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 それは良く晴れた春の日だった。朝から輝くばかりの快晴に見舞われ、お前は正気かと言うほどに晴れ渡った暖かな春の午後だった。広大すぎるブラック家の敷地にある山の一つに、怪しい一団の影が。森林浴に出向くならこれほど整った環境は無いと言うほどののどかな森で、黒衣のスーツを着た連中が世話しなく動き回っている。平和な森にこれほど不釣合いな光景も無い。
 その中で唯一黒衣を纏っていないのはリーマスである。彼は苛々した様子で先ほどから同じ場所をぐるぐる歩き続けていた。
 カルシウム不足でも糖分不足でもない彼が苛立つのには訳がある。それというのも全てはこの山の持ち主でもあるブラック家の御曹司さまのお蔭だ。昨日一体どうやってか手錠を外して取調室を出て行ったシリウスは、本当に自分を捜査のメンバーに加える了解を取って戻ってきやがったのだ。

「いや〜、もう是非ともお願いしますって頼まれちまったぜ」

 はっはっはと軽快に笑うシリウスの手が、懐に小切手帳を押し込むのを多くの人間が目撃した。どうやらリーマスの上司は、あっさりシリウスに買収されやがったらしい。

「…………あんの莫迦上司が!」

 再びはらわたが煮えくり返るほどの怒りを発してリーマスは憎憎しげに呟く。しかも上司はリーマスとシリウスの結婚式でスピーチの約束までしてくれちゃったらしい。何考えてんじゃ貴様!? と、青龍刀片手にオフィスに乗り込んできたリーマスに、彼は必死で説得を試みた。この場合シリウスの言葉には頷く他無いのである。何たって相手はブラック家の御曹司。シリウスの気まぐれ一つで警察官の運命などどうとでもなるのは事実だ。しかも今回は勝手に敷地内で捜査をしたうえ、よりにもよって御曹司殿を誤認逮捕までしてしまった。これは訴えられるどころか行方不明後、変死体となって発見されてもおかしくないほどのとんでもない事態だ。しかし寛大なシリウスは、面白そうだから自分も混ぜ……もとい、是非とも捜査に協力させてほしいと提案してくれた。彼の愛しの恋人が危険に晒されるのに、自分だけ安穏と過ごすことはできないと切々と語ったらしい。
 誰が恋人だ、と再び暴れそうになるリーマスを宥めて上司は続ける。ここはとにかくシリウスの言いなりになるように見せかけて、とにかく捜査を進めてしまおう。そして麻薬シンジケートを撲滅した暁には、シリウスの強制わいせつ罪を盾に関係を有耶無耶にしてしまえばいい、と。なるほど幾らこっちに非があっても、痴漢の罪はまた別の話だ。ブラック家も息子が痴漢で告発されるくらいならば、何も無かったことにしてほしいに決まっている。まさかシリウスも現当主の言うことには逆らえまい。ここは人身御供になる振りをして、まずはお手柄を第一に考えようぢゃないか!
 それが昨日のお話。どうにもうまく丸め込まれた感が無いわけではないが、上司があんまし真摯な表情で説得するものだから、リーマスも引き下がるしかなかったのである。そして現在、取引のやり直しに備えて準備をしているわけなのだが、『お嬢さん』の役はすでに別の人物のものとなっていたのだった。

「ぅおーい、リーマス・ベイビー!」

 背後からかかった呼び声にリーマスはビキッと固まる。再び怒りのオーラが立ち上る彼の傍からはそそくさと黒衣の捜査官たちが逃げ去ったが、声の主はてんで気にすることもなく軽快な足取りで近付いてきた。

「なぁなぁ、これどーだよ。『お嬢さん』っぽいか?」

 怒りを抑えるべくゆっくり10数えてから振り返ったリーマスは、思わず目を疑った。彼の目の前に立っていたのは、ダークレッドのルージュも鮮やかな、ゴージャス美女だったのである。

