■□■ 源泉と邂逅のアキラ □■□
ナノと愛の逃避行中に偶然出会った源泉に誘われて、アキラはとあるレストランに入った。差しさわりの無い程度にお互いの近況を報告し終わったあと、何気無い口調を装って源泉が訊いた。
「で、お前さん、プルミエとはどうなんだ?」
新しい煙草に火をつけながらにやりと笑った源泉からアキラは目を逸らす。色々とバレているらしい源泉を相手に言葉をつくろっても仕方が無いだろう。
しばらくの逡巡のあと、アキラは躊躇いがちに口を開いた。
「何て言うか……、大きな金色のひよこがピーチクパーチク言わずに後から付いてきてる感じだな」
と言っても現在のナノは黒髪なのだが。
思わずといった様子でため息をついたアキラを、源泉は瞬きを繰り返しながら見つめた。
「……あぁ、何か物凄くわかりやすい例えだな、それ」
お前も色々苦労してるんだな、と労わるように言った源泉に、ついつい大きく頷いてしまうアキラであった。
〔おしまい〕
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