道具を片しながら、アティさんに話しかけるベルちゃんとリゼちゃん。
・・・うん、この3人もどうやら凄く仲良くなったみたいだ。
まるで、年の離れた姉妹みたいだな。
「さてシロウ、お願いします。」
一段落してから、ベルちゃんが切り出す。
その傍では、アティさんがリゼちゃんに召喚術の勉強の補習をしている。
「じゃあ、一寸弓を射ってみて。」
「ええ、分かったわ。」
俺が作った的に、射るベルちゃん。
5本ほど射させてみる。
「・・・どう?」
「良いと思うよ、すごく筋が良い。」
本当に凄いな・・・、彼女13歳で此処までの腕を持っているなんて。
さて・・・、どう教えようか?
・・・そう言えば、俺が誰かに教えるなんて・・・生まれて初めてか!?
「・・・?シロウ?」
おっと、動揺してる暇は無いぞ。
「実践で弓を使うには、いかに短時間に集中力を高めて、射るかに掛かっているんだと思う。」
うん・・・、間違っていないよな・・・?
「で、今ベルちゃんが一者に掛かっていた時間は15秒〜20秒掛かっていた、確かに普通に射るには充分だし、ベルちゃんは射るスピードは速いほうだと思う。」
と・・・思うんだけど、実際は分からないなあ・・・、なんせ彼女が引いてるのは和弓でなくて、狩猟用の短弓みたいなものだからな。
「・・・なるほど、まずは射る時間の短縮ですわね。」
「短縮するだけじゃないぞ、今と同じくらい集中力を高めないと駄目だ。」
「やってみますわ。」
後は、細かい所をレクチャーする。
あ、もう1時間過ぎたな。
「ベルちゃんお疲れ、今日はおしまいだ。」
「・・・そうですわね、余り根を詰めても非効率ですし・・・。」
向うではアティさんと、リゼちゃんも終わったようだ。
?向うから歩いてくるのはアルディラさんか?
珍しいな、アルディラさんが此処まで来るなんて。
「アルディラさん?」
アティさんも軽く驚いているようだ。
「どうして此処に?」
「クノンから伝言を頼まれてきたのよ。
貴方達が助けた、霊の彼ようやく、話ができるようになったのよ。」
アティさんの質問に答えるアルディラさん。
「本当ですか!?良かった・・・。」
ホッとする俺とアティさん。
「良かったわね、先生、シロウ。」
「本当に・・・。」
ベルちゃんとリゼちゃんも嬉しそうだ。
「ただ、ね・・・。」
?何です?アルディラさん?
見るとアルディラさんの顔が曇っている。
どうかしたんですか?
「とにかく一度、面会に来てちょうだい。
詳しい話は、あの子がしてくれるから。」
とアルディラさん。
「分かりました、勉強道具を船に持って帰ってから伺います。」
「俺もいいですか。」
俺も行っていいか、アルディラさんに聞いてみる。
「ええ、二人でいらっしゃい。」
そう言って、アルディラさんは帰っていった。
「それじゃ、急いで帰りましょう。」
そうですね。
(続く)
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