「し、シリウス……?」

 ぽかんとした表情でリーマスが問いかけると、ゆるくウェーブのかかった美しい黒髪をかきあげつつ、美女は豪快に笑い声を上げた。

「どーだ、俺は美人だろう」

 腰に手を当てたまま犬が吼えるように笑いさえしなければ、十中八九道行く人が全員振り返る美女である。しかし中身は相変わらずのシリウスで、彼っつーか彼女はぽや〜んと自分を見つめるリーマスと肩を組んで馴れ馴れしく顔を寄せた。

「どうした、俺があんまり美人なんで惚れ直したか?」

 別段元から惚れていたわけではないが、リーマスは邪険に腕を振りほどくこともできずに沈黙した。身体のラインを強調する服に身を包んだシリウスは、中身が男だとわかっているリーマスでさえ見ほれてしまうほどの美女だったのである。胸や腰にはパッドでも入っているのか、やたらにフェロモンが感じられる。しかもただでさえ長身なのに、ハイヒールを履いているので大層迫力がある。よくまぁ靴のサイズがあったものだ。

「何だったら結婚式はこの格好でやってやろうか? あ、でもそしたらお前もこないだの格好してくれよ」

 誰がするもんか、と文句をつけようとしたリーマスの頬に、ぶちゅっとキスを一つ。てっきり鉄拳制裁が飛んでくるものと急いでシリウスは身を離すが、意外にもリーマスは困惑の表情を浮かべただけで怒鳴ることもしなかった。さては俺の魅力に囚われているのだなとシリウスは一人でにんまりしたが、驚くべきことにその想像は当たらずとも遠からずであった。リーマスは何と、不覚にもちょぴっとドキドキしてしまったのである。そして奈落へズドーンと落ち込んでみたり。いかん、このままではシリウスの思う壺だ!

「と、とにかく、説明はきちんと聞いたんだろーな?」

 ばね仕掛けのおもちゃのように突然口を開いたリーマスに、面食らった様子のシリウスは素直に頷いた。

「あれだろ、この道を真っ直ぐ歩いていって、ランデブーポイントで男とすれ違う。相手がディーラーならすれ違った後で『お嬢さん、落し物ですよ』と話しかけてくる。で、そしたら俺は『くまさん、ありがとう』と言って歌を歌うんだな」

 で、歌は何でもいいのかと問うと、リーマスはこっくり頷いた。歌については指定は無く、歌って踊れる曲なら何でもかまわないらしい。踊るのは相手の気を逸らすためでもあり、森のあちこちに待機している捜査官たちが集まる時間を稼ぐためだ。

「一応スタンガンを渡しておくけど、君は民間人だからできるだけこっちでディーラーを拘束するから。無理はせず、何かあったらすぐに逃げ出すこと」

「おうよ、任しとけ!」

 必ずふん捕まえてやっからな、とガッツポーズをとるシリウスは、明らかにリーマスの話を聞いちゃあいねえ。こんなやつに任せて本当に大丈夫なのだろうか。しかしリーマスは昨日の女装ですでに道行く村人の何人かに面が割れており、よそ者が何度も同じ場所をうろつくのは得策ではない。幸いシリウスは昔格闘技をやっていたとかで腕っ節には自信があるらしいし、何よりリーマスにとってはこいつがどうなろうと知ったこっちゃねぇのである。

「しかしよ、何でお前は清楚なお嬢様風で、俺は夜の女王風なんだ?」

 シリウスは不思議そうにリーマスを眺める。別に夜の女王風が嫌なわけではないが、黒地に白のラインの入った煌びやかな服は、明らかに森を歩く格好ではない。するとリーマスは同意するように盛大なため息をつき、

「仕方ないんだ。全部上司の趣味だから……」

「…………なるほど、そりゃ仕方ない」

 この瞬間、初めて二人の心は通じ合った。





 日光の燦燦と降り注ぐ道をシリウスは歩く。履き慣れないハイヒールだって何のその、土を踏みしめ道を行く姿は凛として勇ましい。一体どこで覚えたのかわずかに腰を左右に動かし、胸を張って歩くシリウスを、すれ違う人々は惚けたような羨望の眼差しで見送った。
 思ったよりも人通りが多い、とシリウスは脇の林の中に視線を向ける。こうして見るだけでは何の変哲もない森なのだが、あのどこかに黒衣の捜査官たちが潜んでいる。AだかBだかZだかシリウスには見分けのつかない捜査官たちは、完全に森と一体化しているように思える。
 どのくらい歩いたときだろうか。そろそろランデブーポイントかとシリウスは歩く速度を緩めた。そうそう、昨日リーマスと出会ったのも確かにこの辺りだ。今はシリウスが歩いているこの道をやってきたカワイコチャンがよもや男だなどとは露とも思わなかった。それくらいにリーマスは完璧な変装をしていたのである。もちろん今のシリウスもそれに負けない、ある意味その上を行く完璧な美女っぷりだが、リーマスの清楚可憐な姿はなかなかの眼福であった。結婚式では是非あの格好をしてもらおう。
 実は男も女も両方いけちゃうシリウスはにんまり一人で笑顔を浮かべる。その姿を林の中で見守っていたリーマスが、えもいわれぬ悪寒を感じたことを彼は知らない。
 そしてついにそのときはやってきた。シリウスが傍目にはのんびり見える歩調で道を歩いていると、向こうに人影が現れた。初めはぽつんとした黒い影にしか見えなかったそれも、距離が縮まるにつれ背の高い男の形を現した。

「…………え?」

 思いがけず呟いてシリウスは更に歩調を緩めた。と言うのも、前方に見えた人影が、奇妙なシルエットを浮かべていたからだ。何だか普通よりも異常に頭が大きくはないだろうか。もしかしてアフロなのかとシリウスは内心で首を傾げたが、それにしては森を渡る風に髪がなびいたりそよいだりする様子もない。しかしまさかあんなに頭がでかいわけはあるまい。そんなのは栗頭先生くらいなものだ。
 シリウスは慎重に相手を見つめながら道を進んだ。するとどうだろう、彼の超人的な目で捉えた相手の姿は、あまりにも珍妙なものだったのである。

「げっ…………!?」

 うっかり口をついて出たのはシリウスの本音であった。何と向こうからやってくる男は、くまの帽子を被っていたのである。いや、帽子と言うより着ぐるみに近いかもしれない。着ぐるみの頭部の部分だけを被った謎の男。怪しい。あまりにも怪しすぎる。
 しかも謎のくま男の被る着ぐるみは、くまの口と思しき場所に顔を出せるように穴が開いているようで、カッチリとしたサングラスをかけた眉間に縦じまの男の顔がはっきりと見えた。
 あれだ、とシリウスは内心で冷や汗を掻きながら思わず視線を逸らしていた。『目を合わせちゃ駄目よ、春先にはああいうのが多いんだから!』というやつだ。せめて全身着ぐるみならばまだ微笑ましさが残るものの、頭部だけを着用しているから始末が悪い。しかもデザイナーズブランドのスーツの胸ポケットには真っ赤なバラが挿してある。紫でなかったことがせめてもの救いか。
 はっきり言ってシリウスは大抵の物事には動じない性格だ。どころか、トラブルが大きければ大きいほど面白がって首を突っ込むタイプである。故に現在もおとり捜査官の代わりなんぞをしているわけなのだが、流石のシリウスもあのくま男と関わるのは何だかいや〜んな気分になってきた。
 だって明らかにおかしいじゃんかよ、とシリウスは目を逸らしたままそれでも一応道を進む。今までの人生であんな変な男に会ったのは初めてのことだ。あれがケイティーのパパりんか。うわっ、腰から下がった妙なストラップ、ピンクの猫ちゃんじゃねーか。あれって携帯のストラップなのか?
 シリウスの野生の感が全力であいつと関わるなと叫んでいた。あれは絶対、家に帰ったとたん猫に赤ちゃん言葉で話しかけるタイプだぞ。そして小指を立ててジュースを飲むのだ。それだけならまだいいが、きっと毎朝鏡に映った自分に見惚れて鼻血とか出したことのあるタイプだ。うん、絶対そーに違いない!
 想像のたくましいシリウスは内心冷や汗ダラダラであるが、そうしている間も二人の距離は縮まっている。くるっと方向を転換して脱兎のごとく逃げ出すならば今のうちだ。今ならまだ相手が気づいて追いかけてきても、完全に振り切って逃げられるだけの距離がある。
 しかしシリウスは誘惑にぐっと耐えた。駄目だ駄目だ、もしここで逃げ出したりしたら、天下のシリウス・ブラックの名が廃る。第一愛しのリーマスに格好悪いところを見せるわけにはいかないではないか。ましてやここで逃げ出したらば彼との婚約も夢と消えるだろう。ああっ、それではハネムーンであーんなことやそーんな恥ずかしいことを目一杯してやるという野望が費えてしまう。あれほど顔が好みでちょっと固いけど抱き心地もなかなかで、可愛いだけが取り柄じゃない気の強いカワイコチャンに再び出会える確率は限りなくゼロに近い。そう、言うなればタクラマカン砂漠に落とした一粒のキャビアを探し出すのと同等の確率だ!
 事件解決後にリーマスにふしだらなことをして喜ばせる想像に勇気付けられて、シリウスは決然と顔を上げた。謎のくま男はすぐ傍まで迫っている。あとはやるべきことをやるだけだ。
 黙々とまっすぐ歩くシリウスとくま男はきっかりランデブーポイントですれ違った。そのまま歩き続けるシリウスの背後で、くま男が振り返る気配。あわわわ、やっぱりあいつがディーラーか。まさかあれって、変装してるつもりなのか?

「……もし、お嬢さん」

 深みのあるバリトンがシリウスを呼び止める。くまの着ぐるみさえなければなかなかにダンディーと言ってもいいだけに、不気味加減は倍増だ。
 シリウスはその場に立ち止まると、ゆっくりと振り返った。できるだけ尊大に、女王然と見えるように。
 つんとくちびるを尖らせた美女に、謎のくま男は何がしかの感銘を受けたようだ。男は言い聞かせるように話しかける。

「お嬢さん、落し物ですよ」

 しかしくま男は何も持ってはいないし、もちろんシリウスも何も落としてなどいない。わざわざ確かめるまでもないが、やっぱしディーラーだ。
 シリウスは内心の落胆を毛ほども表情には出さず、傲慢な目つきで男を眺めおろした。

「あら『くまさん』、ありがとう。お礼に『歌い』ましょう」

 一体どこの貴婦人だと突っ込みたくなるほど優雅な手つきでシリウスは右手を差し出す。男は一瞬戸惑ったように眉根を寄せたが、シリウスがあまりに堂々としているので気圧されたようだ。彼が差し出された手を取ると、ここがチャンスとばかりにシリウスは踊りだす。

「くーさーむらにー、なーもーしーれずぅー……」

 口ずさむイントロから始まる歌は耽美の極地。くま男もノリがいいのか一緒になって軽快に踊り始めている。しかし今頃はすでに森に潜む黒服の捜査官たちがNINJAよろしく集まってきているだろう。このでっかい頭をよけて踊るのもあと少しだけだ。
 シリウスがくるくると回転したときだった、クッキング・ダンサーも真っ青な二人の前に黒衣でない捜査官が立ちはだかったのは。

「そこまでだ『くまさん』。お前は完全に包囲されている!」

 近距離であるのに拡声器を使用しているのはもちろんリーマスだ。彼は何故か手に縄の束のようなものを掴んでいる。その姿を見た謎のくま男はしまったと大仰に呟いた。

「お、おのれ、騙したな!?」

 くま男は頭部の大きさに似合わず敏捷な動きでシリウスから飛び退った。しかし若さと度胸で勝るシリウスの方が反応は早い。くま男がきびすを返して走り出す前に、男の脇腹に鋭い蹴りを叩き込む。たわばっと古典的な悲鳴を上げてすっ転んだ男の腕をシリウスはひねり上げる。そこへすかさず黒衣の捜査官CだかRだかがやって来て、巨大な頭を振り振り暴れるくま男を拘束した。

「よし、身柄を確保! くまさんを護送する」

 トランシーバーを片手にキビキビと指示を出すリーマスに、ものすごい勢いでシリウスが振り返った。

「おい、リーマス!」

 その声があまりに悲壮だったので、その場にいた捜査官たちが一斉にシリウスを振り返った。

「お、お前、よりにもよってこんなのと俺を間違ったのか!?」

 今にもガッデムと言い出しそうなシリウスは憤慨してリーマスに詰め寄った。昨日彼が誤認逮捕されたのは、麻薬のディーラーと勘違いされたためだ。それがまさかこんなくまの着ぐるみ男だったなんて、心外にもほどがある!

「こっ、こんなくま男と俺を勘違いするな!」

「うん、ごめん、悪かった!」

 流石にリーマスも自分の非をすぐさま認めてあやまった。シリウスが今にも泣きそうな表情を浮かべていて、あまりにも可哀想になったせいもあるが、何よりあんなのと勘違いされたとあってはリーマスだってショックだろうから。

「あれに比べたら君はまだまだ変態じゃないよ! だからごめん、怒んないで!」

「よしわかった。許してやるから結婚しよう!」

「黙れ変態、前言撤回だ!」

 にわかに雲行きが怪しくなってきた森の一場面。また始まったよと黒衣の捜査官たちは呆れた様子で二人の様子を眺めている。しかも一方は未だ女装のままであり、言葉だけを聞いていれば単なる痴話喧嘩だ。早く終わらせてくんないかな〜と捜査官たちが油断したのを察知したくま男は、力を振り絞って突如走り出した。両手を後ろに拘束され、重い頭部での逃走にしてはずいぶん機敏な動作だ。それもそのはず、彼にとっては運命がかかっているのだ、必死になれば大抵のことは成せば成る。

「あっ、しまった!」

 シリウスがリーマスの肩越しにくま男を睨んで声を上げる。しかしファーストステップからトップスピードに乗ったくま男の逃げ足は早い。捜査官たちがあっと叫んで追跡の体勢を整えたときだった、リーマスの手から何か黒いものが飛来したのは。それはバシッという音を立ててくま男の背中を直撃した。突然背後から加えられた衝撃に男は顔面から道にダイブする。ボスッという鈍い音がしたのは、男の被った着ぐるみのせいだろう。つんのめってぶっ倒れた男の身体にわらわらと黒衣の捜査官たちが群がって押さえつける。それを見届けたリーマスは、手にしていた鞭を素早く回収し、再びシリウスに向き直った。そう、くま男の背中を襲った黒い物体は、リーマスの操る鞭だったのである。

「り、リーマスお前…………!」

 女装していることもすっかり忘れて仁王立ちになったシリウスは、ふるふると震える指でリーマスの手にした鞭を指し示す。さっきから何か妙なものを持っていると思ったら、よもやそれが鞭だとは思いもよらなかった。そんなどっかの国の犬の名前を持った考古学者のようなリーマスを見つめ、

「お前、超格好いい〜!!」

 惚れ直したぜリーマス、と両腕を広げて愛の抱擁を試みたシリウスは、再び飛来した黒い物体に額をぶっ叩かれて後ろへひっくり返った。そして三度ブラック・アウト。





 そんで結局どーなったかと言えば、麻薬シンジケートは警察の奮闘によって壊滅し、それに関連した多くの事件で逮捕者が続出した。大手柄の警察では昇進や給料のアップが乱れ飛び、世間は一時騒然となったのである。
 そんな脚光を浴びまくる警察に見切りをつけて辞表を提出した捜査官がいたことを世間の人々は知らない。彼は事件解決の立役者であったが、いいかげん警察官の世界にうんざりしていたのである。
 彼は辞表を提出するとそのままの足でどこかへ向かった。たとえば彼が8時ちょうどのクイーン・エリザベス号で熱海に向かったとしても、それは誰一人として知るところではなかったのである。






〔めでたし、めでたし〕





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あまりにも長くてごめんなさい(汗)。
おかしいな、プロットの時点では10行くらいだったのに??
あんまし他に無い『森のくまさん』を目指してみたのれすが。
もしシリアスだったら、多重人格症のリーマスにしようと思ってました。
が、そーすっと『白い貝殻の小さなイヤリング』がね!






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